第68回目(2/4) 菅原 裕子 先生 ハートフルコミュニケーション

ハートフルコミュニケ-ションで大切にしている3つのこと

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「ハートフルコミュニケーションについて教えていただけますか?」

簡単に言うと「子どもを幸せに自立させるための、親のためのワークショップ」でしょうか。

「その構想はいつ頃からおありだったのですか?」

娘を育てようとした時に一つだけ知っていたのは、「私が一生懸命になり過ぎると、子どもの人生を私のものにしてしまう。それは絶対に良くない」ということだったんです。

娘が自分で生きていかれるように、私の付属物でもなく、私の望む人生を生きるのでもなく、自分の望む人生を生きていかれるように育てたいと思って、5つの約束をして育てているうちに、当時勤めていた会社が、親のためのワークショップを開催したことがあって、そこで、私自身が娘を育てている考え方を導入して、何回か講座を開催したんです。

「先生が講師をなさったのですね?」

そうです。メッセージを伝えたんですね。そうしたら、参加してくださっている人の中に、奥様が小学校のPTA役員をやっているという方がいらして、親のための講演というのがあると。「2時間枠を取ったから、いつも僕達に話している話をしてよ」と頼まれて、それが最初だったんです。

それで、会社をサボって(笑)、2時間の講演に行ったのが最初です。そうしたら、そのたった1回の講演が「面白い」とご近所に広まって、そこでお話を聞いてくださった方のお姉さんが九州に嫁いでいて、「妹から聞きましたが、九州にも来ていただけますか」とかね。

「口コミで広がったのですね?」

口コミでどんどん広がっていって、2003年にリヨン社(現二見書房)から『子どもの心のコーチング』を出版して、その本がまたメッセージを届けてくれたんです。

「出版のきっかけは?」

私は是非、本にしたいと思っていたんですね。それで、講演に来てくださる方に小冊子を作ってお分けしていたんです。出版社にも持ち込んだりしたのですが、返されて、「まあ、待とう。いずれお声がかかるから」と思って待っていたら、リヨン社の編集の方からお声をかけていただいたんです。

「ハートフルコミュニケーションで、大切にしているものは何ですか?」

大切にしているものは、3つですね。
  愛することを教えよう。
  責任を教えよう。
  人の役に立つことを教えよう。
この3つです。


この3つを教えることに成功したら、子どもは自然に躾かりますから。そんなに躾しなきゃしなきゃ、なんて思う必要はないっていう風に教えています。まずそれが基本ですね。そこからがスタート。

「それぞれの大事なポイントは、何ですか?」

子どもの中にどうやったら愛することを教えられるかと言ったら、まず親が子どもを愛することです。親に愛された子どもの中には、自己肯定感が育っていくんですね。

人間なんて、1人1人どうしようもない部分を抱えた生き物ですから、素晴らしいばっかりな人なんていなくて、素晴らしいところもあるけれど「あ〜あ↓」みたいなところもある。

素晴らしいところは、放っといても素晴らしいのであって、いかにその「あ〜あ↓」を、「それでもそれが自分で、その部分さえも愛おしい」と思えるかっていうのがやっぱり一番。

自己肯定感というのは、その「あ〜あ↓」っていうのを、「それが自分」と受け止める気持ちですよね。それを、親に愛されることによって育てることができるんですね。

育つ過程で子ども達はいろいろ失敗して、とんでもないことをやってくれて、その都度、親がそれを許し、受け止め、「そんなあなたが大好きだよ」って言ってくれることによって子どもは「そういう自分でいいんだ」「そういう自分がいいんだ」となる。

それも含めて親は愛してくれるし、周りはそれを自分として受け止めてくれるんだと、それを子どもに教え込む。「君は素晴らしい」「何であれ、素晴らしい」って教え込むことが、子育ての第一歩だと思います。親達に是非それを伝えたい。

「弱い部分を直そうとする親がいるかと思うのですが?」

やっぱり、直そうと思います。直す一番いい方法は、それを受け止めること。弱い部分を責めたら、よけいに弱くなる。

だから、弱いところが見えたら、「あ〜。○○だね」と言って、受け止める。受け取ってもらえると、親が直そうと思わなくても、「これじゃいけないよな」って、子ども自身がもうちょっとよくなろうとします。

