第103回目(4/4) 末永 蒼生 先生 アート&セラピー色彩心理協会

チャイルド・スピリットを実現するために、人は智恵を得て、成長していく

インタビュー写真

「カウンセラーやセラピストは、どういうことをしていけばいいのでしょう?」

カウンセラー自身が「私って自分らしい人生を生きてる。この人生素敵ね」って思えるということですよね。カウンセラー自身がそうであると、そういう表情になるし、そういう言葉が自然に出てくるし、“だからあなたも好きにやっていいのよオーラ”が出てくると思うんですよ。

だから、常に自分自身が今リアルに自分を肯定して生きているかどうかに“敏感”であるということ。これは、カウンセラーもセラピストも必要なことだと思うので。私達の中でも、カウンセラーやセラピストが色を使ったり、カラーヒストリーをやりながら、常にそうやって1年前とは違う今の自分の生きている意味を更新していくようなことをやる。セラピストこそセルフケアが大切ですね。そういうことも皆さんにお伝えしています。

「常に、今の瞬間の自分の幸せを感じていく?」

ここで私が幸せっていうのは、表面的な楽しいこと、問題がないこと、ということではないんです。人生、次々に課題がやってきてまさに生老病死です。そこでの喜怒哀楽をごまかすことなく十分に味わうことの幸せということです。

例えば、美術家の草間彌生さんの展覧会は最近、若い人も集まります。展覧会や画集のタイトルが「わたし大好き」なんです。「わたし大好き」でいいんだよって。そのメッセージが、自己肯定感を持てず悩んでいる人々に届いたんだと思うんですよね。対極にある「私なんかダメ」という心理状態、それが自殺とか犯罪という破滅行動を生んでいますからね。

例えば、子育て相談もやっていて、若いママ達が「一生懸命子育てやらなきゃ」「何でこの子は思うようにならないの」って皆さん悩む。でも、子育て情報を気にするよりも、お母さんが「私っていいなぁ」って思えれば、それで十分子育てはうまくいくんですよね。そういう母親や父親を見ている子どもは幸せなんです。

でも親がいつも、「私はダメ」「こんなに頑張っているのに、あなたは何!」「何で思うようにならないの!」ってカリカリしていると、子どもは不幸ですよね。“自分が存在しているのが良くない”って子どもにメッセージしているようなものなんですよ。

「あなたがいるから、私も幸せよね」くらいの感じでやっていけばいい。子どもへの世話も多少手を抜いた方が子どもは嬉しいのよね。親の目を盗んで楽しいことができるから(笑)。その分、お母さんは自分の時間を楽しんでいればハッピーですよね。決してそれで子どもが悪くなることはないと僕は思いますね。

だから「色彩学校」でも、「子どものアトリエ」に子どもを通わせながら大人の講座にも来て、次第にご自分を肯定していくプロセスを踏む人がいて、その途端になぜか子どもも活き活きと良くなっちゃう。ビックリするくらいです。それくらい親子は無意識レベルで繋がっているんですよね。

「今後の展望を教えていただけますか?」

振り返ってみると、僕は20代の頃から、今考えているようなことに向かって生きていたような気がするんですよ。だからこれからも、いろんなことを提供していく立場でやれることはやりたいと思います。でも、一番の課題は、提供をするに値する自分として生きていけるかどうかです。

だから、自分自身がより心が開かれて、もっと全面肯定できてというような、自分の心のレベルをどう上げていけるかなっていうのが僕の課題ですかね。正直、人様のこと以前に自分が納得できる日々を送れているかどうか。何よりの難題です。自分のことを考えるので必死ですね。


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「ご自身を開いていくにあたって、現在されていることはおありですか?」

そうですね。僕は時々絵を描いているので、絵を通して自分のその時々の感情の変化が敏感に鏡のように映ります。いろいろと気づかされます。例えばスタッフと一緒に活動や仕事をやっていて、スタッフに「ここのところをもう少しこうしてくれると嬉しいのにな」と強く思う瞬間がないわけじゃない。それが過剰になったりすると、そう要求してしまう自分の問題を感じるんですよ。

まだ自分の中で未解決な何かがあって、それをスタッフに投影しているんだろうなと思うこともあります。人間である以上、常に心の中に光と闇が巡っていて心身共に調子づいたり落ち込んだりの連続で、日々の瞬間瞬間でどう自分を見ていくかというのが、終わりのない課題ですよね。生きていくって本当に川下りのように大変だけど、まあ、せっかくこの命をもらったので不安の水しぶきをかぶりながら楽しんでいくしかないですね。

「感情が動いた時に、それに気づいていくのですね?」

おっしゃる通りです。心って常に動いている。一年前にあることに気づき「人生分かったぞ!」と思っても、次の瞬間に次の課題が来るじゃないですか。体の細胞と同じで、心も日々更新していると思うんです。更新しているサインが体調や感情になって出てくるので、それをキャッチして循環させていく感じですね。だから年を取らない気もする。体はもちろん確実に年を取りますけど。僕の希望は、気持ちが固まらないという意味で若いまま死ぬこと(笑)。

