第94回目(1/4) 岩井 結美子 先生 メイクセラピストジャパン

お化粧は、心理療法の手法になるぞ!と思って

今回のインタビューは、一般社団法人メイクセラピストジャパン代表理事で、
メイクセラピストの岩井 結美子(いわい ゆみこ)先生です。

心理カウンセリング技法を取り入れた『メイクセラピー(化粧療法)』の
第一人者である岩井先生は、(株)コンシャスインターナショナル代表取締役
としても、ご活躍です。

また、印象分析・印象戦略の専門家として、人材育成の研修・講演活動などで、
全国を飛び回っていらっしゃいます。

「心にも効く」と、注目を集めている『メイクセラピー』と『印象分析』。
その効果と可能性、今後の展望についてお話を伺いました。

インタビュー写真

「化粧療法というのは、どういうものでしょうか?」

お化粧された本人に心理的なプラスの効果が起きるものは、全て化粧療法(メイクセラピー)と言えますね。いろいろな化粧療法があります。例えば、傷や火傷の跡をカバーする為のメディカルメイクや老人介護施設等でのメイクボランティアも化粧療法に入ります。

私が行っているのは、お化粧を通じて自信を持ってもらったり、自分を好きになってもらったり、気持ち、精神面や行動にポジティブな効果が起きることを目的とした化粧療法です。私の様に心理カウンセリングやコーチングといった援助行為にメイクを取り入れて行っている人は、現在のところはあまり多くいないと思います。私の下で学んだ受講生は別ですが(笑)。

「化粧療法を始められた経緯を教えていただけますか?」

(※事例をアレンジして記載しています。)
そもそも化粧療法というものがあると知って始めた訳ではありませんでした。

心理カウンセラーとして心療内科に勤めていた頃、うつ病などの精神疾患の方々に臨床という形で携わる中で、お顔のコンプレックスによって前に進めない女性患者さんにメイクしたことがきっかけでした。

嫌なことがあったりすると、自分の顔が良くないから上手くいかないのだという様な、穴にはまってしまっていた状況というか。病気の状態はかなり良くなっていたのですが、あともう一歩を踏み出すのに壁があって社会と繋がれないという状況だったのですね。

カウンセリングをしていて背中を押しきれなくて、何かやれる事はないかなという中で、お化粧に辿り着いたという感じです。やはりお顔にコンプレックスがありましたからね。ちょっとでも前に進めたらなという思いで、お化粧をしてみようと思いました。

「それまでに、化粧療法を学ばれたということはおありだったのですか?」

それが、ないのです。そもそも、化粧心理学という分野があることも知りませんでしたし、たまたまカウンセリングの一環でお化粧をしたということなのですね。そもそも化粧による療法という概念が当時の私にはありませんでした。

今となっては必然だと思いますが、お顔が好きじゃないという女性患者さんに対して、お化粧して少しでも自分の顔が好きになったら良いのではないか、というほのかな期待ですよね。

私自身もお化粧をして気分が晴れたりしますし、お化粧ののり悪いと、その日はなんだかテンションが低かったりしませんか? 顔の状態で気分が上がったり下がったり、人前で堂々とできなかったりという経験があるので、お化粧が気分に影響するということは、何となく分かっていたんですね。

心理カウンセラーがお化粧をするなんて聞いたことがなかったですからね。勤めていた心療内科は患者さんに対して良いと思うことはやってみたらいいよという先生だったので、思い切ってやってみたということなんです。私もお化粧が好きでしたし、人にお化粧をすることには全く抵抗がなく、むしろ好きだったので、じゃあ自分のできることをやってみよう、というチャレンジでした。

「心療内科にお勤めだったとのことですが、心の世界に入られたきっかけは?」

かなり遡るのですが、社会人になってから交通事故に遭いまして、入院した経験があるんですね。骨折で二ヶ月ほど入院したんです。それをきっかけに、その時に勤めていた会社を辞めたんですね。迷惑をかけると思いましたし、入院を機に一休みしようと思って。心身共に疲れていたこともありました。

入院生活を送りながら、これからどうして行こうかなと、自分と自然に向き合ったという感じですかね。仕事も辞め、先が見えない中、何がしたいんだろう私・・・という問いかけですよね。毎日、毎日考えていたんです。

