第107回目(3/4) 深澤 里奈子 先生 湯河原リトリートご縁の杜

「旅館をやめて神社になります」と宣言しました。

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「ミーティングを通じて大きな変化はありましたか?」

その年に、私たちのビジョンを「人生に変化が起こる宿」に決めました。

そう決めたらみんなが自分の人生に変化を起そうって、 自分の人生の変化を共有するようになりました。

受験生の子を応援したり、 自分が大変だったことを経験として伝えたり、お料理出しながら人生相談をしていたりとか、

逆に お客様に人生相談をしているスタッフもいました。私はそれもいいと思っていて、 お客さんだから、何もかも一方的にもてなさなくてはいけないわけではなく、人との交流ができれば私は素晴らしいと思いました。


当時「おもてなしの定義」を決めました。「おもてなし・・・つまり表がない」表も裏もないくらいに自然体で人と感じ合うことと定義付けしました。

だから、私たちの「おもてなし」というのは 形があって、それに従ってマニュアルがあるわけではなく 一番大事なことは、自分がいかに自然体になれるかっていうことだと考えています。

つっかかるものがなく、 自分の中のエゴやしこりやトラウマを、できるだけ完了していく方向に進むことが 私たちの「おもてなし」です。その状態で人と出会うと、自分がゼロなので、相手のことが自然とわかっちゃうのです。

「具体的なおもてなしの出来事を教えていただけますか?」

女性一人で何十回も来ているリピーターのお客様がいます。

4月入社の子が接客をしたときに「あなた湯河原は初めてなんでしょ?」といわれたことがありました。

「じゃあさ、私2泊だから明日観光に行こうよ、色々と案内あげるよ」と言われて、 その子も「よろしくお願いします」と答えて、一緒に出かけて観光案内をしてもらうことがありました。

一般的にお客様に観光案内してもらったら 接客業としてまずいじゃないですか。

でも、それくらいお客様と自然体で接すると、接客というエリアを超えて、人と人として相手の本質的な想いに共鳴して、接していくことができるのです。

自然体でいるっていうのは、「ふー」っとくつろいでいるっていうよりも、本当に自分の中のものを完了して、少しずつ心を軽くしていくことをやり続けるのです。

完了したと思っても、またいろんなことがあると、埃のように溜まってしまいます。いつも綺麗にお掃除をしていくことが大切です。

「お掃除というのは、どのようにするのですか?」

嫌なことがあったら、何が嫌だったかを話すのです。

例えば、本人の親との関係性が悪いと、親子で仲良いお客さんを見ると、なんとなくイラっとしたりするわけです。でも、本当はそれを解消したいからこういう仕事を選んでいるのです。

たいていの人はそれに気付かずに「好きだから」という理由で接客業を選んでいても、実は親との関係性をより良くしたいという無意識で職業って選んでしまうわけです。

無意識だったことに気付くきっかけを作っています。

兄弟で仲が悪いと、妹みたいな性格のお客様が来ると、無意識でつっかかってしまうこともあるのです。

知らず知らずのうちに、そのお客様が怒るようなことが起きるんですよね。そこから学ぶことが「お掃除」です。

普通の旅館業でしたら、 こちらが何か不具合をしてしまった、お客様が怒ってクレームになった、それに対処するためにどうしたらいいか、何かサービスをした、謝った、完了した、ぐらいじゃないですか。

そういう過程をすべて逃さずに、 なんでそんな想いになったのか、うちのスタッフにはもちろんのこと、お客様にも原因があったりするから、その現象から何に気づいたのかを探るのです。

それに気付くと、お互いが抱えていた問題解消のために出会ったんだねっていうのがわかるのです。スタッフも「学ばせてもらってありがたい」と思うから、出会った人に感謝するのです。

「どんなタイミングで、引っかかりの気付きを促すのですか?」

一番は、事が起こったときです。その時は、必死なので。

当時は大きな声では言えなかったですし、今は言っているのですが「トラブルはあっていい」と思っています。

トラブルがあったときは、まず自分の誠実さに戻れるチャンスです。しかも自分が引っ掛かりを解消できるチャンスでもあります。

お客様もなんでそんなに怒ったのかな?とか、なんでそんなことに不具合を思ったのかなとか それを誠実さで対応したときに、許せるとか許せないっていう現象があって、それも含めてその人の学びにもなるから、 全体的にあっていいと思っているんですよ。

そうやって学びが増えたり、スタッフもお客様も心が楽になる現象が一個一個、解消していって、いつの間にか「場がいい」と言われるようになって、よく寝られるとか、よく食べられたとか 場のエネルギーになるのでしょうね。

