第73回目(2/4) 宮島 賢也 先生 薬を使わない精神科医

症状は、体が教えてくれている愛のメッセージ

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「薬を使わないと決めるのは、勇気が要ることではなかったですか?」

「薬を使わない精神科医」と名乗るのは勇気が要ったかな。症状が素直に教えてくれているということに気づくと、それを麻痺させる薬はとんでもないおせっかい。薬を出すのは患者さんのためにならない、ということで、まずはそれまでの病院を辞めました。

辞める時は、これからどうするのか、次の勤務先は考えていませんでした。選択理論の年次大会に初参加したとき、薬を使わない医療をやりたいと話していたら、柿谷会長から栄養療法のクリニックを紹介され、院長を引き受けました。そこは薬でなくサプリメントで治療していました。

そこで統合失調症の患者さんの薬をドキドキしながら減らしていく体験をしました。精神症状以外にもガンやリウマチやアトピーの患者さんも診させてもらっていく中で、選択理論に書いてあるような厳しい親子関係を目の当たりにしてきたんだよね。統合失調症の人も厳しい親子関係があるんだな。親御さんの考えが厳しいんだよね。

「どんな親子関係なのですか?」

親が強い、親が不仲。エリートサラリーマンと専業主婦の家庭でも、色々な症状が起きているんだよね。子どもが不登校になる、引きこもりになる、不良になる、これはみんな親子関係、夫婦関係の反映だったりするんですよ。

個人の症状は個人を健康にするために出してくれているけど、子どもの症状は親子関係の見直しのために出してくれていたりするんだよね。ものすごい親御さんをいっぱい診させてもらいましたよ。診察室で僕まで怒られたり、専制君主になっているお母さんとかね。

お父さんと取っ組み合いした後に症状が出なくなった患者さんもいましたよ。それまでお父さんやお母さんの言うことを、「はい。はい」と聞いていたけれど、誰の人生かということを話していく中で、お父さんと取っ組み合いをして、自分の人生を歩むことを表明した後、受診を卒業していかれましたね。

「親が強過ぎて、子どもは自分の人生を生きられていない?」

親が強過ぎる場合と、強くは言わないけど目線でコントロールする人がいます。選択理論では外的コントロールと言いますね。子どもの意志に反して自分の意志を押しつける。自分の夢を子どもに乗せちゃって、子どもをつぶしちゃうパターンもありますね。

「子どもには何も言っていません」と言いながら、目線で「それはやっちゃダメ。これを選びなさい」とコントロールできちゃう人もいるんだよね。

「子どもは親の期待に一生懸命応えている?」

そうだね。虐待を受けていても親のことを嫌いになれない、親のことを好きって言う子がいるけど、小さい頃は親に反抗できない。逆に反抗できる子には症状は出ないかな。反抗しないで飲みこんじゃったいい子は症状が出てくれるかな。

「それを大人になっても引きずる人は多くありませんか?」

めちゃくちゃ多い。癌になったりしていますよね。あと、原因がわからないっていう人も、我慢の人なんですよね。パニック障害とか。定義では原因・誘引なくパニック症状が出るって書いてあるけど、原因がないことないんですよ。無理してたり我慢してたりしているんです。

統合失調症や解離性障害の患者さんも、ものすごく自分を押し殺しているから、激しい症状が出てくるんですね。

今のしつけが虐待と同じベクトルなのです。昔は子沢山だったから親の目が一人の子どもに集中しなかったけど、少子化で、親が子ども一人か二人だけを見ているから、ものすごいエネルギーが子どもに向くんだよね。それで、子どもの人生じゃなくなってるんだよね。

塾に行く子どもがどんどん低年齢化している。病気もどんどん低年齢化してるんです。うつとかが、どんどん小さい子に出始めている。親が、子どもの顔を見るより、世間の顔を見てるんだよね。

「世間の顔色の方をうかがっている?」

不登校なんて言う必要は全然ない。子どもが学校に行かないと選択しているんだから、無理やり学校に戻したら苦しい所に追いやっちゃうことになる。学校なんて行く必要は全然ない。

