第69回目(3/4) 池田 登 先生 日本Share&Care協会

脳科学と、再決断療法・リぺアレンティングを融合させる

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「怒りの感情をうまく使えないというのは、どういう状態になっているのですか?」

怒りの感情が出てきた時に、その瞬間、「怖い」とか「悲しい」とかに換えるんです。本人は怖いとか悲しいとか思っているんですが、でも本当の感情は、怒りな訳です。それを分からせるには、イスを3つ用意して、そこに現場を作ってやる。

「私は悲しい、私は腹が立つ、私は怖い」と言わせてみますが、でもやはり、怖い人は、「怖い」のイスを取ろうとするんですよね。「怖い」を引張ってきて、「じゃあ、怖いというところからこの問題は解決する?」と聞くと、「いや解決しません」。

最終的に「私は、腹が立つ! 私は、怒ってるんだ!」と分かる訳ですね。

怒りを使えない人達は、怒りの感情を持ったら相手を攻撃しなければならないという思い込みをしているんですよ。お利口さんと言われる人達は、それを使わないことがお利口さんと思っているから、怒りの感情を持つのをやめようと思っている訳ですね。

でも、怒りの感情を受け入れるというのと、それを行動にするのは、別なんですよ。「私は怒った。でも何もしない」これでいいんですね。でもその私は怒ったが言えないんです。それを生産的に使ったのがスポ根なんですね。スポーツ根性というのは、あれは怒りなんですね。

「怒りにも、うまい使い方があるのですね?」

4つの感情をうまく使っている人はほとんどいませんよ。感情というのは、怒りが一つ。そして、悲しみというのは、過去にとって必要な感情なんです。おじいちゃんおばあちゃんが亡くなったとか、これらは悲しむことで自分を癒す訳ですよね。

怖いという感情は、未来にとって必要な感情なんですよ。足音がするとか、戸締りはちゃんとしたかとか、これ全部、怖いから来ているんですね。怖いという感情が主力になっている人は、常に心配している心配性ですよね。

そして、4つ目は、快ですよね。

感情・思考・行動というのは、一蓮托生なんです。普通の人は、行動を変えろと言いますよね。しっかりしろとか、ちゃんと働けとか言いますよね。そして、プラス思考になるための本は、山ほどあるんですが、感情を変えない限り駄目なんですね。

「感情を変えるというのは、感情を認めるということですか?」

気づかせてあげるということです。私は本当は怒ってたんだとか。だから、怒ることを楽しませてやる。例えば、会社に行くのが嫌な人は、動物園に誘って、嫌な課長に似てるカバに向かって、「あのカバめ!」と叫んだりします。そういう風に楽しみながら怒りを使う。

そうやって、事実が汚染されている部分をはずしていくんです。

「そこに脳科学も取り入れていらっしゃるのですよね?」

脳科学と再決断療法とリペアレンティングを融合させると、スポーツセラピーにすごく効果があります。前頭葉にエネルギーが行っている時には、運動能力が20%アップするんです。

爬虫類脳は一回やったことが安全だったらそれを一生繰り返すんですよ。けもの道と一緒で、一回通った所が安全なら同じことを繰り返すんですね。

同じパターンにしておくということは、これから先は危険じゃないのよと脳に事前に教えておくことなんですね。それを利用してスポーツセラピーをすると、急に強くなったりするんですね。

脳は常に安全か安全じゃないかで生きていますから、大脳新皮質の上の部分は、人間らしく生きたいとか、幸せに生きたいとか言っているんだけど、古い脳はそれはどうでもよくて、生き延びればいいんだと。

だから新しい脳と古い脳の葛藤があるけれども、古い脳の方が、脳幹に近い、つまり命に近いところにいるもんだから、古い脳の方が優先する訳ですね。ところが、古い脳とは、現実の危険と頭の中で自分を責めてることの区別がつかないんですよ。

だから、いやなことをずっと考えていると、脳は危険が迫ったと勘違いして、臨戦態勢に入る訳ですよね。例えば、鬱になると、脳は危険と判断し、覚醒させて眠れないようにするんですね。

「先生が今のお仕事をされている上で、大事にしているのはどんなことでしょうか?」

自分が作り出したことをいかにオープンにしていくかですね。真似されてもいいんです。本を書いた時に、「ここまで書いていいの?」って言われたんですけれど、「真似されてもいい」って言っているんです。

DVDも作っています。それで、見たい人が見て、そのやり方で誰かが幸せになれればいいじゃないかっていうことですね。

資料や理論はすべてオープンにしています。私は資料をあげる時に「コピーしてもいいよ」って言いますから。個人やグループの勉強会などには、どんどん活用してくれていいんです。


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「小さい頃の親との関係をずっと引きずって苦しんでいらっしゃる方も多いと思うのですが、そういう方に対して先生からメッセージをいただけますか?」