「人生に変化が起こる宿について詳しく教えてください」

人の人生を変えようとかではなくて、 スタッフやこの場にいる人そのものが、自分の人生を変えていくのだと決めると、その思いが伝わって、お客様も自分を変えていけるのではないかと考えています。

結果として、自分の人生で何かが決められたとか、気付きのきっかけができたという場になっていったらいいなと思って、それは震災で思ったのです。

事実を見るのは大事だけどマイナスに視点を置いていては、自分の意識で進むことができません。主体的に生きていける人を増やしていきたい。まずは私たち、そして来る人たちが変わるきっかけになったらいいなと。

「人生に変化が起こる宿」というビジョンを置いたので、 人生とは?変化とは?宿とは?といった風に言葉を掘り下げていくということをみんなでやりました。




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「みんなでやるというのは、具体的にどんな風にされたのですか?」

「自分にとって人生とは何なのか?」「宿ってどういう意味なんだろうね?」という風に日常で話をしていました。業務中の日常会話としてもそうですし、全体のミーティングの中でも、いつもそういう話をしていました。

全体ミーティングでは、会社の売上利益などの数字の話よりも、意識の統一に重点を置きました。

まず自分を振り返り気づくミーティング、仲間とつながっていくミーティング、お客様の感動や物語をシェアしていくミーティング・・・そういう内容でした。ほとんどが自分掘り下げのミーティングでした。ほとんどミーティングじゃなくてワークショップでしたね。

せっかく全体で集まっているのだから、お互いがお互いを知っていくことに時間を使っていました。

そのようなミーティングをすることで「こういうことは難しいです」っていう人は辞めましたし「こういうことには興味があります」という人は残り、そして新しく入ってきました。

そういう風に、言葉を掘り下げていきながら意味を明確にしていくということが好きなのです。

私たちとの対話を通じて、自分の中にあるものに気づき、 出会いや会話の中から、自分が向かいたいと思うものを見つけてもらえたら最高ですし、そのヒントが出たら、その人にとって素晴らしいことです。そのような場を作ることが私たちの喜びでした。

「教育業を続けてきて、変わっていったことはありますか?」

だんだんと教育業に共感してくれる人が集まってきまして、2013年からセミナーやワークショップを館内で開催するようになりました。

でも今までの一般的な旅館の枠組みのままだと「おきゃくさまー」としなければいけないので、だんだんと苦しくなってきたのです。

来られる方と対等に話したい、対等に伝え合いたいと思うようになりまして「旅館というカテゴリーを早く辞めないと」と思うようになりました。


そこで2014年1月に「今年は旅館をやめて神社になります」という宣言をしました。

スタッフから「鳥居を建てるのですか?」と聞かれたこともありましたが、そういうことではなくて、一般的な旅館に来る人は「日常が大変、仕事が大変、疲れた、もう憂さ晴らしをしたい、気持ちを切り替えたい・・・」という目的で来られて「あーまた月曜日か・・・」と帰られますが、そういう旅行を提供するのはもうやめようということです。

私たちが提供したい旅行とは、意識を持って旅をして、見るものの中から自分が学び、そこで気付き体験したことを、次に生かしていく、そして自分の人生を作り上げていくことです。

今まで苦しかったことが楽になったり、新しい考え方を知ったり、出会いがあったり、両親への感謝に想いを馳せたり、そういったきっかけ作りの象徴が「神社になる」ということなのです。

どれだけバカバカしいことに本気でチャレンジできるか、ということも大切にしています(笑)。

「他に変化したことはありましたか?」

人間教育を続けてきて気付いたのが、「心を変える」とうまく行くけれど「揺り戻し」が大きいこともあるのです。

心だけでなく、体の中から変えていくことが大切なんじゃないかな・・・ということで2014年ぐらいから「食」について考えるようになりました。人間は食べるもので出来ていますし、食べるものを変えると、どういう風になるのだろう?と。

まずは玄米を食べてみるところからスタートして、野菜や雑穀、発酵食などいろいろと試してみました。体を整えるとどうなるのだろうという経過を見ている中で「食べるものも大切だけど、食べ方も大事なのでは」ということに気付いたのです。

お客様にも食べ方を変えて欲しいと思ったのです。

その時はまだ「旅館業」を手放しきれていなかったので、お客様に直接「ちゃんと味わって食べてください」という風に教育指導をするわけにはいきませんでした。

そこで前菜に雑穀を一口お出しすることを始めました。

「最初にこの雑穀をゆっくり味わいながら食べていただくと、体が栄養をゆっくり吸収できるようになって、味わいやすくなりますので、ぜひゆっくり召し上がってください」と言えるようになりました。

