第69回目(1/4) 池田 登 先生 日本Share&Care協会

再決断療法とセルフリぺアレンティングに出会って、苦しみから救われた!

今回のインタビューは、セルフリペアレンティング(自己再養育)の第一人者、
日本Share&Care協会代表の池田 登(いけだ のぼる)先生です。

池田先生は、セルフリペアレンティングと再決断療法、脳科学を
融合させた独自のセラピーを展開されています。

30年以上にわたり、研究と実践に取り組んでこられた池田登先生に、
セルフリペアレンティングのパワーと特長、
今後の夢や展望についてお話を伺いました。

インタビュー写真

「先生は、いろいろなお仕事を経験されたとのことですが?」

元々、野球少年でした。高校・大学と野球の特待生で。大学に入る時には、プロからも声がかかったんですよ。ところが大学に行って、打球が頭に当たって脳内出血して、その後遺症とめまいで野球どころではなくなってしまいました。

小学生の頃から野球のことしか考えていなかったので、何をしていいか分からなくなってしまった。その前から、父親は酒癖が悪くて、兄貴からもいじめられて、という感じで、物心ついた時から「死にたい」と思っていました。

今から40数年前、生きる希望がなくなってきたのですが、世の中にカウンセラーなんていないじゃないですか。なので、図書館に行って文献を読んだりしながら、自分のこの苦しさをどうにか取りたいという思いがあって。そこから独学で始まりました。

仕事は、何をしていいか分からないのでいろいろな事をやってみました。10回以上、仕事は変わっていますね。セールスマンもやりましたし、駅の弁当売りもあります。それでも、生きる希望がないというか、何をやって生きていけばいいのかずっと見つからなかった。

「それが変わったのは、何かきっかけがおありだったのですか?」

一番変わったのは、再決断療法のグールディングに会ったことですね。彼らが日本に来て、そのワークショップに参加しました。

熊本大学の近くでカウンセリングをやっていたので、医学部の学生に「ゲシュタルト療法に関する文献を見つけてくれないか」と頼んだら、彼が『自己実現への再決断 TA・ゲシュタルト療法入門』という本を持ってきたんです。

その本に、高所恐怖症は20〜30分で治るって書いてあって、その場ですぐに「これ、俺に売ってくれ」と言いました。その本を元にして、熊大の学生達と勉強会を始めたんです。

交流分析(TA)とゲシュタルトを勉強していて分からないことがあったので、本の翻訳者の深沢道子さんにお手紙を出しました。そうしたら、返事が来て「これが最後だと思うけれど、グールディング達が日本に来るから、あなたも来てみない?」と誘われたんです。

「行きます!」と言って行ったのですが、そうしたら世界でもトップクラスのセラピストだったんですね。

「グールディング博士は、天才的なセラピストですよね?」

はい。その時40歳過ぎだったと思いますが、死にたいという気持ちがあって、大学をやめてから毎晩びっしょり寝汗をかいていました。これは何なんだろうと思って、それを解決したいと言ってグールディングのワークに手を挙げたんです。

そうしたら、ボブ(Robert Goulding)の方は医者ですから、こういう病気はないか、ああいう病気はないかと聞かれて。「ない」と答えたら、「大きな怪我をしたことはないか?」と聞かれたんです。

「頭を打った」と言ったら、「それで何を失った?」と聞かれて、「野球を失った」と言ったら、じーっと僕の目を見て、「登、野球にさよならができてないね」って言われたんです。その瞬間、わーっと涙がボロボロこぼれてきた。僕はその頃まだ、落合選手と競争していたんですね。

最終的に「今日は登の引退式をしよう」となって。「9回の裏、1対0で登のチームが勝っている。2アウト満塁だ。ピッチャー投げました!」って深沢さんが訳して、「カーン、打ちました、ファーストライナー!」って言われて、バーンって僕がジャンプして取った時に、そこに参加していた40人くらいが「うわーっ。おめでとう!!!」となって。

その日から寝汗が止まりました。それで、こんなにすごいものは広めなくては、と思ったんです。熊本に帰って、家の近くにある病院の先生に相談して4階の会議室を借りて、毎週木曜日に再決断療法のワークショップをやっていました。

「その頃、お仕事は?」

カウンセリングはやっていましたよ。30歳の時に、この仕事をしようと決断して、不登校の子ども達と関わっていました。ただ、最初は食べられなかったものですから、朝3時に起きて朝9時まで魚市場で働いて、勉強しながら生活していました。

再決断療法の本を見た時に、「これをやってみたい」と思って、本がボロボロになるまで勉強しました。ただ、映像が観られないので、雰囲気からしてどうやればいいか分からなかった訳ですよ。

グールディングの2泊3日のワークショップで、ワークのやり方などは目で見て体験したので、熊本に帰ってすぐできるようになりました。

「その後、セルフリペアレンティングに出会われたのですか?」

そうです。ハワイで国際TA学会というのがありまして、そこに行ったんです。その頃(平成元年)は飛行機代もすごく高くて、親戚からお金をかき集めて行きました。

そこで、「隣のクラスでミュリエル・ジェームスという人がセッションするから、行った方がいいよ」と言われて行ったのが出会いです。その人が天使様のような顔をしていて…。ミュリエル・ジェームスさんは、セルフリペアレンティングを作った人です。一番すごい人だと思いますよ。