「子どもの中に自発性というものがあるのでしょうね?」

そうですね。親は、それを待つ。

「でもそこが、なかなか辛抱できないところなのですよね?」

そうですね。でも、それを待つことですね。


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「二番目の、責任についてはいかがですか?」

責任は、responsibility反応する能力ということです。人間は、そもそも反応する能力を持っていますから、いかにそれを伸ばしていくか。ではそれを伸ばすための方法は? 余計な手出しをしないことなんですよ。

愛することと関係しているんですけれど、子どもの働きかけに反応してあげる。子どもが「おーい」と呼べば、誰かがやってきてくれる。泣けば、誰かが相手をしてくれる。子どもが世の中に働きかけたら、何らかの世の中の反応があるということを子どもに教えてやる。

そして次は、子どもが働きかけた時に、何らかのことが起こってくることを子どもに体験させる。それを体験させるための一番いい方法は、親が手出ししないことですよね。

最初は、親子の関係においては、子どもが呼んだら行ってあげる、泣いたら抱いてあげる、おむつを替えてあげる。それは、親子の間柄で起こることで、今度は親子じゃない「よそ」に視線を向け始めますよね。

そこで起こることに関しては、親は手出しをしないで、ただ見守っていれば、子どもはいろいろやっていきます。

「手出しをしないで見守る?」

例えば、お友達と遊んでいて、お友達のおもちゃが欲しくて、取ったら泣いちゃった、泣いちゃって遊べない。じゃあどうしようと、おもちゃを返したら、機嫌がよくなってくれたので、「ああそうか」って、そこで学ぶことってありますよね。

自分が何をしたらどうなって、それをどうしたらどう変わっていくか、みたいなことをなるべく体験させていく。それが責任を学ばせていくことに繋がっていく。だからなるべく小さいうちから、よけいな手出しをしない。

「体験から責任を学んでいくのですね?」

ただ、手を出さなきゃいけないところもあるんですよね。例えば、友達と遊んでて、おもちゃが欲しくて叩きそうになったら、叩きそうになった子どもの手を親が取らないといけないし、叩くのはよくないと教えていかないといけない。

けれども、必ずしもそんなことをしなくてもいいことがいっぱいある。靴を自分で履こうとした時には、待っててやればいいとかね。

去年の秋に書いた『子どもを幸せに導くしつけのコーチング』という本があるんですけれど、その本の中に面白い例を挙げてありまして、3歳のお嬢さんを育てているお母さんが、梅雨時にお出かけする時に、お嬢さんがサンダルを履くと言ってきかない。

今までは、お母さんは「ダメよ。足が冷たくなるから」と言って長靴を履かせていたのを、ハートフルコミュニケーションを学ぶようになったので、サンダルを履きたいって言い張るから、「はい」って言ってサンダル履かせて出かけたそうなんです。

そうしたら、途中で分かるんです、足が冷たいって。でも、自分でサンダル履くって自己主張して、サンダル履いて出かけたので、文句を一言も言わないんですよ。

途中で、「冷たい」って言ったら、お母さんも「冷たいね」って言って、家に帰ってきて、冷たい足を拭いてあげたんですって。そうしたら、娘が一言、「この次からは、雨の日は長靴にする」って言ったんですって。お母さんも「そうね」って一言。つまり、そういうことなんです。

雨の日にサンダル履いても、それでおおごとにならないと判断して、履かせてあげるといいんですよね。そうすると、我慢できないほど冷たくても、人間3歳になれば、自分が言い出したことをママのせいにはしないんです。

そのお母さんも、「3歳は、私のせいにはしないんですね」と言っていました。ちゃんと学んで、次からは、雨の日には長靴を履くようになったんですね。3歳でもそういうこと分かるんです。

体験できる痛い目は、なるべく体験させた方がいい。その痛い目があまりにも痛すぎるのや、他のお子さんが痛いのはよくないですから、叩かない方がいいと早めに教えた方がいいですけど、誰の迷惑にもならなくて、いい学びになるのであれば、痛い目に合わせるのはいいですよね。

そこで学べて、それが自己決定力に繋がっていきます。

「三番目の、人の役に立つというのはどうでしょうか?」

人の役に立つ喜びというのは、全ての人の中に、人の役に立ちたいっていうのはあると思うんですね。だから、どんなに小さな子どもも、お母さんに「ありがとう」って言われるのが、すごく嬉しいと思うんです。

