第102回目(4/4) 石原 克己 先生 東京九鍼研究会

命そのものと出会うこと。そして、技術を超えたアートに高めていく

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「先生が患者さんと接する時に、大切にしているものは何ですか?」

一番大切にしていることは、相手の命そのものをそのまま大切にして出会うこと。どんなに症状を訴え苦悩しているその人でも、まず一番大事なのは、症状を訴えている人の内なる神、命そのものと「今」出会うということ。私の命と相手の命が今ここにいるということ、それを一番基盤に置いています。

「そこを繋ぐことで直感が下りてくる?」

はい、そんな感じです。そこに基盤を置いていると、患者さんがいろいろと言っていても、最後はこちらから何も言わなくても、「言っているうちにわかっちゃいました」と自分で気付いたり、そうでもない時も、命と命の出会いの時に、脈診したり症状を聞いて分析するとか、そういうものはすべて眼鏡として扱い、様々なシステムはいっさい捨てる。

最初は、心理療法的なものでは論理療法など勉強したんですが、それはあくまでもシステムでしょう。システムから相手の中を引き出すことはできるけれど、あくまでもシステムで、システムっていうことは人智で創作したんですが、命とは別のもので、かなり素晴らしいものでもやっぱりシステムなんです。

システムでは計り知れない、命の響きで伝わってくるものは、システムで相手を見ようとしている限りは伝わってこなくなってしまうので、一旦それは脇に置いておく。

「そちらの方が深いものを伝えてくれるのですね?」

鍼をやっている時も、あるところまで来た人に教授しているのは、システムで見ちゃだめだということ。手が自然に引っ張られたり、手の下にいろんなものが見えてくるから、それをつかむ。自然に手を持って行けば手が動くし、鍼を持って行けば鍼が動いていくので、それを大事にしようよと。

それを私の言葉では、魂の鍼と言うんです。鍼灸の世界ではそれはないんですよ。ないんですけれど、なんでそういうことを言ったかというと、絵を描く人も音楽家も、アートの世界。

鍼でもアートというのを言い出したんですけれど、例えば、ピアノを弾くにしても、まず最初に鍵の叩き方があるでしょう。それから簡単な曲を弾けるようになってくる。そして、いろんな複雑な曲もさらっと弾けるようになってくる。そういう手もできてくる。

でもいろんな曲が弾けるからって、演奏をして皆がそれを聴いて感動するかと言ったら、最後は曲に自分の魂、ハートを乗せられるかどうかですよね。ですから、鍼でも同じなんだという訳で。「魂・アートの鍼」という領域を伝え始めています。

「技術だけではないということですね?」

最初は技術があります。それができた後に、魂と魂のふれあい、命と命のふれあいがあって、そこで起こることが大切です。この何年か、学生や鍼灸師の先生方に接触鍼を紹介したんです。手を乗せると鍼が勝手に動く技術を見せるんです。私は目を瞑ってもいいし上を向いていてもいい。

終わってどうだったかと聞くと、「わかんないんだけどこの気持ちよさと、何か波打つ感じがハートに響いてきた」とかいろんなことを言います。これが、私が言う接触鍼によるアートなんだと。命の響きからそうなっちゃったんですけどね。

「心の仕事をしている方に、先生からのメッセージをお願いできますか?」

心の仕事をしている人に対しては、やっぱり、日々自分の命を大切にするということと、相手の今起こっている人格的なものじゃなくて、魂レベルでの命そのものと出会って、心の方からのアプローチもシステムを超えたものを味わっていただけたらと思います。


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「辛さや悩みがある方に、先生からのメッセージをいただけますか?」

辛いことに悩んでいる方がいたら、悩みから逃げないでまず味わってください。そして、その辛いものを味わい尽くしていって、そこから抜けることもいいし、そこから違った方向に簡単に捨てちゃってもいいんだと伝えたい。

今、自分の目の前に置かれた道が五つあるとするでしょう。これがトラウマになってるすごく辛い体験、これはまた少し違った体験、自由奔放にできる自分もいる。実は、トラウマがすごく強いがために、厳しく辛い体験を味わおうとしていて、この中にどっぷり浸かっちゃってるんです。

