第92回目(3/4) 野澤 卓央 先生 小さなコツの専門家

先人の知恵を実践してみるとどういう変化が起きるかを、体感する

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「立ち直れたきっかけは、何だったのでしょう?」

大きかったのは、身体を使って心を扱うことが大分できるようになったことかもしれないですね。我流でしたが、心のマネジメントやコントロールを自分でできるようになるために、いろいろと模索しました。精神的に限界の限界を超えていたので。

大きく分けて二つあるんです。まず、あるがままの自分を受け容れるしかなかったということ。一つはおじいちゃんに借金のことを「この世の浮き沈み」と言われたんですよ。一億もの借金のことを、そうやってさらっと返されたんです。

おじいちゃんは大体一言なんですよ。「卓ちゃん、テンション上がって始めたらテンション下がって止めるよ。上がれば下がるは自然の摂理、皆テンションを上げて始めろと言うけどそれは下がることを意味するよ。淡々とやりなさい」とかね。

「身近な人とうまくいかないんですけど」と相談した時も「わかってくれてるつもりで喋るからだね」と。本質をスコーンと一言で突いてくるんです。

「深いですね」

痛いんです。「騙されるのは欲だよ」と。「僕は美顔器買わないもの。愛されたい人は愛されたいと言って騙され、お金が欲しい人はお金が欲しいと言って騙される。人は自分の欲によって騙されるんだよ」と。

何の同情もないんです。一億の借金も「この世の浮き沈み」と一言言われただけで、それ以上のことは一つもしてもらえるわけでもなかったです。

ただ「自分が嫌いだ」と散々言った時に、「“嫌い”がある、ということは“好き”がある。“好き”があるということは“嫌い”がある。好き嫌いは相対の世界だから、何かが好きで、何かが嫌いなんだ。卓ちゃんは、本当は自分のことが大好きなんだよ。理想の自分が大好きなんだね。

理想の自分が大好きで、現実の自分は“こんなの本当の自分じゃない”と言って否定しているんだね。かわいそうだね、本当の自分が。卓ちゃんは想像の中の“理想の自分”じゃないよ。大切なのはあるがままの本当の自分を受け容れ、愛することなんだよ」と。

その後、借金の取り立ての一環で迷惑かけた人達に謝りに行かされたんです。受付にきれいなお姉さんがいて、今思えば多分仕込んでいたんだと思いますが、僕が謝ったら「うわっ、キモーっ」と写真を撮られたんです。それまで「野澤さーん♪」なんて言ってた子が豹変して「キモーっ」って。

その時に自分のプライドとかいろいろなものが崩壊して、下を見ながら笑えて来たんです。「じいちゃんの言うことはこういうことか。これが俺だ」と。「これがありのままの僕だ。この子を見捨てちゃいかん。愛そう」と思いました。

「ご自分を受け容れたのですね」

人間窮地になったら変わるしかないと言うけど、ようやくその時に自分に向き合えた。でもそこから向き合おうと思ってもなかなか向き合えなくて、家にも帰れなくて漫画喫茶に泊まったんです。

何となく宮本武蔵の漫画を手に取ってぱっと開いたら、武蔵が負けたシーンだった。これも何か運命的なものなんでしょうね。とても偶然とは思えなかった。ずっと勝ち続けていた武蔵が負けたシーンで、「命は取られなかったけど負けた」とガックリとうな垂れているんですよ。

そこに沢庵和尚が来て、ぽんと肩に手を置いて「武蔵、弱さを経てない強さはないぞ」と言うんです。その言葉はまるで自分に掛けられているように感じました。漫画喫茶で思いっきり泣いて、俺はこれを経て人として強くなるぞと決意しました。

どれだけみじめになろうが、夜中はファーストフードや牛丼チェーンでバイトしながらでも昼間は仕事しよう、それで何年かまたやっていこうと思ったんです。死ぬとか生きるとかそういうことではなくて、今の自分、あるがままの自分を見捨てずに、育てよう、と。

これが現実なんだから、プライドを捨てて出来ることをしよう、いい恰好しないでおこうと変えていきました。限界まで落とされたことで、自分と向き合えたこと。それは自分の土台となりました。

心理学で言えば自己肯定の前の自己受容ですね。自己受容をしないで自己肯定に行こうとすると余計におかしくなるから、まずは自分を受け容れる。僕はその時、自己受容をせざるを得なかった。これは立ち直れたきっかけの一つです。

