第84回目(2/4) 江夏 亮 先生 江夏 心の健康相談室

夢は、人生の羅針盤になる!

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「先生の夢分析は、専門家が夢を解釈するという形は取らない、夢は夢見手のものだ、と御著書にありますが、そのあたりを教えていただけますか?」

それは、私のオリジナルではなくて、アメリカの方ではドリームワークの草の根運動のような形で1960年代後半ぐらいから、最初はポップサイコロジーみたいな分野で始まったんです。私が行った90年代の前半の頃には、もうそういった流れというのは既にあったんです。

臨床寄りの人達もその考え方を採用していて、だからそういう意味では全然新しくない訳です。ゲシュタルトの夢のワークも、そういう哲学の中に入ります。

だからそれが当たり前で、1960〜70年の初めにインパクトがあった本が数冊ポップサイコロジーの中にあるのですが、それを書いた人達も、「専門家が自分の夢を解釈してくれたけど、全然ピンとこなかった」と。それが出発点になっていて、私が向こうに行った時には、ある程度共有されていました。

ドリームワークというカテゴリーは、そういう考え方が多く、夢は夢を見た人が自分で感じるものだ、と。そのためのテクニックはこうするんだ、というような本は、巷にもう普通にありました。

「夢を見た人自身が、自分で感じるものなのですね?」

私は最初からそういうものに触れていたから、そういうもんだっていう感じです。ちょっと考えれば、専門家が「あなたの夢はこういう意味ですよ」って言ったって、それがピンとこなかったら、「はぁ? 何言ってるの?」みたいになりますよね。

それで、この本を書く時に、一般読者を相手にするから、もう少し理論武装をしなきゃ、と色々調べたり考えたんですが、例えば、「私はユング派ですから、ユング派の分析をします」という場合、「根拠は一体何だ? その分析が正しい根拠を見せろ、証拠だせ」って言ったらどうなるか?

結局、科学者、理系の人間として、「データは一体何なんですか? 自分が受けたトレーニングがそれだからそれが理由なんですか?」ということです。

今は本当に色々な流派があって、特に西海岸のセラピスト達は色々な流派を学んで、相対しているクライエントさんにどのやり方がこの瞬間いいんだろう?ということを模索しているわけです。

どの考え方が、今この夢を扱うのにいいんだろうっていうことを、セラピストは真剣に考えて、そこのところで実践を積んで、自己研鑽を積んだ方が良いだろうなと思います。

「夢占いと根本的にどう違うのかというところも、ご説明いただけますか?」

夢占いは、100%他人の意見を取り入れるわけですから、その根拠がどこにあるかも分からないし、自分でやる夢分析というのは100%自分の中から出てくるものですので、そこが決定的に違います。

根拠は?と言われた時に、人というのは、自分にとって本当のものを見つけた時には、ちゃんと心が動くので分かります。周りの人がそれはあなたにとって本当のものだと言っても、あなたにとって本当のものではなかったらちゃんとそれが分かります。

それは、頭ではなく、心で分かるものです。腑に落ちるという感覚、みんなに共通するもののようですので、腑に落ちるものは自分の中から湧いてくるし、それを自分でちゃんと腑に落とすこともできるし、それが一番安心安全だと思います。

「願望から、夢を自分の都合のいい方に解釈してしまうこともあるかと思いますが、そのあたりは、腑に落ちることが有るか無いかで判断できますか?」

難しいところもありますが、都合良く解釈してもいいと思います。それが本当にまずければ、また夢で返ってきたり、現実に何か起こったりしますから。

「では、間違っても大丈夫ということですね?」

間違いといいますか、やってみないと分からないことは一杯ありますから、まずは、やってみて、違ったら、こっちかなとまたやってみるという繰返しですよ。

「先生にとって、夢はどんなものだと思われますか?」

カッコよくいえば、人生の羅針盤になるものですね。

ユングも言っているように、我々の無意識の方が遥かに広大だし、夢っていうのは自分のお馬鹿な意識を上手に補正してくれると言うか、日常生活のこの近辺のことしか見えない自分に大事なことを思い出させてくれたりとか、そういうことをしてくれるのが夢だという風に思っていますよ。

