第97回目(4/4) 高濱 正伸 先生 花まる学習会

安心やぬくもり、次に、社会的自信

インタビュー写真

「野外活動をやろうと思われたきっかけは何ですか?」

僕が大学受験生を教えている時に、英語も国語もバッチリできるんだけど数学が苦手、っていう子がいました。特に女子に多かったですね。理由は、図形が苦手とか、補助線が浮かばないとか、立体・物理はイヤ!無理!と、自分で切って捨ててしまう。壁があるんですよね。

ずっと遡っていくと、5年生くらいの時に、立体が苦手と思ったら、もう苦手なんですよね。方向音痴の女子が方向音痴のまま生きていく感じで。

立体感覚は、1年生くらいだと相当柔軟で変わり得る感覚。4年生くらいだとそろそろ固くなってきて、6年生だと変えるのも難しいくらい固い状態だな、と現場で感じました。

今、いろんな脳科学者が「9歳、10歳の壁」って言っているけど、現場で見ればわかるんですよ。低学年までに走りまわるとか、空間認識を養うということを、テーマにしようと考えついたのです。

その中で最高に良いのはやっぱり外遊びで、飛び込みとかは顔が輝くし、さっき言った危険を感じるのは自然の中が一番良いんです。飛び込みだと、「ちょっと待って。もしかして、あそこの下に石があったら、大ケガしちゃうよな」とか考えながら遊んでいるから、慎重になるんですよね。

「考えながら遊ぶ・・・」

ちょっと先が冷たかったり、流れが速かったりとか、足が立たない所だと、ものすごく子どもは緊張する。自分も球磨川という川で鍛えられたので。川遊びとクワガタ取りが本当に面白かったんですよね。

今はありがたいことに、いろんな社長さんにお会いする機会が増えましたが、一代で会社興して大成功したようなそんな社長さんに会うと、みんな外遊びしているんですよ。「やっぱ外遊びだな!」と思いました。でも今の子ども達の遊び場には、どこでも「川で遊んじゃいけません」って立て札が立っている訳ですよ。

その時に、「誰か大人が責任持って、『この枠の中だったら、自由に遊んで良いよ。この川で遊んで良いよ』って言う必要があるな」と気づいて、「僕は得意だし、向いているな」と思って始めたんです。そもそもサマースクールをやりたくて花まる学習会を始めたところもあります。

お母さんを口説く時には、空間認識力とか、生きる力みたいなことを言ってましたけれど、実は、人間力が一番伸びるんですよ。

うちは友達申し込み無しなので、まったく新しい8人組でスタートするんですよ。ものすごく躍動する遊びから、ふとん敷いて一緒に寝て、ご飯食べて、みたいな生活を共にする時に、必ず社会的軋轢とかストレスとか出てくる。でも、すごく楽しい瞬間も一杯あるわけですよね。

1泊すると家族になってるし、2泊すると大親友になるんですけれど、そういう経験を一杯すると、強くなるなぁって感じます。それは、副産物的に自信を持って言えるようになったものなんですけれどね。

「本当の家族ではない人達も家族になっていくのですね?」

今、核家族も多いし、兄弟も少ないし、誰かが意識的にくっつけていかないと無理なんですよね。放っておくと孤立していくし、孤独で生きていくようになっていってしまうから、それを敢えてアナログ世界というか、揉まれて、一緒に寝て、足が頭の上にあるような、そういう空間が大事になってくる。


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「苦しみを抱えている方がどういう風にすれば、人生が良くなっていくのでしょうか?」

僕も24歳の時にパニック障害で一回壊れましたからね。大学4年目の留年の時に、突然、グワーッてものすごい不安が来たんです。最初、地鳴りだと思ってダーッて教室を飛び出したら誰も出てなくて、「なんで?」って思った。あれって発作なんですね。

今思うと、彼女がいないっていうのが良くなかったと思う。1年くらい、まったくぬくもりのない理屈三昧の日だったのが非常に良くなかったですね。考え過ぎ人生に一回落ちちゃった。

どうやって治したかっていうと、身体を動かし続けていると恐怖がせり上がってこないということに気づいて、1日何十キロと走ってました。疲れ果てて寝るの繰り返し。それで恐怖がだんだんまばらになっていって、3年くらいで完全に来なくなった。

だけど、それを一回やっているので、僕は「頑張り精神なんかじゃ無理」ってわかるんですよね。

「頑張り精神では、無理・・・」

もう精神論じゃ無理で、ネガティブなものがこみあげてくる状態になっちゃってるんですよ。でも、たまたま弟と同じ所に住んで、大学にも行き始めて、友達が出来て、付き合いが始まるうちに、うまくいき始めたって感じですね。

一つは、安心とかぬくもりとか、支えみたいなものが土台にあって。次に、社会的自信っていうんですかね。飽きないとか、大好きでずっとやっているとか。できれば、身体使って人の役に立つというのが一番身体に良いですよ。

心を病んで2年目くらいに僕も教え始めたんですよ。そうしたら、授業やっている時は「この子達のため」って集中しているから、ネガティブなものが出ないんですよ。電車では、「やばい。今日、授業出来ないかも」って思うんですが、行って教えている時はまったく出ない。やっぱり、子どもがエネルギーをくれるんですよね。これは、いろんな奴が同じこと言いますね。

