第66回目(4/4) 岸 英光 先生 エグゼクティブコーチ

機能するコミュニケーションを、日本の文化にする!

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「家庭での子どもさんとのコミュニケーションのポイントがあれば教えてください」

これは、カウンセリングとちょっと近いかもしれませんけど、気持を言うっていうのが、重要だと思うんですよ。

「これはダメじゃないか」じゃなくて、「こういうことがあって、お母さんは残念だった。悲しい」とか、「今回のこれは、お父さんは誇らしい。嬉しいよ」とかね。

子どもがお手伝いした時に、「お母さんは読みたい本があったんだけど、○○ちゃんが手伝ってくれて、本が読めて嬉しかったわ」って言われ、

それを見ていたお父さんが、「お父さんは○○ちゃんに、素敵な大人になって欲しいって思っているんだ。今日、○○ちゃんがお母さんのことを手伝っているのを見て、お父さん、すごく誇らしかったよ」って言われ、

更にそこに、おじいちゃんが来て、「おじいちゃんな、○○ちゃんがお母さんのことを手伝っているのを見て、安心して死ねるよ」って言われたら、自分のこのお手伝いが、お母さんには「嬉しい」、お父さんには「誇らしい」、おじいちゃんには「安心」を与えられたとなる。

「いろいろな気持ちを知ることができますね?」

いろんな人にいろんなことが起きるんだっていうことが掴めれば、自分のしたことで、誰が喜ぶかとか、逆に誰が傷つくかが分かる。つまり、人の気持ちが分かる人になると思うんですよ。

ところが、大人が気持ちを言わないで、気持ちを出さないで、気持ちの分かる人間に育てって言うのは、水のないプールで泳ぎを覚えろと言っているのと同じで、めちゃくちゃだと思うんですね。

空気が読めない子が育つのは当然ですね、だって誰も気持ちを言わないんだもの。「ダメでしょう」は言うけれど、そのダメなことをやって、お母さんが心配だとか悲しいだとか言わないんですから。

逆に、「100点取れてすごいね」って評価だけして、「お母さんも嬉しい」とは言わない。気持ちを分かって欲しいのに、気持ちを言わない。気持ちの分かる人間になって欲しいのに、気持ちを出さないのって、おかしいでしょう。

「親も自分の気持ちを言うことが大切なのですね?」

認めるって言った時には、自分の気持ちもちゃんと見て、現実も見てってやったら、繋がりが見えるはずなんです。でも、どっちかしかないから、おかしなことになると思うんです。

コーチって、現実をしっかり見て、的確にっていうと、すごくストイックな人間を想像すると思うんです。でも正直言って、僕のコーチ達はすごく感情豊か。

「コーチ自身も感情を表現しますよね?」

するする。僕は思いっきり感情的でしょう。腹が立つ時は腹が立つもん。

そして、感情に基づく時は基づく、基づかない時は基づかない、それを決められることが大事です。世界のリーダー達は、基づかない時には非常に明確で、明晰で、クリアなんだけど、基づく時にはすごく朗らかで、感情的でしょう。あれはパワフルでいいなって思っています。

今の日本人が、笑っているんだか泣いてるんだか、反応しているんだかしていないんだか、更に今の子ども達が、失感情症みたいになっちゃっているのは、分けられていないから。分けられるようになったら非常に、機能し出すと思います。

「今のお仕事をされている上で、大事にしていることはおありですか?」

これは、僕の師匠に言われたことなんですけれど、「目の前の人がどんなに、つまんないこと、くだらないこと、意味のないことをしゃべっているとしても、命がしゃべっているんだって、聴け」って。つまり、そこに必ず何かがある。

「あ〜、つまんない、くだらない」って聞き流したりするじゃないですか。でも、人がしゃべっている以上、そこにいる命がしゃべっているんで、それがそう聴けないようであれば、人に関わる仕事はするなって、言われたんです。それは、僕は大事にしています。

それと、「できる」は無いなって。コーチングにしても、カウンセリングにしても、何にしても、人間って深いですし、時代が変われば変化します。だから「やれるようになった」は無い。

コーチングをやってもう20年になるんですけれど、正直言って、ここまでできたからコーチングができたとか、カウンセリングがやれるようになったとか、人が分かるようになったとかってまず無いですね。

やったらやっただけ、もっと深いことがあるし、同じ人は一人だっていないし、更にもっと言えば、変わるんですよ。人が変化するんです。

過去の心理学とか、昔言っていたことは通用しない。メンタルヘルスを一つとったって、そうじゃないですか。もう、昔の理論は通用しないし、数年前の通りに今やったらこじらせるみたいなことがある。だから、いつもニュートラルに、探究していなきゃいけない。真っさらで。

知っている人に会っても、この人はこんな人だっていう意識と、もう一つ、全く新しい人かもしれないという、全く自分が知らないその人がいるという感覚。

今まで、「この人には無理だ」って言われたことで、成功している人がどれだけいることか。それを見ていますから、本人も含めて見立てなんていうものが、ほんの小さな理解に過ぎなくて、まあ、人を分かり得るってことはないんだろうなって思います。

