第88回目(4/4) 廣水 乃生 先生 コミュニティファシリテーション研究所

アウェアネスを高めるとは、「何かしたんだ」と思うこと

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「アウェアネスを高めるために一番大事なこと何でしょうか?」

すごく単純なことで、アウェアネスを高めるというのは、気づいてないことに気づくことなんです。

例えば、「ノリさん、私のこと馬鹿にしているでしょ」と言われたとします。そうしたら、馬鹿にしていないので、「俺は馬鹿にしていないよ。何でそんな風に言うの?」って思うじゃないですか。でも、それがまさに起こっていることなんです。

「この出来事は何なの?」という時、僕が「自覚を高める」と言っているのは、「何かしたんだ」と思うことなんです。馬鹿にしたつもりはないですよ。でも、無自覚に何かしたんだと思うんです。

「馬鹿にしたでしょ」と言われた時に、「馬鹿にしてないよ!」とすぐ反射するのではなく、そこに自覚するべきことがあるわけだから、「何かしたんだ」と常にそういう風に心がけるということです。起こっていることの中に、自分が思っていることと違うことがあれば、自覚する種が隠れているわけなんです。

僕は気づいてないんだけど相手は気づいている。それは、空気感だったり、目つきだったり、言い方だったり。いつも周りの人のフィードバックから、「何かしたのかな?」ってチェックするイメージです。

「ファシリテーションの難しさというのはいかがでしょう?」

今、トレーニングクラスをやっていますけど、グループの中でいろんなことが起きるんです。いつも「ノリさん、さすが!」みたいな感じだったら嬉しいんですけど、「ノリさん、全然ファシリテーションできてないじゃん!」とトレーニーが言うわけですよね。

そこにはいろいろな心理的なもつれが絡んでいるし、その人の経験も絡んでいるんです。ある種の投影も含まれていると思います。でも僕は、その投影を引き出すだけの何かを発しているということです。なので、まず分かってほしいのは、僕の流儀で言うと、そこで戦うのではなくて、その出来事にあること、そこからどう学ぶのか、ということを知ってほしい。

いろんな声があります。「言っていることに対してかわし続けている」と言った人もいるし、「何できちんと言い返さないんだ」という風に見る人もいるし、いろんな立ち位置が起こってくる。でも、それ自体が僕やそういう人達の自覚するプロセスに関わってくるから1つ1つが大事なんですね。

その過程では、僕自身、パーフェクトトレーナーでもパーフェクトファシリテーターでもないんです。なぜかと言うと、システムが働きかけてきて、僕も知らないうちに何かするんです。

そして、「僕らはこのシステムから逃れられないんじゃないか」というのが僕の仮説としてあって、そういうことをしでかさないようになる、ということは、おそらく不可能なんじゃないかと考えています。それでは人生も面白くなくなる気がします。

それはずっと誰しも背負い続けながら進むものなんじゃないかと思っているので、だからトレーニングの過程は、相手が言っていることに一理あるから僕自身もなかなか大変です。

「だから日々学べて、面白いというのもありますよね?」

それはそのとおりですよね。ただ、僕はマニアだからやり過ぎですけど、それをずっとやっていたら頭も身体もついていかなくなるので、楽しめるレベルでやるのがいいんじゃないかと思っています。

「今、悩みを抱えている方、困っている方へメッセージをいただけますか?」

(長い沈黙)一人ぼっちじゃないということかな。

僕自身は、本当に生きているだけで素晴らしいと思っているので、どういう状況においてもそれでいいんじゃないかって思っている。「苦しいところから抜けたい」という気持ちもきっとあるかもしれないと思うんですけど、抜けたいとまで思えていればそれもいいかもしれないですけどね。

僕はあまり解決指向でもないんです。「困っていることを解決しなければいけません」とも思っていないですし。観点としては、困っていることはギフトになり得るかもしれないとは思っていても、「それをギフトにしなさい」とも思わない。