そんな時、お見舞いに来てくれた友達が買って来てくれたのか、目の前に求人雑誌があったんですね。ペラペラっと見ていたら、心理カウンセラーの仕事をされている方の記事が載っていたんです。その時に、よくある表現なんですが、何かこうビビビ!と来たんですね。

「記事に衝撃を受けられた?」

心理カウンセラーという仕事があることを知らなかったんです。それまでの私の世界にはない言葉であり、職業でした。その記事には、心のケアをするとか、一歩前に進むために人の気持ち、心理面をサポートするという様なことが書いてあって、衝撃だったんですね。

そこに産業カウンセラー協会の養成講座のことが書かれていたので、すぐに飛びつきました(笑)。退院したらすぐ通おうと思って。インターネットがまだ浸透していない時代ですから大して調べることもせず、協会から取り寄せた資料もよく見ないまま。本当にビビビ!と来た感覚だけでした。

ただ、その時の「これだ!」という感覚が何故起きたのかと考えてみると、それまでの人生で、当時はまだ若い私でしたが、相談を受けることが多かったんですね。友達から恋愛や仕事のことなど、いろいろな相談を受ける機会がとても多くて、こうやってみたらとアドバイスして友達がその通りやってみると上手くいくといったケースが多々ありました。

人の相談に乗ることは嫌いではなかったですし、友達が上手くいったと聞けば凄く嬉しかったですし、正直言うと「それがお金になるの?」という気持ちだったんですね。ちょっと生々しい言い方ですが、「今まで私がやって来たことが仕事になるんだ!しかもお金を貰えるんだ!」という部分があったと思います。不純な動機ですかね、ははは(笑)。でも直感的に「これは私が行く道なんじゃないか」と、ビビビ!と来たんでしょうね。

それで産業カウンセラーの資格を取りました。同時進行でカラーセラピストの勉強もしていて、同時に勉強が終わったんですね。就職するつもりはなく、「フリーでやるぞ」と思っていました。

「最初から、フリーでですか?」

そうなんです。向こう見ずですよね〜。

産業カウンセラーの資格を取っても、いきなり心理カウンセラーの仕事はないので、同時にやっていたカラーセラピーの方でお仕事を取っていこうかなと思っていたところ、たまたま仕事が取れちゃったんですね。それまで営業をやっていたので仕事を取ることが苦ではなく、いろいろなつてを使ってカラーセラピストだけでも、なんとか食べて行けたんですね。

フリーで立ち上げてカラーセラピストとして活動する中で、アロマセラピストのオーナーの方と知り合ったんです。自宅で結構大きなサロンをされている方だったんですが、「広いリビングが空いているからカラーセラピーのセッションで使ったらどう?」と言って下さったんです。

アロマセラピーにいらしているお客様でカラーセラピーを受けたいという方に行っていました。そこからがまたご縁なんですが、アロマセラピーの先生と私の心療内科での師匠にあたるカウンセラーの先生が友達だったんです。

その師匠にあたる先生が、「心理職が足りないので骨のある心理カウンセラーを探しているんだけど」というところだったんです。それでアロマセラピーのオーナーが、「カラーセラピーをやってくれている岩井さんのセッションが評判も良いし、産業カウンセラーの資格も持っているから会ってみたらどう?」と言ってくれたんですね。

そうしたら師匠は私がカラーセラピーをやっているところに合わせて来て、どういうセッションをしているのかを聴いていたそうなんですよ。「センスが良いんじゃないか。これから鍛えていけば良いんじゃないか」ということで面談になり、心療内科でカウンセラーをやらないかとスカウトしてくれたんです。


インタビュー写真


「そこから、心療内科で働くことになられたのですね?」

はい。ところが当初の私には、臨床はもう全くお手上げでした! 産業カウンセラーの資格は取ったものの、私の力量では病気の人を目の前にして、何の役にも立ちませんでした。本当に心療内科に入ってからは、もの凄く大変で、修業、修業の毎日でした。お恥ずかしい話ですが、心療内科に勤めればキャリアが積めるからラッキーと思っていました。情けないくらい、私は甘かったです。

貢献したいという気持ちよりも、「カウンセラーとしてのチャンス!」そういう気持ちしかなくて入ったので、当然のことながら臨床の現場に毎日ビビりまくりでした。それでも、担当の患者さんを援助しなくてはいけない。勤めた動機が自分本意でしたから、もう精神的に本当にきつかったです。

