第104回目(2/4) 渡邊 奈都子 先生 メンタルオーガナイズ

願望・感情・見方という三領域を、オーガナイズする

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「ライフオーガナイズについて教えてください」

もともとは、アメリカで誕生したプロフェッショナルオーガナイザーという職業が元になっています。アメリカって家が大きいし、24時間通販番組をやっていますよね。さらにはクレジットカード社会。となれば、どんどん家に物が入ってきて必要以上に増える。気がついたら奥のものがわからない。だからさらに買う。モノが溢れる。そんな背景から片付かなくて困る人が多くなって、今度は整理整頓ブームが起こり、「プロフェッショナル・オーガナイザー」が誕生したと聞いています。

「プロフェッショナル・オーガナイザー」は、ただ単にモノに注目して処分することや収納するテクニックを伝授するわけではなくて、その人それぞれの行動特性や価値観やライフスタイルを見据えて、心地好い暮らし方をサポートする整理のプロです。その考え方や手法を日本人向けに体系立ててまとめたものが「ライフオーガナイザー」ということになります。

「講座を受けてみられていかがでしたか?」

建築士やインテリアコーディネーターの資格を持っている人達や、昔からお片付けが大好きなんですっていう人が座っている中で、「ちょっと私、場違いかな?」って思いました。「オーガナイズ」という言葉に惹かれただけで、本当に興味本位だったから。

でも、当時講座を担当していた協会代表理事の高原さんから、ライフオーガナイズという考え方をこれから日本に広めて、日本の女性達の社会貢献度を上げることやアイデンティティを確立するために取り組もうとしている「本気度」が講座の中から伝わってきたんです。

懇親会でもいろいろ話して気も合ったし、お互いノリもよかったということもありますが、同世代でこれほど熱く何かを成そうと取り組んでいる女性は、私の周りでは珍しかったんですね。だから、そんなに本気なら手伝いたいなって思ったんです。多分、インテリアや整理収納関連の仕事をしていた人達が多い中で、心理カウンセラーというバッググラウンドを持っている私に、彼女も興味を持ってくれたんでしょうね。しばらくして、「本部スタッフになりませんか」ということになって、協会の組織の中に関わらせてもらうようになりました。

ライフオーガナイザーは、片づけをサポートするために大概はお客様のお家に行ってお話を聴くことになります。どんな空間でどんなことをしたいのか、どんなことに困っていてそれがどんな風になったらいいと思っているのか、という内容をヒアリングするのに、いわゆるカウンセリングマインドや質問する技術が必要になってきます。

高原代表に「そういうのを教えるプログラムは用意しているんですか?」と訊いたら、「それは自力で身につけてもらいたい領域として考えています」とその頃は言っておられたので、「その部分だったら私が教えられるものがありますよ」と申し出て、選択理論を土台にしたスキルアップセミナーというのを提案したんです。

「それはどんなセミナーなのですか?」

私達はどんな風に動機づけられて、どんな風に行動を選択して、その行動した結果をどんな風に認知しているのか、などといった脳の仕組みを説明しているのが選択理論です。

それを土台にして、ライフオーガナイザーになった人たちがヒアリングしやすくなるように構成しました。そうしたら、ライフオーガナイザーは思考の整理に興味がある人達ばかりなので、私が話している選択理論の内容そのものにすごく興味を持ってくれて、自分で選択理論の講座を受けに行く方もいたりして。

会員のほとんどは女性で、家族を持ち、長く主婦業をされてきた人たちが多くいらっしゃいます。だからこそ、協会は“片づける”という技術を、ライフオーガナイザーになったことで社会に還元できる人たちを育てようとしているわけです。でもやっぱり、1個人として、子どものこと、夫のこと、自分の将来のこと、そういったセルフコントロールの部分とセルフメンテナンスの部分に興味があるんですよね。

協会としてはライフオーガナイザーとして稼げる人を増やしたい訳ですが、皆さん実は学ぶことが大好きな方ばかり。だったら、心の仕組みやセルフコントロールの考え方についても、ライフオーガナイズとリンクさせながらちゃんと学べて、学んだものはしっかり社会還元できるシステムにした作った方がいいと思って、ある日「メンタルオーガナイズっていうのを作ったらどうかな」と高原代表に提案しました。そうしたら「それ、作ったらええやん!」って彼女に言われて、なんと2秒で決まったんですね。協会ができて5年目のことです。

いろんな人が増えて、団体も大きくなって、皆さんの動向もわかってきて、時期としてもよかったのだと思います。メンタルオーガナイズのコンテンツは弊社SmartBeing合同会社が開発を担当し、日本ライフオーガナイザー協会が認定システムを担当しています。協会としてもすごく応援してくれていて、今、プロのメンタルオーガナイザーは全国で33人になりました。


