第70回目(4/4) 松木 正 先生 マザーアース・エデュケーション

主体と主体で、互いに物語の主人公になれるような生き方を

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「このお仕事をされている上で、大切にされていることは何でしょう?」

その人とちゃんと一緒に居るってことかな。一緒に居るっていうのは、物理的に一緒に居るっていうことだけではなくて、その人の内側で起こっていることを信頼してちゃんと一緒に居ようと思うこと。

カウンセリングの現場では、しゃべらない人は一杯いますからね。子どものカウンセリングをしてもほとんどしゃべらない子が一杯いますね。

お母さんに電話して、「どうでしたか?」って訊くと、「また行くって言ってます、あの先生よう聴いてくれるから」と。何にも話ししていないんだけど、それはちゃんと一緒に居てくれた感じがするっていうことですよね。キザかもしれないけど、それが愛みたいなもんですよね。

これも結局は、僕と一緒に居てくれたおとなが一杯いたからですよ。僕には一杯、拡大した家族が居たんです。

「自然の中での活動には、どんなパワーがあるとお考えですか?」

自然は人を自然にしてくれます。ある種もう一度、野生を取り戻させてくれるんです。野生というのはあるがままを取り戻させてくれる。部屋の中でどんなプログラムを用意するよりも、自然という大きな仲間の中でプログラムをするのがどれだけ力が大きいか。

そして、自然のことを熟知しているインタープリターって呼ぶのが良いのか…、そのプログラムを回す人が自然のことを理解していたら、その自然の生命が一番効果的に、そのしかるべき場面で一番いいパフォーマンスをしてくれます。自然を味方につけながら、人に影響を与えていくことができるんだと思います。

でも何よりも、自然は自然だと思います。自然の中にいる時の方がやはり人は自然になります。そういう意味では、自然って大きい。計り知れないです。優しくもあり、怖くもあり、厳しくもあり、温かくもあり。

「これまでで特に影響を受けたものはありますか?」

学ぼうと思って学んだ訳じゃなくて、気づいたらこうなっていただけです。全部影響があったなって思うんです。空手も大きいですね。今思えば、全部繋がっていると思うんですね。

例えばスー族のセレモニーの中に漂っている場の力だったり、平原だったり、そこに生きている人達の姿から、学んできた「受け容れる」っていうことだったり、頭に「ヤ」のつく自由業のおっちゃんだったり。そんなことが大きいと思います。


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「あるがままを受け容れるために、ご自身が大事にしていることは?」

日頃は僕も、仕事だとdoingですよね。ただ僕にとって一番大きいのは、自分のビジョンクエストの時間。アメリカに行って丘の上に上がって、一人きりになっている時間っていうのは、もうそのまま、あるがままの自分と一緒に居られる時間なんですよ。

そして多分、僕が泣いていることが一番多い時間ですね。それはいろんな涙があるんですよ。その時間もすごく大きいかもしれない。

それと、自分があるがままでいるということに大きな力を貸してくれているものに、うちのスタッフもありますね。スタッフに色々語って…聴いてもらってる内に見えてくる自分の「今」。僕のdoingが多すぎるとdoを助けてくれたり。doで一杯っていう時に、僕がスタッフに甘えたり。

仲間に「助けて」と言った時に、感情に戻ったり、自分の気持ちと一緒に居られたりね。そうすることで僕は自分の気持ちとちゃんと一緒に居られるんです。その人がスタッフでなくても、僕の事を大切に想ってくれる人がいるから、そういう人と一緒にいるとbeのまま居られる様になります。

「悩みを抱えている方へ、メッセージをいただけますか?」

短い言葉で言ったら、人はやはり物語を生きてるんだなっていうことかな。でも物語が生まれるためには、そこにちゃんと一緒に居て、聴いてくれる人が絶対に必要だということは知って欲しい。

それは多分、今ここで一緒に息をして、共にそこに居て、聴いてくれる人が居て、初めて物語とかその人の神話が生まれていくだろうなって思いますね。物語はとっても大事だと思う。

それともう一つは過去は変わるということです。これはもう絶対に間違いなく。高校生なんかは、キャンプのオープニングで、「過去は変えれるで、過去は変わる」って言ってやるだけでも安心する子、顔がフッと上がる子がいます。

「昔読んだ本とか、もう一ぺん読んでみ。こんな物語やった?って思う事ないか? それは今が変わったからやで。君が事実やと思っている事は、その時の君の物の見方で受け取ったものが事実やと思っているだけで、今が変わったら、変わるんやで」って。

「それと他人は変えられへんで」って。「もし、君が自分の都合の合うように、誰かを変えていったら、それは間違いなくコントロール関係。支配する側とされる側になってるで」ということ。この二つを大事なメッセージとして伝えたい。

