第101回目(2/4) 天外 伺朗 先生 フローインスティチュート

スポーツもフロー経営も、“古い脳”を活性化することが必要!

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「天外塾に岡田武史監督が来られたのですよね?」

神田昌典が主催する天外塾が2007年だったかな。その時に塾生として岡田武史が来たんですよね。当時彼は浪人中でして。どっちかというと管理型の経営が得意な人だった訳よね。

だからコルサドーレ札幌ではJ2にいたのを一年でJ1に上げてますし、その後、横浜Fマリノスに来て、二年連続でJ1で優勝させている訳です。就任した途端に、凄い実績を上げている訳ね。

それは、彼は非常に分析力の高い人で、例えば、点を取られることの60%はカウンターアタックだと。そうすると、その自分達が攻めている時に向こうの残っているフォワードがいると。そのフォワードの前、何メーターに一人、後ろ何メーター斜め何度のところに1人必ず残すということを実践すると、カウンターアタックでは点を取られない、という風なこと、そういう細かい事をたくさん作ってそれで勝利に導いていたんですよね。

ところが本人はそれに飽き足らなかったのね。J1で優勝するくらいだったら管理型で優勝できると。でも、とてもこれじゃ世界に通用しないってのはわかっていた。

「世界に通用しない?」

それはなぜかというと、例えばサイドを使えというと真ん中が空いててもサイドにボールを出すようになっちゃう訳ね。要するに指示命令に忠実になっちゃう。ある時に指示命令をすると、状況が変わっててもそれを守り続けると。これじゃあとても世界には通用しないと。もっと臨機応変に選手達が活き活きと出来るようにしなきゃいけない。

スポーツの世界ではフローの事をゾーンと言っていますけど、それを目指したマネジメントをしたいということで既にいろいろとやってこられたんですよね。中国拳法をやったり、座禅をやったり、気功をやったり。

「フローに注目されていたのですね?」

いろいろやっている中で、僕が、指示命令をしないで本人の自主的な意欲を大切にするという「フロー経営」を教えているということで参加してくれた。

その年の12月に岡田さんは日本代表監督になりまして、さっそくそれを実行し始めて。当時は新聞記事なんかにも出ていましたけどね。脳科学の話をして選手にひんしゅくを買ったとかね。これは僕がしゃべったことの受け売りだったと思うんだけどね。

僕は人工知能と脳科学を統合した学問を提唱してインテリジェンス・ダイナミクスという名前で付けて。その名前を付けた研究所の所長をやっていましてね。一応脳科学はプロな訳ですよね。

そしてその研究所をやっている時に、不思議なことに気が付きまして。我々は猿から人間に進化する時に、大脳新皮質というものがものすごく発展したわけです。わずか100万年の間に3倍ぐらい大きくなってる。そしてその脳科学の論文というのはほとんど新皮質に関する論文ばかりなんです。

ところが、新皮質の計算だとスポーツができないということがわかった。キャッチボールもバッティングもできない。要するにボールが通り過ぎても計算が終わらない。だから、スポーツというのは全部古い脳でやっているということがわかりまして。その話を最初の第一講でやったものだから、岡田監督は非常にのめりこんだ。

「これだ! と?」

新皮質の働きを弱めて古い脳を活性化するというのが、フロー経営のコツだし、スポーツでも同じことをやらないとうまくいかない。計算の遅い新皮質がスポーツでシャシャリ出てくると、イップスになるよという話をしたわけです。

だから、新皮質の働きを抑えて古い脳をガンガン活性化することが、スポーツでも必要だし、フロー経営でも必要なんです。その辺のからくりはスポーツとフロー経営と同じだよ、ということを言ったので、彼はのってくれました。

そして、彼は非常に頭のいい人だからものすごい工夫をしたんですね。例えば、基本的なポリシーとしては、シンプルにボールを回すパスサッカーを目指している。そうすると真ん中が空いててもドリブルをしないでボールを回しちゃう。

それをどうやって伝えたらいいだろうかと工夫したんですね。「真ん中が空いてたらドリブルをしろ」と言うと、これは指示命令になりますよね。指示命令になるとフローに入れませんが、スポーツではもっとダメなことが起きます。

その指示が頭に残っていると、ドリブルすべきかパスを出すべきか、ということを考える訳です。考えると0.1秒、0.2秒遅れる。これはサッカーでは致命的な訳です。だからそういうことを考えないで本能的に体が動くようにもっていかないといけない。そこで岡田監督が考えたのが「つぶやき作戦」ですね。


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「それは、どんな作戦なのですか?」

「ドリブルできる時はドリブルしろ」なんてことは一言も言わずに、皆で試合のビデオを見ている時に、誰かがいいドリブルをすると「おっ、いいドリブルだな」とつぶやくんですね。

