第99回目(4/4) 岩松 正史 先生 傾聴講師 株式会社あえるば

自分との関係を良くして、まず自分から楽になる!

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「心の仕事を目指している方へ、先生からのメッセージをお願いします」

人間関係の最小単位は自分と自分との関係です。他者との関係は自分自身との関係の鏡でしかありません。自分との関係を良くしてから、他人との関係を良くすることに興味があったら、傾聴の世界に進んでいただければ良いものが得られるのではないかと思います。

「特に、こういう方に受講して欲しい、というのはお有りですか?」

自分は正しいと思っているのに相手とうまくやれないとか、周りの人に話を聴いて貰えないという事が夫婦関係や職場でもあると思うんですが、そういう方が来てくれると多分、「ああ。だから聴けなかったんだな」とわかると同時に、「自分がダメだ」と思わず、ホッとできるかと思います。

「あいつが悪い」とか思うことも含めて、人との関係でうまく行ってないと感じている方に来ていただけると良いですね。

「先生ご自身のセルフケアは、何かなさっていますか?」

セルフケア? ああ、してますね。悩んだり、しんどかったりしますよね。そういう時は必ず自分に言うんですね。「まあ死んでないから、いっか」って。こういう風に言ってあげて、自分が自分の一番のサポーターになってあげる。これが一番効きます。

「言い訳するのが嫌だという人が多いですが、そういう方に対してアドバイスは?」

言い訳するのが嫌だから、頑張りますって言うのもありなんだけど、僕が思うのは、好きな事をやっている時は人間は頑張らないですよ。美味しいもの食べている時、頑張ってる人はいないじゃないですか。

という事は、嫌な事とか苦手なことに向き合おうと頑張ってる訳ですよね。壁を乗り越える事が喜びという人もいると思いますけど、越えても越えても到達点が見えていないとしたら苦しくならないかなという事と、一個できたら自分を思いきり褒めれば良いし、できなくてもやろうとしたんだから、死んでないんだから良いじゃないって言ってあげられる事ですね。

100の目標に対して、1でもいや、0.1でもできたら、自分の中で喜ぶと決めています。その方が僕はエネルギーが上がるので。頑張りたかったら頑張ればいいし、言い訳したくなかったらしなくても良いかなと思います。

言い訳する人が嫌い、苦手という人は、言い訳する自分が嫌いなんでしょうね。言い訳が苦手な人ほど仕事ができたりもします。今はできてるから自分の事を責めてはいない。「あいつは頑張ってないからできてない。言い訳するな」と言いたくなるでしょう。でもそうじゃないんです。

言い訳が嫌いな人は、昔できてなかった自分を責めていたり、あるいはこれからできなくなる事への恐怖があるかもしれませんね。あいつの様なダメ人間と思われたくないという恐怖心。

これができたら良い、できないとダメだという価値観を持っていて、改善と向上だったり、誰かより上にいる頑張っている自分しか認められないから言い訳は負けだと思うんでしょうね。他人との関係ではそれが一つの怒りとして出て来るんだと思います。

自己肯定感が低い。条件付きじゃないですか。何ができたら自分はOK、何ができなかったら自分はダメだという事で。本当に仕事ができる人だったら、できない人がいたって、腹を立てたりしませんよ。自分がやれば良いんだから。他人に腹が立つのは、その人の中にある一つの恐怖の現れです。

「今後の夢や展望をお聞かせいただけますか?」

僕の孫とか曾孫の世代には、人間関係が今より気楽にできる世の中になっていると良いなと思うんです。その為に何が必要かと言うと、今の大人が未来に向かってより良い人間関係を築く為の行動を取っていなければ実現しないはずなんですよ。

僕の一つの信念で、「子どもの世界は大人の世界を映す鏡でしかない」と思っています。だから子どもが凶悪犯罪するとか、それは大人の社会がそうだから子どもがやっているだけなので、大人がそうでなくなれば子どもも大人のようになるはずなんです。

だけど僕は大人に変われと言う気はないんです。変われ変われ、変わらなきゃ変わらなきゃと言う人もいますけど、大人には大人の変われないワケがある。それはお爺ちゃん、お婆ちゃんの世代から時代の背景や育てられ方や、そういう流れがあって、ずっと遡れば悪い人はいないんです。

