第105回目(4/4) 笹氣 健治 先生 心理カウンセラー 一歩ナビ

メールカウンセリングは、対面カウンセリングのトレーニングに最適!

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「先生はメールでのカウンセリングもやっていらっしゃいますよね? 難しくはないですか?」

もちろん、メールカウンセリングには、対面カウンセリングとは違った難しさがあります。対面の場合、話の内容以外にも、相手の表情やしぐさ、声の強弱など、視覚や聴覚からたくさんの情報が入ってきますからね。メールの場合は、それがない。クライアントのことを文章だけを頼りに、すべて読み解かなければなりません。そういう意味では、あまり深いレベルまでサポートはできません。そこは割り切る必要があります。

でも、メールならではの、対面にはないメリットがあるんです。一番大きなメリットは物理的なメリットで、遠方の人にもカウンセリングができます。また、返事は3日以内とか、最初から設定しておけば、すぐに返さなくても良いですから、自分の時間をうまく使って、いつでもカウンセリングができます。クライアントも、深夜でもどこでもいつでも相談できるというメリットがあります。

もちろんデメリットもありますけどね。クライアントが文字を読み書きするのに慣れている人ならいいんですけど、そういうのが苦手な人にとっては、難しいところがあります。まあ、そもそもそういう人がメールでカウンセリング受けようとは思わないかもしれないんですけれど。多少、文章に慣れている人でも、どう書けばいいかで悩んで、なかなか相談するメールを書いて送信するまでたどり着かないということもありますからね。

そういうデメリットはありますけど、書くことで整理できるというメリットがあるので、そういう意味では、対面だとどうしても相手がしゃべることを傾聴し過ぎると、それだけで時間が取られたりしますけど、仮に延々と書かれていても流し読みができるじゃないですか。そうすると、時間が効率化できるってこともありますね。

「意図が伝わりにくいということはないですか?」

そこは、ある程度は仕方がないですね。それを前提に行うのがメールカウンセリングです。だからこそ、クライアントの文章を丹念に読み込みますし、自分が書いた文章を何度も精査します。書いた後で、一晩寝かせて、翌日もう一度見直してから送信する、ということもよくやります。

でも、これは、カウンセラーのトレーニングになるんですよ。クライアントのメリットではないので、あまり大きな声では言えないのですが。

メールでゆっくり考えても書けないことは、即興でも言えないわけですよ。だから、どう応答するかをじっくり吟味するトレーニングに最適なんです。それに、どうしても初心者のうちは、クライアントの話の中身を理解しようとしてしまって、その人そのものを理解しようという意識をなかなか持ちづらいんですよね。

初心者は、つい話の内容を追いかけてしまって、「それはどういうことですか?」とか、詳しく知ろうと質問してしまいがちなんですが、それはクライアントにとっては当然知っていることであって、その質問は、カウンセラーが自分のためにしている質問ですよね。

本来聞くべきは、クライアントが何をわかってほしいか、という心のメッセージです。話を聞きながら、話の根底にある、クライアントの人生や生き様を感じる。そういったものが、悩みの根源に絶対あるわけで、そこをしっかり理解することが、本当にその人の役に立つカウンセリングになると思うんです。それが、文章で書かれたものであれば、じっくり探ることができる。

「そこを読み解いていく訳ですね?」

そうですね。あとは、自分が言いたいことを的確な短い言葉で伝えたりするっていう技術が、そこで研ぎすまされていきます。

「なるほど。今後メールでのカウンセリングというのは増えていくのでしょうか?」

LINEなどが、日常的に会って会話するのと同じかそれ以上のウエイトを占める世代にとっては、会って話すよりも楽な部分もあるでしょうから、そういう意味では、メールとかLINEなどで相談しようという人は増えるのが自然な流れだとは思うんですけどね。それがどういうスタイルのカウンセリングになるかどうかはわからないですが。

「メールでのやり取りの時に、特に気をつけなければいけない点というのはありますか?」

まず気をつけなければならないのが、情報の漏洩です。例えば、違う相手にメールを送ってしまうとか、対面だとあり得ないトラブルが起こる可能性があります。あとは、送ったのに届かないとか、届いたのに見落とした、迷惑メール扱いされてしまった、というような、メール操作やネット上の問題。そういったことにも注意を要する必要はあります。

それから、気をつけるというか、傾聴慣れしている人は、つい、クライアントの言ったことをコピペみたいな形でまとめてしまいがちなんですよね。対面で話している時はそんなに感じにならないんですけど、メールで「あなたはこういうことで悩んでいて、こうでこうでこういう状況なんですね」といったように要約すると、クライアントは逆に、わかってもらえていないと感じます。

クライアントが本当に問題としていること、クライアントが本当に訴えていること、一番何をわかってほしいのかっていうあたりを読み解いて、それを的確に、「あなたはこういったことが課題なんでしょうか?」と指摘したら、「まさにそうです」と返ってくるような、そういうことができるようになるという意味で、悩みを読み解く訓練になる要素が強いんです。

