第81回目(4/4) 向後 善之 先生 統合的カウンセリング

日本に、エサレン研究所みたいな場を作りたい!

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「心の仕事に就きたい方にメッセージをお願いできますか?」

心の仕事に就きたい人達が、「人のためになりたい」って必ず言うんですけどね、傲慢だと思うんですよね。ありとあらゆる職業が人のためですからね。エンジニアだって、エンジニアリングの力を発揮することによって、最終的には世のため人のためになっている訳でしょう。

人のためになりたいから、カウンセリングっていうのは大きな間違いです。共感する気持ちを共有したいっていうのなら分かるんですけどね、人のためって言ったところでもう上から目線になっているんですよね。そこを気をつけなさいよって思いますね。

僕は怒らないけどね、彼らは誰かから教わっているんですもんね。「それはちょっと違うんだよ」ってやさし〜く伝えています。

それと、クライエントさんのプロセスを徹底的に信用しなさいってことです。必ず治まっていくんです。信用しないと、だいたい過剰介入になってくるんですよ。怖くなっちゃうから、とりあえず何か介入してしまう。

反応がないから次から次へっていうのはやめてね、一回投げて、どういう風になっていくかを、一サイクル見なさいって言っています。どうしても自分でできないんだったらリファーすればいいんだから。

出来るだけ見なさいと。そうするといい所に落ち着いていくことが多いから。クライエントさんを信頼、信用することですよね。

「そういうことですよね」

それは言葉で言うのは易しいんですけど、やっぱりトレーニングだと思うんですよね。それともう1つ。「自分の心の動きに敏感になりなさい」ですね。

やっぱりいろんな心の動きが出て来るから、その時にしっかりと自分に気づいていく。母親と似ているクライエントはやめなさいってよく言われます。あまりに似すぎている場合ですよ。多少似ているくらいはいいんです。

なんか母親としゃべっているような感覚になるっているとね、カウンセリングセッションが、カウンセラーの母子関係を反映したものになってしまってうまくいかない場合があるので、その場合はリファーするんです。自分の中で起きていることに気づけば、適切にリファーすることができます。

それから、カウンセラー、セラピストっていうのは、ネガティブな感覚みたいなのを押さえちゃう傾向があります。愛と癒しの職業だから、怒りだとかそういうのはよろしくないってね。しかし、そうした感情は、カウンセリングを進めていく上での大切な判断材料になり得ます。

「逆に、カウンセラーになったらまずい方というのは、いかがでしょう?」

まずい方は、「私が私が」が前に出すぎる人。私がやってあげるみたいな傲慢な感じ。ある種の自己愛的な傲慢さみたいなのがある場合は、それが治るまではやらない方がいいのかもしれないですね。そういう方は、カルトのグルか何かになられた方が、いいかもしれないですね(笑)。

自分の理論を押し付ける人、これもいけない。CIISの先生から言われたことで、すごく印象的だったことがある。「クライエントに理論を合わせろ」と。理論にクライエントを合わせるんじゃないっていうことです。

「まさに、そうですね!」

「合う理論がなかったらあなた達が考えればいい」とも教えられました。心理学はフロイト以降、たかだか100年の歴史しかなく、学問としてはひよっこだと。これからどんどんどんどん新しい理論が提案されていく時期なのだから、自分の頭で考えなさいって、さんざん言われたんです。

「イマジネーションやクリエイティビティが大事ですね?」

そうですね、それと直感ですね。その人といる時に、ふっと何か「これをやったらいいんじゃないか」っていうのが出て来る。その時、完全に自分が落ち着いていないとね。

「頭に血がのぼって、理論を考えている時には出ないですからね」

出ないですねー。

「今、悩みを抱えているという方へメッセージをお願いできますか?」

悩みの種類にもよりますけどね、僕は人間性心理学の考え方に共鳴しているところもあって、ありとあらゆる悩みは、成長のための混乱だと思うんですよ。それが病理にまで発展しても、鬱だとかパニックだとか、精神病になったとしても、それは、基本的には、僕は成長のための混乱だと思っています。

実は、脳の器質的な問題っていうのはあって、そういうのに対しては違いますけど、そうでないものに対しての前提は、全部成長のための混乱だと思っているんです。


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「先生が今、興味を持っていらっしゃるものを教えていただけますか?」

統合失調症ですね。統合失調症のクライエントさんは、文献によると20%〜30%くらいは治る。要するに、薬がなくて生活ができるようになるってことです。今は統合失調症になった時点で全部薬じゃないですか。

「一生飲む形ですよね?」

そうじゃなくて、何かあるんじゃないかと思っているんです。幾人かのクライエントさんは、統合失調症と診断されて、誤診ではないと思うんですけど、治っていきました。治らない人もいました。でも、大事なのは、治っていった人もいるということです。

今後、見極めみたいなのをやって、その人に合うアプローチみたいなのをできればいいなと思っているのが1つですね。

「他にもおありですか?」

あとはね、今、セラピスト・ビレッジっていうのを作っているんですよ。そこで何をやっているかっていうと、みんなで自分の得意な理論や技法を持ち寄るんです。そこでみんなでシェアします。秘密主義じゃない。