その人達には、「あなたは、あの過去が変わらない限り、私は幸せにはなれないって言っているんだよ。歴史は変わらないよ。どうする?」って言いますね。

「それを引きずったままだと、あなたは一生そのままで終わるけど、どうするの? 引きずっていく? やめる?」って。「やめたい」って言ったときにどうするか。「親の何に腹を立てたの?」って聞きます。「構ってくれなかった」とか言いますよね。

その時に、許すんですね。それが元で、例えば「人を信じない」とか、「人と仲良くできない」とかだったら、それを持っていること自体が「今ここ」を台無にしているじゃないですか。だから、そういうのを取り扱うワークをやる。

例えば、お父さんとお母さんのイスを持ってきて「お父さん、お母さんと仲良くして」ってちゃんと目を見て言ってもらうんです。「してくれるって言ってる?」って聞いたら、「してくれない」って。小さい時だからね。「もう一回、心を込めていってごらんなさい」と伝えます。

「お父さん、お母さんと仲良くして」ともう一度言いますが、やはり「してくれない」と。そこで、「お父さんとお母さんが仲が悪いのはあなたのせい?」って聞くんです。すると、「私のせいではありません」と答えますね。

そこで、「お父さんとお母さんに、はっきり伝えてください」と言います。「お父さんとお母さんが仲が悪くても、それは私のせいではありません」って言うんです。

そして、もう一つの重要な決断は、「あなた達が不幸であっても、私は幸せになる」って、そこですね。そして、「お父さん、お母さん、さようなら」って言うんです。それは、過去のお父さんとお母さんにさようならです。

「そうやって、再決断していくのですね?」

もっと厳しい場合は、お人形さんか熊のぬいぐるみを使います。お人形さんをお父さんとお母さんの前に置いて、「お父さん、お母さん、この子かわいいでしょう?」って言うんです。赤ちゃんですよね。「見てちょうだい」って言ってもらいます。

ひどい場合は泣き出して、「見てくれない」って言うんです。私が「しっかりと頼んでごらん」と言うと、「お父さん、お母さん、お願いだから見てちょうだい」って言いますね。そして、「やっぱり見てくれない」って言うんですね。

私はその時に「この子をこのまま置いておいたらどうなる?」と聞きます。すると「死んでしまう」って言います。「じゃあこの子を誰が助ければいいの?」って。そういう人は死にたいと思っている人が多いですね。「私が助けないと誰もいませんね」「そうだよ」って伝えます。

そして、「怒りを持って、お父さんとお母さんに断りなさい」って言います。「お父さん、お母さん、もう面倒みてもらわなくてもいい。この子は私が面倒をみる」って言って、抱き寄せるんですよね。そして、ワンワン泣きます。そこから、ラクになりますね。

「自分を救えるのは自分しかいないという、そこが大事なところでしょうか?」

大事ですね。つまり「あの過去が変わらない限り、自分は幸せにはならない」と思っている訳ですよ。だから、ず〜っと過去の愚痴を言うんです。

「あの過去は変わらないんだよね。あなたに残されている方法は、他人を変えるか、状況を変えるか、自分が変わるかだよ。僕は、自分が変わるのしか教えられないけどどうする?」って伝えます。

そこで、「お母さんがこうだった」って言ったらね、「ここにお母さんを連れておいで」って言います。「お母さんを連れて来ないと、僕はワークできないよ」ってね。

本当に大事なことは、自分の全ての感情に責任を持つことです。これが一番大事ですね。これがなくては、人は変わりません。だから言葉をすごく大事にします。

例えば、「できない」っていう時は、「したくないの? したいの?」って聞きます。すると「したくありません」って言います。「それでいいんだよ」って伝えます。パワーを感じるでしょう?

「自分の感情とか思考とか、それを放棄する言葉を言ったら、それを指摘していいね」って最初から伝えていますので。すぐにその場で指摘します。そうすることで、いかに自分がそういう言葉を言っているかに気づく訳ですね。そういう言葉に気づくって大事ですよね。

「実は全部、自分が選択しているのですね?」

そうですね。自分にとって一番厳しい人は誰かっていうと、自分なんですよ。でも、自分にとって一番優しい人も自分なんですよね。だから、自分が生きるのにどっちを使うのってことです。

厳しい人を使ったら自殺に追い込んでいきますからね。優しい人を使ったら、ノーベル賞をもらえるようになるかもしれないですよ。

小さい時に親を見て、ビデオを撮るように、頭の中にそれを入れているんですよ。だから何かをする時に、その厳しい親が出て来て、「お前なんかにやれるか!」っていう声が出てくるんですね。それを取り替えるんです。