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「メンタルオーガナイズとは、具体的にはどのようにやるのですか?」

メンタルオーガナイズが対象にしているのは、主に「願望」と「感情」と「見方」という三領域です。例えて言うなら、それぞれの引き出しに無造作に溜め込んできたものを全部ガサッと出して、整理整頓する感じです。

心の内側を整理するためのワークシートがたくさんあるのですが、例えば、用意された質問に対して思い浮かんだものを付箋に書いていって、必要なワークシートを順番に使って、並べて、分けて、置き換えて・・・という作業をします。最終的には、自分にとって本当に必要なものを必要な場所に収めていくという具合に整理するんです。

分けてみると気付くことってあるんですよね。分けたものから選んで、また分けて、結果的に抽出されたものを自分の心のゴールデンゾーンに置くというしくみです。講座や個人セッションのときだけでなく、日常生活においても意識していただくことが大切ですから、暮らしの中に収めるためのワークシートもあります。

例えば、願望をオーガナイズするという部分では、それはしたいことなのか、やらねばならないと思っていることなのか、ごちゃごちゃになっていることを分けてみます。特に女性たちはいろいろな役割を抱えている場合が多いので、混乱しやすいのかもしれません。いい妻でありたいのか、いい妻であるべきだと思っているのかでは、モチベーションとしても全然違いますよね。

それから、目的と目標を分けることもします。両者の違いが分かりにくいという人は案外多いようですが、目標は言うなれば自分の進む道の途中に立てるフラッグのようなものです。目的は登りたい山そのものと捉えれば、同じ山に登るとしてもルートはいろいろあるし、目標となるフラッグは変更可能ということになります。

自分は今どの山に登っていて、どんなフラッグを目印に進んでいるのかということが整理できると、「今はシンドイけれど、ここは絶対に通らなくちゃならないポイントなんだな」とか「何にもできてないって感じていたけれど、ちょっとずつ進んできてるんだ」ということが分かるようになって、自己統制感や自己効力感が高まるように思います。

感情をオーガナイズすることについては、皆さん特に興味のあるところのようです。私達は、イラっとしたり、凹んだりすることがありますが、それ以外にも知っている感情をいろいろ書き出してもらいます。感情にはどんな種類のものがあるのか、それをまたワークシートによって分けていくんです。そうすると、自分の持ちやすい感情やその感情に圧倒された時の行動や思考の癖がわかります。

アメリカの心理学者であるウイリアム・ジェームスという人が、行動を制御することによって、感情も間接的に制御することができるということを言っています。つまり、感情を変えたいんだったら、行動を見直す必要があるということなんです。

例えば、変な質問ですけれど、“憂鬱な気分になった時に、もっと憂鬱になるにはどうしたらいいですか?”と訊きます。もっと憂鬱でいるためには、家の中と外ではどちらがいいですか?

「家の中です」

では、“みんなが集まる部屋と、一人ぼっちではどちらがいいですか?”

「一人です」

“一人ぼっちの部屋の真ん中と隅っこでは、どちらがいいですか?”

「隅っこです」

“カーテンは?”

「閉めます」

“電気は?”

「消します」

ですよね(笑)。という感じで、憂鬱でいることに役立ちそうな行動を選んでいくともっと憂鬱になれるんですよ(笑)。嫌な感情でも増幅できるんです。落ち込んでいるという人は、無意識にそういうことを選んでいると言えるかもしれません。落ち込みから回復したいなら、その逆をしていけばいい訳です。

家の中じゃなくて、外に出る、一人じゃなくて誰かに会う、嫌なことばかり話すんじゃなくて、関係のないことも話す。時間が解決してくれるっていう人は、そういうことをやり続けた結果を手に入れた人です。やりながら、気がついたら「あの時はしんどかったけど、ちょっと持ち直した」っていう感じになるのでしょう。

それをもっとシステマティックに、自分の持て余している感情を変えるために何をするか、具体的な行動を準備していくんです。そうすると整理がつきますね。イラつきやすい人、落ち込みやすい人、その時に自分はどういう行動アイテムを持っているかを知ることで、そこの感情から離れやすくなる。そうやって感情のオーガナイズをしてきます。

最後に、見方のオーガナイズをします。認知のことですね。私達って、人生の中でいろんなアクシデントに出会っていきます。そうなった時に、一番お金をかけず、人に頼らず、どこでもできる事って、見方を変えていくことなんです。

「どのように、見方を変えていくのですか?」

見方の変え方って、実はいろいろあります。視点を移すこととか、視座を変えることとか、視野を広げることとか、それを整理していきます。例えば、わがままな人っていうのも、見方を変えれば自己主張のできる人になるのと同じように、一つのものの見方を裏表で考えたり、自分は目の前の現実をどんな立場から見ているのかを検証したり、自分の人生で起きたことに新たな意味を見つけるというようなこともします。