今は教えない教育とかも出てきている。デモクラティックスクールとか、サドベリースクールといって、4〜19歳ぐらいの子ども達が学年のない1つのクラスで、先生がいなくてカリキュラムもない学校。

子ども達は遊んでいるんだけど、何かやりたいと思った時にプロジェクトを立ち上げて、やりたい人を集めて、お金が必要だったら全体ミーティングで予算を取ってくる。お金が足りなければ、物を作って売ったり、バザーを開いたりと、お金を作るところからやっていく。お金がないからやれないということはないんだよね。今の時代にすごく合った仕組みだなと思うんです。

自分達も参加したくなった大人達が、4〜19歳という枠を取り払ってデモクラティック・コミュニティにしたところが、香川県の「わあい」。あと、場所すら持たず、地球が学び場の、スクールのスタッフと卒業生が始めたデモクラティック・フィールド「のらねこ」が大阪にあるんだよね。

「先生はその活動に関わっていらっしゃるのですか?」

応援していこうと思っています。ホームスクールでもいいんだよね。今は、子どもと大人を分けちゃってるんだよね。子どもと大人を分け、老人を分け、同じ属性の者だけ集めるから、すごい競争社会になってる。本来は、もっと多様性がある社会だったんだよね。みんな違って、みんないい社会。

大きい人も小さい人も、障害を持つ人も持たない人も一緒にいる社会だから、そういう中で生活した方が競争でなく、支えあう共生の気持ちが芽生えてくる。学校の中で、過剰な競争をさせるから苦しくなるんだよね。社会の中で、大人と一緒に生活していったらその中で色々学んでいくんだよね。


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「選択理論を学ばれたのは、何がきっかけでしたか?」

自己啓発の中で、選択理論、ウイリアム・グラッサー、彼も薬を使ったことのない精神科医で、「あらゆる症状は人間関係から来る」と言っているのを知って、学び始めました。

「最初、選択理論の印象はいかがでしたか?」

選択理論の講師達は、カウンセリングのロールプレイをやっているところを見せてくれるんですよ。亡くなられた柿谷寿美江先生のロールプレイを何度も見させてもらいました。最初は、選択理論のリアリティセラピストがしている質問が、全然訳が分からなかった。何でそんな質問が出てくるんだろうと思いました。最初は選択理論の質問の意味が分からなかった。

自分自身がしんどい考え方、「〜すべき」とか、ガチガチな頭をしていたから、リアリティセラピストの投げる質問がめちゃくちゃ変化球に思えた。自分自身にしない質問だから、自分のボキャブラリーに入ってなかったんだね。

繰り返しロールプレイをするうち、診療で試すうちに、段々、欲求充足、本人の上質世界、望む世界に行くお手伝いをしてるんだということが分かってきた。そうすると質問の球の投げ方が分かってきた。

「どのような質問なのでしょう?」

選択理論は、自分の行動を変えようという提案なんだよね。車の4つの車輪で、前輪が「思考」と「行為」、後輪が「感情」と「生理反応」。後輪の「感情」と「生理反応」を直接変えるのではなくて、前輪の「思考」と「行為」を変えていくと後輪も変わっていきますよ、という考え。

「行為」に焦点を当てているのが選択理論。その行為を変える提案をする質問をされていた。その行動が自分にとって役に立っているのかどうかを評価してもらう質問。自分の行動が自分にとって役に立っているのかどうか、繰り返し繰り返し聞いていたかな。

「何が役に立つのか?」「何が自分に気持ちがいいのか、嬉しくなるのか?」「何が上質世界に近づけるのか?」とか、あまり思いつかない質問だった。自分自身が周りの目を気にしながら生きてたから、自分が嬉しくなるとか、気持ちがよくなるとかに目を向けていなかったんだよね。

「上質世界について、簡単に説明していただけますか?」

上質世界は、本人の願望の世界、理想の世界、欲求充足、目標地点、こうなったらいいなという、なりたい自分、望月俊孝先生の宝地図みたいなものかな。あるべき、でなくて、こうなりたいという世界。