「もう一つというのは?」

もう一つは友人に救われたんです、高校時代の友人の杉山君。彼も数千万単位の借金していて、二人とも似たり寄ったりなんですけれども(笑)。僕はもう少しで死にそうになってるのに、彼は元気なんですよ。何でこいつは元気なんだろうと思って。

彼はもともと元気なんですよ。例えば美容院を6店舗展開しているんですが、まだ3店舗目の頃に、2店舗の店長が辞めちゃったんですよ。普通だったら動揺するのに、彼は楽しそうなんですよ。どうするのかなと思ったら、「店長争奪ゲーム」というのを始めたんです。3店舗の従業員を1店舗に集めて、「誰が店長になれるか?」とゲームみたいにして盛り上がっているんですよ。

こいつ絶対頭おかしいなと思いましたが、その3か月後に店長が育って、前の売り上げを超えちゃったんですよ。「なんだこれは!?」と思いました。

その後も、業者さんにお金を持ち逃げされちゃったんです。ついに悩むのかなと思ったら、「卓、ちょっとニューヨーク行って考えてくるわ」と。

それで帰ってきたら「ニューヨークはすごい」という話しかしないんです。おまえ絶対考えてきてないだろうって。「さすがだな」と。それで、そのまま乗り切っちゃったんですよね。お互い何千万の借金がある中で彼は元気だったから、何か癒されたんですよ。自分だけじゃないということで。


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「すごい方ですね・・・」

ある時こんな話をしたんです。「昔から続けてることとか何かある? 俺は今まで自分の失敗と反省をノートに書いて、少しでも昨日より良くしようと思って高めてきたんだけど」と聞いたんです。

そうしたら杉山君は、「俺は7歳の時から朝起きた時に天井を観て“俺はできる”って言ってる。寝る時も“俺はできる”って言ってる。18歳になってからは、鏡を見る度に。美容師だから毎日何百回も鏡を見るけどその度に“お前はできる”って言ってる」と。

27〜28年それをやってるというのを聞いて、「こいつやっぱりおかしい。予想以上にクレイジーだった」と思いました(笑)。「何でそんなことを始めたの?」と聞いたら、「実は」と彼が話してくれました。

小学校に入った時にそろばん教室に通い始めた。そろばん教室の先生は片腕だった。だけど読み上げ算で全国の上位に入ったり、健常の人よりも活き活きしていた。周りの大人を見ると心に元気がなくて暗そうだった。「先生カッコイイ! 俺、先生みたいな大人になりたい」と思った。

先生は朝顔の花の育て方とか、花の色をこうやったら変えられるよとか、そろばん以外のこと、生きるということを沢山教えてくれた。7歳の時に先生に「僕、先生みたいになりたい。どうしたらなれる?」って聞いた。そうしたら先生が「朝起きた時と寝る時に“僕はできる”って言ってごらん。そうしたらそうなれるよ」と。

それで彼は先生が大好きだから、27年間、ただやってるだけだと。「そうか、理由があるんだなー」と思って、僕はその先生に会ったことがないんだけどそれをマネしました。それを藁にもすがる想いでやっていったわけです。会ったことがない人でも人を救えるんだと思ったし、世代を超え時代を超え、心の前向きさ・明るさも伝染するんだな、と思います。

「心の前向きさが伝染する・・・」

その後いろんなことを学んで、ちょっと粗っぽいと思う所もありますが、ただ、事実として、その人はその習慣を実践して片腕で全国上位となった。僕の友人もいつも元気だった。その話を聞いて、救われたいから僕もやってみた。それで3カ月くらいしたら心が少しずつ変わっていったんです。

他にも沢山のことがあったけれど、大きく変わったと思うポイントは、1つは自分を受け容れるということ、もう1つは友達のその方法で、立て直すことができたんです。

友達の方法は、元々はもしかしたら誰かの教えかもしれないけれども、それは別に誰でもよくて、自分が試してよかったことが僕にとっては大切だと思っています。

当時は救われたくてたまらなかったけど、自分が体験したことを全部残してあります。人間はどう死のうとして、どう心で思い、どう頭は考えるのか、ひたすら分析していたんです。

「やはり実験家ですね?」

実験家ですね(笑)。

「ノートは何冊くらいになりましたか?」

分からないけど、ノートも沢山あるし、パソコンの中にもいっぱいあるし、ルーズリーフにも時系列にまとめてあるし。

「では、メルマガのネタは尽きないですね?」

やっていくうちに逆に尽きなくなりましたね。

「何号くらいまで続けるおつもりですか?」

1000日までは1000日続けることが目的だったんですけど、1500〜2000号くらいを超えて、死のうとして救われるギリギリの体験をさせていただいたおかげで、なぜ続けられるかということ、継続の本筋が僕の中でわかったんです。

