第69回目(2/4) 池田 登 先生 日本Share&Care協会

リぺアレンティングとは、自分が自分のカウンセラーになること

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「セルフリペアレンティングについて、説明していただけますか?」

自分の中に小さな子どもがいるので、その子どもを再養育して大人にしてあげる。自分の歳まで上げてあげたら消えていくんです。7歳で「人を信じない」と決断したら7歳で止まっている。ずっと7歳の子がいる訳です。

それがリペアレンティング(再養育)して安心してくると、その7歳の子が自分を守ってくれる人ができたと思って段々成長していきます。そうして自分の歳になったら私はもういらないね、となって消えていきます。

「それと同時に痛みが消えていくのですか?」

消えていきますね。変わるのに一番重要なことは、自分の感情、思考、行動の責任を持つことです。「あの人がいたから悲しい」ではなくて、「あの人がいたから、私は自分を悲しませている」というように、本当は全て自分に責任があるんだということです。

そうすると、「今私はここで嫌な気持ちになっているけれど、どうして今、嫌な気持ちにしているんだろう」ってなるんですよね。「今ここと関係ないことを考えている」となれば、自分によしよし、とやってあげる。

そういうことが普段からできるようになってくる訳ですね。自分が自分のカウンセラーになることが、リペアレンティングだと思ってください。

「全て自分が決めていることに気づく。感情・思考・行動を自分の支配下に置く?」

そうですね。怖いのではなく、自分が自分を怖がらせているというのが正解。

リペアレンティングをする時、成人の私が座っているイスから、向こうのイスに向かって「あなたの決断は今の私にはいらないよ」と言ってあげる訳ですよね。でも、最初、ずっと怖がらせているから、この子は信用しないんです。

「どうする?」って向こうのイスに座らせて、「あのお姉ちゃんはね、もういらないって言っているけど、信じられる?」って聞くと、「信じられない」って。また成人の私が座っているイスに座らせて、「信じないって言っているけど、どうする?」って。

「大丈夫、私が守ってあげるから」と言ってまた向こうのイスの方に行く。それでも「信じない」って。信じない限り、この子は消えないんですよね。そこで、再決断するんです。つまりリペアレンティングと再決断を融合してるんですよ。組み合わせて使っていく。

例えば、子どもが嫌な気持ちになって抱きついてきた時には、さすってやりながら、「ほらね、何にも怖いことなんてないでしょう?」と言ってあげる。つまり、“今ここ”というのは安全だということを教えてやるんですね。

「子どもの自分に教えてあげるということですか?」

そうです。そうすると段々安全なんだということに、気づいてくるんですよ。安全か安全じゃないかで動いてますから。シンプルにこの2つなんです。「快」か「不快」かです。

よく「三つ子の魂百まで」と言うでしょう。記憶というのは、大体4歳ぐらいからで、3歳までの記憶はなかったりしますよね。では、記憶のないところがなぜそんなに重要かというと、ここで人生の3分の1から半分くらいまで決まってしまうからなんです。

記憶というのは、あそこに行くと肉食獣にやられるから避けた方がいいとか、雷が鳴ったら川があふれてくるから早く逃げろとか、元来、危険から自分の身を守るためにあるんですね。

この記憶を司るのが脳の海馬ですが、3歳まではこの海馬に配線が通ってないため、海馬の下にある扁桃体(主に感情を司る)」に短期記憶があるので、ここを使っているんです。

記憶がない子どもが、何で安全か安全じゃないかを決めているかというと、「快」か「不快」なんです。例えば、赤ちゃんはお腹が空いたら泣きますよね。眠たいとぐずりますよね。全部、不快だから快にしてくれということですよね。

「快か不快か、なのですね?」

また、甘えたい、遊んでほしい、これらの感情が出てきた時に親が受け止めてやると、お父さん、お母さん、人は「快」。おじいちゃん、おばあちゃんや親戚がいたら、人々は「快」。そして、近所づきあいを通じて、社会は「快」と、3歳くらいまでの間にインプットしてしまう訳です。

