第107回目(2/4) 深澤 里奈子 先生 湯河原リトリートご縁の杜

面接では8割の人が泣いていました。

インタビュー写真

「どのように教育業を始めたのですか?」

心と体はどう変わっていくのだろうかとか、どういう風にしたら人間は成長するのだろうと考えていくうちに、「引き算の教育」にたどり着きました。

人に変化や付け足す教育ではなくて、その人が成長していく過程で、身につけてしまったトラウマや自分の中のエゴや見栄とかを取っていく教育です。

引き算しながら 原点である親や先祖への感謝みたいなところへ還っていくと、考え方がフラットになっていくのです。

引き算の教育をしていくと、私が現場で細かい指導をしなくても、あるいはマニュアル的な「おもてなしはこういうものです」というのを決めなくても、お客様とスッと繋がって、お客様の心にスッと入って、人とのつながり感のあるおもてなしが出来ることに気が付いたのです。

お客様とうちのスタッフがいつのまにか親子のような関係になっていたり・・・マニュアルをつくらなくても、その子がその子らしくなるだけで私の概念では測れないような感動的な出来事が何度もありました。

「具体的にどんな取り組みをされましたか?」

スタッフ採用の面接が変わりました。面接では8割の人が泣いていました。

面接なので初対面です。私がスパルタで泣かしている訳ではありません。自分のことに気付いて泣いていくのです。

泣くっていうのは、素晴らしいことで「自分のことがわかる」ということなのです。自分が大切にしているものが何かわかったという感動ですね。「それは面接じゃないですよね。カウンセリングとコーチングですよね」って言われます。

「なぜそのような面接スタイルになったのですか?」

26歳から「理念経営」を勉強していて、理念があり、そこに向かって進んできました。

その理念に共感できる人を集めていきたいので、面接のときに説明をします。うちの理念は、会社のことというよりも、人間形成の理念です。

それは、達成出来るとか出来ないとかじゃなくて、いつも此処に立ち戻ったらいいのです。

根っこの理念は「傍楽(はたらく)」です。労働っていう意味じゃなくて「傍の人を楽にする」という意味です。私は、「傍の人と楽しむ。」と思っていますけど、うちの働くというのは「自分と人の能力を最大限に生かして感動を生み出すこと」これが働くということです。

幹の部分が、行動論です。うちで何をしていくかということです。花の部分は、ビジョンで、「人生に変化が起こる宿。」です。変化に向かっていくのだということを面接で説明します。

面接では、「その中で、どれが一番気になる?」と聞きます。

「人とつながるが気になる」と言えば、「なんで?」って聞くと「なかなか人とつながれないんです」と言います。「人とつながれないって思うと、誰の顔が浮かぶの?」って聞くと。「お母さん」と言います。「お母さんと何があったの?」とか、「お母さんのことどういう風に思うの?」って言っていると、ポツポツとお母さんとのことを話し出すのです。

その中で今まで許せていなかったお母さんとのことが、感覚的に許可されていくのを感じるわけです。

あるいは、履歴書を見て「この間は何やってたの?」って聞いたら、「その間は・・・」、「えっ、何なに?」って聞くと、「自然食品のお店に半年くらいだけいて、これがすごく楽しくて、でもハローワークの履歴書の書き方講座に行ったら、期間が一年以内のものは書くなって言われたんです」と言われたことがあります。

でも、この間がすごく大事な気がしたので聞いてみたところ、自分にとって素晴らしい時間だったみたいで、そのことを話しているだけで、自分で泣いちゃって、それが人にも認められ、大事なことを学んだっていうことを話しているだけで、自覚していくのです。

そんなことを「面接」といいながら4時間くらいやっています。この子はうちに来ると思ったら4時間くらい経っているのです。

うちのスタッフも慣れてくると4時間くらいやった子は、この子はうちに来るなってわかります。面接が終わると「どうもありがとうございます。入社ですよね」となるわけです。

2時間くらいだと、様子見じゃないですけど「自分の殻がちゃんと取れたらもう一回おいで」という感じです。15分くらいで終わる子は、殻取りの前の段階ですね。

「殻取りについて詳しく教えてください」

殻が取れるとは「自分に正直に生きていきたい」と思うことです。

2時間で終わる人と4時間かける人は何が違うのかというと、自分に正直に生きることに「まだ準備ができていません、触らないでください」という反応を感じる人は2時間で終わるのです。そう感じる時はうちに来たら逆にかわいそうなのです。ずっと殻取りをしなきゃいけなくなるから。