ですから、あなたは人の役に立つという存在であると、それをもう当たり前のことにしておこうと。当り前のことであるとするためにはやっぱり、小さい時から人の役に立つのは嬉しい、楽しいということを、ちゃんと体験させておいた方がいい。

そうやって育てば、ある年齢になった時に殊更、マナーを教える必要はなくなるんです。お年寄りに席を譲りましょうとか、町にゴミを捨てたらいけませんとか、そんなことすら教える必要はなく、もうごく当たり前のこととして子ども達は学んでいきます。

一番大事なのは、人の役に立つ喜びを体験すること。そのために何をしたらいいかというと、親の役に立つことを教えていく。それで、小さい頃からできるだけ、お手伝いをしてもらいましょうと。

「お手伝いで、親の役に立ってもらう?」

でもこれが大変なんですよね。小さい時のお手伝いって、「お願いだから、あっちに行っててちょうだい」って感じですよね。それを親が我慢できるかどうか。

もう2〜3歳になると一人前にママのエプロンかなんかしたりしてね。得意満面にお人形さん相手にママゴトしたがって、そのうち本当の台所にまで立って。一番いいのは、ごっこ遊びの延長でお手伝いって面白いって、学んでもらうこと。

小さいうちは大変ですけど、エプロンしていただいて、子ども用の包丁を一本用意して、ママと同じことをやりながら、いろんなお手伝いをしてもらって、その時に、「ありがとう」「嬉しい」「助かった」と言いましょう。

この時に間違っても、「あなたは、いい子だ」「あなたは、えらい」「上手にできた」とかって、親からの評価をしないようにしましょう。ここで私達がしたいのは、評価ではなく感謝すること。それは当然で、お手伝いをしてもらったんだから「ありがとう」です。

そうすることによって、「そうか。自分が親のお手伝いをすることで、親は助かるんだな」「自分がお手伝いすることで、親は感謝してくれるんだな」という風に関係性が見えますね。自分がやったことの影響がどうこの人に出てくるかということがよく見えますよね。

そういうことをやり続けようというのが、人の役に立つ喜びを教えるということですね。

「評価ではないということですね?」

そうですね、評価で問題があるのは、評価されないとやらないという危険性があるんですよ。それが目的になったら、本末転倒なので。

でも、小さい時から役に立つ喜びを教えていくと「ありがとう」を言われる必要がなくなっていくんですね。ごく当たり前に人の役に立とうとしますから。

(次回につづく・・)

菅原 裕子(すがはら ゆうこ)  NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事
                    有限会社ワイズコミュニケーション代表取締役

社員一人一人の能力を開発することで、組織の変化対応力を高めるコンサルティングを行う。仕事の現場で学んだ「育成」に関する考えを子育てに応用して「ハートフルコミュニケーション」を開発し、全国のPTA、地方自治体、地元の有志主催による講演会で紹介。
また、それぞれの生活の中で、ハートフルコミュニケーションを伝えられるハートフルコーチを養成し、日本中の親たちの子育てや自己実現を援助する活動を展開中。
2006年11月NPO法人ハートフルコミュニケーション設立。行政機関とも連係し、ハートフルコミュニケーションを親たちの日常に紹介しつつ、ハートフルコーチの活躍の場を広げている。

<NPO法人ハートフルコミュニケーションのHP>
【NPO法人ハートフルコミュニケーション】

<菅原裕子先生の著書>
cover
子どもの心のコーチング 一人で考え一人でできる子の育て方


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子どもを幸せに導く しつけのコーチング


cover
ひびわれ壺 子育てに大切なことがわかる小さな物語


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10代の子どもの心のコーチング―思春期の子をもつ親がすべきこと

インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、NLPセラピスト、ゲシュタルトトレーナー、
交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:前田みゆき(まえだみゆき)

前田みゆき

身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
人とのご縁で、気づかされることが喜びです。

自称 遅咲きさん

コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中


インタビュアー:川崎綾子(かわさきあやこ)

川崎綾子

ゲシュタルト・再決断@府中「座★すわろう会」で活動中。グループの中で
お互いにサポートを得ながら、自分らしく癒されるセラピーをしています。
ペンギン好き。趣味はバレエです。

GNJゲシュタルト療法トレーニングコース修了、日本ゲシュタルト療法学会会員
NPO再決断カウンセリングジャパン会員
矢野惣一問題解決セラピスト養成講座(上級)修了
レイキティーチャー


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
発行メルマガ:こころの栄養@さぱりメント

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