皆に聞こえるように、かつ、大きくない声で言わなきゃいけない。技術的に難しいですが、「つぶやき作戦」これは経営でも使えますよ。指示命令をしないかわりにつぶやく。そうすると、これは古い脳に直接入ってくるということなんですよね。

「古い脳に入れるのですね?」

古い脳と新しい脳ということで言うと、「勉強しろ」と言うと、子どもは必ず勉強しなくなる。なぜだかわかりますか。これは、NLPで読み解けますね。NLPでは、新しい脳皮質、古い脳皮質とは言いませんけど、古い脳、新しい脳ということの原理は踏まえている訳です。

NLPの中で「前提条件」というのがありますね。「勉強しろ」という言葉の前提条件は何か。「あなたは勉強しない人ですね」というのが前提条件になっている訳。そうすると「勉強しろ」という言葉は指示として新皮質に入る。

それに対して、前提条件は本人の意識と無関係の古い脳に直接入る訳ですよ。「勉強しろ」という言葉の背後に「あなたは勉強しない人ですね」というメッセージがあって、それは本人も意識していないうちに古い脳に直接入っている。「私は勉強しない人」ということで古い脳に入っちゃうと、直接行動に結びつきますから、勉強しなくなるという原理ですよね。

新皮質にいくら情報が入ってきても、古い脳との間にものすごいギャップがある。だから、行動にはつながらない訳です。これはNLPでちゃんと読み解ける話です。

指示命令というのはそういう要素があるわけです。指示命令をすると、必ずそれの反作用が出てくる。そういう意味で、今の企業経営というのは全部間違いだと思います。岡田さんはそこを非常に上手にインプリメントされて2010年のワールドカップがうまくいったというわけですよね。

「世間から批判されて、非常に苦労された時期がありますよね?」

ものすごく叩かれましたよ、僕も一緒に叩かれました。天外伺朗という怪しいのについているから岡田監督はおかしくなったと。僕以外に座禅の和尚様とか、その辺も一緒に叩かれましたけどね。岡田監督はオカルトだとか、そういう叩かれ方をしましたね。僕も一緒に叩かれて、おもしろかったけど(笑)。

ワールドカップに行ってから、ものすごく成績が良くなったので、マスコミが手の平を返したように褒め始めて、僕もその頃は毎週、週刊誌に登場しました。そのあたりから天外塾はものすごく人気を呼んできた訳です。

そんなことで、企業経営の一番根元にあるところから全部ひっくり返すというふうなことをやっています。

「CD開発やAIBOなど、ソニーの中でも傑出したお仕事をされていますが、他の方と天外先生の違いというのは、どんなところだと思われますか?」

今、教育環境をやっておりまして、自分を振り返るとよくわかってきました。

一つは、子ども時代に神奈川県の茅ケ崎市にいましたが、その頃の茅ヶ崎市には人家がほとんどなくて、松林だらけでした。その松林ごとに、子ども達がグループを作って、時には戦争もしますし、いろんなことをやっていたのです。

僕らのグループは、木の上に10人くらい乗れるようなハンモックを作り、そこが基地だったんです。学校が終わるとランドセルを放り投げてそこに行く。すると仲間がいて、ものすごく楽しい小学校3年から中学2年くらいまでの幼少期を送りました。

これは本にも書いておりますが、サドベリー教育という、遊び中心でたっぷりフローを経験している訳です。それが大人になってからフローに入れる、あるいはフローに入れるチームを作れる一番の大きな要因だったと思います。

「どんなお子さんだったのですか?」

それまで虚弱児童でした。広島で小学校にあがり、鹿児島に行き、それから茅ヶ崎に来たんですけれど、広島・鹿児島時代はしょっちゅう肺炎になったり熱を出して寝込んでいる虚弱児童だったんです。茅ヶ崎に行って森の中で育つようになってから、健康になりました。ですから、勉強もあまりできずに、運動もできずに、どちらかというと学校では落ちこぼれに近かったんじゃないかな。

「でも、たくさん遊んだのですね?」

いっぱい遊ばせてもらいました。

「それが今の教育に関する提言につなががっているのですね?」

そうですね。サドベリー教育の話を聞いた時に、これは一番必要なことだな、と直感的にそして体感的にわかりました。


(次回につづく・・)

天外 伺朗(てんげ しろう)   フローインスティチュート 代表
  天外塾 主宰、工学博士
  ホロトロピック・ネットワーク 代表

1942年兵庫県生まれ。元ソニー上席常務。工学博士(東北大学)。1964年、東京工業大学電子工学科卒。
ソニーに42年余勤務。その間、CD、ワークステーションNEWS、犬型ロボットAIBOなどの開発を主導。上席常務を経て、ソニー・インテリジェンス・ダイナミクス研究所所長兼社長などを歴任。
現在は「ホロトロピック・ネットワーク」を主宰し、医療改革や教育改革に携わり、瞑想や断食を指導している。
また、企業経営者のための「天外塾」を開いて経営改革に取り組むとともに、近年は教育改革へも手を拡げている。

