第85回目(3/4) 宗像 恒次 先生 SAT療法

潜在意識を担う「身体感覚」を、入口にする

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「SAT療法では、セラピーをどのように進めていくのですか?」

どうするかと言うと、どのようなケースもストレスが伴いますよね、例えば、上司とか嫌な人でそれがストレスであるとしますね。その上司の言動を目を閉じて思い出してもらって、瞬間的に「頭、首、肩、お腹、どこか緊張しますか」と聞きます。そうすると、たとえば「頭、首、胸、お腹」と言いますね。

「それらの部分はつながっている感覚がありますよね。キメラが連続して分布している所なんですよ」と説明すると(図2)、観察者には分からなくても本人は分かってくれるんです。

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図2:紫外線撮影によるキメラ細胞による色素沈着
引用:Pearson, Helen: Human genetics‐Dual identities, Nature 417,10-11(2002).


そして目を閉じてもらって、身体の感覚を感じてもらいます。側頭葉下部に紡錘状回という「顔認識」する箇所と、頭頂部の小葉に「身体感覚」を感じる部分があるんですが、そこが多重感覚を起こすんですね(図3)。

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目を閉じて嫌な顔を思い出すと、胸がキュ―となるとか、匂いで言うと嫌な匂いとか、音で言うと嫌な音とかが出て来るでしょう、五感が情報混同しちゃうような。

「共感覚のような?」

そう共感覚。目を閉じると皆そうなる訳。目を閉じて、目を閉じて嫌な顔を思い出すと、胸がキューとなることの反対のことをする。

ストレスで身体違和感を感じるところは、キメラ細胞が多く分布しているところなので、身体の違和感を感じ続けてもらうと、紡錘状回がキメラ親族の顔認識でき、どんな顔が浮かぶのかを聞くと出てくる。身体違和感のあるところにいるキメラ親族は、男か女か、恐怖顔か心配顔か、怒り顔か、悲しみ顔か、何歳代の人かと問うと、その方が浮かんで来る。

これまで自覚できていなかったけれど、普段もその方が脳に浮かんでいるのですね、それが職場の人や家族に投影して人間関係に反映している。

たとえば、キメラの親族が般若みたいな顔をしていたりすると、次にそれを見て生じる身体違和感がある部分を黄金色や黄色などの中波長の光で包むと、身体感覚はどうなり、その人の顔表情はどうなるかを問うと、「あったかい」などのイメージが出てきて、顔もいい表情になるのです。

これは動物実験で分かっているのですが、ストレスで緊張すると末梢神経末端からノルアドレナリン分泌が起こり、それを受容した細胞にNaやCaなどプラスイオンが流入し、脱分極化して活動電位が生じるのですが、中波長の光を当てると、過分極化してリラックスした状態になるんです。

そしてリラックスした状態ではどんな顔かと聞いてみると、丸顔、四角、面長、穏やか、笑顔、男、女、きょうだいの年代、自分の子どもの年代、親の親族の年代とかが見えてくるのです。

キメラ細胞も老化して歳をとります。浮かんで来るのが、自分の子どもの年代だったり、きょうだいの年代であったり、各細胞には年齢があるので、年齢も分かる。気質も分かるから、顔の形も分かって、面長とか角張ってるとか丸とか出て来る。

「見えてくるのですね?」

色も見えて来ることがある。色が白いとか、ぽちゃっとしているとか見えて来るので、代理顔表象リストを提示し、この顔はリストのどれに似ているかを聞く。この代理顔表象というのは笑顔か穏やか顔しかないので、それを毎日見ることで、固定化させるのですね。

普段はストレスがあるのと、身体違和感が生じ多重感覚現象で紡錘状回は嫌なキメラの顔認識をしているから無自覚に自分の気分を悪くしている。だから情緒不安定な自己イメージを毎度体験する。すると自己イメージの思い込み、つまりパーソナリティ特性が情緒不安定なものになる。

