第91回目(3/4) 池田 明子 先生 日本フィトセラピー協会

触れ合うことでリラックスし、自然治癒力を引き出す!

インタビュー写真

「先生がなさっているハンドケアについて、簡単に教えていただけますか?」

脳と皮膚の関係を科学的に研究している方々は、触れ合うことにより、「絆ホルモン」と言われるオキシトシンが分泌されると、科学的に分析をしていますが、私が始めたきっかけは、お見舞いで役立ったという自分の経験からでした。

私の子どもも大変お世話になった母の友人が、重篤な状況で入院していた時のこと、何度かお見舞いに行った後、ご家族から電話がありました。「もう何を言っても反応がなくなっているので、来てもらってもわからないと思います」と。それまではお話できていた方が、できなくなってしまったのですね。

でも母と、夜、付添いの皆さんが帰った後誰もいないタイミングで、病室に行きました。確かに、その前のお見舞いの時はお話しできていたのですが、その時は本当に何も話せなくなって、意識が朦朧としていたのです。その時に、何かして差し上げたくて、ハンドケアをしました。

ハンドケアをしていると、何かムニャムニャっとその方の口が動いたのです。「何か言っているのかな?」と思い聞き返しました。そうしたら、ゆっくり「ありがとう」と一言おっしゃったのです。びっくりしました。手をケアしたことで、意識が一瞬はっきりしたのですね。ハンドケアの素晴らしさを改めて感じました。

「ハンドケアの可能性を感じ取られたのですね?」

私どものカレッジでは、講師と受講生でチームを組んで介護施設等にボランティアに行っています。その時に、本当にさまざまな気づきがあります。いろいろと感動的なことも起こります。

ハンドケアではオイルを使いますが、高齢者の方に馴染みがあるバラのオイルを使って施術をしていた時、それまでの施術中には何も話さなかった方が、突然に一言「バラ!」と言われたり、施術後に泣き出されたり。施術をしていた講師も泣き出してしまったそうです。

素晴らしい体験、報告があるので、本当に充実したボランティア活動になっています。お陰さまで、このたび横浜市福祉サービス協会から表彰されました。現在はまだ東京と神奈川のみですが、これからはもっと全国に広げていきたいと思っています。

「ハンドケアの講座では、どのようなことを?」

一日講座ですので、午前中に骨や筋肉など解剖生理的なこと、そしてハンドケアがもたらす心への影響、そしてハンドケアで使うオイルに関係するフィトセラピーについて、時間が許す限り、体験談などを交えてお伝えします。そして午後からは、みっちり実習を行います。

時間の限られた講座ですし、参加者は初めての方が多いので、ハンドケアの素晴らしさ・心理面での可能性をなるべくわかりやすくお話してから、午後の実習に続くようにしています。実習では、基本的に講座の定員28人に対して、講師が3〜4人つきます。

テキストと一緒にお渡しする書籍にDVDがついていますから、ハンドケアの手順は後からDVDで復習ができます。ですから実習では、手ひらの使い方、指の使い方から運び方など、DVDでは伝わりにくいことを中心に、その1日で覚えていただけるように、丁寧にお伝えしています。

「“手”ということの良さは何でしょうか?」

昔から“手当”と言いますが、おなかや頭が痛い時、自分でさすったりしますね。伝統的な医療では、触診の力を大切にしていましたし、それが自然治癒力を引き出すとも考えられていました。人間の身体のさまざまな部位の機能が、大脳のどこに対応しているかを表わす脳地図やホムンクルスの図と言いうものがありますが、それにも人間の手や指は大きく描かれています。

手や指に対して刺激を与えることは、色々な意味で重要です。言葉で話す以上に、手が色々なことを語ったり、感じたりしていると思うのです。

例えば、指先でちょっと触っただけでも、それが綿であれば力を入れずに持つし、鉄だったらぐっと力を入れて持つ、ということを即座にしますよね。手は脳ととても密接に関わっているのです。皮膚全体が脳と密接に関わっていますが、手は特に脳との関わりが密接です。

例えばボールペンの先で、指先を突いてみます。次に同じ場所を突いたとして、指先であれば、1ミリの差でもずれていることはわかります。けれども背中だったら1ミリの差は感じ取れないですよね。それくらい手は敏感なところです。

フットケアは普及していて、フットケア専門店もあれば、フットケアの講座をやっているところも沢山あるのに、ハンドケアはまだそんなに多くはない。ハンドケアに対してもう少ししっかりと向き合う講座があればいいなと思ったのです。