だけど僕が願う孫や曾孫の世代が今よりも楽になっている社会を思い、どういう方法で大人達が良くなっていけば良いだろうと考えると、できない所を指摘して直していくんじゃなくて、できない所を受け止めて貰っていいなと思う経験をした人がどんどん増えていけば、子ども達も多分、同じことをするようになるだろう。良いものの連鎖という方法でやって行きたいと思うんです。


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「受け止めて貰うというのは、どんな感じなのでしょうか?」

自分では受け入れられないような悪いところでさえ、責められないという感覚でしょうか。「それでも良いと言ってくれる人がいるんだな」という感覚。頭で考えると「言い訳するな」みたいに思っちゃうけど「責められないって良いよね」という感覚かな。

「心の中で責めながら、言葉で褒めてもダメですね」

それはダメでしょうね。傾聴の気持ちと事柄の違いと同じで、要するに表に出ていることは全て事柄なんですよ。表に出てる物はどうでも良くて、その人の気持ち、形容詞だけでなく意味や価値をそのまま受け止められていれば表に出ているものは何でも良いんじゃないでしょうか。傾聴という方法じゃなくても良いですし。

「受け入れる気持ちを持つという事ですね」

そう。その為には自分を受け入れられてないと絶対に無理なんですよね。僕は自分自身との関係の悪さが今でもずっとあるので、できるだけちゃんと受け入れていくというのが最小限必要であり最大限にできることなんです。

自分を受け入れやすくなった分だけ心のエネルギーが上がって、意欲が湧きあがってきて知識や技術を身に付けたいと思ったら、放っておいても、やめなさいって言ってもきっと誰も止められないでしょ。本当は自分との関係を良くするだけでいいのに、どうしても他人を先に変えたくなっちゃうんですよね。

「傾聴は、まず自分自身と真摯に向き合うのが大切という事ですね」

そう思ってロジャーズの本を読むと、たくさんの学びがあります。僕は「自分から楽になる運動」と呼んでいるんですが、それを周りに広めたいと思っています。社会的には、「周りを喜ばせて、それを自分の喜びにしなさい」というのがまだまだ常識です。でも自分が楽になる方法がわからない人が、他人を本当に楽にしてあげられるんでしょうか?

もっと自分を大切にしないといけないなと頭でわかっている人は増えてますけど、僕も含めて実際できてる人は、あまりいないですよね。まず自分から楽になる。責めない。失敗しても「ま、いっか」。バカボンのパパですよ、「これでいいのだ!」って。過去のあの選択もあれでいいのだって。

だいたい人生に分かれ道なんて無いですから。巻き戻しても、また同じ道を選ぶんです。人生は一本道です。「これでいいのだ!」です。

「支援者のバーンアウト問題がありますが、傾聴が関係している様な気がするのですが?」

ありますね。先ほどお話した、大人が聴ける社会になれば子どもや孫が聴ける社会になるという事を一つの形で言うなら、支援者支援という事でしょう。それが一つのポイントになって来ると思っています。傾聴の企業研修は単日とか数回でやることが多いですが、これで聴けるようになりますとは絶対に言わないですね。ある程度は身に付きますが。

例えば、お客様支援や商品相談などの電話のオペレーターさんの仕事などは、人と関わることにストレスを感じて辞めていく人が多いわけです。そんな時に「お客さんのために聴きましょう」という研修をいくらしてもダメでしょう。そうではなくて、聴く人が安心してその会社にいられる文化、聴く人を支援する仕組みを作る。

具体的に言うと、仕事だけに話題を限定できないのが難しいところですが、本当はプライベートな部分が出て来てしまうことも踏まえて、ファシリテーターを交えて共有する仕組みを作るのがいいと思います。ケーススタディではなくて。解決するのではなく、解決できないことを皆で抱え合う。

職場内に心の置き場がなければ、どれだけ研修をしても人は辞めて入れ替わるだけです。介護施設は特に切迫していると思っていて、今すぐやらなければいけないんじゃないかと思うんですが、研修に使える予算が全然ないと言われるとなかなか行けないこともあるんです。どのように支援者を支援するかが今の課題です。

「セルフではなくまずグループで、ということでしょうか?」

グループ支援をしながら、そこから出てきた個人の支援ということになるのでしょうか。カウンセリングもそうですが、聴いてあげることで相手が回復するわけじゃないんです。僕はカウンセリングは必要ないとすら思っていて、聴いて貰えるという体験をさせてあげるだけ。その体験によって支援者がいなくても自分自身が自分のことを支えられるようになる、そこが最終目標ですから。