それは日々の実感だし、夢に触れてからウン十年の実感です。

「夢を自分で分析していくやり方について教えていただけますか?」

まずは、この本に書いてあるように、自分の日常生活と照らし合わせて、「何か大事なことに関して、夢が自分に何かを教えてくれている」と、そう思って自分の夢と付き合い始めたら、だんだんとテクニックに頼らなくても分かってくると思いますよ。

全ての夢を羅針盤にしようと思わなくていいと思います。それは大変だし。


時々、何か印象に残っている夢があったらそれを覚えておいて、それって今の自分のこの人生に対してどんな光を投げかけてくれているのかなとか、そういう見方で夢を見てみる。その時、ふっとどんなことを思いつくのかというところが一番大事なことかな。


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「夢カウンセラーとして、クライエントさんに具体的にはどんな風に援助なさるのですか?」

単発で来られるとやりづらいんですけど、長期でやっているクライエントさんだと、クライエントさんの流れっていうのを共有していますから、夢とこれまでの流れ、今の状況を照らし合わせると、何となくピンとくるものがあるし、クライエントさんもそんなところがある。

そうすると、すごくシンプルに「夢の中でこういう場面で出てきていますけど、そこからどんなことを今感じますか?」「どんなことを言ってると思いますか?」みたいな質問をすると、ふっと出てきてっていう感じですかね。

本は、それなりにまとめるために夢のメッセージってことを言ってるけど、メッセージは別に分からなくてもいいんです。

探索的に夢からいろんなことを思い出して、それと今の自分の人生を照らし合わせてっていう作業だけでも、いろんなことがクライエントさんに起こりますから。

見た夢を話してもらって、夢のシンボルやストーリーからどんなことを感じたり、思い出したりするか、もしくは思ったりするか。将来のことも含め、それをできるだけ自由にリラックスして話してもらって、何となく「そうか」とか、「こういうことかな?」みたいな感じをクライエントさんが抱いていただければ、それで良しですよね。

「クライエントさんご自身が自発的に自然に感じ取るということですか?」

“感じ取る”ところまでいかなくてもいいですよね、何か感じれば。いろんなものが出てくれば、出てきたものを「全体に引いて見るってこういうことか」って、クライエントさんはいろんなことを感じますよ。

「自分の夢であっても、抵抗や恐怖が出たりという場合もあると思うのですが、そういう時は先生はどんな風になさるのですか?」

「今こんな抵抗があるんだね」「こういう恐怖があるんだね」って感じでおしまい。

その抵抗自体が本人にとって気づいていないことであれば、それはすごく大事なことだし、恐怖もそうですよね。自分はこんなことにこんな風に恐怖を感じてたんだってことが新しい発見であれば、それはそれですごく意味のあることです。

「そこを無理に押したり引いたりということはなさらない?」

あまりしないです。クライエントさんはそういうものが出てきた時にどうしていいか分からないから、私の役目としては、心理の専門家として「気にしないでいい」「こんなもんだ」みたいなね。

恐怖があればそれをちゃんと受け入れて、その恐怖と共に生きていった方がいい訳だし、「あなたがこの恐怖に関して本当にもう少しやりたいと思えば、一緒にやっていくこともできるし」って言う。

新しいものが出てきて、頭が混乱したりパニックになった時に、クライエントさんの知らない知識を教えてあげたりとか、「こういう状況になる人は一杯いるから心配しなくていい」とか。今日はもうこれで十分ですからっていう安心感を与えるのが、私の役目だと思います。

「イメージングについても教えていただけますか?」

イメージはこれは重要ですよ。もっと臨床心理でもイメージは活用した方がいいと思いますよね。イメージのどんなことが訊きたいですか?」

「怖い夢を怖くない夢に変えていくとか、色々なテクニックがあるかと思いますが、イメージでやっていくことの意味や先生の進め方などを教えていただけますか?」

イメージは基本、クライエントさんがイメージをリアルに感じている時には、イメージの世界と現実世界の体験と私は区別しないんです。同じ効果がクライエントさんにはある。

イメージの世界の大きな特徴っていうのは、イメージの世界の方が、現実世界に比べてクライエントさんの創造力やクリエイティビティ、自由度が高いと思う。これは大きな違いでしょうね。