とにかく、生きているだけで素晴らしいんだと思っているから、浮かんでくる言葉で言うと、「一人ぼっちじゃない」ということですかね。どういう在り方でもいいんだ、ということですね。

だからもし、「困っていて何とかしたい」ということであれば、誰かに助けを求めてもいいし、役に立つならなんでもしますけど、何とかしてあげようという気持ちは、僕はあまりない。

だからと言って、「待っていてもいいじゃん」と言いたいわけでもないし、「困っている、苦しんでいることがいいじゃん」とも思っていないし、何とかそれを気づいた人みんなが関わることも大事です。なので困っている人に言う言葉があるとしたら、「一人ぼっちじゃない」ということかな。


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「心の仕事をしている方に、先生から一言お願いできますか?」

僕が出会える人というのは限られていますし、自分が何から何までできるわけじゃないので、心の仕事をされている方々に対して、「みなさん、僕が出会えないいろいろな方々の心のケアなり、生活の支えなりで、自分の心を砕いてエネルギーを使ってやってらっしゃるんだな」と尊敬の念を感じています。

そしてその支えによって、とても豊かな社会につながっていますし、「これまで同様に目の前に来る方々に心のこもったいい仕事を続けてください」と言いたいです。

「今後の夢や展望を、教えていただけますか?」

もっといろんな現場に行きたい、ということですね。世界を旅したいですね。世の中にあるいろんな場所ということです。何ができるか分からないけど、いろんなところに行って体験してみたい、というのは、これまでもそうだし、これからも行ってみたいと思います。

展望については、僕の中では、さっきイメージがあると言ったことは実現するという確信があるわけです。ただ、どれくらいの時間でそれが実現するかというのは、正直言うと見積もれなくて。今45歳なので、僕がトレーニングした人達が、トレーナーとして誰かをトレーニング、つまり、僕のトレーニングしたトレーナーが育てたトレーナーがどんな人達を育てているかを早く見たいですね。

プログラムの改善とか、本当の実践者をどうやったらもっと育てられるか、というのは、もうちょっといろいろな人達と一緒にやっていかないと分からないですし、応用の世界というのは、いろいろな人達の個性があるから、僕の場合はこういうやり方、ということでやってきましたが、人によって全然やり方が違うと思います。

僕はどこまでも最初に言った自分の夢を探究しようと思っていますが、今トレーニングを受けている人で意欲のある人達が活動していった時に、僕よりもいい仕事をしてほしいし、それが可能だと思っています。僕は幅広い現場で活動しているものの、ひとつひとつの現場で仕事の質はまだまだだと思っています。それに対して今トレーニングにいる方々は個性的で僕にはない素晴らしいセンスをもっています。これから出会う方々にもそれは見出せると思います。

何よりもその人自身が、僕よりもいい仕事をしていると思えることが大事だと思うし、そういう人が出てくるようにならなかったら、コミュニティファシリテーションはいらないんじゃないかと思います。そして、その人達が自分より優れた人を輩出できたら、トレーナーとしての成功だと思うんですよ。

そのためには、越えていく人を育て上げるだけの考え方と在り方とノウハウをきちんと持っている必要があるだろうし、そうでなかったら、描いている方向じゃないですね。僕の能力でどこまでできるのか疑問もあるので、どこまで自分のイメージに届くか、想像もできません。大風呂敷を広げているようにも思うので。

ただ僕は、優秀なファシリテーターを作りたいのではなくて、一人ひとりがそういう風に自分と関わる、つまり、火花に気づきながら取り込める、そういう人がいろんな場にたくさん増えるというイメージであって、そのために僕ができることのひとつは、そのトレーニングプログラムを作るということだと思っています。

でも、トレーニングを受けているとか受けていないとかではなくて、みなさんが今まで生きてきた智慧と経験の中に全部のヒントがあるわけで、あとはそれをどのように使うかの話です。