そこから抜ける経験をやってもいいし、今この段階でこの体験をしないで、もっと自由な道を選ぶこともできる、ということだけは伝えます。だけども、あなたが今どの体験をしたらいいか、どうしてもまだこれを味わい尽くしたいのであれば、そこにおけるサポートをしましょう。

時間・空間の世界は物理的には4次元なんですが、この4次元の世界で、一つのレールの上に乗って、こういう両親の元に自分が生まれて、もっと言えば魂が親を選んで来たんですけれど、小学校の頃からこういう人生をやって、中学生をやってと、この人生を脇から見て、このまま行くのも一つだけれど、ここからもう一歩違った時空の世界を作って、そっちに行ってもいいんだよ、と。

だから、極端な心の葛藤の例で、今まで両親が自分を踏みにじるような生き方をずっとやってきて、何度も自殺未遂をしようとしたり、生きているのが苦悩の中に入っていた。ところが、ある段階で命の尊さを学ぶことができて、自分の命をないがしろにした両親に対して、「ありがとう」って言えるところに来た時に、その瞬間に両親が優しくなっちゃうんです。

苦悩の両親との関係の時空レール、4次元の時空の世界が、違う時空の世界に移行して、いろんなところに瞬間的に飛び出すことができるんだ、ということはよく話します。

とことん行ってから飛び出すと、かなり深いものが体験できるし、だけど、とことんやらないでこっちに行っちゃうこともできるし、どこを選ぶかはあなたの選択次第、というところをまず押さえて、どういう方向性で行きたいかを促すような形です。

「主体はご本人で、選ばせるのですね?」

そうですね。でも意外と、精神的に苦悩していて葛藤している人は、その中にいたがるんですよね。どうしてもそこにいたいっていう人に私は、吐き出しをやるんです。

お母さんとの関係が辛い、お父さんとの関係も辛かった、近所の人も同じことを言っている、職場の人も同じ。全部つながっていて、同じエネルギーになっているということを話して、まずお母さんとの関係でどんな辛い体験をされたか、内観をやってもらう時もあるんです。

小学校の頃お母さんとどんな体験をして、寂しくて仕方がなかったとか、何とかしてほしかったとか、中学の時こんなことがあって、猛烈に頭に来たとか、自分の感情を全部入れながら吐き出してもらう。

ノートに書いてもらうと一回でかなり楽になる人もいれば、何回か必要な人もいる。吐き出しを取り入れてからは随分変わりましたね。とにかく感情を入れて吐き出すということをやったら、うつで結構重い人も、5〜6回で脱却できる人も出てきています。

「ノートに書くのですね?」

はい。自分の辛さを正直に書く。

最初、一人だけ書けない人がいたんです。家族との苦悩をノートに書いてと言ったのですが、三回くらい「書けません」と。ペンを持って書こうとするんだけれど、止まっちゃうと。それで、待合室で時間を取って、私が脇について。書いていただいたら「自分の母親と旦那と、もし会ったら殺してやる」って書けたから、「もうこれで会っても大丈夫だ」となって、そこからどんどん解けていったんです。

「次元の変化が起こったのですね?」

起こったんですね。過去をずっと背負っているから、その苦悩の場に居続けたくなっちゃうけど、過去を一旦全部吐き出しちゃったら、今度は吐き出した荷物が取れて心の壁がゆるんでくる。そうしているうちにこだわりが取れ、自分が空っぽの状態になるから、次のステージに行きやすくなってくるんです。

「感情をブロックして、自分が何を感じているのかわからなくなっている方もいますよね。そういう方にはどうしたらよいのでしょう?」

いますよね。本当にわからない人が過去にいたんだけれど、そういう方は、一つずつ、食べ物一つでもノートに食べたものについて書いていく。野菜の甘みがどうだったとか、味付けによるしょっぱさがどうだったとか、そういうのでもいいから感じたままを書く。

衣類も触れた時にどんな感じがするか、あったかい感じがするのか、きめ細やかで気持ちよさを感じるのか、ザラザラで不快な感じがするのか、いろいろなものに対して感じたことを書いて、そして、自分の感情を何か一つ、例えば私がこう叩いて、痛い?痛くない?気持ちいい?とか、今まで封鎖していた感情の扉を少しずつ揺るがして、ゆっくり五感から感覚を、感情を取り戻していく。