なぜ続けられるか。それは生きているから続けられるんです。限りがあるから続けられる。そう気づいたら、続けても続けなくてもどちらでもいいんですけど、限りある中で継続というものが存在し、それができることが幸せだなと思っているうちは、やっていると思います。生きているうちはやっているんじゃないですか。

「コツ塾を開講なさっていますが、それについて教えていただけますか?」

今の日本の教育は知識を詰め込むことに偏りがちで、詰め込むことにも良い点もあるでしょうけれど、人間本来の、生きるとか何か、幸せとは?命とは?働くとは?心とは何か?などの本質については扱う機会がないと思うんです。それを宗教ではなく教育で学び、自分の言葉で語れる場所にしたいと思っています。

どんな夢、目標、仕事、何でもそうですが、全部二次的なものです。本来は幸せになるためにすべての物事がある。では、幸せとはなんぞやということが腑に落ちて、自分の言葉で語れる大人であることは、その周りの子ども達もまた幸せであることに繋がるでしょう。またすべての方法や手法は、人間として基盤力があってこそ使えるもの。

その本質的なものをおじいちゃん達に教えてもらったので、それを例にして、いろんな偉人、宗教、哲学、物理学など様々な角度から本質を捉え、それを自分の言葉で一つのシーンに対していろんな角度から物事を見る。そしてそれを理解する。それを半年間毎日試してシェアし続ける。日々の学習を学びとする。それを実践し、知るだけでなくできるようにしています。

「6か月間、毎日ですか?」

6か月間、毎日皆で気付き合いをやるんです。「ありがとう」と言うのを毎日やってみたらどうなるか。保育園で教えてもらったような食事に対して「ごちそうさま」と言うことを半年間やったらどういう気づきがあるのか。そういうことを、題材は何でも良いのですが、それぞれにやってみます。

「それぞれが実験家になる、ということですね?」

実験家になるということです。

35億年培ってきた人間がそもそも持っている力や、命の持っている尊さ、素晴らしさを活かせる状態にしたいと思っています。情報とかやり方とかいろいろあるけど、その前に命の扱い方とか、人間本来の本当の命を扱える、自分の愛し方を精神論だけでなく、肌感覚や全受容を体感し続ける。

実践してみるとどういう変化が起きるのか試しています。この実験でうまくいけば、世代間の負の連鎖を断ち切れたり、また5世代先、10世代先まで変わるような価値あるものになると思います。

自分がよくなるだけじゃなくて、友達のお母さんがしてくれたようなこととか、おじいちゃんが残してくれたものとか、そろばん教室の先生がやってくれたようなこととかね。その人にとって、その人の人生、またその子ども、後世までがよくなる方法を、その人に合った方法でやりたい。

ダライ・ラマさんが「目に見えるものを手に入れる方法や教育はたくさんある。ただ、目に見えない、幸せになるために資質を手に入れる学びは少ない。私はたまたま仏教でそれをやってきたけれど、これからは幸せになるための方法を、宗教ではなく教育でやることが大切である」というようなことを前に話されていたんです。

まさしくそのとおりで、だから幼児向けから小学生、中学高校、大人向けと、いろんな世代の教育でうまくいっている事例や、心理学でも世界中でやっているありとあらゆるもの、そういうものを柔軟に取り入れながら、野澤卓央流ではなく、先人の知恵を実験したものを紹介できる人間で生涯ありたい。

「自分という体、体験を通して、ということでしょうか?」

そうですね。そういう体験を通じて、人から人へ翻訳家のように良いものは今の時代で更に良くしていく。過去のいらなくなったものとかは、今の代で考え方を変えて次の世代へ渡す。

そのためには世代や国を超えて互いの違いを理解することが大切だと思います。人はそれぞれは正しいことを言っています。ただ相互理解がなければ価値観の違いから、間違いや悪を作る。相手を知らないことによって「あいつ変だ」ということになってしまうので。特定のものを教えるというより、みんなで共有する場でありたい。

「どういう方にコツ塾に来てもらいたいですか?」

手法、方法では物足りなくて、本質に触れたい人です。もしくは、たくさん本を読み学んで来たけど変わらなかった人。人生そのものを楽しみたい、良くしたい、という人に来てもらいたい。