状況に気づくことができたり、考えたりできるかが肝なので、トレーニングプログラムでトレーナーを輩出するんだというのは、あくまで僕のできる範囲のこととしてフォーカスしていることです。ただ、もっといろんなルートでそういう人が増えていって、温かみのある世の中になることは僕の夢です。

結局、そのために一番重要なことは、僕自身がコミュニティファシリテーションの考えにすら縛られないときももちながら、出来事から学び続けていく自分を自由にのびのびと生きることなんだというところに戻ります。


<編集後記>

メールのやりとりだけで、当日のインタビュー場所で、はじめましてのご挨拶。
飾り気のない素朴な笑顔に、緊張がふっと軽くなりました。
廣水先生は、一つひとつの質問の言葉をとても丁寧に感じとりながら、応えてくださいました。

日本各地をさすらう旅人は、「世界平和は自分の平和と身近な人の平和から」を
ポケットに忍ばせて、街でもめごとに出会うと平和の飴をプレゼント!

分かりにくいものをより分かりやすく伝えたいという気持ちは、さすが教育者。
アツ〜い気持ちが、コミュニティファシリテーションに織り込まれているのを
感じました。(A)

廣水 乃生(ひろみず のりお)  コミュニティファシリテーション研究所代表
                    日本プロセスワーク協会会長
                 国連ESD認証プログラム・エコビレッジデザイン教育講師(世界観担当)

1968年生まれ。東京学芸大学大学院教育学研究科修了後、7年間にわたって教師を務める。教育を通して人と人とのつながりの大切さを感じ、学校と地域、行政と住民、親と子どもなど、異なる立場の人たちの橋渡しをすることを目指し、教諭を退職、米国プロセスワーク研究所にて、葛藤解決・組織変革ファシリテーションマスターコース修了、帰国後コミュニティファシリテーション研究所を設立。
ファシリテーションスキルを日常生活に活かすためのさまざまな講座や、コミュニティとそこにいる人たちをイキイキさせるコミュニティ・ファシリテーター認定プログラムを実施している。また、コミュニケーションや教育研修の講師や組織変革ファシリテーターとして、企業やNPO/NGOなどの多岐にわたる組織に関わっている。
現在は日本各地で、「世界平和は自分の平和と身近な人の平和から」を合言葉に、組織・企業の合意形成プロセスや研修、葛藤状況の話し合いの進行(ファシリテーター)をしている。「ストリートファシリテーション」と称し、街中でもめている人に介入したりする。自称「グループおたく」、「さすらいのファシリテーター」。

<コミュニティファシリテーション研究所のHP>
【コミュニティファシリテーション研究所】

<日本プロセスワーク協会のHP>
【日本プロセスワーク協会】

<参考書籍>
cover
永遠の少年


cover
人間と象徴 上巻


cover
ドリームボディ・ワーク


cover
ワールドワーク: プロセス指向の葛藤解決、チーム・組織・コミュニティ療法



インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:川田史郎(かわだしろう)

川田史郎

マーケティングプロデューサー、コーチ。

現状を変えていきたい人、何かをはじめたい人の
コーチングをしながら、
解決策のプロデュースや事業化のお手伝いをしています。


インタビュアー:高橋美智代(たかはしみちよ)

高橋美智代

不惑を過ぎてから、心理学を勉強中の身です。
一瞬一瞬を、共に過ごす人々と、大事にして生きていきたいと思う
今日この頃です。

好きな動物:猫
趣味:読書 ピラティス
レイキマスター


インタビュアー:大島まさあき(おおしままさあき)

大島まさあき

大島まさあきと申します。年齢は木村拓哉さんと同級生になります。

現在、働く悩み専門カウンセリングを行っています。
小田急 新百合ヶ丘で活動しています。
働くことに苦痛、違和感を持ったまま働き続けると
人生の大きな舵取りを誤る可能性があります。
自分を見つめ直す機会を持ってみませんか? お気軽にご相談下さい。
HP:働く悩み専門カウンセリング


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
発行メルマガ:こころの栄養@さぱりメント

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