「分かったということは、あり得ないのでしょうね?」

あり得ない。分かったって思った瞬間、それが限界ですね。

「心の仕事をしている方、目指している方に先生からのメッセージを願いします」

センスは伸ばし続けられるものだから、常に伸ばし続けなきゃいけない。理論理屈は勉強してもすぐに捨てて欲しいんですね。理論理屈があると、どうしてもそれに合わせて人を見ちゃうんです。

何を学んでも、一旦自分の中に入れてもすぐに捨てられるか、いつも空っぽでいるか。禅みたいな感覚ですね。いつも空っぽでいられるかっていうのが非常に重要だなって思います。

だから、その時に自分が導いてあげるとか、自分が上手くやれるようにしてあげるとか、ちょっとでもそっちに立ったらもうダメだし、この人のことはだいたい分かったって瞬間に、もう取りこぼしています。

すごく居心地が悪いかもしれないけど、まだ分からないことがあるかもしれない、これだけじゃないかもしれない、全くそうではないのかもしれない、っていう自分の判断なり、見立てに疑問をいつも持っていること、終わらせないことってすごく重要だなって思いますね。

あなたもあなたのことが分からないし、多分誰もあなたのことは分からないくらいあなたは大きいんだろうなって、ただ事じゃないんだろうなって、畏怖というか畏敬というか、そういう感覚は持ってないと、扱えていると思った瞬間にもうアウトですね。


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「今、悩みや迷いを持っていらっしゃる方へメッセージをお願いします」

コーチ的になっちゃうんですけどね。不安な人には、「大丈夫だよ、不安なだけだから」、怖がっている人には、「大丈夫だよ、怖いだけだから」。

怖いかどうかとできるかどうかは、関係ないし、不安かどうかとやれるかどうかも関係ないし、変な話ですけど、「迷っていたら迷っていたで、やってみたら」って伝えたいですね。

世の中には、怖くてもできることは山ほどあって、不安でもやれることは山ほどあって、苦手でもやれちゃうこともいっぱいある。

一方、怖くなくてもできないことは山ほどあって、自信があってもやれないこともあって、ってことは、結局、自信があるかないか、不安があるかないか、怖いかどうかと、できるかどうかは、関係ない。

怖い人には、「怖いままやったら」「不安なのね、行ってらっしゃい」です。不安なまま、行ったらいいだけですから、「行ってらっしゃい」なんですよ。

「それで、動けるのですか?」

僕はそうでした。不安や怖れを受け取ってもらうことの偉大さは、感じないと分からないかもしれないです。その威力は大きいと、体感してくれた方は言ってますね。

最近のスポーツ選手達が、やたら本番に強いでしょう。怖さや緊張がないかといったら、インタビューで、「怖かったです。緊張しました」って言うでしょう。感じてても、影響を受けないっていうパラダイムになってきているんですよ。

日本人は、感情が落ちると、意志も落ちて、能力も落ちる傾向にあるんです。3つが結びついていたんです。でも世の中には、プレッシャーがあっても能力が出せる人がいる以上は、実は関係ないんですね。それが、頭の中で繋がってると、繋がっちゃうんですよ。

「それが思い込みなのでしょうね?」

完全な思い込みですね。怖いままやってみたら怖くなくなるんですよ。僕も人前に立ってみたら、立つまでは怖いんですけど、立っちゃったら3時間・5時間、夢中でしゃべっちゃうんですよ。居心地は悪いけど、できない訳じゃないんですよ。

でも、それを結びつける情緒的なことを受け入れやすい価値観が、日本人には元々あるんですね。本当は分けられるんです。

「では、不安が存在するのは事実だから、それを受け取る?」

在るものを在るってしたら、横に置ける。実はこれは禅的なセンスですよ。例えば、不安があるなら不安があるって見ていくうちに、消えるってなる。消えるって言うけど、消えるっていうのは置いておけるようになる訳。

そのまま動いていって、やるうちに、やることの方に夢中になって、終わってみたら、こっちは消えちゃうみたいな。元々残像みたいなもんですから。「ある」と認めると扱えるようになる。

「今後の夢や展望を教えていただけますか?」

僕自身は、今は一応コーチングってなっていますけれど、「機能するコミュニケーションを日本の文化にする」っていうのをやりたいんですよ。

機能するコミュニケーションっていうのは、病んでる人は健全になるし、健全な人はパワフルになるし、パワフルな人は能力が目一杯見い出せたり、組織が機能したりする。

そのためには、全部コミュニケーションだと思っているんで、今はたまたまコーチングが機能してるなって思っているだけで、それよりも良いものができたり、それよりも発展系ができたら、僕は簡単に今のは捨てます。

いずれにしても、機能するコミュニケーションが文化になったらいいから全国津々浦々に行くし、いろんな分野の人とやるのは文化にしたいから。つまり、当たり前になる。だから、最終的にコーチがいなくなるのが、僕の到達点。

