第98回目(3/4) 吉田 エリ 先生 アトリエ ワイエス

自分が何に抵抗しているかに気づいて、ただそれをやめてみる

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「今、悩みを抱えている方へのメッセージをお願いできますか?」

ほとんどの悩みは、悩む価値がないことばかりです。こんなふうに言うと、ちょっと不謹慎かもしれません。でも、悩むことと、問題を解決することと混同しているのかもしれません。悩んで答えが見つからないのだとしたら、それは今解決する必要はないものだと思えばいいのです。

しかし、悩んでいる人にしてみると、それを悩む必要があると信じ切っているんです。そういう人は悩むことがなければ不安なんです。悩むことで安心しているということもあり得ます。なぜなら、悩むことがないと、もっと変な妄想を考え出してしまうんでしょうね。

例えば、「自分とは誰か?」って最も典型的な悩みがあります。「自分とは誰か?」なんて、答えなんてないんです。だから、答えなどない問いに頭を悩ますのをやめて、行動すればいいんです。悩んでいる状態、つまり抵抗や葛藤に気づくことが大切です。

「抵抗や葛藤をやめる・・・」

だからもし、悩んでいる人にアドバイスがあるとしたら、「自分が何かに抵抗していることに気づいて、ただそれをやめるように工夫してみてください」ってことです。そのためには立ち止まらないと自分が何をしてるのかわからないでしょう。

悩んでいる時って呼吸が浅くなっているんです。深呼吸しながら悩んでる人っていないですよね。もう、身体を堅くして、息を小刻みにして、どんどん酸素が欠乏するような感じです。その狭い思考の中で行ったり来たり、「AかBしかない」ってやっているので悩みますよね。身体にもあまり良くありませんね。

あともう1つ、悩んでいる人は真面目過ぎるんです。そしてヒマなんです。つまり考え続ける時間があり過ぎるんですね。忙しかったら悩まないので、忙しくして悩まなくしている人もいます。でも、そうやって抑圧するのもあまり感心しません。

時間があるのなら悩むのをやめて、「自分が悩んでいることは何なのか?」とよく観察する時間に切り替えてみてください。悩みを解体してみてください。そして、その正体がわかったら、それを解放してください。悩むのをやめて、解放してみるってことですね。

「なぜこうなったのか?」と考えると答えが出ません。でも、「どうしたらいいか?」って考えていくと解決に繋がっていきます。身体が動き出します。考えるよりも、行動することです。

「うつの方などは、行動に移すのもなかなか大変ですよね?」

うつの人って身体がぜんぜん動いてないんです。静止している状態です。うつの人達って、感情で言えば、憂鬱や絶望という一番重たい振動数の低い感情を抱えているので、なかなか動き出せないんです。だから気持ちを軽くなんてできないのも無理はありません。

一番いいのは先ず身体を動かすことです。「元気を出す」「心を何とかしよう」っていうのは、うつの人には無茶な注文なのです。でも身体は誰かがマッサージしたり、動かしたりすることはできますよね。なので、まず立ち上がって胸を張ることです。胸を張って上を見て10分間保っているといいんです。

「10分間、胸を張る?」

うつの人って姿勢がうつむきがちになりますけど、それでは上手く呼吸できていないんです。姿勢を変えて上を向くだけで呼吸ができるようになります。頭に酸素が周るので全然違います。やってみてください。身体って面白いですよ。それだけでも気持ちが全然違ってくるんです。

そうすると、さっきまで絶望的だった気持ちが少しずつ、「何かやってみようかな」っていう気持ちになるし、もしかしたら怒りがこみ上げてくるかもしれない。いいんです。怒りでも渇望感でもいいんです。うつよりはずっとましなので。

もっと高く強いエネルギーに変換させるんです。「どうして私はこんな所でこんなことして…馬鹿みたい!」とかね、そういう感じでいいんです。少しずつ意識を高揚させて、感情が動き出したらどんどん動けばいいんです。エネルギーを動かすんです。するとどんどん意識が変化していきます。

そうすると更に上のレベルの感情を感じ易くなります。いきなりポンと喜びに変わる人もいるんですけれど、そこに至るまでに悲しみや恐れや怒り、渇望、そういう感情にひっかかるものなんです。結局それが嫌なのでうつになってしまうケースが多いんですが…。

でも、実はうつが一番最下位で、最底辺の所にいるんだとわかったら、「もっと上の嫌な感情を感じてみましょう」でいいんです。でも、「感情を感じてはいけない」というロックがあるのでそこから出られない。うつの人って、すごい力で自分にプレッシャーをかけて、何かを抵抗しているんですね。基本的に良い人がなりやすい。そのプレッシャーをどうにかしてあげないと…。