「自分が正直になることによって、人の役に立つ」というミッションの方向性まで意識できる人だったら完全に採用します。

「それは、言葉が上手いとか下手という問題ではないですよね。」

むしろ、みんな言葉が下手ですね。技術では採っていないので、接客業に面接に来ているくせに「人が苦手なんです」とか言うのです。面白いじゃないですか、普通は旅館の面接でそんなこと言わないでしょう。人が苦手だって言ったら採ってもらえないじゃないですか。

もしかしたら、私が言っちゃう空気感を作っているのかもしれません。そういう意味では、ぱっと会った瞬間に、初めて会った人じゃないみたいな感じがするらしいですね。

理論的にそれを解釈するとしたら、私自身も目の前に現れる人は、私の学びの人だって思っているから、ありがたいって感じるのです。そうすると、相手にとって敵ではないというか、自分のことを受け入れてくれていると感じるのでしょうね。

肉体はそれぞれ別の人間でも、意識の部分ではつながっているのを感じるのです。その人が私の目の前に現れて、私の変わりに良いことも悪いことも言ってくれたり、態度にしてくれたりするのです。

相手から見たら、知り合いのような、前に会ったことあるとか、あるのかないのかは分からないですけど、私は、目の前にいる人が私だと思っています。




インタビュー写真


「2007年までは、そのような面接ではなかったのですか?」

はい、普通に「あなたはうちで何ができますか?」という面接です。

私は人が怖かったので、包み込むように見られなかったのです。その人のエネルギーが怖いと思って見ているから「この人が入ってきたらうちを、ぐちゃぐちゃするかな?しないかな?」って、そういう視点でしか見られませんでした。

だから、仕事出来なくても、人柄が柔らかければいいかということで採用してしまうわけです。そういう風に採用すると仕事が出来ない訳ですよ。だからミスが多かったりして私も経営をするのが大変でした。

2008年の頭くらいに、コーチングを学びだして、人の話を聴くのは楽しくて、話すのは苦手だったので「聴くならできる」と思ったのです。

聴くならできるから、コーチングの仕事がいいなって思って、聴いていくと、人が開いていくのを感じて、これはすごいって思って、面接でも自分の勉強になりました。

「その後「教育業」はどのようになったのですか?」

2011年の東北大震災の時、うちは物質的な被害はありませんでしたが、キャンセルが相次いだり、スタッフの陸前高田の子のご両親がみつからなかったりということがありました。

キャンセルが相次いで、1日お客様がない日があるのは、普通の旅館にとっては苦しいですし、売上が半分以下になれば「どうしたらいいの・・・」という状態なのです 。

しかし重く苦しい時期でしたが、それで終わるのは違うと思いまして、自分にとって辛いなと思うことがあるときほど大きくなれると考えていたので、震災は辛い出来事でしたが、変化が起きたこと自体はチャンスだと思いました。

「売上が半分になっていくから 施設も含めて営業が難しくなっていくかもしれない。だけど、旅館だからこれができるとかできないじゃなくて、旅館であろうとなかろうと、ここに残りたいって思うメンバーでやれることはなんだろうか?」と

私にとっては、1日お客様を気にせずミーティングができるから、これからのことについて話すことにしました。

「どんな話をしたのですか?」

テーマを三つ決めて、

一つ目は私たちの強みはなんだろうか、ということ。

二つ目はどんな感動をどんなお客様と共感していきたいかをありありとイメージする、ということ。

三つ目はそのために「今」私たちが出来ることはなんだろうか、ということ。

お客様が1日ない日はいつも今の自己革新と、未来のイメージと、そして進むために何ができたらいいかを話し合っていました。

みんなから出る意見って、 本当に小さな一歩なのですが、その小さな一歩を大切にしていきました。

たとえばお部屋にお風呂バッグがあるのですが、あれはその時作ったものなんですよ。「じゃあできることは?」って言った時に、みんな20代の女の子ですからね「お風呂バッグがあるとお客様がお風呂に行きやすい、これを作ろう!」と言ったのです。