「授業を通して、ぬくもりをもらっていた感じですか?」

そうですね。小さい子って、とにかくくっついてきてゴニョゴニョやるじゃないですか。あれに、救われていたところもあると思います。だから、そういう関わりからスタートするのも良いのではないかと思います。頭で考えても解決はないというか。

ペットも馬鹿にならないですよね。そこで一歩目の支えを得た人も多いし。外に出てって役に立つのが良いのではないでしょうか。障害の人って、ペースが遅いことがメリットだったりもするじゃないですか。

「障害を抱える子どもがいるお母さん達にもメッセージをお願いします」

それはすごく自信があります。お母さんに言いたいのは、普通、子育てって幼児期を過ぎたら自立していってしまうし、離れていってしまうし、役に立つことってなくなっていってしまうのだけれども、「ずっと自分が存在しなくては、この子が…」と思えるっていうのは、考え方によっては自分にとってとても幸せなことなんです。

普通の人達っていうのは、「隣の人は計算できるんだから、あなたもやりなさい」みたいな競争の無限地獄にとらわれて、比較の中でどんどん子ども達を追い立ててしまう。けれども障害児の親は、いてくれるだけで幸せっていうことをずっと思わせてもらえるんですよね。

それってある意味すごく幸せな状態で、私は日々夫婦でそれを分かち合ってます。それは障害児を持った親の素晴らしいところで、子どもといる時って本当に幸せなんですよ。ものすごくお互いが支え合って、助け合って、まったく裏切る事のない感じとか幸せがあるんです。

唯一の悩みは、自分が死んだ後だけなんですね。「変な所に行って、いじめられたり辛い目にあったりしないかな」とか、必ずそれを考えます。けれど、それは今、日進月歩でどんどん進んでいるので、むしろ「元気な私達がみんなで変えましょう」ってことだと思います。

「今後の展望をお聞かせください」

必要とされるところにガンガン顔を出し続けたいですね。すごく面白いので。

「公教育を変える」っていう覚悟を決めたことはやり遂げようと思っていますし、障害児の教育も専門でやってきているので、そこも一仕事したいなと思っています。いろいろやりたい事はあるので、次々やってきたいなと思っています。


<編集後記>

タイトなスケジュールの中、インタビューを受けていただきました。
笑いがいっぱいで時間を忘れてしまう時間。
まさに、楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。

子ども達が休まない塾、行きたくなる塾はこうやって展開されているのだなと
高濱先生のユーモア、柔軟な思考力に引き込まれました。

「成功体験」「一瞬見せる輝きを見逃さない」「得意なもの、自信のあるものを伸ばす」ことで
自らの可能性が広がることを改めて感じる時間となりました。(A)

高濱 正伸(たかはま まさのぶ)   カリスマ塾講師 花まる学習会代表

1959年、熊本県生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。同大学大学院修士課程修了。
1993年、小学校低学年向けの「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を重視した学習教室「花まる学習会」を設立。同時に、ひきこもりや不登校児の教育も開始。
1995年には、小学4年生から中学3年生を対象に「本格的な学習方法」を伝授する学習塾「スクールFC」を設立。算数オリンピック委員会理事。

<高濱正伸先生のHP>
【花まる学習会】

<高濱正伸先生の著書>
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「自分のアタマで考える子」の育て方


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本当に頭がいい子の育て方


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伸び続ける子が育つ お母さんの習慣


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子どもを伸ばす父親、ダメにする父親



インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:川田史郎(かわだしろう)

川田史郎

マーケティングプロデューサー、コーチ。

現状を変えていきたい人、何かをはじめたい人の
コーチングをしながら、
解決策のプロデュースや事業化のお手伝いをしています。


インタビュアー:岸眞美(きしまみ)

岸眞美

会社員生活を送るうちに、人が幸せになる、ってどういう事だろうという
素朴な疑問が生まれました。

社内教育に携わり、コーチングに出会い、資格を取得。
現在は、ほっとする「居心地の良い場所」を追究すべく、
自然療法フットケアサロンOPENに向け、日々研鑽中。


インタビュアー:星野恵実(ほしのめぐみ)

星野恵実

社)日本心理療法協会 認定心理カウンセラー
子どもの頃から長年悩み続け、そこから抜け出した経験を活かし、
就労移行支援事業所などで、カウンセリングをさせていただいております。
毎回、クライアントさんからの気づきや学びがあり、尊敬と感謝の気持ちでいっぱいです。

悩んでいる多くの方の、「自分らしさ・輝き」を取り戻し、
笑顔でご自身の人生を歩むためのサポート中。


インタビュアー:荒井都(あらいみやこ)

荒井都

社)日本心理療法協会 1級認定カウンセラー有資格者
仕事や人間関係の悩みから数年程断続的にウツ状態に悩まされ、
合計2年程睡眠薬無しでは眠れなかった私でしたが、
心理学を学んでそれを自分に活用することでウツ状態を克服し、
今や相談に乗る立場になりました。

また、帰国子女でもなく海外の大学を卒業した訳でもない私ですが、
英語が好きで仕事で通訳や翻訳業務にも携わっています。
誰もが自分らしく凛として生きられる社会の一助になれたらと思います。


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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