そして世の中が快となっていると、ベースがOK-OKになっていく訳ですよ。そうすると何も言わなくても自然にそういう人生を組み立てていく訳です。

ところが、それが足りなかった場合には、不快になるんですよ。そうするとどうなるかというと、不快は危険なんですよ。我々もそうですが、動物は逃げるか、戦うかしかないんですよ。

逃げるタイプの人というのは、I am not OK. You are OK.
戦うタイプの人というのは、I am OK. You are not OK.
どっちもできなかった人が、I am not OK. You are not OK. のNO-NOに行くんですね。

鬱になる人は、NO-NOになる人ですね。自分もNOで他人もNOで、絶望的になっていきますよね。それに入っていくか、I am OK. You are OK.のOK-OKか。OK-OKに人生の70〜80%いる人はすごく幸せ。ほとんどの人が、NO-OKかOK-NOにいるから、大変なんですよね。


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「それは、子どもの頃に吸収してしまうということですか?」

そうですね。それでもそこからまた脳が発達していって、10歳くらいまでに今の大人と同じぐらいの脳になるので、それまでは修正が効くんですね。でも修正されなければ、そのままです。

我々は元々成功するようにできて生まれてくる訳ですよね。つまり勝つために。でも周りの大人達が、負ける方法をいっぱい教えるんですね。

「それをため込んでしまって、制約や苦しみになってくるということですね?」

そうですね。それが今起こっている事実を汚染してしまっているんです。例えば、いじめにあった場合に、周りに人がいるだけで、怖いと感じて声が震えたり、言いたいことが言えないというのは、何も怖いことがないのに汚染されているんです。でも、本人は気づきません。

古い脳というのは、小さい時決断したことを、大きくなって分かって貰っちゃ困る訳ですよ。人を信じない方が安全という決断をしていて、大きくなったら、人は信じればいいんだとなったら脳は困るので、分からないように分からないようにトリックをかけているんですね。

ただOK-NOの人達がこういう勉強をしたりすると余計にOK-NOになっていくんですね。本なんか読んで「ああ分かった。これで私は明日から幸せになる」って思っても、思考だけで、感情を動かさないようにしているんですよね。

分かったと思うけど、現場に戻るとやっぱり緊張してしまうとか、何でこんなに勉強しているのに、私は変わらないのだろうとなる。

「変わるには、何をすればいいのでしょう?」

簡単な例をあげましょう。例えばあなたがクライエントとしましょう。「いつもすごく苦しい。四六時中目を開けている時は、いつも苦しい」と言う。そこで僕は少し嘘をつきます。「僕のセラピーは、聴力を必要としますから、2分間ほど耳の具合を調べさせてもらってもいいですか?」と。

クライエントの許可をもらったら、「今から2分間、あなたの耳に入る全ての音を私に報告してください」と言います。するとクライエントは、「エアコンの音がした。飛行機が飛んでる」などと言いますが、さらに僕が「もっと聞こえませんか? 僕にはまだ聞こえますよ」と言う。

「遠くの方で、救急車が通る音がする。あっ今、バイクの音がする」と。さらに「もっと集中して、他にないですか?」と言うと、一生懸命報告してきます。

そして、「はい。もう結構ですよ。今、2分の間苦しかったですか?」と聞くと、「いいえ、全然苦しくなかったです」と言う。このように、全然別の自我(苦しんでいない自我)があることを教えていきます。

「それは、“今ここ”に集中していたということですよね?」

ですから、“今ここ”という状態を意図的に作って体験させる訳ですよね。クライエントは、その体験から、「性格じゃないんですね」と気づく訳です。

「そこから、変われるんだ! という意識が開けていく?」

そうです。通常ワンセッションで、12回来ていただくんですが、その人の抱えている問題は、大体3回目くらいで取れます。残りの時間で、それを理論化していくんですね。そして今度は、自己実現の方に向かっていきます。