嫌なことばっかりだったと感じる出来事でも、“あのことがあって、私が得たことはなんだろう。それがあるから今の人生、私はこうなっている。あれにも意味があった”って思えることが少しでも見つかったら、ちょっと変わりますよね。

ポジティブ心理学の要素も含まれているのですが、人はものごとの見方から自分の説明スタイルを作っています。自分が生きやすくなるような見方を作るワークシートもやっていただき、自分の人生の振り返りもしてみます。その人自身が「そうか!」ってなることが見つけられるように、メンタルオーガナイザーはナビゲーションをしていくんです。アドバイスをする訳ではありません。

「ご本人が自分と向き合っていくのですね?」

向きあっていただきやすいようにガイドしていくっていう感じです。

心の中を整理するっていうと漠然としていますが、願望と感情と見方の引き出しがあるとして、その中がぐちゃぐちゃだと、開けた時に「どれ?」ってなるから、まずはそれぞれ出して、分けて、よく使うものは取り出しやすいところに、今の人生に役に立たないものは奥の方に、っていうイメージで整理しましょう、と、私はよく言っています。これが、メンタルオーガナイズです。学んでいただければ多くの人に活用していただけるかなと思っています。

「イメージ的にピンときますね」

だから、何でも捨てればいいってものでもなくて、辛いこと、悲しいこと、しんどかったことも、自分の人生を俯瞰して考えたら、自分に何かを教えてくれたことだったりで、要らないことではないものっていっぱいありますよね。でもそれを、ただの嫌だったことにしちゃうと魔窟化して、あれも嫌、あれに関わったこれも嫌、そこの場所に行くのも嫌、となっていく。

分けると、これは取って置いた方がいい、でもこれはもう捨ててもいいって場合もあるし、普段はあまり使わないけど奥の方に取って置こうってものもある。心の中のものをそうやって整えられたらいいですよね。心の中は見えないけれど、心の中も片づけられたらすっきりするんじゃないかな?と感じたことが、メンタルオーガナイズを生んだきっかけです。


(次回につづく・・)

渡邊 奈都子(わたなべ なつこ)   心理カウンセラー メンタルオーガナイザー(R)
  SmartBeing合同会社COO
  一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会認定本部講師

1968年、東京都生まれ。日本女子大学文学部教育学科卒業。
1993年よりリアリティセラピーを学び、複数の専門学校で心理学講師およびスクールカウンセラーを担当。
女性のクライアントを中心に、恋愛、結婚、子育て、家庭と仕事の両立などの悩みに向き合うと共に、メンタルヘルスやストレスマネジメントなどのセミナーを展開。 2010年より、一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会の認定本部講師として、講師育成やスキルアップのための研修に携わり、2014年には空間の片づけを心の片づけに応用した「メンタルオーガナイズ」のコンテンツをSmartBeing合同会社として開発。現在はその育成と啓発に力を注いでいる。

<渡辺奈都子先生のブログ>
【メンタルオーガナイザー渡辺奈都子のブログ「SmartBeing」】

<一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会のHP>
【一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会】

<渡辺奈都子先生の著書>
cover
しなやかに生きる心の片づけ


cover
人間関係をしなやかにする たったひとつのルール はじめての選択理論



インタビュアー:大島まさあき(おおしままさあき)

大島まさあき

大島まさあきと申します。年齢は木村拓哉さんと同級生になります。

現在、働く悩み専門カウンセリングを行っています。
小田急 新百合ヶ丘で活動しています。
働くことに苦痛、違和感を持ったまま働き続けると
人生の大きな舵取りを誤る可能性があります。
自分を見つめ直す機会を持ってみませんか? お気軽にご相談下さい。
HP:働く悩み専門カウンセリング


インタビュアー:八木橋寿美子(やぎはしすみこ)

八木橋寿美子

あなたのいる空間は、あなたにとって心地よい空間ですか?
ピカピカに片付いた部屋が心地よいと感じる人もいれば、
おもちゃ箱のようにモノがあふれた空間を心地よいと感じる人もいます。
「部屋は心の鏡」と言います。
呼吸法で心を整え、思考の癖を知ることから、
あなたにとって心地よい空間を手に入れてみませんか。

ライフオーガナイザー(思考と空間の整理)、ブレスプレゼンター(呼吸法)
HP:つながるいえ


インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:川田史郎(かわだしろう)

川田史郎

マーケティングプロデューサー、コーチ。

現状を変えていきたい人、何かをはじめたい人の
コーチングをしながら、
解決策のプロデュースや事業化のお手伝いをしています。


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、精神保健福祉士、認定THP心理相談員、統合心理カウンセラー、
米国NGH&ABH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
発行メルマガ:こころの栄養@さぱりメント

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