「取り替えというのは、自分の意志でいつでもできるということですか?」

そうです。最近のやり方は、「どうなりたいの?」って聞く訳です。例えば、「コミュニケーション能力を高めて、もっと幸せになりたい」って言う。私が「じゃあそれが解決したとしたら、どんな自分になってる?」と聞くと、クライエントは「人と楽しくやってる」って言います。

私はイスを準備して、「このイスは、そうなっているイスだよ」って。今の自分のイスから、そのイスにクライエントに移動してもらいます。そしてその未来のイスでは、「あなたは、もうそうなっています」と言います。

そして、今の自分が座っていたイスを見てもらって、今の自分に向かって、「ここに来る気ある?」って聞いてもらいます。クライエントは「行きたいんだけど…」と言います。そこで私は、未来のクライエントに、「彼が来ると言ったら、彼を守ってあげる?」って聞くんです。

未来の自分は、「守ってあげる」と言うんですけど、今の自分は来ないんですよ。ここがすごく重要なんですよね。ここが自分自身、どれだけ大きく持てるかですよね。「お前は人の役に立って、将来的に世界的にこういうことをやっていい」って未来の自分が大きく持つことが大事なんです。

自分に「あなたにはそれができるよ」ってずっと言い続けている訳です。「こっちにおいで、こっちにおいで」って。

それから、もう一つイスを用意して、二人の自分が見えるところに置きます。そしてクライエントに、このイスから「今のこの二人のやりとり、納得できる?」って聞きます。すると「納得できない」って言います。「どっちに問題がある?」って聞くと、「今の自分に問題がある」と言います。

「何でですか?」って聞くと、自分のトラウマを言うんです。「人を信用していない」とかね。「じゃあ、この今の自分が解決しない限り、未来の自分がどんなに夢を持とうが何をしようが、今の自分はそっちには行かないよね」って。

そのワークは、今の自分と将来のなりたい自分とのワークですよね。そしてそこで、人を信用していないってことを再決断していく訳ですね。ずっと自分をいじめ続けている人は、ずっと自分を批判し続けている。それを自分の意志で取り替えるんです。

今の自分が納得して、客観的に見るイスから「納得できる」って言った時に、頭の中に三角のトライアングルが、出来上がるんですね。それが出来上がるということは、頭の中がすごく安全になっていく訳です。

私は、頭の中が安全にどうやったらなれるかっていうことばかりを考えています。理論はいっぱい知っているけど、それをいかに簡単に完結にクライエントに分かってもらうかっていうことで、脳の三層図が一番早いんです。

(次回につづく・・)

池田 登(いけだ のぼる)  日本Share&Care協会代表
                 株式会社日本Share&Care 代表取締役

1947年生まれ
様々な職業を経験後、1977年自分の問題を解決したいという思いがきっかけで心理学を志し、後にカウンセリング事務所を開設。不登校・引きこもり・情緒不安定の中高生のカウンセリングを中心に手掛ける。
グールディング夫妻(米医学博士・セラピスト・元国際TA協会会長)の著書『自己実現への再決断』との出会いから、交流分析(Transactional Analysis:TA)の理論が臨床を行う際に有効であると考え、同氏のワークショップに参加。深い感銘を受ける。
以来、グールディング夫妻の「再決断療法」、ミュリエル・ジェームス博士(精神療法家・心理学者・教育学博士・元国際TA協会会長)の「セルフリペアレンティング」、エーブ・ワグナー氏(国際TA協会公認トランザクショナルアナリスト・経営コンサルタント)の「自我状態」の考え方などの手法を取り入れ、臨床の場で活用している。
近年は数多くの臨床経験から「心理=脳の働き」という考えに至り、脳の発達理論・メカニズムとTAの理論を組み合わせた独自の理論をもとにセラピーを行い、クライアントの問題(人間関係を始め各種のトラウマ・不登校・引きこもり・うつ状態・依存症・育児ノイローゼetc.)の早期解決に成果をあげている。

<日本Share&Care協会のHP>
【日本Share&Care協会】

<池田登先生の著書>
cover
トラウマにさよならする時


『快 脳がつくり出した人生のストーリー』

『私と出逢うさんぽ道』  は、【日本Share&Care協会 書籍販売】から、お申込みください。

インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、NLPセラピスト、ゲシュタルトトレーナー、
交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:高橋梨恵(たかはしりえ)

高橋梨恵

「本当の自分を知り、自分らしさを発揮して生きること」
社会におけるこのテーマの実現を心理的側面からサポートするため
現在カウンセリングの勉強中です。
趣味は旅・自然にふれること。

社団法人 産業カウンセラー協会 会員
レイキヒーラー


インタビュアー:前田みゆき(まえだみゆき)

前田みゆき

身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
人とのご縁で、気づかされることが喜びです。

自称 遅咲きさん

コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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