第79回目(4/4) 上田 信行 先生 同志社女子大学

自信には2つある。「他者込みの自信」で、自分の可能性を広げよう!

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「今、悩んでいる方へ、メッセージをいただけますか?」

みなさんは大人になってから「憧れ」についてあまり考えなくなったかもしれませんが、もう一度「憧れ」について考えてみませんか。「自分は何に憧れてる?」とか、「どんなこと実現したい?」って。その憧れを一緒にシェアできる友達は近くにいるかな?と問うてみてください。

先ほどお話しましたように、憧れの雑誌の表紙に載ってみたいとか、長年自分がやってみたいと思っていたことをぜひ、今やってみてください。「機会があったら」とか、「元気になったら」やるぞと待っているのではなくて、今、すぐにチャレンジしてみてはどうでしょう!

一人じゃなかなか思いきれないから、友だちや仲間と一緒になって考えて、チャレンジしてみる。そこにいると憧れが実現できそうな場所に積極的に出て行ってみてください(「憧れの最近接領域」、1回目インタビュー)。

家でじっとしていたら何も解決しないと思います。外に出て行く、いろんな人に会う、そして多様な人と出会って元気をもらう。僕もそうなのですが、朝起きたら何かやる気が出ないな、気分が晴れないなと思う時も、思いきって外に出て行って友達に会うと元気になります。

輝いている人に出会うと気分が高揚しますし、キラキラした世界、光にあふれているような世界に出会うとワクワク・ドキドキします。ぜひ勇気を持って素敵な世界に飛び込んで行ってください。仲のいい人と、とびきり美味しいものを食べに行くのも効果大です!

これまでの自分を受け入れて、自分の内面から今度は外の大きな世界に目を向けてください。もっと夢に向かっていってほしい。夢を持つことは憧れを実現するエンジンになります。あなたにはぜひ頑張って欲しいなと思っています。頑張るっていうより、楽しんでください!

「ケアにかかわる仕事をされている方へメッセージをお願いします」

最近、看護師さんの研修に行かせていただいたのです。本当にいい看護をしたいと思っておられるのですが、現実には毎日があまりにも忙し過ぎて、一人当たりのベッドの受け持ちがノルマを超えるそうなんです。そうなると、毎日の仕事にやらされ感が出てくると話しておられました。

本来は好きな仕事なんだけれども、忙しさで心が疲弊してくる、辛くなってくると言っておられました。この病院の看護師さん達は、大きな志と希望を持って仕事を始められたのですが、現実の中で押しつぶされそうになることもあるのですね。

そういう時に大事なことは、共に働く仲間、対話ができるコミュニティをしっかり持っていること。つまり、一人で問題を抱え込まないで、アウトプットしていく場があること。誰かに話して、共に解決策を考え、あれこれと試してみることができる職場カルチャーが大切なのですね。

それから、自分の仕事は人からやらされているものではなく、自分で創るという風に考え直してみることが大切だと思います。やらされ感や義務で仕事をするとうまくいきませんよね。仕事の意味や意義を自分で見出しながら仕事の再価値づけをして、初心を忘れずに頑張ってほしいと看護師のみなさんには伝えました。

「コミュニティを持って、アウトプットして、試していく?」

止まって考えていたらうまくいかないと思うので、いろんな人と相談しながら、どんどん試していくことが出来ればいいのかなと思います。

ITの世界でよく使われる、‘prototyping and refine’(プロトタイプを作ってテストし、改善していく)や ‘rough consensus and running code’(最初にきちっと細部まで計画を立てずに、だいたいのコンセンサスを作って、どんどん実際に試していく)、そしてagile(機敏)に動くという言葉が、今、どんな世界でも大切だと思っています。

それから、医療の世界でも「チーム医療」ということが注目されてきて、患者さんを中心にチームを作って治療に取り組もうとしておられます。

患者さんもお医者さんに任せっきりになるのではなく、患者さん自身が治療の主体となりながら、看護師さん、薬剤師さん、栄養士さんなど、様々な専門の方々と恊働的チームを作って医療にあたるという姿勢と実践がチーム医療の考え方のコアだと感じています。

患者さんがマインドレス(盲目的)に専門家に任せるのではなく、マインドフル(心を覚醒して)に自分の病気と向き合っていくということがチーム医療の要だと思います。

「違う種類の人達がチームになれる秘訣があったら教えてください」

チームワークって、いいワークがあるからチームが出来るって言いますよね。多様な人達が同じ方向に向かって志を持ち、何かを一緒に作ることで素敵なチームができるのだと思います。

先日、ある大学病院で看護師さんも薬剤師さんもドクターもみんな一緒になって、病院のプロモーションビデオ(ミュージックヴィデオ)を創ることをやったら、とてもいい仲間作りができたのです。驚きでした!