だからそれを使うと、例えばイメージの世界で、何かクライエントさんが良い体験をしたとすると、それをクライエントさんがリアルに感じていれば、クライエントさんが現実にそういう体験をしているのと同じような心理的な効果や影響をクライエントさんに及ぼす訳です。

「イメージでも、充分、心理的効果はあるのですね?」

だけど、イメージの世界はたかがイメージだから、いくらでも簡単に追い払うこともできるでしょう。そうすると、クライエントさんにとって心理的にものすごくチャレンジングな状況とかって時に、実際に現実生活でいきなり対応するよりも、イメージの世界でまず対応することができる。

認知行動療法なんかでも、認知が変わるとその人の感じ方や感情が変わるっていうのは、これは事実ですよね。これは事実なんですけど、認知だけ扱っていてもなかなか変わりづらい。その時にどうやって認知が変わるかっていうと、行動することによって人は変わっていく。ゲシュタルト的に言うと、人っていうのは体験によって変わっていく。

そうすると、例えば、どうしても特定の人に対して優しくできないとかってあるよね。なんでその人は、特定のある雰囲気を持った人に優しくできないかっていうと、成育歴のどこか、もしくは過去世のどこかでトラウマを負っている訳ですよ。

この人に対して優しい言葉をかけた方がいいと分かっていても、心理的にとてもできない。そういう時にどうするか。イメージの世界での良いことは、リアルな変化を我々にもたらす。そして自由度もすごく高い。そうすると、イメージをイメージで放っといちゃいけない。

「ケアしていくのですね?」

クライエントさんと話していて、例えば、子どもとして誰かから暴力を振るわれて、一人ぽつんとしているみたいなイメージが出てきた時に、それはその人の中に心象風景として残っている訳ですけど、現実にそういうことが起こった時に、どういうケアをするのかっていうこと。普通はそういう子どもがいたら、優しい大人が話を聞いてあげて、「つらかったね」とかね。

親から一方的に怒られたとかだったら、実際にできるかできないかは分からないけど、「一緒に親のところに行って、もう一回親に自分の言いたかったことを言うのを私が後ろから支えてあげるから」とか。例えばこういうことが現実に起これば、親から一方的に怒られて、半分見捨てられたみたいなトラウマも癒されていく訳でしょう。

親はそういう親だし、現実で起こすことはできないかもしれないけど、イメージを使うことでトラウマとして残らないかもしれない。

イメージの中でそういう体験をするっていうのは、もしもリアルにそういうことがクライエントさんに起これば、現実に起きたのと同じような心理的な効果がその人に起こる訳です。それはイメージの持つ世界の強みだと私は思っています。

「イメージの中で体験していくのですね?」

イメージも現実も、クライエントさんにとって、もしくは我々にとってもリアルなことです。そのリアルさが現実世界とイメージの世界ではちょっと違うけど、イメージの世界もクライエントさんと一緒に上手に作りあげていくとすごくリアルに感じて、そうすると現実に起こったのと同じくらいのリアルさで癒しが起こる。

まさにクライエントさんにとって本当にカスタムメイドされた、ピンポイントで癒しになるようなそういうイメージ体験を一緒に作っていくことができるんです。ただクライエントさん一人では難しい所があります。

これは実際にあった例ですけど、最初の出発点が何にもない空間に自分が一人ポツンといて、真っ暗で周りには誰もいない。そこに例えば、3〜4歳くらいの自分がポツンと一人寂しくいるっていうイメージがフッと出てきた時に、それはそこで放っておかない。

一緒に3〜4歳で宇宙空間にポツンといる自分自身をちゃんとケアしましょうってことで、イメージの世界でケアするっていうことは、実際にその人が3〜4歳の時にケアされるのと同じ質の癒しの体験をする訳です。

「それは大人のクライエントさんが行くのですか? それとも先生が?」

私と一緒に大人のクライエントさんが行くんです。もしくは自分でイメージを作っていくことができれば、自分で作っていきます。大概自分で作れます。こちらがそういう風な枠組みを作って、そういう風な誘導をしていって、クライエントさんが乗ってくればね。

その時にセラピストの感受性としては、本当にクライエントさんにフィットしているかということを確認しないと、言われたからやっているっていうんじゃダメだから、その辺の感性っていうのがこちらの方には必要だろうと思います。