「圧を外してあげるのですね?」

そういう人は動けない自分を責めるでしょう。すごい圧力を自分にかけているのです。だから自分がぺちゃんこになってしまっているのでしょうね。そのプレッシャーを自分で押しのけてみることです。くすぐったりとか。そうすると、身体を捻った拍子にちょっと動けるようになるんです。その隙を見つけるんです。

いきなりうつになっちゃうんじゃないんですよ。怒ったり悲しんだり恐れたりしている時にちゃんとケアしないでいるので、そこまで行ってしまうのです。だから、うつになる前にしっかりとケアをして、「どういうふうに意識を動かすか。働かせるか」ってことを知っていることが大切です。

勿論、家族が亡くなったり、震災を経験されたりというような、ショックな出来事がある時は一時的にうつになりやすいです。でも、震災を経験した人でうつになりやすい人は、人のいるところで泣けなかったり、感情をしっかり感じる時間がなかったり、吐き出す場がなくてそれをサポートできなかったりすると、そういうエネルギーが自分に向かってくるので、プレスされてうつになっていきます。だから、解放してどんどん出した方がいいんです。

日本人って忍耐強いので、ちょっとやそっとのプレッシャーは大丈夫みたいで耐えちゃうんですね。でも長いことやってたらやっぱりしんどいんですよ。やめた方がいいです。とにかく、解放する場を創ってあげることが大切だと思います。


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「セラピストを目指している人にメッセージをお願いします」

自分は何者なのか?を探求することは、大切なプロセスだと思います。さっきお話しましたが、自分は誰か?という問いに答えはありません。しかし、自分がどんな人で、何を意図しているのかは、理解できるでしょう。自分がどんな人間で、どんなセラピストになりたいのかを探ることは大切です。

「なぜ自分は、セラピストを目指すのか?」ということを一度振り返るといいですね。「セラピストになるっていうのはどういうことなのか?」「カウンセリングとは何か?」という点について、自問してみてください。

私にとってセラピストとは、自分がまっさらの筒になるようなものなんです。何かをやるのではなくて、自分の中にいろんなエネルギーを通してあげるようなイメージです。全てを受容して何も制限しない。ぎゅっと握りしめないで、通して解放して手放していく。筒になることで、感情を感じたい人、愚痴を言いたい人、怖れを感じている人は、この筒に入って浄化をして、そうしてまた出て行くんですね。そうしてグルグル回ることでエネルギーが循環していくんです。

だから、セラピストの人達に、最大の受容と解放する能力があれば、実はサポートすること自体が自分のためになります。自分の浄化作用になるんです。ところが、役割意識とか、やらねばいけないみたいな想いでやると、自分自身が筒ではなくて、ただのに突っ立ってる杙(くい)のようになるのでとてもしんどいんです。自分が何かを支えなくてはいけなくなるので。

でも、私は何も支えないんです。ただ在るだけ、中にエネルギーが通っていくだけなんです。そのためには、自分自身がどれだけピュアであるかがとても大切です。ピュアであればあるほど皆さんはどんどん活性化して、そのパイプはどんどん太くなっていきます。そうすると、いろんなエネルギーが流れて、どんどん周りのものが活性化されていくんです。

「ファシリテーターとして大事にしていることは何ですか?」

基本的に、ファシリテーターも先生もセラピストもみんな同じだと思います。「自分自身が本当の自分でいる」っていうこと。そこで、対象である参加者やクライアントに向き合うんです。

自分が自分をはっきりと把握できるっていうことは、相手にとって灯台を見るようなものなんです。灯台があっちこっちに行ったり、灯りを消したりしていたらどこに向かっているのかわからないじゃないですか。

参加者にとって、「ファシリテーターがどんな人間なのか?」ということはすごく重要なんです。その時に、何ができる・できないではなくて、ただしっかりと、「自分である、正直である」ということ。それを表現して相手に伝える。

もう1つは、「私が私であるように、あなたがあなたであっていいんですよ」っていうことをジャッジしないでその場にいるということ。ファシリテーターのやることはそれだけです。その覚悟というか、自分と向き合い、自分であるということをやるということは、常に自分と関わってなきゃいけないので結構ハードルが高いかもしれないです。