目に見えるカタチでアウトプットすると、「いいのができたっ!」って、それをみんなでappreciate(賞賛)し、喜び合えるのです。こんな経験がたくさんできれば、「グッド・チーム」が出来上がってきます。このチームという言葉は、これからの大切なキーワードになってくると思います。

それから今後、多様化が進むでしょう。多様な価値観を持っている人たちが、チームになって、刻々と変化する世界に向かってチャレンジしていく。このプロセスを楽しめるようになってくると毎日が生き生きとしてきます。一緒にチャレンジできる人と動くといいですね。

「一緒に行動するって日本人向きですよね」

日本には祭りなど、今まで一緒に楽しむ知恵がいっぱいあったように思います。ここでもう一度、チームや仲間の良さ、対話やコミュニティの大切さを考え直すといいですね。個人作業だと辛い仕事でも、チームでやると作業が楽しくなります。

仕事の仕方、工夫で、かなり変わってくると思うので、その辺を「新しいものを創るぞ〜」みたいに実験的マインドを持ってどんどんやって、直していけばいいですね。

ハーバードに行った時に受けた最初の授業が刺激的だったので、少し紹介したいと思います。この授業は、TV Practicumという子ども向けTV番組の開発方法を学ぶものなのですが、ものすごく贅沢にデザインされていました。

午前中はゲストからレクチャー(Lecture)を受け、午後はそのレクチャラーにディカッションに入ってもらってワークショップ(Workshop)をやる、そして夜はパーティ(Party)なんですね。僕は、この3つの頭文字をとってLWPモデルと呼んでいるのですが、学びの3つのモードがうまくブレンドされて、とてもダイナミックな学びを展開することができます。

つまり、ゲストからきちっと体系的なお話が聞けるし、彼らから得たアイディアや知識を、深めたり、再構成できるワークショップセッションがあって、夜は、ゲストとのパーソナルな交流ができるのです。金曜日の午後から月曜日のお昼までつづく4日間にわたる集中講義で、毎日がこのパターンなのです。信じられないぐらいすごい授業でした。


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[上田信行・中原淳(2013)『プレイフル・ラーニング — ワークショップの源流と学びの未来』三省堂より]


「先生の今後の夢と展望は?」

僕は今までワークショップの企画やデザインをしてきましたが、今度は自分で何かを表現したいですね。歌を歌ったりとか、エンターテイナーになりたいなって思っています。このことを友人達に言ってからもう何年も経っていて、いつも今年こそやらなきゃいけないと思っているのですが、なかなか実現出来なくて。

だけど、このインタビューでまた元気になりました。僕、ライブやりますから!(このインタビューが終わってから、3月24日に実際に神戸でライブをやりました)

今後、音楽のライブではないのですが、音楽とパフォーマンスを合体したような、「みんなで元気になろう!」みたいなワークショップをやりたいと思っています。僕は一人でいるとあまり元気がないのですけど、人の前に出ると元気が出るんですよ。これって不思議ですよね。

「みんなで元気になろう!」では、本当は僕を一番元気にして欲しいからやるのですけど。僕にとってはワークショップのステージが元気の源になるのです。テレビのタレントさんって、すごく元気ですよね。それは、毎日がステージだからだと思います。僕もステージの数を増やして頑張りますので楽しみにしていてくださいね!

「ポジティブなことを胡散臭いと感じる方や、人生に対する信頼感を増やすのが難しいと感じている方にはどうしたらいいとお考えですか?」

講演会などで、あまりにポジティブな話を聴くと、自分には無理と思ってしまいますね。一番いいのは、自分と憧れを共有してくれそうな友人に、何でも話してみる。ちょっとかっこつけて、きちんとプレゼンテーションしてみるのもいいかもしれません。相談というより、少し背伸びしてプレゼンをするのです。

あの人に自分の夢を聞いてもらおう!と思うとワクワク感が出てきます。自分であれこれ考えて悩むより、人に話すのです。自分には何ができるのか、どうすれば人に喜ばれることができるか、と考えて勇気を出してアウトプットしてみるのです。