<天外伺朗先生のHP>
【フローインスティチュート】

<天外塾のHP>
【天外伺朗の「フロー経営」セミナー】

<ホロトロピック・ネットワークのHP>
【ホロトロピック・ネットワーク】

<天外伺朗先生の著書>
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運命の法則 「好運の女神」と付き合うための15章


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名経営者に育った平凡な主婦の物語(フロー経営の奇跡1)


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「生きる力」の強い子を育てる 人生を切り拓く「たくましさ」を伸ばすために


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マネジメント革命 「燃える集団」をつくる日本式「徳」の経営



インタビュアー:倉橋竜哉(くらはしたつや 日本メンタルサービス研究所 代表理事)

倉橋竜哉

アイネスト株式会社、日本マイブレス協会の代表を務める。
日本マイブレス協会では、ブレスつまり息をコントロールする
「呼吸法」を通じてココロの穏やかさとカラダの健やかさを
お伝えする講師の養成を行っています。

HP:日本マイブレス協会
発行メルマガ:毎朝1分☆天才のヒント


インタビュアー:下平沙千代(しもひらさちよ)

下平沙千代

日本一やさしい女性ケアドライバーです。
タクシー車内がセラピールームになることも・・・、
アロマハンドマッサージや、ソース・ワークショップも開催しています。

ソース公認トレーナー、アロマハンドセラピスト、NLPセラピスト
レイキヒーラー、トラベルヘルパー、NPO法人東京シティガイドクラブ会員
ブログ:『幸せを運ぶワクワクセラピー ソース』


インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:川田史郎(かわだしろう)

川田史郎

マーケティングプロデューサー、コーチ。

現状を変えていきたい人、何かをはじめたい人の
コーチングをしながら、
解決策のプロデュースや事業化のお手伝いをしています。


インタビュアー:岸眞美(きしまみ)

岸眞美

会社員生活を送るうちに、人が幸せになる、ってどういう事だろうという
素朴な疑問が生まれました。

社内教育に携わり、コーチングに出会い、資格を取得。
現在は、ほっとする「居心地の良い場所」を追究すべく、
自然療法フットケアサロンOPENに向け、日々研鑽中。


インタビュアー:比屋根章仁(ひやねあきひと)

比屋根章仁

呼吸を調え、自分を調える。毎日の生活をより豊かにしてくれる呼吸法を
お伝えしています。呼吸法を生活に取り入れると
日々のイライラから解放され、心も体もスッキリとしますよ!
アタマの中を「見える化」するメソッド、マインドマップもお伝えしています。

日本マイブレス協会ブレスプレゼンター、マインドマップ講師
HP:まなびの寺子屋
発行メルマガ:毎朝の習慣!自分道〜Making The Road〜


インタビュアー:荒川仁美(あらかわひとみ)

荒川仁美

株式会社サイドウェイズ顧問、コミュニケーションコンサルタント

ブレスプレゼンターとして、呼吸法を通じて「愛される豊かな人生」を
歩む人を育むことを使命とし、「人生を楽しむ自分になる」
「人と自分を比べない」「自分の成長を信じる」
この3点をモットーに、ココロとカラダが穏やかに健やかになる
「笑顔満杯の120分」のブレスプレゼント講座を開催している。
モットーは、人と人を笑顔でつなぐ架け橋になること!

HP:株式会社サイドウェイズ


インタビュアー:八木橋寿美子(やぎはしすみこ)

八木橋寿美子

あなたのいる空間は、あなたにとって心地よい空間ですか?
ピカピカに片付いた部屋が心地よいと感じる人もいれば、
おもちゃ箱のようにモノがあふれた空間を心地よいと感じる人もいます。
「部屋は心の鏡」と言います。
呼吸法で心を整え、思考の癖を知ることから、
あなたにとって心地よい空間を手に入れてみませんか。

ライフオーガナイザー(思考と空間の整理)、ブレスプレゼンター(呼吸法)
HP:つながるいえ


インタビュアー:鎌形和枝(かまがたかずえ)

鎌形和枝

ハープと、ピアノを、教えています。
トイプードルのレオンちゃん1年4ヶ月と、毎日散歩を楽しんでます。
一番好きな事は、運転をする事です。
舞浜在住


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、精神保健福祉士、認定THP心理相談員、統合心理カウンセラー、
米国NGH&ABH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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