「どうなりたいか」という質問を投げかける中で、上質世界のない人がいることに気づきました。お金のために生きている人とか。それから、小さい頃から押しつけられて育っていると、自分の上質世界に従うのでなく、「ねばならない」に従ってしまう。「どうしたいんですか?」と聞いても「それが分からないから、来たんです」と怒る人もいます。

「先生も小さい頃は、ねばならないを守って生きてこられたのですよね? 大きく変わったのはいつ頃でしょうか?」

薬を飲んで7年たった時。離婚したり、自己啓発に通い始めてからかな。薬を飲んでいても、考え方を変えないままでは、休職したりストレス源から離れると一旦症状は減るけど、復帰するとまた症状が出てくる。自分の経験、患者さんへの薬の治療から、大事なことは考え方を変えていくことなんだと気づいたんだよね。

「では、自律神経免疫療法を始めたきっかけを教えてください」

栄養療法のクリニックで働いていた時に、自律神経免疫療法の安保徹先生、福田稔先生の考え方を知って、精神症状だけでなく、癌やリウマチに関しても、ストレスが大きく関与していて、体の血行改善で治していくという考えがあるんだと知った。

ジェームス・スキナーの『成功の9ステップ』を読んでいたので、人間が本来健康であるというのは頭にあったから、他の病気も治るんだろうなと思ってはいたけれど、実際に治している人がいると気づいたのが自律神経免疫療法かな。

自分の収入が不安定な中で、アルバイトさせてくれと、湯島清水坂クリニックに相談に行った。そこで院長交代の時期にあたって、院長をやらせてもらうことになって、自律神経免疫療法を実際に始めたんです。

ストレスが病気を引き起こすのだから、ストレスを減らしていく、ストレスを大きくする考え方を楽にして行こうというメンタルセラピーを提案しています。一方で、体の血行改善は鍼灸師さんにお任せしています。心と体、両面から自分で健康になっていくお手伝いをしています。

「体の病気も、考え方を変えることで根本原因が改善する?」

逆に、考え方を変えなくて、体の血行改善だけした時に、そのあとどうなるか? 癌が一度消えても、頑張り過ぎ、悩み過ぎ、イライラし過ぎの人は再発する。再発したら、ショックを受けるのではなくて、「まだ考え方が苦しいよ」と体が教えてくれている愛のメッセージと思いませんかと、提案しています。

「考え方をどのように変えたらいいのでしょうか?」

3点ぐらいを提案しています。
1.他人と過去は変えられないけど、自分と未来は変え放題
2.解釈は無限大
3.減点主義から加点主義へ

他人と過去のことで悩んでいると、無力感を学んでしまい、自分と未来まで変えられないと思い込んでしまう人がいる。そこで悩んでしまうと苦しい。世の中、他人と過去で悩んでいる人が多いよね。夫婦の勝ち負けを気にしていたり、子どものしつけで悩んでいたり、過去のトラウマで縛られていたり。

僕が提案しているのは、他人と過去で悩んでいると苦しくて、逆に自分と未来の方はいくらでも変えていけるよと。将来の不安を考えているともったいない。今、ここを喜びで満たしていこう。仏教の「足るを知る」で生きていきましょうと。

過去のトラウマも出てくるかもしれないけど、それを握り締めていると、現在進行形で苦しい経験をしていることになる。誰かのせい、と被害者意識でいるといつまでも苦しくなっちゃうんだよね。

誰かと比べる競争意識を手放す。不平・不満を手放す。そして、自分の安心感とか、共生の感覚、喜びを大切にしていく。喜びに身をゆだねる生き方をしましょう、と伝えています。

今の社会、女性性が封印されてしまっている。相手に負けちゃだめとか、勝ち組負け組とか。女性だけでなく、男性にも女性性の解放をお手伝いしていこうと思っている。男性も両方のエネルギーを持っているからね。

「女性性とは何でしょうか?」

愛、調和、喜びの献身。自己犠牲になっているから苦しい。自己犠牲でなくて、喜びの献身。そのためにはまず自分が満たされていること。不平・不満を言いながらやっていると、自己犠牲になる。「お弁当、何で私が作らなきゃいけないの?」と思いながら作っていたら、もったいないですよね。