しかし、そのキメラの笑顔か穏やか顔の代理顔表象を見ているので、安心し、普段の自己イメージが改善し、測定してもパーソナリティががらっと変わり、情緒安定感のある人格になる。

私の代理顔表象はスマホの待ち受け画面に入れている。それは奥さんの笑顔の顔に似ているのですけど、これだと怒らないからね。多分この顔を期待しているので、この顔とズレると私は不満を持つんでしょうね。自分の中にキメラの親族がいるから、その人の顔で女房と出会ったというか、引き寄せてた訳。パートナーって皆そうではないかな。下地があって引き寄せて出会っている。

癌をもつ人を病院やクリニックで心理治療をして、研究で100人以上をSAT療法をして五年以上も追跡したことがあるんです。身体の中の親族達、つまり右肩、左肩、胸、背中の中にいるキメラ親族の代理顔表象をいつも見てもらうと、身体中が楽になる。そうするとパーソナリティ測定すると人格が変わってくる。

血液検査をすると、自律神経もバランスを保ち、免疫力も改善し、p53やRBといった癌抑制遺伝子も発現し続ける。癌という遺伝子異常の細胞を作るには、10年以上続く親子関係や夫婦関係や職場関係など慢性ストレスがあるが、そのストレスが消えるのです。これは世界でも珍しい研究ですが。

私は本人の納得することしかしません。「今どんな問題を解決したいですか。このチェックリストで、どこを変えたいですか。あなたが希望したことしか改善できません。こちらが変わった方がいいですよと言ってもそれは無理なんです」と説明します。本人の意思を担う前頭葉の動機がないと進めることができませんから。

「ご本人の希望をお聞きになるのですね?」

もちろん本人がもっている問題に従って動機づけ面接をしてからですが、何を希望するか聞いて、それをやっていく。

たとえばストレスの原因になっている職場や家族との人間関係を変えたい希望があると、その方の嫌な顔を浮かべたり、あるいは変えたい行動があるとすると、その行動を邪魔する感情は不安か怒りか悲しみか、その心の声で表現してもらい、たとえば「どうなっちゃうんだろう、という心の声を何度も言うと身体はどうなりますか?」と身体性に持っていく。すると「この辺がギューと締まります」とかと言うよね。

顕在意識の「感情」が入口じゃなくて、潜在意識を担う「身体感覚」が入口になっている訳。普通、心理療法は気持ちや感情が入口でしょう。異なる感情でも実は身体感覚にしたら同じものであったりするんだよね。

身体性という潜在意識レベルでは同じであることがある。不安も怒りも悲しみも、夫、母親、父親への不満といっても、身体感覚にしたら皆同じだったりするの。同じキメラの周辺の違和感から来ているということが分かるんです。

普通に言うと全然違う事象でも、身体性に持って来ると同じものになることがある。たとえばキメラの方のイメージを変えてしまってから、夫に対してどう感じますかと聞いたら、これまで離婚しようと思っていた人が「夫は優しいですよ」と言い出すんですよね。「エー?」と言いたくなるところですよね。

相手の良いところを見つけられたら良い関係になっていく。悪いところ見つけるから、思い込んで悪い関係になっていく。良いところを頼りにして生きていけば良い関係が出てくる訳ね。

夫との悪い関係のままで癌が良くなる訳がないじゃない。ものすごい慢性ストレスがあるから炎症性サイトカインが出て、非自己であるキメラを攻撃する。それに導かれて抗体や白血球が攻撃するんですよ。異物としてターゲットになっちゃう。これではキメラと共存できないですね。

だから皆が笑顔にならないと治るものが治らない。統合失調症でも癌でも同じ高感度CRPで測定できる低レベル炎症がある。皆の笑顔が必要なのです。家族の嫌な顔から連鎖し、嫌なキメラの顔表情が現れ、顔反応性細胞をもつ扁桃体がネガティブな情動を発現しないようにね。