それに、きっかけは何でも、皆さんが手を触れ合う機会が多くなれば・・・という思いもあります。


インタビュー写真


「触れ合いを・・・ということですか?」

教室でもお伝えしていますが、欧米に比べて、日本ではなかなか触れ合いの機会がありません。欧米人は、すぐに握手したりハグしたりと触れ合いますが、日本人の場合はなかなか無いですよね。

昔はそれでも大家族の生活であり、周囲に常に人がいて人との触れ合いに不都合はなかったと思うのですが、欧米化された現代日本の社会では、核家族の中で触れ合いがないことによって、人間関係が希薄になったり、いろいろな不都合が生じる場合があると思うのです。

そういう面でも、触れ合いを増やすことにちょっとでも役立てば、と思っています。個人的な目標ですが、一生のうちに人の役に立つことをいっぱいやっていきたいな〜と思っているので。

フィトセラピーはとても役に立つのですが、植物や自然が好きな方でないと興味をもっていただけない、という側面があります。けれどもハンドケアは、もっと手軽に興味を持つ方が多い。

そして、実際にやってみると予想以上に実生活に役立つと皆さまに喜ばれるので、ハンドケアの講座を開講して本当に良かったと思っています。ハンドケアをすると、とても充実感があるんです。ですから、学んだ方は必ず実践してほしいですね。

「学んだだけでやらないと?」

そうです。だから口を酸っぱくするほど「実践、実践」と言って、すぐできるようにタオルとオイルもお渡しするのですが・・・。ケアの方法がわからなくなってしまった方は、実習だけであれば再受講も可能にしているので、ぜひやっていただきたいですね。

「触れるということと心の関係を、どんな風に感じていらっしゃいますか?」

触れることも触れられることも、両方とも癒されるということを感じています。触れ合いって不思議なものですね。

ベテランのセラピストは、「人さまにマッサージをすると、元気になるし、自分も気持が良くなる」とよく言います。実際に私達もハンドケアで実感していることです。それで、それはどういうことなのかなと思って、ハンドケアでデータをとったのです。そうしたら、たしかに施術をする側もリラックスするという結果が出ました。

触れ合うということ自体がリラクゼーションになるのですね。最近は科学的に効果を証明することが可能ですので、私も研究を行っています。また触れ合いは、人間の持っている根源的な欲求です。触れ合わないと生きていかれないということを証明した動物実験もあります。

最近発見されたフランスのショーヴェ洞窟には、3万年前の人類が描いた壁画が残っています。ショーヴェの壁画が発見されるまでは、1万2千年前のラスコーの壁画が人類最古とされていたのに、それよりも古い3万年前の壁画が存在したのです。内部に調査団が入った様子が映画で紹介されていましたが、その壁画は、驚くことに、現在も通じるような高度な技法で描かれていました。

さらにそこには、壁画だけではなく、沢山の手形が残されている壁が映し出されていました。太古の人の手が、画面にいっぱい映し出されていて・・・。たぶん描いた人の手形でしょう。それを見た時、「あ! 描いた人は、手の凄さを表現したのだ」と思いました。

また、私は三木成夫先生の本が好きです。三木先生は医師でありながら、形態学、解剖学、発生学の学者さんですが、読むたびに、人間の身体の不思議さや素晴らしさに感銘を受けます。まるで、哲学なのですね。自然と人間にかかわる哲学。上手く言えませんが、生態学と哲学を合わせたような感じです。心と体の関係などに興味ある方は是非お読みになると良いと思います。

先生の著書の中で「手を<外部的脳髄>、脳を<内部的手>」として、手についての、形態学的というより、哲学的な考察を述べておられます。様々なことが重なって、「手をもう少し見直したらいいな」と思い、手に敬意を払う意味で講座を始めたのです。

「手は目の前にあるので、足よりやり易いですよね?」

実はその前段階として、フィトセラピーの入門講座でも、手浴、つまりハンドバスをやっていました。ハンドバスも今は少しずつ知られてきましたが、フットバスに比べるとまだまだ。講座の実習でハンドバスを初めて行うという人が、今でも多いですね。

でも、ハンドバスをやると、本当に気持ちがいい。脳がすっきりするので、大変喜ばれています。「足は体の疲れを取り、手は脳の疲れを取る」そんな感じですね。

しかも面白いことに、ハンドケアは、やってもらう方が気持ち良いのは当たり前なのですが、やる方も気持ちが良い。それで、データをとって、学会で発表したいと、去年からは九州保健福祉大学の通信制の大学院に行き始めました。履修がとても大変なのですが、なんとか2年生になれたので、今は修士論文にとりかかっています。