「解釈は無限大とは?」

「リストラされた」という出来事に対して、「どうしよう。明日から生きていけない」「死ぬしかない」と苦しい解釈を選ぶ人もいれば、「嫌な上司に会わなくて済む」「いい機会だから自分のやりたかったことをしてみよう」と、喜びの解釈を選ぶ人もいる。

「部長に昇進」という出来事は、周りから見たら「おめでとう!」という出来事だけど、本人が「自分に部長が務まるのか?」「部下が言うことをきかなかったらどうしよう」とプレッシャーに取っていくと、うつの原因になってしまう。

解釈は十人十色、百人百様で、いろんな解釈が選べる。嫌なことを考えると、嫌な気分であり嫌な体の状態。嬉しいことを考えると、嬉しい気分であり嬉しい体の状態になる。今、嫌な気分、嫌な体の状態であるなら、考えていること、解釈を変えていきませんかと提案しています。

環境を変えるだけだと、同じ考え方のままの人がいます。転職を繰り返していたり、離婚と結婚を繰り返している人がいる。まずは自分の解釈を変える。環境調整は最後の手段がお勧めです。

「解釈は、自分が楽な方向に変えるということでしょうか?」

提案は、楽な方へです。「楽」に罪悪感を持っている人がいるんだよね。「楽しちゃいけない。わがまま、甘えはいけない」とかね。それは逃げだって思ってる人はやりづらいかな。まあ、そうすると、体が苦しい考え方をしているってことを教えてくれる。宮島が言うからでなく、自分の体との相談だよと伝えています。

あるいは、自分の周りの人が教えてくれる場合があるんだよね。子どもやパートナーが病気になってくれて、自分の考え方が苦しいよってことを教えてくれる。そこで子どもを治そうとしたりパートナーを変えようとしていると、苦しい状況が続いていっちゃう。

「働かざるもの食うべからず」という考え方を持っている人の横で、仕事がない時、その横の人がどういう気持ちになるか、落ち着いて過ごせるのか、ということだよね。

「3点目の、減点主義から加点主義へは、いかがですか?」

欠けているところを直そうと、勉強したり修行したりして、なくなってきたなと思っても、近づいてみると、また欠けているところが見えてくるんだよね。

最初の欠けたところがある状態で、欠けていない部分を見る。自分のできているところ、やれているところに目を向けることによって満たされ始める。欠けているところに一生懸命目を向けていると、いくらでも苦しくなる。

足るを知りながら、自分のできているところを見て生きていくことがすごく大事。今の自分は不十分だと思っていると、いくらでも苦しくなれちゃう。

いくらお金を持っていても心配な人は心配し続ける。盗られちゃうんじゃないか、裏切り者が出るんじゃないかってね。現状に感謝し、満たされていることが大事だよね。

(次回につづく・・)

宮島 賢也(みやじま けんや)  「薬を使わない精神科医」
                       湯島清水坂クリニック院長

1973年、神奈川県生まれ。
精神保健指定医 認定産業医 自律神経免疫療法研究会会員
防衛医科大学校卒業後、自衛隊中央病院、ナチュラルクリニック代々木院長、宮島元気クリニック院長を経て、現在、湯島清水坂クリニック院長。薬を使わない医師として活動中。
健康回復や幸せ増進の講演、メンタルセラピストの養成にも力を注ぐ。

<宮島賢也先生のHP>
【薬を使わない精神科医/みやじっちのメンタルセラピー】

<宮島賢也先生のブログ>
【宮島賢也のメンタルセラピー】

<メンタルセラピスト養成講座のページ>
【メンタルセラピスト養成講座】

<宮島賢也先生の著書>
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自分の「うつ」を治した精神科医の方法 (イラスト図解版)


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薬を使わず治すうつ―みやじっち先生のメンタルセラピー


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自分の「うつ」を治した精神科医の方法

インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、NLPセラピスト、日本ゲシュタルト療法学会・GNJ会員
交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


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前田みゆき

身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
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コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中


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不惑を過ぎてから、心理学を勉強中の身です。
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インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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