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「具体的な流れとしては、どの様になさるのでしょうか?」

予め送って記入してもらったチェックリストをもって来てもらうんですよ。またインテークでどういう問題があるのかをインターンに聞いてもらっておきます。また本人が何をしたいか、どうなりたいか、それから問題状況に見合った動機付けをします。

家族や本人に、鬱病や躁鬱病や統合失調症は部位こそ違うけれど脳内慢性炎症の結果だから、スライドでその科学的証拠を出して、炎症だから慢性ストレスを改善出来れば、炎症が引いていって回復すると。たとえば鬱病は、海馬や扁桃体の回復は慢性ストレスを解消して三カ月だと説明します。

動機付けの際に、気質の話もしますね。不安気質とか執着気質とか、生真面目な執着気質の場合はとにかく「まあ、いいか」を何度も言いなさいと。不安気質には「なんとかなるさ」「もう考えるのやめた」とか、この三つだけなので、分かりやすいんです、もちろん気質を作りだす遺伝子の話をスライドを見せてします。

そういう話は冒頭でする。気質遺伝子の科学的説明をしたり、記入してきてもらったチェックリストからなぜメンタルヘルスが悪化したり、身体症状や行動症状が生まれるのかを初めに説明することで、なるほどと感じてくれるので、それは信頼関係を作っているという訳です。

何となく話が信じられるなと思ってくる。これまで治らなかった方が来るので専門家不信があったまま、ここに来ることが多いのでね。なぜ自分がそんな病気になったのか説明されないままなので、そういう説明をすると、なるほどと思ってくれる。

統合失調症や摂食障害やアスペルガーなどの場合、まず家族が変わらないといけない。つまり家族療法をしなくてはならない場合が多い。家族の顔や声の表情がピリピリ、トゲトゲしていることが扁桃体を刺激し、その慢性ストレスから低レベルの脳内炎症や身体炎症が生じて、問題を増悪化しているので、家族環境の改善なしに本人が良くなる訳がない。

家族を変えることの大事さを家族に相当説明しないといけない。そして家族が初めにSATを受ける。家族が変わると本人に治療意欲が生まれる。そしてSAT療法というのはこういうことをするのだが、本人に興味があるかと聞きますね。あると言えば、「これからどうしたい?どうなりたい?」となるんですよ。

ではこれからSAT療法をしますが、「では、その前に新しい科学知識を知ってもらわないとね」とキメラ細胞や慢性炎症の話をするんですよ。

慢性ストレスで非自己であるキメラ細胞への免疫攻撃が起こる、というようにスライドで説明すると自己免疫疾患、また自己免疫疾患の一種である癌なら分かりやすいでしょう。精神病の説明も、実は脳はキメラ細胞だらけなんですよ。女性の65%の脳の中には男性のキメラ細胞が存在している。そういう最新の科学的証拠を出します。

そして鬱病や躁鬱病や統合失調症のどの部分が炎症を起こし神経損傷を生じ、どのような症状が生じるかをPETやfMRIのスライド写真を出して説明する。そしてどうしたら回復するかを説明する。

こうしてキメラ細胞や慢性炎症や病気を理解し、SAT療法の方法に納得してもらう。納得してもらったら簡単で、スーっと行く。そうすると、身体違和感を入り口にして、さっきみたいに嫌な顔表情のキメラの方が見えてくるでしょう。「なんだこれ」って思うじゃない。「そんな顔見るのは嫌ですよね。これから良い顔にしますよ」として、暖色系を使いリラックスさせると良い顔になる訳。

解決したい問題を入り口にして、身体感覚化をさせて、緊張している場合はストレス度を聞いてみると、例えば90%であるとすると、見出した代理顔表象をみていると、「どうなりましたか」とストレス度を再度聞くと、「もう10%くらいに低下しました」と。「では、あとの10%をゼロにするには」と、もう一回やるんですね。そして0%にする。

たいていはキメラ親族は二人目、三人目、四人目って出すんだけど、そうやって0%にする。0%にしたら、元の問題についてどう感じるかと聞くと、すると「大丈夫」と、感じ方が変わるから、「○○さんは…というような良いところがある」からと、考え方が変わり、「穏やかに話をしてみる」というように行動が変わる、という風にして情動認知行動療法をする訳です。