インタビュー写真


「最初にセルフリペアレンティングに出会った時は、どのような印象でしたか?」

彼らは全くいばっていないんです。ハワイなので、皆、軽装で、誰が先生だか分からない。このオープンさ、フレンドリーさ、これを持って帰らないといけないな、と思いました。

日本人が「先生はお偉い方だから」って言うでしょう。「僕のどこが偉いの?」と聞くと「先生は理論を知っているし」って。「確かに理論も知っているし君よりスキルもあるかもしれないけど、それであなたより僕の方が偉いという保証はどこにあるの?」って聞くんですよ。

ミュリエル・ジェームスにも、ワークしてもらいました。40歳過ぎた頃から、急に字が書けなくなったんです。手に力が入って鉛筆がポキポキ折れるくらい。ホテルのチェックインなんかがすごく苦しくて。それをワークでやりました。

昔、漢字の練習の時に、僕が書けないと母親から物差しでパチンと叩かれていました。それがどこかで引き戻されたみたいで。ミュリエルが「誰かボランティアいない?」と言って、手を挙げた女性がいたので、「あなたが登のお母さん役をしなさい」となりまして。

棒切れを見つけて、「登が字を書けないから、この棒で叩きなさい」と言って、彼女が叩こうとした瞬間に、ミュリエルが「ストーーーップ!!」と言って、叩こうとしたお母さん役をすごい勢いで怒ったんです。その時、私はミュリエルの膝でワンワン泣きました。

その後から書けるようになりました。これはすごい、と思いました。このやり方で、性的いたずらをされた人、結婚できない人、男性が怖い人を沢山助けて来ました。

「どうしてそこで涙が出るのか、解決できるのかを教えていただけますか?」

怒りの感情というのは、攻撃するためにあるのではなく、守るためにあるんです。僕のために怒りを使ってくれたというのは、僕をものすごく防御してくれているんです。

例えば、ゲシュタルトというのは“今ここ”に持ってくるでしょう。ある女の人が映画館のトイレでいたずらされているその場面に持ってくる。「ほら、パンツを脱げ」って言ってポンってイスだけを置くんです。そうするとパっと硬くなってその場面に気持ちが行ってしまうでしょう。

その後に、ものすごい大声を出して「こら、キサマ、何をしてる!!!」と言ってそのイスをバーンと思いっきり蹴るんです。その女性はワーっと泣いて僕を掴むから、「イスを蹴れ」って言ってイスを蹴らせるんです。これはすごく迫力がいる。男じゃないとできないと思います。

実は、脳科学から言うと、古い脳である「爬虫類の脳」というのは時間の概念がないんですよ。再決断療法というのは時間の概念がないことを利用してやっています。いたずらされようとした時におじさんが出てきて私を助けてくれた、ということが入る訳です。

「それが記憶に上書きされるという感じになるのでしょうか?」

そうです。何十年も経ってでもですね。そこを利用している訳です。

感情が出ている間というのは、交流分析のP・A・Cで言うとCのChildに行っていますから、20分から25分内で片付けなさいとグールディングは言っています。感情がChildになっている間にワークをやらないと、覚めてしまったらもう駄目だと。

だから1分でも2分でも早くやれと。再決断療法を1時間もかけてやっているというのはおかしいということですね。

「ご存知でない方のために、再決断療法について簡単に説明していただけますか?」

重要なのは「契約」です。何を変えたいか、ということです。ワークショップでやる時は、「今、自分を変えたい人」と言った時に手を挙げた人にしかやりません。「何を変えたいですか?」と聞いて「これを変えたいです」と言ったこと以外のことはやりません。

例えば、人前で緊張するとか、人の目が気になるとか。その人の表情とか、ボディランゲージを見ていると、「傷はこれだな」と2分くらいで分かります。木で例えると、問題は根っこの部分にある訳です。本人も自分で見えない部分です。

一般的なカウンセリングでは、木の枝葉の部分に対してやるけれども、何十回やっても解決しません。根っこの部分であるところ、例えば「いじめられた事はなかった?」と聞くと、大体その通りなんです。いじめられたところの場面に行って再決断します。

いじめられてそれが傷になっている人達は、それを親に言えていないことがあります。親が感情的に欲張りだったから、自分が辛くても親に言えない訳です。感情的に欲張りというのは、お母さんが家でぷりぷりしているとか、いつもお母さんが寂しそうにしているとか。