ダンボールを巻くPPバンドで作ったのですが、 私はすぐ作れるのかと思って「いいねー!」と言ったら、 1個作るのに、1人3時間くらいかかるのです。

原価は五百円くらいなのです。それを1個に3時間かけて何十個も作るのです。買ったほうが早いし安いのに。

経営的には、お風呂バッグという要素だけだったら、買った方が良いのですが、 みんなのエネルギーが「お客様のために!」という方向に強く向いているのを感じたのです。

それで作ってもらったら、すごいエネルギーが高くなって エネルギーが高くなるって、温度が高いというか、ここの場の温度がいつも高いのです。

そうすると、不思議とお客様が戻ってきました。

「この間はキャンセルしちゃったけど、やっぱり落ち着いたから泊まりに行くよ」とかそういう感じで、5月くらいから少しずつ戻ってきて、その8月は部屋稼働100%でした。

それから、95%以上が続いて、半年はお客様が半分だったのに、 後の半年で回復して、今までの年度よりも売上と利益が良くなりました。 結果論ですけどね、数字は全然見ていません。私は数字に弱いですから。なんですけど、結果そうなりました。

数字は大事ですけれど、エネルギーありきの数字だと考えています。エネルギーが高いと、どんなことでも望みの方向に向かっていけるということがわかったのです。




(次回につづく・・)

深澤 里奈子(ふかざわ りなこ)   「ご縁の杜 株式会社」代表取締役/女将

2000年に26才で旅館の女将を引き継ぎ、3代目として事業継承。
2008年より理念経営を中心軸としたスタッフ教育を行い、部屋稼働90%の繁盛旅館となる。
教育事業も同時に行い大学講師を務める。
2016年 新たな試みとして、潜在的医療を目指し、心理学 脳科学の教育事業に加え 「食養生」としての宿に転換。
「湯河原リトリート ご縁の杜」として、生き方への「気づきの場」を創り出している。

<湯河原リトリートご縁の杜のHP>
ココロとカラダが整う宿「湯河原リトリートご縁の杜」

<スタッフブログ>
読むと奇跡が起こる!

<フェイスブック>
ご縁の杜 Goen no Mori 〜人生に変化が起る宿〜


インタビュアー:荒川仁美(あらかわひとみ)

荒川仁美

株式会社サイドウェイズ顧問、コミュニケーションコンサルタント

ブレスプレゼンターとして、呼吸法を通じて「愛される豊かな人生」を
歩む人を育むことを使命とし、「人生を楽しむ自分になる」
「人と自分を比べない」「自分の成長を信じる」
この3点をモットーに、ココロとカラダが穏やかに健やかになる
「笑顔満杯の120分」のブレスプレゼント講座を開催している。
モットーは、人と人を笑顔でつなぐ架け橋になること!

HP:株式会社サイドウェイズ
ブログ:人生はいつだってハッピー


インタビュアー:古川直子(ふるかわなおこ)

古川直子

野菜料理研究家 製菓衛生師

古来、日本人が行っていたそのバランス調整の仕方を、
現代の私たちが、次世代に伝えていく必要性を感じる。
人の幸せの源泉は家庭料理にあると考え、家庭料理としての
お惣菜を提供する場を作ろうと決意し、準備を始める。

ブログ:お野菜ともっと仲良くなりませんか


インタビュアー:倉橋竜哉(くらはしたつや 日本メンタルサービス研究所 代表理事)

倉橋竜哉

アイネスト株式会社、日本マイブレス協会の代表を務める。
日本マイブレス協会では、ブレスつまり息をコントロールする
「呼吸法」を通じてココロの穏やかさとカラダの健やかさを
お伝えする講師の養成を行っています。

HP:日本マイブレス協会
著書:「呼吸で心を整える」
発行メルマガ:毎朝1分☆天才のヒント


インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:八木橋寿美子(やぎはしすみこ)

八木橋寿美子

あなたのいる空間は、あなたにとって心地よい空間ですか?
ピカピカに片付いた部屋が心地よいと感じる人もいれば、
おもちゃ箱のようにモノがあふれた空間を心地よいと感じる人もいます。
「部屋は心の鏡」と言います。
呼吸法で心を整え、思考の癖を知ることから、
あなたにとって心地よい空間を手に入れてみませんか。

ライフオーガナイザー(思考と空間の整理)、ブレスプレゼンター(呼吸法)
HP:つながるいえ

  • 呼吸法の日本マイブレス協会
  • 毎朝1分 天才のヒント

インタビュー集

  • 毎朝1分天才のヒント メールマガジンで30日間の無料レッスン
  • さぱりメント あなたのお悩みをさっぱり解決