第95回目(4/4) 二神 能基 先生 ひきこもり支援

時代認識を明瞭に! 現状に適応させるだけでは、もう行き詰っている

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「ひきこもりの方を抱えている家族の方へ、心構えを教えていただけますか?」

ある段階では、ひきこもりたいことを受け入れてやるということ。その時期は、僕は半年くらいは要ると考えます。すぐに、「何とかしなさい!」みたいに迫るとますます追い詰めるから、その時はそっとしておく。

ある程度を越えていくと、今度は本人が自分で出て行くという力のある子というのは、半年、一年くらいで、出ていけるんですよ。一年以上経っている子をみると、自分で考えて動き出すという力が無くなってる。だから、どんどん背中を押してやらないといけない。

ひきこもり業界で困った言葉として出ていたのが、「子どもを信じて待つ」というのね。アドバイスとしてかなり流行って、未だにそれを言う人が多いんだけど、「信じて待つは一年以内にしなさい」と。それを過ぎたら、「信じ続けて背中を押し続ける」にしないとダメ!と言い直してる。

「信じて待つ」は、間違いじゃない。でも、これで10年も待たれたら、子どもは力が無くなってしまっている。だから「信じ続けて背中を押し続ける」に切り替えないといけないと言うんだけど、これがなかなか入らないんですよ。かなり反発が多いですよ。背中を押すというのは、ある意味強制だからね。

「ひきこもっている若者に、何かメッセージをいただけますか?」

君達は、21世紀を支える希望の星なんだ。今や人手不足の時代になったんだから、我々は、君達に土下座してでも、社会を支えてくれるようにお願いするしかない、というスタンスです。「働かないといけない」なんて誰も言えない。「社会を支えてください」だね。

例えば、これから人材が果てしなく足りないであろうという介護業界には、うちは相当多くの若者を送り込んできたんですよね。介護業界ってある程度以上お給料が上がっていくっていうことは、介護保険の枠もあるから無理なんだけど、そんなことよりも、「自分が役立てているな」「必要とされているな」みたいな部分で続いていく訳じゃないですか。

ああいう考えの奴がいっぱいいないと、21世紀の日本高齢化社会は支えられないんですよね。「年収一千万にならなきゃ幸せにならない」って奴ばかり育てたら、介護業界には人は来ないよ。経済主義じゃなくて、自分の役立ち感とかで働いてくれる奴がこれからは特に大事なんですよね。

「カウンセラーやカウンセラーを目指している方にメッセージをいただけますか?」

時代の大きな転換期なんで、時代の転換をふまえたカウンセリングじゃないと、「いわゆる心の問題です」と切ってしまうと、狭すぎる。「心の問題」って、時代の大きな変化が背景にある訳で、そこの認識みたいなのを持ってやらないと、彼らをかえって追い詰めるカウンセリングになる。

大学不登校の頃から、大学の意味みたいなのが変わってきていると高塚さんは言っています。それをただ単に、「行かないとダメでしょう」みたいに思わせるカウンセリングっていうのは、限界があるという気がしますね。

彼ら自身が、どこかそこに疑問を持ったから行かなくなった訳で、そこの部分を含めたカウンセリングにしないといけない。もっと別の幸せを創っていくみたいなカウンセリングが必要ですね。それが時代的な要請だし、現状に適応させるだけでは、もう行き詰っている訳ですからね。

「社会的背景とともに人はあるので、50年前と同じというのはありえないですね?」

もっと時代認識が明瞭じゃないと。20世紀型のシステムが行き詰っているっていう認識がまだあまりない。21世紀になって14年経つのに、未だにアベノミクスなんか「20世紀を取り戻せ」みたいだからね。


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「ニュースタートの今後の展望をお聞かせください」

21世紀の新しい幸せを創り出す連中を大量に送りだしたなって思っている。ここの建物の前に「21世紀ルネッサンス発祥の地」という碑が立つのが夢ですね。35歳で年収2千万円もらっても辞める奴が出てきている時代だからね。勝ち組、負け組とかではない。もう新しい時代が来てるよ!ということなんです。

『希望のニート』という本を書いた時に、読者からの手紙を見せてもらったんだけど、殆どが一流企業に勤めてガチガチやってる連中なんだよね。それで、「僕はちゃんとしたサラリーマンでやっているように見えるけど、心はニートです」っていうのが非常に多かったんだよ。

今、大学新卒が3年間で3分の1辞めるっていうのは、無理にハメこむからそうなるんで、辞めた奴らの方に可能性があるのに、「俺は脱落者」だと認識して埋没していくのはもったいないね。

「今後やりたいことはおありですか?」

若者と向かっていると何か嫌そうな顔をしたなって、時々、自分が20世紀型だっていうのを痛感させられることがあるんですよ。何かの拍子に「頑張れ」みたいな話になって、やっぱり抜けきらないんですよ。そこなんかでは、俺はもう引き時が来ているって感じてるね。