「ハンドマッサージをやる方にリラックス効果がある、という研究ですか?」

そうです。やる方に効果があることがわかれば、例えば、「疲れているからやりたくない」と思っている人でも、「ハンドマッサージをやる方がリラックスできる」とわかったら、ボランティアでやる人なども増えると思うのです。

これからは日本社会もどんどん高齢化が進み大変になっていきますが、1人の人が1ヶ月に2時間ボランティアでハンドケアをするだけでもだいぶ明るくなると思います。そういうことから、がんばってエビデンスを取って学会に出すことで、社会にも貢献できるかなと思っています。

「マッサージの効果としては、リラックスや認知症予防でしょうか?」

そうですね。自律神経のバランスが良くなったりしますから、いろいろな効果を期待できます。また、何よりも自然治癒力をサポートできることが大きいです。

大学院で、神田橋條治先生の『精神科養生のコツ』という名著を読む機会がありました。私が知りたかったことがすべて書かれているような素晴らし書籍でしたが、特にその中で、「自然治癒力が働くには、気持ちよいと感じることが大切」というところに感銘を受けました。ハンドケアは、自然治癒力を働かせるための「気持ちよさ」を、手軽に得ることができます。いつでもどこでもだれでも行えるセラピーなのです。

例えば、自殺を選んでしまう方は、体がこわばりすぎているのではないかと思います。さらに、本人がそのことを自覚していない。気持ち良さがわからないと、気持ち悪さもわからないそうです。ハンドケアをする人が多くなって、少しずつでも、自分に向き合い、自分を大切に、自分の身体を気持ちよくできる人が多くなればよいと思っています。

そういうこともあって、「手軽にやっていただきたい」という思いからハンドマッサージは1日の講座にしています。そうすると、遠方の方も参加できます。実際、九州や沖縄、北海道からも来る方がいらっしゃいます。

(次回につづく・・)

池田 明子(いけだ あきこ)   一般社団法人日本フィトセラピー協会 代表理事
                    ソフィアフィトセラピーカレッジ 校長
                    フィトセラピスト・植生工学士

臨床検査技師として病院勤務の経験から、伝統医学に興味を持ち、その後ハーブやアロマセラピーなどフィトセラピー(植物療法)を学ぶ。
植物の力で自然治癒力をサポートし、人々に美と健康をもたらすことのできる専門家「フィトセラピスト」の養成校を、2006年、東京・自由が丘に設立。
人生を豊かにするフィトセラピーの普及と植物療法の専門家「フィトセラピスト」の養成を行っている。
講演、文化活動は多岐に渡る。
夫は俳優の梅沢富美男氏、2女の母。

<一般社団法人日本フィトセラピー協会のHP>
【一般社団法人日本フィトセラピー協会】

<ソフィアフィトセラピーカレッジのHP>
【ソフィアフィトセラピーカレッジ】

<池田明子先生のブログ>
【フィトセラピスト池田明子blog】

<池田明子先生の著書>
cover
心と体を癒す手のひらマッサージ


cover
フィトセラピー生活12カ月


cover
草花のオーラで幸せを呼ぶ本 家、心、体を浄化する植物の魔力と活用法


cover
森はあなたが愛する人を守る



インタビュアー:下平沙千代(しもひらさちよ)

下平沙千代

日本一やさしい女性ケアドライバーです。
タクシー車内がセラピールームになることも・・・、
アロマハンドマッサージや、ソース・ワークショップも開催しています。

ソース公認トレーナー、アロマハンドセラピスト、NLPセラピスト
レイキヒーラー、トラベルヘルパー、NPO法人東京シティガイドクラブ会員
ブログ:『幸せを運ぶワクワクセラピー ソース』


インタビュアー:川崎綾子(かわさきあやこ)

川崎綾子

ゲシュタルト・再決断@府中「座★すわろう会」で活動中。グループの中で
お互いにサポートを得ながら、自分らしく癒されるセラピーをしています。
ペンギン好き。趣味はバレエです。

GNJゲシュタルト療法トレーニングコース修了、日本ゲシュタルト療法学会会員
NPO再決断カウンセリングジャパン会員
矢野惣一問題解決セラピスト養成講座(上級)修了
レイキティーチャー


インタビュアー:川田史郎(かわだしろう)

川田史郎

マーケティングプロデューサー、コーチ。

現状を変えていきたい人、何かをはじめたい人の
コーチングをしながら、
解決策のプロデュースや事業化のお手伝いをしています。


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
発行メルマガ:こころの栄養@さぱりメント

  • 呼吸法の日本マイブレス協会
  • 毎朝1分 天才のヒント

インタビュー集

  • 毎朝1分天才のヒント メールマガジンで30日間の無料レッスン
  • さぱりメント あなたのお悩みをさっぱり解決