今は学問を超えた「生きる」ということを学びたい人が、立場や職業を超えて学びに来てくださっています。年齢も下は中学生から上は80歳過ぎた方まで幅広く来られています。

「コツ塾では、先生はコツを伝授する人ではなく、ファシリテートする役割なのですか?」

それに近いかもしれませんね。あとは、キネシオロジーという運動身体科学を使って体の実験をしてみたり。しゃべって、体感して、シェアして、まとめて、また1ヶ月間それを自分で試してみる。みんなで実験してデータを取って数値化して、「どこまで自分が幸福に感じられたか、さあやってみよう」とか。内容は毎回違います。

(次回につづく・・)

野澤 卓央(のざわ たくお)   コツの専門家 株式会社ラボ代表 オフィスノザワ
                    事業家、体験作家、講演家
                    NHK文化センター・大学講師、『コツ塾』講師

小学校6年生から中学時代は登校拒否児。高校時代も退学寸前の問題児だったが、友人の母親からの愛情ある励ましで更生。大学に進学するも、自分探しと称して、25歳までアジア放浪の旅を続ける。
しかし、カンボジアで、生きるために働く5歳の少女に出会い、自分は何と贅沢なことで悩んでいたのかと反省し日本に戻ることを決意。
帰国後、青果市場に就職。その後、美容室を運営する関連会社に入社し、企業内起業で美容商材を扱う事業部を立ち上げ、車の中で寝泊まりしながら日本全国を営業してまわり年商一億円の部署に成長させる。2006年に単身独立し、株式会社ラボを設立。
同じころ作家のひすいこたろう氏に出会う。氏の一言がきっかけで、社会に出たころから書きためていた、自らの失敗体験と尊敬する人々からの教えを、『たった一つの小さな「コツ」があなたを変える』としてメールマガジンで配信しはじめる。途中事業に失敗し一億円の借金を背負い、死ぬしかないとまで考えた時期もあったが、メルマガの配信だけは毎日続ける。現在まで2600日以上一日も休まず配信し続けている。
貴重な実体験とやさしい文体が口コミで評判を呼び、メルマガの読者からは「前向きになれる」「生きるためのヒントをくれる」など多数の声が届く(配信サイト「まぐまぐ」で殿堂入り)。哲学や仏道、ヨーガや先人の教えなど、難しいことでも自らの体験を通して咀嚼し、易しい言葉で分かりやすく説明することを得意とする。
現在は、株式会社ラボを経営する傍ら、多数の企業やNHK文化センター、教育の現場、小学校から大学でも講演活動を行っている。他、『コツ塾』、セミナー開催など多数。

<野澤卓央先生のHP>
【小さなコツの専門家 野澤卓央 公式webサイト】

<野澤卓央先生のブログ>
【たった一つの小さなコツがあなたを変える】

<野澤卓央先生の著書>
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10年間、1000人の成功者に聞いてわかった 仕事がうまくいく人の小さなコツ


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目立たなくても本当に必要とされる人になる小さなコツ


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あなたを変えるたった1つの「小さなコツ」


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一生を変えるほんの小さなコツ



インタビュアー:川崎綾子(かわさきあやこ)

川崎綾子

ゲシュタルト・再決断@府中「座★すわろう会」で活動中。グループの中で
お互いにサポートを得ながら、自分らしく癒されるセラピーをしています。
ペンギン好き。趣味はバレエです。

GNJゲシュタルト療法トレーニングコース修了、日本ゲシュタルト療法学会会員
NPO再決断カウンセリングジャパン会員
矢野惣一問題解決セラピスト養成講座(上級)修了
レイキティーチャー


インタビュアー:川田史郎(かわだしろう)

川田史郎

マーケティングプロデューサー、コーチ。

現状を変えていきたい人、何かをはじめたい人の
コーチングをしながら、
解決策のプロデュースや事業化のお手伝いをしています。


インタビュアー:大島まさあき(おおしままさあき)

大島まさあき

大島まさあきと申します。年齢は木村拓哉さんと同級生になります。

現在、働く悩み専門カウンセリングを行っています。
小田急 新百合ヶ丘で活動しています。
働くことに苦痛、違和感を持ったまま働き続けると
人生の大きな舵取りを誤る可能性があります。
自分を見つめ直す機会を持ってみませんか? お気軽にご相談下さい。
HP:働く悩み専門カウンセリング


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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