もし僕がカウンセリングして楽になりましたなんて言われたら、「ごめんなさい」と謝らないといけません。それは僕のお蔭ではないですから。お世話になっている先生からもきっと「前に出過ぎよ」と怒られるでしょうね。

グループの中で、自分でも受け入れられない程しんどい事でも、責められずに、ちゃんとそのまま受け止めて貰えるという体験ができれば、今度は自分でも受け止められる様になる事に繋がるので、そういう意味で最初の疑似体験ですよね。

職場で問題を抱えた人が家庭に帰ると、家庭の問題も絡んで来る。仕事とプライベートの境目をきっちり切るのは難しいので、組織での学習といえば方法論とケーススタディに偏るのもわかります。個人の思いを受け止め合う場作りをちゃんとコントロールできるファシリテーターを、企業内で育てていくと良いなと思ってます。

聴ける大人が増えていくと、曾孫か曾曾孫くらいの世代には、だいぶ変わっているかなと思うんです。


<編集後記>

岩松先生の飾らない雰囲気と温かい笑顔で、和やかで楽しい雰囲気の
インタビューとなりました。

「傾聴」の難しさと素晴らしさに触れ、傾聴を探究し続けた岩松先生。

先生の「伝えるならば、明確にきちんと伝えたい」という誠実さと
強い熱意に心を打たれました。

「傾聴は、心のエネルギーを上げるもの」の先生の言葉に、
傾聴のさらなる可能性を、感じ取らせていただきました。

カウンセリングのスキルとしての「傾聴」だけでなく、
自分も相手も尊重するコミュニケーションスキルとしての「傾聴」が
今後、広がることで、社会全体が元気になっていくことでしょう。

岩松 正史(いわまつ まさふみ)   傾聴講師 心理カウンセラー
                        株式会社あえるば・飯田橋カウンセリングオフィス代表
                        産業カウンセラー、心理相談員

長野県出身。東海大学政治経済学部卒。
コンビニエンスストア本部スーパーバイザー、システム開発プログラマーを経て大人の教育をする会社、株式会社あえるばに入社。2006年に横浜でカウンセラーによる無料悩み相談会を立ち上げ、多く人のサポートをしマスコミにも取り上げられる。2007年から引きこもり支援NPOの相談員を務める。
2010年から東京都千代田区、台東区の傾聴ボランティア養成講座に関わる。
2012年は飯田橋カウンセリングルームを立ち上げカウンセリングやセミナーを開催している。
その他、企業、団体向けのメンタルヘルスケア研修、講演だけでなく保育園、小学校、子育て支援施設などでのコミュニケーション講座の経験を持つ。
また厚生労働省管轄の神奈川県西部地域若者サポートステーション事業の立ち上げメンバーの一人として、1年で100回以上の面談を行った。
「脳と心を開いて人生を開く」を信条としてカウンセリングの枠にとらわれず心のエネルギーを上げると手伝いとしてアクティブ・ブレイン記憶術、アクティブ・ダイエットなども全国で展開。協会認定マスター講師を務める。
傾聴講座の開催は100回、800人を超える。

<岩松正史先生のHP>
【初心者のための傾聴1日講座】

<岩松正史先生のブログ>
【聴く人が楽になる傾聴スキル】

<岩松正史先生の著書>
cover
「ねえ、私の話聞いてる?」と言われない「聴く力」の強化書



インタビュアー:福田りこ(ふくだりこ)

福田りこ

あなたの中に隠された宝の箱を開けてみませんか。

潜在意識に直接アプローチする心理療法を中心に、
自己受容と自己変容のプロセスに寄り添って行きます。

心理カウンセラー
米国催眠士協会認定ヒプノセラピスト
HP:セラピールーム・サンクチュアリ


インタビュアー:大島まさあき(おおしままさあき)

大島まさあき

大島まさあきと申します。年齢は木村拓哉さんと同級生になります。

現在、働く悩み専門カウンセリングを行っています。
小田急 新百合ヶ丘で活動しています。
働くことに苦痛、違和感を持ったまま働き続けると
人生の大きな舵取りを誤る可能性があります。
自分を見つめ直す機会を持ってみませんか? お気軽にご相談下さい。
HP:働く悩み専門カウンセリング


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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