でも、それはとても価値があると思います。そうすることで自分でいられたり、自分自身を再創造したりすることもできるんです。

先ほども言いましたが、私達は参加者やクライアントとエネルギーを交換し合いながら活性化しているんです。ですから、やってあげる感覚もない。お互いに何かをやりあって共生して生きている、ということです。これが一番大切なのかなって思います。

「モットーは何でしょうか?」

一番大切にしているのは、「楽しむこと」。例えば、料理だったら料理、掃除だったら掃除、ワークショップだったらワークショップと、今やっていることを「どうやったら楽しくできるかな?面白くなるかな?」ということについて、考えることが好きです。

楽しむっていうのは、能動的に楽しもうと思わなければなかなか楽しめないものなんです。みんな、「楽しみたい」のに楽しめないのは、「楽しませてほしい」と思っているからなんですよ。何かが自分を楽しませてくれるのを期待しているんです。

でも、楽しむのって、自分から動いていかないと体験できないものなんです。誰かに楽しませてもらっているということは、ある程度は楽しいかもしれませんが、どこか他力本願なんです。楽しむのではなく、楽しませてもらっているから。「楽しい」は、「楽しむ」っていう能動的な要素がすごく大きいです。

そして、もう1つモットーがあるとしたら、「ベストを尽くすということ」。楽しむとは双極なんですけれど、常に自分の100%。そして無理はしない。「100%やっているかな?」って、いつも自分でチェックしています。手を抜いていると絶対あとで反省することになるし、無理をするとまた反省することになる。

誰かのために頑張るのではなく、全部自分のためです。楽しむのも、何かをやってあげるのも全部自分のためなので、「私こんなことやってあげたよね」って気持ちにはならないです。自分の好きでやってるから。ちょっとでも「やってあげよう」っていう役割意識だと、「やってあげたのに!」になっちゃうんです。

「人のために何かしなきゃと思う人は多いですよね?」

そうですね。人の役に立つことは、満足できるものなのですが、人のために、というよりも、「全ては自分のため」と自分で納得できていること、「自分の選択の結果での行動」だと認識していることが大切です。もちろん、人のためにやることも究極的には自分の選択であり、すなわち自分のためなんですけどね。


(次回につづく・・)

吉田 エリ(よしだ えり)   表現アートセラピスト アトリエワイエス主宰
                  イラストレーター

多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、デザインの仕事を経て独立。絵本や雑誌の他、書籍装丁のイラストレーターとして活躍する傍ら、国内外のアートプロジェクトのセミナーやワークショップに参加。
米国カリフォルニアのパーソンセンタード・イクスプレッシブ・アートセラピー研究所にて、表現アートセラピーを学ぶ。B・エドワーズ博士の「脳の右側で描け」ワークショップの経験を基に、独自のドローイング・メッゾトの研究を経て、ファースト・ドローイングのトレーニング法を開発・実践する。
ドローイングのワークショップの他、自由なアート表現を追求する「表現アートセラピー」のセラピストとしてオリジナルのワークショップ開催する。
既存の芸術教育にはとらわれないアプローチを実践し、従来のアートセラピーの枠からも離れたアート表現の可能性を追求している。

<吉田エリ先生のHP>
【アトリエ ワイエス】

<吉田エリ先生の著書>
cover
はじめてのアートセラピー 自分を知りたいあなたへ


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7日間で完全マスター 絵が描ける脳をつくる


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もう落ち込みたくないと思ったら読む本 悩みを手放す「マインド・デトックス」メソッド


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アートセラピーで知るこころのかたち



インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:大島まさあき(おおしままさあき)

大島まさあき

大島まさあきと申します。年齢は木村拓哉さんと同級生になります。

現在、働く悩み専門カウンセリングを行っています。
小田急 新百合ヶ丘で活動しています。
働くことに苦痛、違和感を持ったまま働き続けると
人生の大きな舵取りを誤る可能性があります。
自分を見つめ直す機会を持ってみませんか? お気軽にご相談下さい。
HP:働く悩み専門カウンセリング


インタビュアー:川田史郎(かわだしろう)

川田史郎

マーケティングプロデューサー、コーチ。

現状を変えていきたい人、何かをはじめたい人の
コーチングをしながら、
解決策のプロデュースや事業化のお手伝いをしています。


インタビュアー:岸眞美(きしまみ)

岸眞美

会社員生活を送るうちに、人が幸せになる、ってどういう事だろうという
素朴な疑問が生まれました。

社内教育に携わり、コーチングに出会い、資格を取得。
現在は、ほっとする「居心地の良い場所」を追究すべく、
自然療法フットケアサロンOPENに向け、日々研鑽中。


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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