その行動を変えると同時に、キメラ親族として見出した代理顔表象を常に見て頻回刺激するために「携帯に待ち受け画面に入れる、手帳や冷蔵庫や寝室や仕事場などに張る」のどれを取ると聞き、それを実行してもらう。

常に代理顔表象を眺めることで、自動的に顔反応性細胞のある扁桃体のネガティブな情動発現を止められ、「精神的、社会的、身体的に適応的な自己イメージ」となり、それが脚本化(思い込むこと)することで、前向きなパーソナリティ特性に改善する。

またこの代理顔表象を見ていると、先ほどの事例では「夫は優しいところもあるから」と言うので、「これからどんな行動をとる?」と聞くと「ご飯でも誘う」と言う。こういう風に行動が変わる。

一定期間に生じるあらゆるストレスを解決できる「精神的、社会的、身体的に適応的な行動」に気づく自己情動認知行動療法を習慣化してもらう。こうして代理顔表象と行動変容が両方相まってうまくいくことで生きていくことに自信と希望が持てるようになる。

(次回につづく・・)

宗像 恒次(むなかた つねつぐ)  筑波大学名誉教授、SAT療法開発者
                     株式会社SDS代表取締役社長
                     ヘルスカウンセリング学会会長

1948年、大阪府豊中市生まれ。筑波大学大学名誉教授。保健学博士、社会学修士。
日本看護協会調査研究部、国立精神衛生研究所主任研究官、国立精神・神経センター精神保健研究所研究室長、カリフォルニア大学神経精神医学研究所客員研究員、ハーバード大学医学部客員研究員、世界保健機関(WHO)エイズ世界計画研究顧問および薬物依存部顧問を歴任し、現在、日本保健医療行動科学会顧問、ヘルスカウンセリング学会会長。
1993年にヘルスカウンセリング学会を設立し、2003年に特定非営利活動法人化し、公認ヘルスカウンセラーの専門資格(厚生労働省ホームページhttp://kokoro.mhlw.go.jp/qualification/参照)を養成する活動を行っている。イメージ療法、情動認知行動療法に基づくカウンセリング・セラピー技法としてSAT法(Structured Association Technique)を開発し、その普及のために筑波大学発ベンチャー企業(SDS)も設立、日本、中国、ドイツなどで多数のSATセラピーセミナーを開催している。
セラピーを受ける患者やクライアントが、心身の問題を自らの成長エネルギーへ変えていくことができる「SAT療法」と呼ばれる独自に開発したイメージ療法、情動認知行動療法を確立する。またそれに基づいて、脳、心、免疫、遺伝子発現の関連を世界に先駆け研究をしている。

<宗像恒次先生のHP>
【筑波大学発ベンチャー株式会社SDS】

<ヘルスカウンセリング学会のHP>
【ヘルスカウンセリング学会】

<宗像恒次先生の著書>
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SAT療法


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SAT法を学ぶ


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健康遺伝子が目覚めるがんのSAT療法


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遺伝子を味方にする生き方



インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:福田りこ(ふくだりこ)

ふくだりこ

あなたの中に隠された宝の箱を開けてみませんか。

潜在意識に直接アプローチする心理療法を中心に、
自己受容と自己変容のプロセスに寄り添って行きます。

心理カウンセラー
米国催眠士協会認定ヒプノセラピスト
HP:セラピールーム・サンクチュアリ


インタビュアー:塩野博雪(しおのひろゆき)

塩野博雪

2008年11月にボディケア・トレーナー資格
2011年9月に和みのヨーガインストラクター資格
2013年3月に介護のヘルパー2級資格取得。

現在、横須賀で整体の店『星のなごみ』を開業しています。
いつまでも皆様を健康で若々しくあり続けるようにするべく、頑張っています。
塩野博雪 54才


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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