「お客様の反応はいかがでしたか?」

それまではこちらから「おいしかったですか?」とお聞きすると「おいしかったよ」と私たちに対して答えていただいていたのですが、それを始めてから、こちらから聞かなくても感情を込めて「おいしかった」と自分自身に対して納得している感じで言っている方が増えたように感じます。

「こんな風にゆっくり食べたのは初めてだ」とか、ゆっくり食べていくと ゆっくり感じることができるので、温泉にもゆっくり入るし、寝るのもゆっくり寝れるという睡眠も高まっていく感じがあって、こんなにも人って「食べ方」で変わるのだと気付きました。

そんな実験をしながら 少しずつ、体の中がどう変化していくのだろうということに興味を持ち始めたのです。

肉や魚がダメというわけではないのですが、ゴールを考えると「大地に近いもの」を食べた方が心身共にクリアになる感覚がありました。

肉魚を食べないということではなく、肉魚を一回抜いてみて、お野菜だけの日を過ごしたりすると、すごく体が楽になるということを、皆さんおっしゃるのです。


そして、料理は「何を食べるか」「どうやって食べるか」も大事だけれど「どうやって作るのか」という作り手のエネルギーも大事だということに気付きました。

同じ料理でも、幸せに作る料理と、そうでない料理では、エネルギーが変わるのではないかなと思いました。

料理人はもちろんですが、料理を運ぶ人や、食材を作ってくださる人が、もっと温かい価値観で作ってくれたら、これはすごい連鎖になるなと感じました。




(次回につづく・・)

深澤 里奈子(ふかざわ りなこ)   「ご縁の杜 株式会社」代表取締役/女将

2000年に26才で旅館の女将を引き継ぎ、3代目として事業継承。
2008年より理念経営を中心軸としたスタッフ教育を行い、部屋稼働90%の繁盛旅館となる。
教育事業も同時に行い大学講師を務める。
2016年 新たな試みとして、潜在的医療を目指し、心理学 脳科学の教育事業に加え 「食養生」としての宿に転換。
「湯河原リトリート ご縁の杜」として、生き方への「気づきの場」を創り出している。

<湯河原リトリートご縁の杜のHP>
ココロとカラダが整う宿「湯河原リトリートご縁の杜」

<スタッフブログ>
読むと奇跡が起こる!

<フェイスブック>
ご縁の杜 Goen no Mori 〜人生に変化が起る宿〜


インタビュアー:荒川仁美(あらかわひとみ)

荒川仁美

株式会社サイドウェイズ顧問、コミュニケーションコンサルタント

ブレスプレゼンターとして、呼吸法を通じて「愛される豊かな人生」を
歩む人を育むことを使命とし、「人生を楽しむ自分になる」
「人と自分を比べない」「自分の成長を信じる」
この3点をモットーに、ココロとカラダが穏やかに健やかになる
「笑顔満杯の120分」のブレスプレゼント講座を開催している。
モットーは、人と人を笑顔でつなぐ架け橋になること!

HP:株式会社サイドウェイズ
ブログ:人生はいつだってハッピー


インタビュアー:古川直子(ふるかわなおこ)

古川直子

野菜料理研究家 製菓衛生師

古来、日本人が行っていたそのバランス調整の仕方を、
現代の私たちが、次世代に伝えていく必要性を感じる。
人の幸せの源泉は家庭料理にあると考え、家庭料理としての
お惣菜を提供する場を作ろうと決意し、準備を始める。

ブログ:お野菜ともっと仲良くなりませんか


インタビュアー:倉橋竜哉(くらはしたつや 日本メンタルサービス研究所 代表理事)

倉橋竜哉

アイネスト株式会社、日本マイブレス協会の代表を務める。
日本マイブレス協会では、ブレスつまり息をコントロールする
「呼吸法」を通じてココロの穏やかさとカラダの健やかさを
お伝えする講師の養成を行っています。

HP:日本マイブレス協会
著書:「呼吸で心を整える」
発行メルマガ:毎朝1分☆天才のヒント


インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:八木橋寿美子(やぎはしすみこ)

八木橋寿美子

あなたのいる空間は、あなたにとって心地よい空間ですか?
ピカピカに片付いた部屋が心地よいと感じる人もいれば、
おもちゃ箱のようにモノがあふれた空間を心地よいと感じる人もいます。
「部屋は心の鏡」と言います。
呼吸法で心を整え、思考の癖を知ることから、
あなたにとって心地よい空間を手に入れてみませんか。

ライフオーガナイザー(思考と空間の整理)、ブレスプレゼンター(呼吸法)
HP:つながるいえ

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