今でも、一緒に勤めていた先生達は本当に凄いと思いますね。臨床は、病気を治すという本気のモチベーションがある方が携わるべきだと確信しました。私は正直言って臨床が自分のやりたいことではなかったのですが、不思議なことに辞めるという選択はありませんでした。大変だからとしっぽを巻いて逃げる自分にはなりたくなかったし、こうなったら自分の腕を磨くしかない!と根性出して向き合いました。

すると、患者さんの状態が徐々に良くなっていき、いつしかやりがいを感じられるようになったのです。もう臨床の現場には戻らないと思いますが、人の心の一番ネガティブな仕組みから解放する援助という経験は宝物となりました。

且つ、素晴らしい先生達に囲まれて私は本当にラッキーでした。高度な心理療法の腕を持った先生達だったので、重度の患者さんも良くなっていくんですね。当時はブリーフ療法を主軸にしていたので何年も通うことなく社会復帰される患者さんも多くいました。

そういう姿を見ていて心の底から感動しました。人間はこうやって治っていくんだ、良くなっていく力があるんだと、それは日々感動の連続でした。このような経験をさせていただき、患者さん、先生達には今も感謝に堪えません。

「その中で、お顔にコンプレックスがある方と出逢われたということですね?」

そうです。

「その患者さんはどんなご様子でしたか?」

(※事例をアレンジして記載しています。)
まず、ほとんど笑わなかったですよね。その子の笑顔を見るということが記憶にないくらいなんですが、お化粧した自分の顔を鏡で見た瞬間、嬉し泣きされたんですね。感情が凄き出たんですよね。この子、こんな風に笑顔になるんだと思って、とても嬉しかったです。

その笑顔の後、鏡に映る自分の顔に見とれ出したんですよ。「自分の顔、嫌いだ、嫌いだ」って言っていた彼女が、お化粧した自分の顔を見た瞬間に、鏡を離さなくなって、うっとりしているんですよ。自分のことを「可愛い、可愛い」と言って、もう別人の様な反応でした。

「こんな顔に化粧したって無駄だよ、先生」と言っていたのに、もうビックリなんていうものを遥かに超える衝撃でしたね。お化粧って凄いなと思いました。そこから更にビックリしたのが、その患者さんがメイクを自分でやれる様になりたいと言ったんですね。私が全顔メイクをしたんですが、「このメイク、明日から自分でやってみたい」と言ってくれて。

「自分でもできる様になりたいとおっしゃったのですね?」

そうなんです。「この場だけ綺麗でも意味がないんだ」と患者さんから教えていただいたんですよね。「ああ、そうか。自分でできる様にならないと、明日から何も変わらない」と。その時、半分メイクを取って、半分残したんです。患者さんに「自分で完成してごらん」と言って完成してもらったんですね。

そうしたら、自分でできたということで自信が持てて、「明日からやってみるね」ということで送り出したんです。今思えば、その時にさせていただいたメイクを彼女が満足してくれて本当に良かったと思っているんです。

実は私、実際にメイクをしようとしたとき、すぐにはお顔を触れなかったんです。私はプロのメイクの先生ではないので、どういうメイクをして良いかさっぱり分からなかったんですね。私のセンスで好きにやって良いものやら、流行をやって良いのやら・・・。

「それで、どのようになさったのですか?」

私にできることはカウンセリングだったので、まず「どういう自分になれたら一歩前に進めるかな」という質問をしながら進めてみたら、彼女は「気軽に声をかけられたい」と言ったんですね。自分から積極的に人の中に入って行くことは勇気がなくてできないけれど、気軽に話しかけてもらえたら自分も話せる様になる気がすると言いました。

そうしたら人間関係ももっと作れる様になるだろうし、楽しくなるんじゃないか、自信を持てるんじゃないかと・・・。カウンセリングしながら彼女がどうなっていきたいかを明確にしていったんですね。そして、人から気軽に声をかけられる様な見た目なれば良いんだなと思って、親しみやすい印象を与えるメイクをしてみたんです。

親しみやすい、声をかけやすい感じのお化粧を、私なりのセンスでやらせてもらったら、今思えば必然なんですけど、気に入ってもらえたと。あの時のお化粧が失敗して、「何この顔!」と言われていたら、今の私は無いですよね(笑)。

その次のカウンセリングまでに3週間くらい間があったんですが、その時、綺麗にお化粧して来院されたんですね。笑顔が出るようになっていましたし、病気の人特有の元気のなさが無くなって、カラッとしたエネルギーになっていました。