主体と主体で、物語の主人公になれるような、互いにそんな生き方ができたらいいなって思います。

「セラピストを目指している方へのメッセージをお願いします」

セラピストが一番大事なのは、一緒に居られるかどうかですね。どれだけ反射して返せるかとか、スキルじゃないと思うね。

でもそのためには、自分と一緒に居てくれてる感じを、自分が知ったり、ちゃんと自分が大事にされてるな、自分のことを分かろうとしてくれてるんだなってことを、やっぱりセラピストや援助する人がどこかで経験する必要はあると思う。

本来は、いたって普通のことですよね。人間として当たり前のことだけど、でも、それが大事だと思う。だから、自分の物語もちゃんと見直して欲しいし、自分の物語もセラピスト自身が聴いてもらう。自分の物語はこうなんだなって、自分がちゃんと知るっていうこと。

自分は何を怖れてるんだろう、自分の中にどんなモンスターがいるんだろう、そのモンスターの正体は何者だろう、と、セラピスト自身が、自分の物語を一回見てみる、冒険してみる、っていうことが大事。僕も一杯、冒険物語をしてきたと思います。

「今後、どんな活動をしていきたいというのはおありですか?」

珍しく、一つだけしたいなって思っていることがあって、それは派手なことではないんだけど、物語の語りをしたいんです。神話の語りです。

僕のキャンプのオープニングは真っ暗闇の中で、僕が神話を語るところからスタートするんですけど、どのプログラムも割と神話が出てくるんですよ。実は、神話がプログラムの目的や狙いを緩やかに説明していることが多いんですよ。

つまり「この神話世界を皆さん今から経験するんですよ」みたいなことをオープニングですることが多くて、だから神話の力って大きいんだなって、僕は最近ものすごく思うんです。

どんなちっちゃな子どもでも、神話が始まると聞くんです。読み聞かせの会で聞けない子が、神話になった時はちょっと違うんです。意識の状態が違うのかもしれない。

ストーリーテラーとして語りたいなって思うし、神話を語って、ちょっとシェアするみたいな、そんな場をこれからやっていきたいと思っています。

常に自分を壊すことをしたその中で、今一番したいことが「神話の語り」なんです。


<編集後記>

大切な何かが失われつつある現代の日本。
地球に生きるものにとって大切な精神とは、暮らしとは、自然とは、
語りつがれてきた神話たちが意味することとは?

つながり抜きでは生きていけない地球において、
キャンプや自然の中でのワークショップを通して、全てはつながっていることを
体感するプログラムを展開されているお話をお伺いして、

  「自然の中で人は、自然になれる」

この言葉が、とても心に残りました。

あるがままの自分、自然な自分を受け容れることこそが、
自己肯定感という根になるのでしょう。

自然の中では、自然にすべてを受け容れていくことができるのかもしれませんね。

松木 正(まつき ただし)  マザーアース・エデュケーション主宰
                   チーフ・ディレクター

大学在学中、キャンプカウンセラーとして小学生・中学生を対象とした教育キャンプに携わる。また在学中、自身がうつ病を克服していく過程でカウンセラーと出会い、教育の現場にカウンセリングの手法を用いることの可能性を探り始める。
卒業後、大阪YMCA六甲研修センターに奉職。「体験学習法」を用いた企業研修や幼稚園児から大学生までを対象にカウンセリングの手法を用いた野外教育(キャンプ)を実践。
YMCA在職中にアメリカの環境教育に出会い、本物を目指して渡米。全米各地で環境教育のインストラクターをする中でアメリカ先住民の自然観・宇宙観・生き方、またそれらをささえる儀式や神話に強く引かれ、サウスダコタ州シャイアン居留区に移り住みスー・インディアン(ラコタ族)の子どもたちの教育とコミュニティ活動をしながら伝統を学ぶ。
現在、神戸でマザーアース・エデュケーションを主宰し、“自分をとりまく様々な生命(いのち)との関係教育=環境教育”をテーマとし、独自の環境教育プログラムを展開。
小学校・中学校・高校での人間関係トレーニング、また保護者に向けてのワークショップ・子育て講座、アメリカ先住民の知恵を前面に打ち出したキャンプの企画と指導、神話の語り(ストーリーテリング)、教育的意図をもった企画講座、自宅横にワークショップ棟(ストロングホールド)を構え、個人カウンセリングと独自のワークショップを展開中。

<マザーアース・エデュケーションのHP>
【マザーアース・エデュケーション】

<松木正先生の著書>
cover
自分を信じて生きる―インディアンの方法



インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、NLPセラピスト、日本ゲシュタルト療法学会・GNJ会員
交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:前田みゆき(まえだみゆき)

前田みゆき

身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
人とのご縁で、気づかされることが喜びです。

自称 遅咲きさん

コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
発行メルマガ:こころの栄養@さぱりメント

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