最近、自分の中で繰り返している言葉はね、「生きることを愛せよ。そして死を思え。時が来たら誇りを持って脇へどけ」と。その事を考えている。頑張り主義とか、もうちょっと儲ける方がいいんじゃないかとか、20世紀が出てくる。自分はもう博物館に行くべきだ!という基本的な認識をしているね。

まだかろうじて立場上、20世紀型と21世紀型というのを若者達に教えられて、若者達は混沌の中にいるから、僕には見えてない部分がかなり見えてたり、表現できたりする立場にいるなっていうの部分もあるから、そこの通訳みたいな部分で少し機能できるとすればそれをやっていかないといけないなあと思う。

一番大きいのは、人手不足の時代に入って、昔は「バイト先は厳しいよ」って言って行かせていたんだけど、最近聞いてみると、「バイト先は優しいです」って言うからね。バイトを辞めさせない店長ってのが大事になってきている。人手不足を担うと、雇う側と雇われる側の力関係が微妙に変化していくからね。そこら辺では、違うルネッサンスというのが現実的には進行していくんだと思う。

僕ら世代みたいに、人を押しのけて、みたいな自己実現は下品だよね。それをやる気と評価するのかどうか。これから社会も変わっていくと思いますよ。そういう意味では、ニートになった子、引きこもりになった子、そういう子こそ、これからの展望を開いていくのに一番ふさわしい原体験を持っているという認識なんですよ。

それを彼らは、マイナス体験だと取っているから、そうじゃなくて、それは非常にいいアンテナが機能していた部分なんだよと思わせてやるんですね。その為には、家に置いているのはダメなんですよ。親から「脱落した哀れな奴」と見られていると、段々その気になってくるからね。

「豊かな人生とはどういった人生だと思われますか?」

男としてみじめなのは、死ぬ時に一番貯金が多い人生だって僕は思うんです。幸せになる前提として、それって経済だろってその路線できて、その条件的にはそれを獲得したけど、それを全然活かせないような人間になってしまっている訳だよ。

イタリアの人達は、だいたい貯金がゼロになって死ぬらしいんですね。イタリアで赤いスポーツカーに乗っているのはジジイばかりですよ。それは豊かな生活だと僕は思うね。日本人って死ぬ時が一番貯金が多いんだよ。こんな生き方って何のための生き方かと思う。

気持ちのいいお金の使い方をしたいね。俺は真っ赤はスポーツカーに乗ってファッションモデルみたいな若い女の子をお金でくどく事に歓びを感じられるタイプではないので、ニュースタートみたいな事をやっている方が遥かに面白い訳ですよ。

いつまでも人生を楽しめるよ!というのを見せるNPOだったなという感じがあって、ここで大げさなことを言ってしまう悪い病気からは抜け出せない(笑)。

「素敵なロールモデルですよね?」

これからは、面白い時代になっていくと思うし、ニートは21世紀の先進的な担い手になると思うよ。


<編集後記>

20世紀の「エコノミックアニマル」価値観から、21世紀の「人間復興」価値観へ。

その新しい時代を開く「問題意識を感じ取っているのが、ニートだ!」と
熱意を込めて、二神先生は語ってくださいました。

「仲間・働き・役立ち」の、ニュースタート事務局の三本柱。
それが「人間復興の未来」のキーワードなのかもしれません。

二神 能基(ふたがみ のうき)   NPO法人ニュースタート事務局 理事

1943年生まれ。
愛媛県松山市での中学受験塾、幼稚園経営などを経て、1994年、目標を喪失した日本の若者をイタリアに送るプロジェクトを7年間展開。
1999年、ニートを支援するNPO法人「ニュースタート事務局」を千葉県市川市に設立。
これまで、40年にわたって育成、相談に携わった親子は4000組を超える。
早稲田大学講師、千葉県・内閣府等の委員を歴任。

<二神能基先生のHP>
【NPO法人ニュースタート事務局】

<二神能基先生の著書>
cover
働かない息子・娘に親がすべき35のこと


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希望のニート〜現場からのメッセージ〜


cover
ニートがひらく幸福社会ニッポン


cover
暴力は親に向かう―すれ違う親と子への処方箋



インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:川田史郎(かわだしろう)

川田史郎

マーケティングプロデューサー、コーチ。

現状を変えていきたい人、何かをはじめたい人の
コーチングをしながら、
解決策のプロデュースや事業化のお手伝いをしています。


インタビュアー:福田りこ(ふくだりこ)

福田りこ

あなたの中に隠された宝の箱を開けてみませんか。

潜在意識に直接アプローチする心理療法を中心に、
自己受容と自己変容のプロセスに寄り添って行きます。

心理カウンセラー
米国催眠士協会認定ヒプノセラピスト
HP:セラピールーム・サンクチュアリ


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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