それが、メールカウンセリングのポイントとも言えるし、メールカウンセリングの効果を上げるために意識しなきゃいけないことだと思います。

興味があったらぜひやってみていただきたいのですが、知り合いに何か相談事をメールで送ってもらい、それに回答してみてください。そして、その回答に対して率直な感想をもらう。相手の心に響く文章を書くのは、かなり難しいことがわかると思います。

「言葉レベルでなく本質レベルまで読み解く、それはかなりの技術が要りますよね?」

だからこそ、一つのトレーニングとして役に立つんです。これをやっておくと、対面カウンセリングでも役に立ちます。

心の専門家として、クライアントの本当の問題の解消のお手伝いをするというのであれば、相手のことを読み解くスキルは必要だと思うんですよ。良いトレーニングになりますよ。


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「心の仕事をやりたい方へのメッセージをお願いします」

とにかく自分を理解することです。人は、自分を理解できる以上に、他人を理解することはできないんです。

自分の心の動き、精神分析でいうところの、どんな防衛メカニズムが働いているのか、どんな投影をしているのか、どんな合理化をしているか、あるいは、自分にどんなビリーフがあるかとか、それによって自分はどんな行動をしたとか、どんな感情があるかとか、自分の感情の根っこにあるトラウマは何かとか、そういった自分自身を知っておく。

別の言い方をすると、自分の内的問題は、1年2年、ちょっと深掘りしたくらいではたどり着けない奥深いところがあるので、年々自分を深堀りしていくことが、より良いサポートにつながります。そのためにも、スキルの高いカウンセラーのカウンセリングを最低でも年2〜3回は受けた方がいいでしょうね。

スーパービジョンを受けるというのも大事ですけれど、それより前にすべきことが、徹底的に自分自身がカウンセリングを受けることです。

私は、今も、堀之内先生のワークショップに毎年1回、必ず行ってます。それはグループカウンセリングなんですが、2泊3日とか3泊4日で、その時に抱えている悩みに取り組むんです。それによって自分自身の新たな発見が毎年あって、その経験がカウンセリングにも使えるんですよ。使えるというか、人を理解するときに役立つんです。

「今、悩みを抱えている方へのメッセージをお願いできますか?」

メッセージというよりは、具体的な解消法の方が良いと思うので、それを。

悩みを抱えている時は、自分自身を客観的に見る取り組みが役に立ちます。こういうことがあった、そのとき私はこう感じた、そのとき自分はこんな考え方をしていた、というようなことを、紙にひたすら書き出していくと、冷静さを取り戻して、適切な対策を考えられるようになります。

あるいは、「誰々にこんなこと言われた。ひどい、そんな言い方しなくてもいいのに」といったことを書きなぐることも有効で、それでストレス発散ができます。

書き出してみると、いろいろ感じるところがあると思います。悩みを抱えていなくても、週に1回くらい振り返って、こういうことがあった、こういうのは嫌だったとか、こういうのが良かったとか書いていくと、思考の整理ができます。

私はそれを10年以上ノートに書いてやっています。特に、イヤなことがあった時などは、それについて書くことがセルフカウンセリングになります。そうやって、日々自分の心の動きを観察するという習慣を持つと、心が安定しやすくなると思います。

これをやることで、いろんな気づきや役に立つことがあります。まずは3ヶ月続けてみてください。毎日が無理でも、3日に1回、それを3ヶ月続けてみたら、多分私に感謝することになると思います(笑)。

「先生の今後の夢や展望は?」

今は小説を書きたいと思っています。とはいえ、書こうとしていて、まだぜんぜん書けてはいないんですけれど。小説の書き方の本を買ったり、小説講座に通って勉強中です。いつかそれで文芸の賞を取るような小説を書きたい、というのが、今後の夢ですね。

「それは心の問題と絡めたものではなく?」

心の問題に限らず、えぐいものとか、ぐさっと食い込んでいくような、リアルな人間のいろいろな面を浮き彫りにしたような小説を書いてみたいです。

「昔から書くことがお好きだったのですか?」

そうでもないですね。ここ最近でいろいろな小説を読み出して、何か、スイッチが入ったんですね。

「最後に、これだけは伝えたいといったものがおありでしたら・・・」

世の中、自分一人だけで生きているわけではないので、他人に対する思いやりをみんなが持てれば、それを全員がやれば、良い世の中になるだろうなと思っています。

自分さえ良ければいいと考えるのではなくて、他人と一緒に良い人生を送ろう、と考える。お金がたくさんあって楽園で過ごしていても、自分一人だけしかいなかったら面白くないわけで、一緒に楽しみを共有できる仲間が必要です。それは友達かもしれないし、地域全体かもしれませんけれど。

言い換えれば、他人の痛みをわかりましょう、ということでもありますね。私も、他人の痛みに気づかず傷つけてしまうことを、知らず知らずやってしまってますけど、そうしないようにちょっとでも意識して、そこは自分の欲求をコントロールしようよ、ということなんですよね。

他人を自分の欲求不満の犠牲にしてしまっていいの? それはだめだよね。そこは自分で乗り越えようよ。他人を巻き添えにしなくてもいいんじゃない?