そしてカウンセリングに入った後、「お化粧してみて日常に何か変化あった?」と聞いてみたら、アクティブになってるんですよ! 今までとは違って、自分から友達を誘って外に出かけたとか、就職の面接に行って来たとか。面接に行くなんて彼女にとってはもの凄くハードルが高かったのに、「もう面接三社行って来たよ」ってケロっと言うんですよ。

「行動面にも大きな変化が出てきたのですね?」

今まで何度もカウンセリングしてきても前に進めなかったのに、お化粧一回しただけで、こんなに変わるのかと思ったら衝撃でした。お化粧って、ただ気持ちが上がったり元気になるだけでなく、行動が積極的に変わっていくというのを目の当たりにしたんですね。

これはもう心理療法じゃないか!と思ったんです。ただ綺麗にする美容のためだけのメイクではなくて、メンタルサポートですよね。これは心理療法の手法になるなと、その時に目覚めたというか。しかもお化粧は楽しいし、短時間で気持ちに変容が起こり、そしてその変化が目に見える。鏡の中に映りますからね。

化粧は心理療法になるぞと思って調べてみると、インターネットが少し普及していたので、化粧療法、化粧心理学などの情報が少し出て来たんですが、でもやっている人は凄く少なくて。傷や痣などを隠すメディカルメイクとか、おばあちゃま達にするボランティアメイクがほとんどでした。

老人介護施設などのボランティアでの化粧療法はいくつか出て来たんですが、健康な一般の女性に対してやっている方は、私は見つけられませんでした。まだインターネットが盛んではなかったというのもあると思うのですが。

こんなに良いものだから、まずは自分がこの療法を極めてみようと思って、お顔のコンプレックスがある患者さんとか、日常で知り合った女性にも、とにかく手当り次第お化粧させてもらって、それで今の岩井式の手法を開発しました。


(次回につづく・・)

岩井 結美子(いわい ゆみこ)   一般社団法人メイクセラピストジャパン 代表理事
                     (株)コンシャスインターナショナル代表取締役
                     メイクセラピスト、心理カウンセラー、印象アナリスト

2003年8月オフィスグレイスを開設。2006年2月に有限会社に法人化し、代表取締役に就任。心理カウンセリング技法を取り入れた独自の『メイクセラピー(化粧療法)』手法を開発し、女性支援を精力的に行う。
2005年12月にPHP研究所より「美人セラピー」を出版。女性雑誌等、メディアでも取り上げられるようになる。
メイクセラピストとしての「顔」のほか、人材育成の社員研修や講演の講師としても精力的に活動。
驚異的なリピート率(90%以上)で、1年の3分の2は講師として全国を飛び回っている。
2011年8月、「株式会社コンシャスインターナショナル」に社名を変更。

<一般社団法人メイクセラピストジャパンのHP>
【一般社団法人メイクセラピストジャパン】

<(株)コンシャスインターナショナルのHP>
【(株)コンシャスインターナショナル】

<岩井結美子先生のブログ>
【美人セラピー】

<岩井結美子先生の著書>
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美意識は、過剰すぎるぐらいがちょうどいい。 〜女性がもっと素敵に輝く習慣〜


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どうしたら「デキる男」に見えますか? - 印象戦略30のノウハウ


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美人セラピー



インタビュアー:下平沙千代(しもひらさちよ)

下平沙千代

日本一やさしい女性ケアドライバーです。
タクシー車内がセラピールームになることも・・・、
アロマハンドマッサージや、ソース・ワークショップも開催しています。

ソース公認トレーナー、アロマハンドセラピスト、NLPセラピスト
レイキヒーラー、トラベルヘルパー、NPO法人東京シティガイドクラブ会員
ブログ:『幸せを運ぶワクワクセラピー ソース』


インタビュアー:福田りこ(ふくだりこ)

福田りこ

あなたの中に隠された宝の箱を開けてみませんか。

潜在意識に直接アプローチする心理療法を中心に、
自己受容と自己変容のプロセスに寄り添って行きます。

心理カウンセラー
米国催眠士協会認定ヒプノセラピスト
HP:セラピールーム・サンクチュアリ


インタビュアー:川田史郎(かわだしろう)

川田史郎

マーケティングプロデューサー、コーチ。

現状を変えていきたい人、何かをはじめたい人の
コーチングをしながら、
解決策のプロデュースや事業化のお手伝いをしています。


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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