学校でいやなことがあっても、お母さんに「大丈夫」って言ってしまう。

「お母さんを気遣って、言えない状態なのですね?」

そうです。感情の取り合いっこをしたら親が勝つ訳です。

「感情の取り合い。そういうのを親子間でやっている訳ですか?」

例えば、お父さんが酒を飲んで暴れたりすると、子どもが寂しくてもお父さんの感情が優先されるじゃないですか。子ども達は我慢するしかない。「助けて」が言えない。

「多分あなたはこれまでの人生で言ったことがないと思うけど、僕に助けてって言ってごらん」と言うと、それだけで泣くんですよ。「池田さん、助けて」って。「分かった」と言って、イスを3つくらい並べて、いじめた奴に見立ててガンガン倒したんですよ。「見とけよ」って言って。それで、ぼろぼろ泣いていますよ。

「それで、感情が上書きされるという事が起きる訳ですか?」

そうです。それと大事なことは、古い脳を使っているということです。前頭葉を使わないと駄目なんですよね。

古い脳を使っているというのはどういう風にすれば分かるかというと、「あそこに人の目が気になって皆を怖がっているあなたがいるけど」と言って、イスに熊のぬいぐるみを置く訳です。そして本人を立たせて「私は○歳です。成人した一人の女性です」と言わせて別のイスに座らせます。

「あそこいるあなたは情緒的、精神的、心理的に何歳に見える?」って聞くと大体「○歳」と子どもの年齢を言います。「その時に何があったの?」って聞くと「いじめがあった」とか、必ずそれが出てきます。

「それは前頭葉を使っていないということなのですか?」

小さな自分がいるってことは、古い脳を使っているということです。成人している自分は前頭葉を使っている自分。自分の中に、大人の自分とトラウマを持った自分がいるということに境界線をしっかり引く訳です。

この傷を持った自分はあなたしか助けられないよ、というのが僕のやり方です。僕はそれを助けるために協力してあげるよ、ということです。

古い脳を使っている人は、思い込みだけど「人を信じてはいけない、人に近づかない方がいい、集団の中に入らない方が安全だ」と思っていて、古い脳というのは自分が大人になっていることに気づかない訳です。ですので、いまだに自分を助けようとしている。

7歳の時にそういういじめにあって決断したとしたら、自分はもう40歳なのに、7歳の子が主導権を握っている訳です。7歳の子が大人とうまくいく訳はないですよね。40歳の自分が出てこないといけない。

そこで、分かった時に、リペアレンティング(再養育)する。そのリペアレンティングの仕方は、「あの子はあなたの事を助けようとしているから、ああいう風になっているんだよね」と伝えます。

僕のカウンセリングは、小さな頃の自分が座っているイスを正面に置いて、二人で分析しようという形にしています。自分だけど、第三者的に見てね、と言って。

「あの子の決断は今のあなたに必要だと思う?」って聞いたら「必要じゃない」と。「あの子を助けられるのは誰?」と聞くと「私しかいない」と。これがセルフリペアレンティング(自己再養育)です。

(次回につづく・・)

池田 登(いけだ のぼる)  日本Share&Care協会代表
                 株式会社日本Share&Care 代表取締役

1947年生まれ
様々な職業を経験後、1977年自分の問題を解決したいという思いがきっかけで心理学を志し、後にカウンセリング事務所を開設。不登校・引きこもり・情緒不安定の中高生のカウンセリングを中心に手掛ける。
グールディング夫妻(米医学博士・セラピスト・元国際TA協会会長)の著書『自己実現への再決断』との出会いから、交流分析(Transactional Analysis:TA)の理論が臨床を行う際に有効であると考え、同氏のワークショップに参加。深い感銘を受ける。
以来、グールディング夫妻の「再決断療法」、ミュリエル・ジェームス博士(精神療法家・心理学者・教育学博士・元国際TA協会会長)の「セルフリペアレンティング」、エーブ・ワグナー氏(国際TA協会公認トランザクショナルアナリスト・経営コンサルタント)の「自我状態」の考え方などの手法を取り入れ、臨床の場で活用している。
近年は数多くの臨床経験から「心理=脳の働き」という考えに至り、脳の発達理論・メカニズムとTAの理論を組み合わせた独自の理論をもとにセラピーを行い、クライアントの問題(人間関係を始め各種のトラウマ・不登校・引きこもり・うつ状態・依存症・育児ノイローゼetc.)の早期解決に成果をあげている。

<日本Share&Care協会のHP>
【日本Share&Care協会】

<池田登先生の著書>
cover
トラウマにさよならする時


『快 脳がつくり出した人生のストーリー』

『私と出逢うさんぽ道』  は、【日本Share&Care協会 書籍販売】から、お申込みください。

インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、NLPセラピスト、ゲシュタルトトレーナー、
交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:高橋梨恵(たかはしりえ)

高橋梨恵

「本当の自分を知り、自分らしさを発揮して生きること」
社会におけるこのテーマの実現を心理的側面からサポートするため
現在カウンセリングの勉強中です。
趣味は旅・自然にふれること。

社団法人 産業カウンセラー協会 会員
レイキヒーラー


インタビュアー:前田みゆき(まえだみゆき)

前田みゆき

身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
人とのご縁で、気づかされることが喜びです。

自称 遅咲きさん

コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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