「サインに気づけない方は、どうすればよいでしょう?」

講座でも、どうしたらもっと人生が楽しくなるんでしょうという質問をよく受けます。それには、夢やビジョンを持つのはいいことですが、僕の場合は違った見方をします。

例えば、「小さなことでもいいから、日常に嫌だと思う事があったらそれをやめてください」と。というのは、嫌なことをやめないで楽しいことを見出すことは難しいんです。嫌なことで心がギュウギュウになっていて隙間がないんです。だからいいことも入ってこないんです。「NO!」を感じるセンサーが錆びついちゃっているんですね。「YES!」も大事だけど、「NO!」の気持ちに敏感になると自虐の落とし穴に陥らなくなる。

人ってあえて嫌なことをやって苦しむことに自己陶酔することがあるんですね。日本人は特に苦労人を尊敬するような面があるし、一種のマゾヒズム状態になることもある。苦しみに対する依存症ですね。

でも、小さなことでも不快感や違和感を感じたら、立ち止まってやめてみる。そうしたら隙間ができる。その隙間ができたところに生きる喜びを感じる受容体が働き、楽しみが入ってくるということがあるんです。楽しい人生を生み出す力は、本当はその人の中にあるのね。でも嫌なことで敷き詰めてしまうとその力が出てこられなくなるんですよ。

「まずは嫌なことをやめることで、やりたいことに気づいていったらいいのですね?」

そう思います。例えば、「色彩学校」に通っている方で「子育てが大変。家事も大変。夫は協力しない。でも私は、いい妻、いい母として、頑張らなきゃいけない」と思い込んで、せっせとやったりする。でもね、ストレスが重なり「ああ、やっぱり嫌なんだよなぁ」って。そこで、「試しに少しだけ夫に話してみようかな」って勇気が出てくる。

講座で同じ境遇の人達と語り合っているうちに「私だけじゃないんだ」ってわかって、夫と向き合って話してみたりする。すると意外なことに、夫が「うん、いいんじゃないの」って言う場合があるんです。そこで「私が勝手に思い込んで、自家中毒を起こしていたんだ!」って気づきが生まれるんです。

つまり、「夫は自分が頑張ることを期待しているに違いない」って思い込んでいて、無理してしまうんですね。だけど、本当はそうでもなかった。それは、カラーヒストリーをやって自分の心の歴史を辿ってみるとわかるんです。実は、夫じゃなくて、子ども時代に親にそういう風に強く躾けられていたために、自分を殺しても頑張っているところを見せてしまうという心理的な癖が形成されてしまっていることがある。

自ら縛られることがあるんです。「嫌なことでもやらなきゃ、私は愛されない」って、一種の心理回路ができちゃっているんです。その事に気づき始めると、どんどんと剥がれていくんです。「ああ大丈夫だ」って気づいて自己肯定感が出てくると、夫婦関係や子どもとの関係が変わる方が多いです。

「親から子への連鎖を止める事になりますね?」

マイナスの連鎖だったのをプラスの連鎖に変える瞬間ですよね。その後はプラスになる。親が眉間にシワを寄せて嫌なことをやっていたら、自分もそうしなきゃいけないんだと子どもにメッセージをしているようなもんだからね。最終的には、自分の幸せに本当の意味で責任を持つのは自分であって、他人に責任を負わせるべきじゃない。

一人一人が皆、自分が幸せだと思う人生を全力で生きたら、世界は素晴らしい状態になると思いますよ。人に幸せにしてもらいたいとか受け容れて欲しいとか“心理的な物乞い”をしなくてもいいから自由になります。関係が歪まなくなると思うんです。幸せの自己充足ができる。お裾分けもできるからいいですよね。

それが一人一人から始まる世界だと思います。僕は全ての人が世界の中心にいるんだと思うんですよ。平面的で上下の構造じゃなくて、それぞれの人が実は世界の中心になっている。

「自分一人が変わることで、世界が変わるのですね?」

本当に変わりますよ。さっきの親子関係じゃないですけどね、瞬間的に変わります。ユング心理学のいう集合無意識の概念では、人類の無意識は個を超えて共振していると考えます。そうだとするなら、一人の変化は湖に投げられた小石のように波打って広がると思います。

「この出会いがあったから今の自分がある・・・というのはありますか?」

今の自分の感じ方や生き方にいい影響を与えてくれた人は、20代では美術仲間など男同士の関係で得たこともあります。でも人生後半になってからは圧倒的に女性が多かった。若い頃の恋人とか友達とか、現在のパートナーに至るまで、その女性達が心理的な世界も社会的な問題意識も含め刺激を与えてくれました。もちろん男性もいますけど、女性はより気持ちを通じ合わせながらインスピレーションを与えてくれましたね。

その理由の一つは僕の「色と心」という研究テーマもあったでしょう。色彩の世界、心理の世界という意味では女性の方が関心が高いし理解も早かった気がします。女性の脳は左脳と右脳を繋ぐ脳梁が大きいといいますが、もしかしたら感覚と理論の両方を瞬間的に把握する力が強いのでしょうか。