脳科学を何故取り入れたかというと、今みたいに脳科学が盛んじゃない15年くらい前に、日本TA学会の脳科学の講演で「心理学は脳の動きだ」と気づいてから、脳のことはまだ3〜4%しか分かってないと言われて、そこから心理学が来ているということは、まだ心理学なんてほとんど分かってないと思って、まず心理学の前に脳科学を勉強しようと思ったんです。

脳科学では、幼児期のネガティブな感情は、大人になっても一生消えないと書いているが、再決断で全部消えるじゃないか。おかしい…。じゃあこれを融合していこうと考えたんですね。脳の三層説(大脳新皮質、大脳辺縁系、爬虫類脳)でやると、皆さんとても理解しやすい。

脳科学的にやった方が、その日に、自分はここを使っていないとか理解するんです。僕は、前頭葉にエネルギーが行くようなことをするんですよ。

鬱の人は、前頭葉にエネルギーが行かない代わりに、扁桃体がすごく燃えているんですが、何で扁桃体にエネルギーが集まるかは、脳科学は説明してないんですよね。

扁桃体に集まっている感情は、偽物の感情なんですよ。本物の感情というのは、使った瞬間に消えるようになっているんです。例えば、悲しい映画を観て涙を沢山流して泣いても、映画が終わったらすっと消えるでしょう。

それと一緒で、子どもは、本物の感情しか使わないから、泣いてもすぐ笑ったりするでしょう? でも、歳とともに段々とうまく使えない感情が出てくるんです。特に鬱の人は、怒りをうまく使えません。怒りの感情は、すごく重要ですね。

(次回につづく・・)

池田 登(いけだ のぼる)  日本Share&Care協会代表
                 株式会社日本Share&Care 代表取締役

1947年生まれ
様々な職業を経験後、1977年自分の問題を解決したいという思いがきっかけで心理学を志し、後にカウンセリング事務所を開設。不登校・引きこもり・情緒不安定の中高生のカウンセリングを中心に手掛ける。
グールディング夫妻(米医学博士・セラピスト・元国際TA協会会長)の著書『自己実現への再決断』との出会いから、交流分析(Transactional Analysis:TA)の理論が臨床を行う際に有効であると考え、同氏のワークショップに参加。深い感銘を受ける。
以来、グールディング夫妻の「再決断療法」、ミュリエル・ジェームス博士(精神療法家・心理学者・教育学博士・元国際TA協会会長)の「セルフリペアレンティング」、エーブ・ワグナー氏(国際TA協会公認トランザクショナルアナリスト・経営コンサルタント)の「自我状態」の考え方などの手法を取り入れ、臨床の場で活用している。
近年は数多くの臨床経験から「心理=脳の働き」という考えに至り、脳の発達理論・メカニズムとTAの理論を組み合わせた独自の理論をもとにセラピーを行い、クライアントの問題(人間関係を始め各種のトラウマ・不登校・引きこもり・うつ状態・依存症・育児ノイローゼetc.)の早期解決に成果をあげている。

<日本Share&Care協会のHP>
【日本Share&Care協会】

<池田登先生の著書>
cover
トラウマにさよならする時


『快 脳がつくり出した人生のストーリー』

『私と出逢うさんぽ道』  は、【日本Share&Care協会 書籍販売】から、お申込みください。

インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、NLPセラピスト、ゲシュタルトトレーナー、
交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:高橋梨恵(たかはしりえ)

高橋梨恵

「本当の自分を知り、自分らしさを発揮して生きること」
社会におけるこのテーマの実現を心理的側面からサポートするため
現在カウンセリングの勉強中です。
趣味は旅・自然にふれること。

社団法人 産業カウンセラー協会 会員
レイキヒーラー


インタビュアー:前田みゆき(まえだみゆき)

前田みゆき

身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
人とのご縁で、気づかされることが喜びです。

自称 遅咲きさん

コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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