第102回目(1/4) 石原 克己 先生 東京九鍼研究会

中国漢方の哲学を聞いた時に、自分の中にポンっと入ってしまった

今回のインタビューは、薬剤師で鍼灸師でもある
東明堂石原鍼灸院・漢方薬局 代表取締役の石原 克己(いしはら かつみ)先生です。

石原先生は、東京九鍼研究会会長、日本伝統鍼灸学会評議員などの要職も
務めていらっしゃいます。

伝統鍼灸と漢方治療、ハンドヒーリング、心理療法などを統合し、
急性疾患から未病治療、心へのアプローチまでと、幅広くご活躍の石原先生に、
伝統医学の哲学や手法の素晴らしさ、今後の展望について、深いお話を伺いました。

インタビュー写真

「小さい頃はどんなお子さんでしたか?」

長男で、弟や妹の面倒をよく見るはにかみ屋でした。小学校3年までは、父兄参観などで一回も手を挙げたことがなくて。小学校4年以降は、学校の先生方からどんどん前に出させられたので、前に出るのが平気になっていきました。

小学校4年から6年までの夏休みの課題は昆虫採集を毎年やっていて、相当な昆虫を集めました。蜘蛛でも毛虫でもまったく怖さを知らなかったんです。友達としてコミュニケーションできる。ゴキブリも「そこにいて」って言うとそれでOKだったりして。

実家の寝室の天井を大きいムカデが1匹、2匹と歩いたりしていたんですが、怖さを知らないから、一度も刺されたことがなかったんです。50代になって怖れが出て、刺されたら痛いだろうなと刺された時のための鍼を枕元に置いて寝たら、その日に刺されました(笑)。昆虫なども、こちらが怖れの感情を持っていなければ、多分刺されることはないんですね。

ただ、昆虫を瞬間的に殺す時、注射器に殺虫剤・防腐剤を入れるんですが、一発で即死です。この体験も後の鍼の技につながっています。

「大学で薬学部に進まれたのは?」

もともとは数学が好きで、コンピューターを兼ねた応用数学系の学科が千葉大と東京理科大にあったのでそこを受験しましたが、見事に落ちたんです。浪人したんですが、夏過ぎに蕁麻疹になったんです。病院に行ってもなかなか治らなくて、自分で薬理関係の本を買いあさって読んでみたんです。すると面白かったんです。

東京理科大に薬学部があったから、一緒に申し込んで、もしも受かったら薬学部、落ちたら数学関係で理科大か千葉大にでも行ければと思っていたんです。そうしたら、最初の発表で薬学部が受かったので、薬学部に決めたんです。

入学式の日、サークルの勧誘がすごかったんです。現代の薬理に興味を持っていましたから、サークル活動もそこに入るつもりでいました。

漢方についてはまったく知らなかったんですが、漢方のサークルにしつこく引っ張られて断り切れず、「入りませんけど説明だけ聞きます」って、漢方の陰陽とか哲学、思想的な話を聞いたんです。ところが、聞いているうちに自分の中に、「あっ、これだ!」とポンっと入っちゃったんです(笑)。

漢方のサークル活動が、正規の授業とは別にあって、漢方をより深く勉強するのに、体に触れたりするのも必要だと思って、大学3年の時に夜間で鍼灸学校も掛け持ちで行きました。今は大学と鍼灸学校の掛け持ちは無理なんですが、私の時代は大丈夫でした。

「最初は漢方に興味があった訳ではなかったのですね?」

そう。入学式の日に引っ張られて、中国漢方の哲学を聞いた時に、自分の中にポンっと入って、腑に落ちちゃったんですね。それが根底にあります。漢方に興味を持って、漢方を勉強しているうちに鍼もやりたくなって、鍼灸学校に行きました。

「卒業後は?」

大学は4年卒業で、鍼灸学校が3年間でしたから、大学卒業後、鍼灸学校がまだ1年あったんです。就職は製薬会社の漢方系の研究室に決まったんです。挨拶に行って、「鍼灸学校があと1年残っているんですけど、卒業させてくれますよね」と訊いたら、「研究室は忙しいから、それはもう考えないでくれ」と言われてしまって。

それで、大学に戻って恩師の教授に「鍼灸学校を卒業する方を優先したいので、申し訳ありませんが研究室の就職を取り消してください」と言いました。中学の理科と高校の化学と生物の教員免許は取っていたので、大学4年の3月に大学の教務課で「中学、高校の教師の口はありますか?」と訊いて、高校の教員をやりながら、夜間の鍼灸学校に行ったんです。