だからそこでご披露した技法や理論はFacebookで全部、今日はこんなのがありましたって披露しているんです。そういう会を一年半くらい前に立ち上げて、定期的にやっているんです。そういう感じのムーブメントを作って、さらに壮大な夢になりますけど、日本にエサレン研究所みたいなのを作りたいなって思っているんです。

「東京に?」

東京とは言わないけど、日本にね。みんながエサレンにいた時すごかったじゃないですか。フリッツ・パールズだとか、グレゴリー・ベイトソンだとかさ、ああいう人達が集まって、いろんな実験やって、いろんな手法が出てきたでしょう。ああいうのをやれたらいいなと思っていましてね。そうしたら、なんか面白いじゃない。

「今、アプローチ手法として、興味を持っているものはおありですか?」

認知行動の第三の波っていうのがあって、ACTですね。ACTはマインドフルネスのところが足りないと思っているので、もっと違うアプローチをやりたいなと思っているんですよ。

「それを今、研究中、構想中なのですね?」

研究中、構想中、トライ中みたいな感じですね。だから、そういうのをみんなで教え合う場を作りたいね。セラピスト・ビレッジがエサレンみたいになって、そういうのを教え合う場みたいになってもいいなって思っているんですよね。妄想は広がります。妄想はタダですから(笑)。

「特に大事な手法や、注目すべき手法などはありますか?」

身体だね。やっとソマティックが、ちょっと認知されてきましたね。ソマティックは、数年前は全然だったけどね。あれは、すごく強力だと思うので、それをちょっとずつ取り入れていくっていうのをやった方がいいと思います。

オーソドックスなところだと、身体に触っちゃいけないとかあるじゃないですか。ああいうのは、ソマティックなアプローチになったらしょうがないんだから、合意の上でやっていく。

ソマティックなアプローチはプロセスが早いし、注目しています。ところがね、やりっぱなしだと、いろいろな問題が出てきます。グラウンディングしていくっていうのが必要だと思うんです。

ソマティックなアプローチでワ〜っと激しい感情の波が来たとして、それを放置したままじゃ、クライエントさんはたまんないですよね。ちゃんとプロセスが終了するまで、こちらはお付き合いするということが必要だと思いますね。

「具体的には、フォーカシングやTFTなどですか?」

僕は吉福さんから習ったんで、吉福さん流ってところがあるんですけど、拮抗する力で押し合うとか、ブロックしているところを押してみるとか、その時出てくる感情を見てみる。そこのところに“ひくひく”っていうのがあったら、そこに注意を向けてもらうとか、いろいろなことをやります。

ローゼンメソッドというのがあって、優しくタッチしていくもので、そういうのも合わせて、拮抗する力で押し合う、ワ〜っと入っていく感じのと、ローゼンメソッドという優しく包み込む、ハコミなんかもそういう感じかな。そういうものの組み合わせですね。

そういうのをやっていったらいいんじゃないかと思います。

「先生の今後の夢は、やはりエサレンですか?」

そうだね。やっぱりエサレンみたいなのを作ることだね。それが夢ですね。老後の楽しみ。

「老後はまだ早いですよ!」

でも、それができたら本当にいいですね。思いっきり声も出せるスタジオみたいなのがあって。そういうのが出来たらいいなと思っています。


<編集後記>

向後善之先生には、恵比寿のハートコンシェルジュで
お話をお伺いしました。

終始、優しい笑顔で、テンポ良く、楽しく語ってくださいました。

心理学が好きで好きで・・・
   というお気持ちと共に、
人間が好きで好きで・・・という、暖かいハートも伝わってきました。
そして、先生からは明るさと、毅然とした強さを感じました。

このパワーがあれば、「日本にエサレン研究所のような場所を!」という、
向後先生の夢も、そう遠くない日にきっと実現することでしょう!

向後 善之(こうご よしゆき)  ハートコンシェルジュ 臨床心理士
                    統合カウンセリング学修士  

1957年神奈川県生まれ。
石油会社で会社員生活の後、40歳から渡米。
CIIS(California Institute of Integral Studies:カリフォルニア統合学研究所)で学び、統合カウンセリング学修士。
サンフランシスコ市営のRAMS(Richmond Area Multi‐Services:サンフランシスコ市営のカウンセリングセンター)他でカウンセラーとして働いた後、帰国。
現在、恵比寿のカウンセリングオフィスハートコンシェルジュでカウンセラーとして勤務するとともに、カリフォルニア臨床心理学大学院東京サテライトキャンパスで臨床心理学を教えている。
日本トランスパーソナル学会常任理事・事務局長。

<向後善之先生のHP>
【カウンセリングのハートコンシェルジュ】

<向後善之先生のブログ>
【ハートコンシェルジュ カウンセラー’sブログ】

<向後善之先生の著書>
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わかるカウンセリング―自己心理学をベースとした統合的カウンセリング


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就活でうつにならないための本


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ゆるぎない心 を作る8ステップ おとなの悩トレ!


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人間関係のレッスン



インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:前田みゆき(まえだみゆき)

前田みゆき

身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
人とのご縁で、気づかされることが喜びです。

自称 遅咲きさん

コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
発行メルマガ:こころの栄養@さぱりメント

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