「今後の夢や展望を教えてください」

まだ鍼灸と漢方の世界でまだ一つやることが残っているんですよ。今やっていることを、アートの世界まで含めて伝えきる。あとは、一人一人が命を尊く思えるような人間関係、社会作り。

社会作りっていうところまでいかなくても、いろいろ苦悩した生き方をしている人に、一つずつでもいいから愛情を持って出会っていける、そんな場をいろんなところに提供していきたい。

今、自らの心の中で何か起こりそうな感じがしているんですけど、どこに重点を置くかを見ています。そこでも、直感が大事なんですよね。中から湧き出たものはできるけれど、理性で知恵を絞ったものはやっぱりだめなんですよね。神と一体化した直感を大切にしていきます。


<編集後記>

生薬の深い香りが漂う「東明堂 石原鍼灸院・漢方薬局」で、
石原克己先生のお話を伺いました。

命のもつ自然治癒力、自己治癒力、そして身体知性を大切にする
伝統医学。

さらに、患者さんに真に共感することで、自然治癒力を
豊かに発動させていく・・・という石原先生の“陰から援助”の姿勢に、
命と命の出会いの意味深さを再認識させていただきました。

石原 克己(いしはら かつみ)   東京九鍼研究会会長 日本伝統鍼灸学会評議員
  (有)東明堂 石原鍼灸院・漢方薬局代表取締役
  東洋鍼灸専門学校・東京衛生学園専門学校講師

1950年千葉県生まれ。1974年東京理科大学薬学部卒業。1975年東洋鍼灸専門学校2部卒業。
仁仙洞医院勤務(漢方、鍼灸担当)。1979年(有)東明堂石原鍼灸院漢方薬局開業。
鍼灸、漢方、ハンドヒーリング、気功、心へのアプローチなどを行う。
現在、(有)東明堂石原鍼灸院・漢方薬局代表取締役のほか、東京九鍼研究会会長、日本伝統鍼灸学会評議員、日本中医学会評議員、日本刺絡学会副会長、東洋鍼灸専門学校・東京衛生学園専門学校講師などの役職にある。

<石原克己先生のHP>
【東明堂】

<石原克己先生のHP>
【東明堂(とうめいどう)石原鍼灸院 漢方薬局】

<石原克己先生の著書>
cover
伝統医学のこれから 第1巻 人・心と生活の在り方


cover
伝統医学のこれから 第2巻 ハンドヒーリングの世界



インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:比屋根章仁(ひやねあきひと)

比屋根章仁

呼吸を調え、自分を調える。毎日の生活をより豊かにしてくれる呼吸法を
お伝えしています。呼吸法を生活に取り入れると
日々のイライラから解放され、心も体もスッキリとしますよ!
アタマの中を「見える化」するメソッド、マインドマップもお伝えしています。

日本マイブレス協会ブレスプレゼンター、マインドマップ講師
HP:まなびの寺子屋
発行メルマガ:毎朝の習慣!自分道〜Making The Road〜


インタビュアー:荒川仁美(あらかわひとみ)

荒川仁美

株式会社サイドウェイズ顧問、コミュニケーションコンサルタント

ブレスプレゼンターとして、呼吸法を通じて「愛される豊かな人生」を
歩む人を育むことを使命とし、「人生を楽しむ自分になる」
「人と自分を比べない」「自分の成長を信じる」
この3点をモットーに、ココロとカラダが穏やかに健やかになる
「笑顔満杯の120分」のブレスプレゼント講座を開催している。
モットーは、人と人を笑顔でつなぐ架け橋になること!

HP:株式会社サイドウェイズ


インタビュアー:八木橋寿美子(やぎはしすみこ)

八木橋寿美子

あなたのいる空間は、あなたにとって心地よい空間ですか?
ピカピカに片付いた部屋が心地よいと感じる人もいれば、
おもちゃ箱のようにモノがあふれた空間を心地よいと感じる人もいます。
「部屋は心の鏡」と言います。
呼吸法で心を整え、思考の癖を知ることから、
あなたにとって心地よい空間を手に入れてみませんか。

ライフオーガナイザー(思考と空間の整理)、ブレスプレゼンター(呼吸法)
HP:つながるいえ


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、精神保健福祉士、認定THP心理相談員、統合心理カウンセラー、
米国NGH&ABH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
発行メルマガ:こころの栄養@さぱりメント

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