2年目は、病院から「漢方と鍼灸をやってくれ」と頼まれて、学校を週に3日やりながら、残りの3日間を病院に行って、その次の年からは病院に入りました。

「病院ではいかがでしたか?」

非常に漢方鍼灸については恵まれていたんです。大学卒業した頃、漢方の臨床っていうのはまだまだなかったんです。漢方を勉強している医師から「検査も全部やる。漢方をやってくれ」と頼まれて、一日20人位診て漢方で処方する。その先生から、そのうちの一人か二人について、「どうしてこういう処方にしたのか」と聞かれ、説明する。それを1年半やったんです。

本当は医師がやってもよかったんですよね。だけど、漢方に自信がないっていうことで、私にやらせてくれたんです。だからすごく恵まれていました。

そこの病院を辞めて、3年間鍼灸院で開業し、漢方も勉強していました。その後、五井で開業し35年過ぎたんですけど、変遷が随分あります。最初は、癌を含めた難病なども鍼灸と漢方で対応する形で取り組んでいったんです。けれども、7〜8年経った段階で、方向性が随分と変わってきました。


インタビュー写真


「それはなぜですか?」

いろんな急性病、慢性、難病に劇的な効果をいっぱい体験していました。一番大変だったのが統合失調症ですね。統合失調症でも、どういう訳か漢方や鍼で楽になる患者さんが来ていたんです。ところが、精神科とか病院に行っている患者さんは、なかなかラチがあかない人が結構いますでしょう。

もっと重い、神経症とか統合失調の患者さんを診たいという気持ちを持って取り組んだら、今度は、結構重症の患者さん達が来院され今まで通りにいかないってことがわかり、相手のハートとの出会いをもっと腰をすえてやらないとまずいということが実際に起こってきたんです。

それをきっかけに、今までは、癌でも治療すればある程度の成果が出ていたのが、治療では僅かしか成果が出なくて、もっと深いものを洞察して出会っていくことの必要性が次から次へと来て、自分で心理療法とかも勉強したんです。

鍼灸学校を卒業してすぐに、東大の心療内科の石川仲先生のカルチャーセンターでの連続講義があって、それに出たんです。その影響もあり、やがて、そちらの分野をもっと深くと思ってやったのが、20年位前のヒプノセラピーです。触れ合いを大事にするヒーリングのテクニックも覚えたくて、レイキのマスターを19年前位に取得しました。

「それを鍼灸と併用されたのですか?」

そうです。心の深い面やエネルギー的なレベルでキャッチする能力はヒーリングの方がすごく良かったんです。ヒーリングでキャッチできる手だとか直観力が出てくるにしたがって、鍼の方でも感性とか直観力の面がかなり活きてきたので活用できました。

それで15年位前だったか、僕自身が一回、鍼灸と漢方を辞めたくなったんです。

理由は何かというと、患者さんとの出会いで、治療系と未病治療系と癒し系と本質系と分けて考えているんですが、本質系というのは、内なる神の領域に出会うと奇跡的な変化が目の前で起こっちゃうタイプの患者さんで、癌が消えたり、今まで動けなかったのが普通に動けたり・・・そういう人が次から次に出てきたんです。こういう患者さん達との出会いの方が面白いと思ったんです。

その頃、心霊科学協会の本部が下落合にあるんですけれど、そこがイギリスの心霊科学協会系から講師を5人くらい呼んで、ワークをやったんです。仲間から誘われて参加して、最後の日に、「相談がある方は、ここにいるメンバーが5千円で相談に乗りますので申し込んでください」と言われて。

テリーさんという人が気に入っていたので、彼に相談を申し込んで、「今後の方向性として、ヒーリングと心の方で今迄と全面的に変わった人生を歩むか・・・」と質問を出したんです。その時、テリーさんに「あなたの背後霊と守護霊とコミュニケーションをしますので、30分間じっと聞いていてください。それから質問をしてください」って言われたんです。

そうしたら、私の学生時代や卒業してからの重要な体験が、全部当っているんです。それで、「あなたは、中国人の漢方と鍼灸をやっていたすごい先生と契約をしていて、後ろで応援してくれています。近いうちにあなたが鍼の世界で、現在日本も中国でもやっていない領域であなたがやっていることが伝えられる場が、鍼灸学校でまずは起こってきます」って言われたんです。「本質系の分野はやってもいいけれど、鍼灸と漢方は捨てないでください」という形で言われたので、「わかりました」と。そこまで、全部当てられちゃったから(笑)。

その後2年位経ってから、今の大森にある鍼灸学校で頼まれて講師として入り、それから2年くらい経ってから新宿の鍼灸学校でも頼まれて講師として入りました。そして、漢方の方でもまだやることが一つ残っているんです。