どういう状況に関しても、そこのところを知っていくと、どういうイメージが出てきても、共同作業として修復していくことができる。それはクライエントさんがリアルに感じれば感じるほど、現実にそういう体験をしたのと同じ効果、癒しがその人に起こる。

そういう肯定的な体験をすると、例えば今まで本当に人から愛されたことがないっていう人が、想像の中で誰かから愛されてそれを自覚できれば、人から愛されるっていうのはこんなにいいものだと知ることができる。

人っていうのは知らないものに対しては、知らないが故に近づいていけないけど、想像の中でもそういうものを一旦知ると、これはいいものだと自然と日常生活の中でもそういったものに対して、だんだんと心をオープンにできるようになる訳です。

「そうやって変えていくのですね?」

だから、想像の中で、セラピストと一緒に設計するような感じで体験をしてもらって、それがその人の中にちょっとでもいいからいい形で定着すると、今度は日常生活でもその人はそういう体験で心を閉じなくなるから、現実生活の中でも冒険してみようかっていう風に一緒にやっていくことができるんですよね。

それに一番最初に気づいたのは、悪夢を放っとかないで、悪夢を想像の中で自分に良い方向に持っていくことからです。

本の中に書いてあるのは、怪獣に追われて怖いっていうところで終わっている夢だったら、そこから無事に逃げ切るとか、夢の中だから、スーパーマンでも何でも自分の味方を呼んで、一緒に戦って勝つとか、それをイメージでやる。

それをやっているうちに、深いインパクトをクライエントさんの中に及ぼしているなっていうのがだんだんと分かってきた。イメージの世界がすごくリアルで、リアルさを失わないように取り扱っていくと可能性が開けるっていうことに気づいてきたきっかけは、夢の取り扱いがベースになっています。

(次回につづく・・)

江夏 亮(えなつ あきら)  江夏 心の健康相談室 代表、臨床心理士
                  カリフォルニア臨床心理大学院准教授
                  公認ゲシュタルトセラピスト、日本ゲシュタルト療法学会理事

東京大学卒業後、日本鋼管(現NKK)中央研究所へ入社。新製品の開発の功績により社長賞受賞。
退職後、東京ゲシュタルト研究所のチーフマネージャー・講師として夢のクラスや「夢とアートを使った創造性開発コース」等のプログラム開発に従事。
1990年春に渡米。トランスパーソナル心理学教育研究機関として世界最高峰の大学院大学、トランスパーソナル心理学研究所(ITP:Institute of Transpersonal Psychology)を始めとしてアメリカ西海岸を中心に様々なトレーニングを受ける。アメリカ留学中ITP新入生への短期集中ワークショップで夢のセッションを担当したり、Asian Social Assistance Center (米国)で夢について講演を行う。
1993年末に帰国。心の健康相談室の代表を務め、個人セッション、グループワークを行う。また心理学コンサルタントとしても幅広く講演、研修、雑誌の原稿執筆と活躍中。プロのカウンセラーや心理学の専門家のためのセラピストとして信頼を集めている。現在、ゲシュタルト療法、認知行動療法、ナラティブなアプローチを軸にした統合的な心理療法を研究中。メンタルヘルスの企業研修も積極的に行っている。
トランスパーソナル心理学修士(ITP)、化学工学修士

<江夏亮先生のHP>
【江夏 心の健康相談室】

<カリフォルニア臨床心理大学院の江夏亮先生のページ>
【カリフォルニア臨床心理大学院】

<江夏亮先生の著書>
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自分でできる夢分析


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友だちで悩む人の処方せん



インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:前田みゆき(まえだみゆき)

前田みゆき

身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
人とのご縁で、気づかされることが喜びです。

自称 遅咲きさん

コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中


インタビュアー:塩野博雪(しおのひろゆき)

塩野博雪

2008年11月にボディケア・トレーナー資格
2011年9月に和みのヨーガインストラクター資格
2013年3月に介護のヘルパー2級資格取得。

現在、横須賀で整体の店『星のなごみ』を開業しています。
いつまでも皆様を健康で若々しくあり続けるようにするべく、頑張っています。
塩野博雪 54才


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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