憧れに向かって出来そうだ!という自分への信頼と、やりたい!という思い(自分にとって意味があり、価値あること)があれば前に進めます。ひとつひとつ前に進むための場をどんどんと作っていくのです。その時に共感してくれる他者の存在が大切なのです。

一人じゃできないけれど、あの人とだったらできると考えると可能性の領域が広がってきますね。自信という言葉は「自分を信じる」という意味ですね。

僕は自信には二つあると思っています。「一人でできる自信」と、あの人とだったらできるという「他者込みの自信」(Joint Confidence)なのです。「他者込みの自信」というもう一つの自信を持って、やってみてください。自分の可能性を開拓していってください!

「やらないと五感が刺激されませんよね?」

本当にそうですね。五感が刺激されると、前向きな気持ちと頭が動き始めます。美味しいお菓子を食べると味覚が喜ぶし、いい匂いがすると嗅覚が刺激される、手を使って作業をすると手触りが気持ちいい、明るい服を着ると元気が出る。

「ご著書の中で、“僕はよく切れる包丁をもっている”という表現がありましたが、その言葉から“いいカウンセラーは明るく映し出す鏡をもっている”という表現がピンと浮かびました。“その人の気づいていない良さをキラッと映し出す鏡”というような・・・」

それはいい言葉ですね。カウンセラーの人ってそうですよね、じっくりとお話を聴かれて、その人が話されたことの中にある輝きを鏡のように映し出して、話された方に新たな気づきの場を創りだす。

包丁の切れ味って言った僕の表現は、視点とかものごとの捉え方(切り口)とか、出来事をどう知覚するかによって、世界が違って見えるということなのです。素材を活かすのは調理次第ですね。

このインタビューの後すぐに研究会のコーディネーターをさせていただくのですが、どんな切り口で会を進行していったら参加者のみなさんが満足するような展開になるか、一生懸命に考えています。僕のアティチュードはみなさんをどのようにビックリさせようかということにあります。

そして、会の進め方がカッコイイ!と言われたいとどこかで思っているところがあります。だから、美味しくてシャープな切り口になるようにカッコよく振る舞っていくのだと思います。

「カッコイイ」という言葉は、とてもいい言葉だと思いませんか。カッコイイことをカッコイイって言えるカルチャーって魅力的ですね!


<編集後記>

憧れを憧れで終わらせない、優しさあふれる天才。

自分の憧れを語りながら、関わる人々のワクワクを膨らませる。
関わる人達みんなのワクワクが大きくなると、
予想を超えた「プレイフル」な場の展開がはじまる。

人と人が出会い織りなす可能性は、無限大であることを
上田信行先生から教えていただきました。

憧れに挑戦し続ける上田先生の生き方は、「カッコイイ!」そのものと感じました。

上田 信行(うえだ のぶゆき)  同志社女子大学 現代社会学部現代こども学科教授
                     ネオミュージアム館長

1950年奈良県生まれ。同志社大学卒業後、『セサミストリート』に触発され、セントラルミシガン大学大学院、ハーバード大学教育大学院で学ぶ。ハーバード大学教育学博士(Ed. D.)。帝塚山学院大学専任講師、甲南女子大学人間科学部人間教育学科教授を経て、現職。
専門は教育工学。学習環境デザインとメディア教育についての実践的研究を行っている。
実験的アトリエとして奈良県吉野川のほとりに「ネオミュージアム」をつくり、1990年以来、実験的ワークショップを数多く実施している。
現在、人と人が織りなすコミュニケーションから豊かな学びの場をつくる「プレイフル・ラーニング」という新しい考え方を構築し、実践的な研究を続けている。

<上田信行先生のHP>
【learningthroughlove label】

<ネオミュージアムのHP>
【neomuseum】

<上田信行先生の著書>
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プレイフル・ラーニング


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プレイフル・シンキング



インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、ゲシュタルトファシリテーター、NLPセラピスト、
交流分析士1級、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:前田みゆき(まえだみゆき)

前田みゆき

身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
人とのご縁で、気づかされることが喜びです。

自称 遅咲きさん

コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中


インタビュアー:古武家真美(こぶけまみ)

古武家真美

心理学とカウンセリングを勉強中。
自分らしさを探す旅の真っ最中です。

学生の悩みに手紙やメールで答えるVFM東京でも活動しています。


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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