実は自分の人生を進んでいく中で出会って、一番僕を支えてくれたもう一つの存在があるんです。変ないい方だけど、それは「子ども時代の僕自身」ですね。子ども時代に自分が何を感じたかを僕は非常に鮮明に覚えているんです。日々絵を描いていたので、感じたことがイメージとして深く刻まれているのかもしれませんが。

子どもというのは、「これがすごく幸せ」「これは本当に苦しい」っていうのをはっきり感じていると思うんですよ。僕の場合も、“内面のその子”がずっと僕自身に語りかけてくれていたんですね。そして僕はその声を聴き続けた。その対話で自分が育ってき面は大きいって気がするんですよ。

僕の本の中に、『チャイルド・スピリット』っていう本があるんです。誰の中にも、チャイルド・スピリットがあって、その子と対話をすることによって、大人としてより成熟していくし成長していくっていう考え方を書いた本なんです。

「多くの人は忘れてしまいますよね?」

子ども心などというと、「いい歳して、いつまでも子どもみたいなことを言って!」みたいに笑われるかもしれません。それで、大人の振りをしているうちに忘れちゃうんですよ。でも、子どもは鋭いまなざしで、大人のウソや欺瞞、リアルな生に鈍感になった後ろ姿を眺めている。そして、そうでない大人になろうとするはずです。

チャイルド・スピリットを捨てるんじゃなくて、チャイルド・スピリットを実現するための智恵を得るためにこそ、人は経験や知識を重ねて成長するんだと思います。その元を捨てちゃったら魂を喪失した抜け殻でしかなく、何のための大人かわからないですよね。


<編集後記>

末永蒼生先生の優しく落ちついた語り口、その奥深くから、
絵と色彩の探究に魅了された少年のような輝きが溢れだしていました。

子ども達の絵が織りなす心のストーリーは、大人へ自分のチャイルド・スピリットの声を
思い出させるメッセージのようにも感じます。

自分のカラーヒストリーを辿って、チャイルド・スピリットに会いにいくと、
人生の新しいストーリーがはじまる予感がします。(A)

末永 蒼生(すえなが たみお)   色彩心理学者 アート&セラピー色彩心理協会会長
  「色彩学校」&「子どものアトリエ・アートランド」主宰
  「末永メソッド色彩心理研究所」代表

1944年生まれ。色彩心理学実践の第一線で、色彩によるメンタルケアを始め様々な色彩プロジェクトに取り組んでいる。1960年代より美術活動の傍ら自由表現の場「子どものアトリエ・アートランド」を開設。表現者及び研究者という視点を総合した色彩心理の研究を始める。
この研究により自由な色彩表現が心を癒し、潜在的な能力を引き出すことを確認。15年に渡る実践から『末永ハート&カラー・メソッド』を創案し、子どもの心育て、成人のストレスケアなどに活かしている。
現在、東京ほか各地で社会人対象の講座「色彩学校」を開講。「アートランド」本部と提携した「子どものアトリエ」ネットワークは、国内はじめ韓国にも拡がっている。
多摩美術大学非常勤講師などを経て、現在「アート&セラピー色彩心理協会」会長。

<末永蒼生先生のHP>
【ハート&カラー】

<色彩学校のHP>
【色彩学校】

<末永蒼生先生の著書>
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色彩自由自在


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チャイルド・スピリット 色を通して内なる子どもに出会う


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心の病気にならない色彩セラピー


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「色彩セラピー」入門 心を元気にする色のはなし


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心を元気にする色彩セラピーぬり絵


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心と能力を育てる子どもぬり絵



インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:川田史郎(かわだしろう)

川田史郎

マーケティングプロデューサー、コーチ。

現状を変えていきたい人、何かをはじめたい人の
コーチングをしながら、
解決策のプロデュースや事業化のお手伝いをしています。


インタビュアー:荒川仁美(あらかわひとみ)

荒川仁美

株式会社サイドウェイズ顧問、コミュニケーションコンサルタント

ブレスプレゼンターとして、呼吸法を通じて「愛される豊かな人生」を
歩む人を育むことを使命とし、「人生を楽しむ自分になる」
「人と自分を比べない」「自分の成長を信じる」
この3点をモットーに、ココロとカラダが穏やかに健やかになる
「笑顔満杯の120分」のブレスプレゼント講座を開催している。
モットーは、人と人を笑顔でつなぐ架け橋になること!

HP:株式会社サイドウェイズ


インタビュアー:八木橋寿美子(やぎはしすみこ)

八木橋寿美子

あなたのいる空間は、あなたにとって心地よい空間ですか?
ピカピカに片付いた部屋が心地よいと感じる人もいれば、
おもちゃ箱のようにモノがあふれた空間を心地よいと感じる人もいます。
「部屋は心の鏡」と言います。
呼吸法で心を整え、思考の癖を知ることから、
あなたにとって心地よい空間を手に入れてみませんか。

ライフオーガナイザー(思考と空間の整理)、ブレスプレゼンター(呼吸法)
HP:つながるいえ


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、精神保健福祉士、認定THP心理相談員、統合心理カウンセラー、
米国NGH&ABH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
発行メルマガ:こころの栄養@さぱりメント

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