「それはどんなことですか?」

漢方は、中国の後漢の時代に『傷寒論(しょうかんろん)』という本ができたと伝わっています。(一説には戦国時代以前の説あり)腸チフスの発症から亡くなるまでのプロセスの中にいろんな変化があります。その変化の量と質の観察と生命力との関係から、漢方を組み立てていく。その発病してから亡くなるまでのプロセスを勉強しておくと、急性の風邪とかお腹の治療、慢性、難病疾患、全てに応用ができるんです。

それから、清の時代に『温病(うんびょう)』という概念が出ました。傷寒論を大事にしながら、その法則で発疹チフスの患者さんを治療したんですけれど、なかなか成果が上がらず、「これじゃだめだ」ってことで、新しいシステムを導入してできたのが温病条弁なんです。

ところが両者の理論体系が全然違うんです。私の頭の中で、この二つを同じ土俵の上に乗せて、まとめることができることがわかったんです。漢方の世界では、それをいずれ本にすることが残っているんです。

「今後のテーマなのですね?」

それを出したら、大変な念を送られそうな気がしています。中国でも、傷寒論と温病の学派が対立しているんです。日本では、傷寒論がベースになっていて、最近食べ物が変わったせいか、温病の概念もないとダメになってきたけど、なかなか両者の折中がうまくいかない。それを一つの土俵上に合作して出しちゃう訳なんです。

こういうことは鍼の方でもあって、古代九鍼と言って、皮膚をこすったり出血させたり、長い鍼とか太い鍼とか火鍼だとかいろんな鍼があるんです。それを中国でも全部使っている人はいないんですけど、私はそれを全部使っていたから九鍼会のメンバーで協力して本にして出せた。


でも漢方系の折中本は、もうちょっと人間の意識がエゴから開かれた時に、出す予定です。


(次回につづく・・)

石原 克己(いしはら かつみ)   東京九鍼研究会会長 日本伝統鍼灸学会評議員
  (有)東明堂 石原鍼灸院・漢方薬局代表取締役
  東洋鍼灸専門学校・東京衛生学園専門学校講師

1950年千葉県生まれ。1974年東京理科大学薬学部卒業。1975年東洋鍼灸専門学校2部卒業。
仁仙洞医院勤務(漢方、鍼灸担当)。1979年(有)東明堂石原鍼灸院漢方薬局開業。
鍼灸、漢方、ハンドヒーリング、気功、心へのアプローチなどを行う。
現在、(有)東明堂石原鍼灸院・漢方薬局代表取締役のほか、東京九鍼研究会会長、日本伝統鍼灸学会評議員、日本中医学会評議員、日本刺絡学会副会長、東洋鍼灸専門学校・東京衛生学園専門学校講師などの役職にある。

<石原克己先生のHP>
【東明堂】

<石原克己先生のHP>
【東明堂(とうめいどう)石原鍼灸院 漢方薬局】

<石原克己先生の著書>
cover
伝統医学のこれから 第1巻 人・心と生活の在り方


cover
伝統医学のこれから 第2巻 ハンドヒーリングの世界



インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:比屋根章仁(ひやねあきひと)

比屋根章仁

呼吸を調え、自分を調える。毎日の生活をより豊かにしてくれる呼吸法を
お伝えしています。呼吸法を生活に取り入れると
日々のイライラから解放され、心も体もスッキリとしますよ!
アタマの中を「見える化」するメソッド、マインドマップもお伝えしています。

日本マイブレス協会ブレスプレゼンター、マインドマップ講師
HP:まなびの寺子屋
発行メルマガ:毎朝の習慣!自分道〜Making The Road〜


インタビュアー:荒川仁美(あらかわひとみ)

荒川仁美

株式会社サイドウェイズ顧問、コミュニケーションコンサルタント

ブレスプレゼンターとして、呼吸法を通じて「愛される豊かな人生」を
歩む人を育むことを使命とし、「人生を楽しむ自分になる」
「人と自分を比べない」「自分の成長を信じる」
この3点をモットーに、ココロとカラダが穏やかに健やかになる
「笑顔満杯の120分」のブレスプレゼント講座を開催している。
モットーは、人と人を笑顔でつなぐ架け橋になること!

HP:株式会社サイドウェイズ


インタビュアー:八木橋寿美子(やぎはしすみこ)

八木橋寿美子

あなたのいる空間は、あなたにとって心地よい空間ですか?
ピカピカに片付いた部屋が心地よいと感じる人もいれば、
おもちゃ箱のようにモノがあふれた空間を心地よいと感じる人もいます。
「部屋は心の鏡」と言います。
呼吸法で心を整え、思考の癖を知ることから、
あなたにとって心地よい空間を手に入れてみませんか。

ライフオーガナイザー(思考と空間の整理)、ブレスプレゼンター(呼吸法)
HP:つながるいえ


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、精神保健福祉士、認定THP心理相談員、統合心理カウンセラー、
米国NGH&ABH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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