そのためにも、自分を見つめて、自分をコントロールできるようになることが大切です。他人の痛みを自分のことのように思える人が増えるといいなって思いますね。


<編集後記>

笹氣健治先生には、東京での「合宿」解放後の、新幹線乗車前のお時間を
頂戴してお話しを伺いました。

丁寧に言葉を選びながら、穏やかに話される笹氣先生。
お話を伺いながら、こちらも癒されていく感覚を味わわせていただきました。

経営者ならではの視点からのお話も多く、発想の豊かさ・幅広さに
刺激をたくさん頂戴いたしました。

メールカウンセリングのカウンセラー側の効用も、新鮮なアドバイスとなりました。

笹氣先生ご自身も、カウンセリングが日本に安定的に根付くための方策を
経営者としてのセンスで、模索なさっているようでした。
今後の、先生のご活動がどう変化していくのか、興味津々ですね。

笹氣 健治(ささき けんじ)   心理カウンセラー
  産業カウンセラー、上級オンラインカウンセラー
  株式会社グラン・スポール代表取締役
  舞台役者(シェイクスピア・カンパニー所属)

1967年、仙台市生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。
NTTで法人営業と広告企画を経験した後、仙台に戻ってスポーツクラブ「グラン・スポール」の経営に携わる。業績アップによって黒字化に成功したが、企業経営者として人間心理を理解する必要性を痛感し、元横浜国立大学保健管理センター准教授・堀之内高久氏に師事し、心理療法・心理学の研究と実践に取り組み始める。
2010年5月、自身が経営するスポーツクラブ「グラン・スポール」にて、業界初となる心理カウンセリングを導入。
現在は、サラリーマンと企業経営を経験した数少ない心理カウンセラーとして、がんばっている人が抱える悩みの解消をテーマに、執筆、講演、セミナー、個別カウンセリングなどを行う。
2014年4月より東北学院大学非常勤講師。
頑張っている人が行き詰まる様々な心理的問題の解消をテーマに、執筆、講演、セミナーを行い、そのわかりやすさには定評がある。
仙台市在住。

<笹氣健治先生のHP>
【一歩ナビ 笹氣健治 公式サイト】

<笹氣健治先生の著書>
cover
仕事の悩みを引きずらない技術


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「やる気」のある自分に出会える本


cover
「クヨクヨしない」技術 (PHP文庫)


cover
なぜあなたはその仕事を先送りしてしまうのか? 行動のための自己変革トレーニング



インタビュアー:下平沙千代(しもひらさちよ)

下平沙千代

日本一やさしい女性ケアドライバーです。
タクシー車内がセラピールームになることも・・・、
アロマハンドマッサージや、ソース・ワークショップも開催しています。

ソース公認トレーナー、アロマハンドセラピスト、NLPセラピスト
レイキヒーラー、トラベルヘルパー、NPO法人東京シティガイドクラブ会員
ブログ:『幸せを運ぶワクワクセラピー ソース』


インタビュアー:川田史郎(かわだしろう)

川田史郎

マーケティングプロデューサー、コーチ。

現状を変えていきたい人、何かをはじめたい人の
コーチングをしながら、
解決策のプロデュースや事業化のお手伝いをしています。


インタビュアー:比屋根章仁(ひやねあきひと)

比屋根章仁

呼吸を調え、自分を調える。毎日の生活をより豊かにしてくれる呼吸法を
お伝えしています。呼吸法を生活に取り入れると
日々のイライラから解放され、心も体もスッキリとしますよ!
アタマの中を「見える化」するメソッド、マインドマップもお伝えしています。

日本マイブレス協会ブレスプレゼンター、マインドマップ講師
HP:まなびの寺子屋
発行メルマガ:毎朝の習慣!自分道〜Making The Road〜


インタビュアー:八木橋寿美子(やぎはしすみこ)

八木橋寿美子

あなたのいる空間は、あなたにとって心地よい空間ですか?
ピカピカに片付いた部屋が心地よいと感じる人もいれば、
おもちゃ箱のようにモノがあふれた空間を心地よいと感じる人もいます。
「部屋は心の鏡」と言います。
呼吸法で心を整え、思考の癖を知ることから、
あなたにとって心地よい空間を手に入れてみませんか。

ライフオーガナイザー(思考と空間の整理)、ブレスプレゼンター(呼吸法)
HP:つながるいえ


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、精神保健福祉士、認定THP心理相談員、統合心理カウンセラー、
米国NGH&ABH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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