「日本にコーチがいなくなる。皆がコーチングセンスを持つということですね?」

持ってたら、要らなくなるでしょう。上司が、親が、先生が、同僚がコーチングセンスを持ってて、それで自然に関わってたら、よほど特殊なセンス以外は要らないじゃないですか。そんなのがいいと思います。カウンセラーとかコーチが一杯いたらおかしな世の中でしょう。それが夢です。

それでね、うまくいきだすと、世界のパラダイムが変わると思うんですよ。今までは、勝ち負けとか、強い弱いとか、優劣のパラダイムで人類は数千年きているんですけど、これがもう劣化してうまくいかなくなってると思うんです。

もうそのパラダイムが無くなって、次の千年くらい使える違うパラダイムが出来上がったらいいなと思っています。

「その根本には、機能するコミュニケーションですね?」

機能するコミュニケーションがあったら、皆がいろいろと発信できるようになったり、お互いに理解できるようになったり、皆が共鳴できるようになって、更に理解が進んだりするじゃないですか。

インターネットが折角、個人個人でいろいろと表明できるようになったのに、くだらないことばかり会話に載せてないで、もっと機能することを載せたら、あっという間に何でもできるじゃないですか。もうちょっと地球って星が、進化しないといけないと思いますね。

あと、一つあるとすれば、このセンスのことが義務教育に入ればいいなと思っています。

今、世の中見ると皆、コミュニケーションで悩んでいる。3万人も自殺者が出てるのに、なんでコミュニケーションを扱う授業がないのかって思いますね。

例えば、「人を殺しちゃいけない」って知っていて、友達を死に追いやる子どもがいっぱいいる以上、道徳を授業でやっても意味がないんですよね。

感性が育つには、やっぱりコミュニケーションが必要なので、コミュニケーションの授業がないのではどうにもならないなって思います。コミュニケーションの授業っていう形じゃないくらいのことが、学校や家庭で行われていくと良いですね。。


<編集後記>

二週間に一度日本を一周するという、超多忙な岸英光先生。
その移動途中の、貴重な2時間を頂戴して、お話を伺いました。

軽快にテンポ良く話される岸先生のお声は、
慈愛に満ちた深い響きを持つ、包み込むようなお声でした。

 「コーチングもカウンセリングも、コミュニケーション全体を学んで欲しい」
 「徹底的に人に関わって、センスを得る!」
 「褒めるでなく、認める。気持ちを言うこと!」

お言葉の一つ一つから、人間の可能性への熱い想い、
貢献への願いが、強く、暖かく、伝わってきました。

岸 英光(きし ひでみつ)  エグゼクティブコーチ
                 コミュニケーショントレーニングネットワーク統括責任者

「コーチング/ パラダイムシフト」の第一人者。
岸事務所代表。コミュニケーショントレーニングネットワーク統括責任者。1985年より1992年まで、帝人株式会社にてマーケティング企画・技術開発・営業・システムなどを手がけると同時に、最新の各種コミュニケーション・能力開発などのトレーニングに参加。自らコーチされることを通して日本人に即したプログラムをオリジナルで構築。その後、人間関係や能力開発に関する様々な分野のセミナー・講演・研修・執筆活動を展開。数多くの企業で顧問(コーチ)として活動すると同時に、各地の保育園、小学校、教員研修などでの講演、一般参加者対象の連続講座の全国展開など、機能するコミュニケーションを日本の文化にするべく、精力的に活動中。「コーチング/ パラダイムシフト」の第一人者として高い評価を受け、テレビ・雑誌・新聞でも取り上げられる。講演・講座・研修は、全国で年300回以上。

<コミュニケーショントレーニングネットワークのHP>
【コミュニケーショントレーニングネットワーク(CTN)】

<岸英光先生の著書>
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悩んでばかりの自分から抜け出す方法


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プロコーチのコーチングセンスが身につくスキル


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失敗する子は伸びる


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「ほめない子育て」で子どもは伸びる

インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主宰、Team Oasis 代表
自分がなんだか分からない。何かやりたいけど、見つからない。
心の悩み、病を抱えた方、自己実現したい方のお手伝いをいたします。

心理カウンセラー、NLPセラピスト、ゲシュタルトトレーナー、
交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:前田みゆき(まえだ みゆき)

前田みゆき

身も心も魂も輝やくように、いつも笑顔を心がけています。
人とのご縁で、気づかされることが喜びです。

自称 遅咲きさん

コーチングと心と体の健康について、もっか勉強中


インタビュアー:川崎綾子(かわさきあやこ)

川崎綾子

ゲシュタルト・再決断@府中「座★すわろう会」で活動中。グループの中で
お互いにサポートを得ながら、自分らしく癒されるセラピーをしています。
ペンギン好き。趣味はバレエです。

GNJゲシュタルト療法トレーニングコース修了、日本ゲシュタルト療法学会会員
NPO再決断カウンセリングジャパン会員
矢野惣一問題解決セラピスト養成講座(上級)修了
レイキティーチャー


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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