第64回目(4/4) 倉成 央 先生 メンタルサポート研究所

カウンセリングは、クライアントから学ぶ「成長の場」でもある

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「カウンセラーや心の仕事を目指す方へ、メッセージがありましたらお願いします」

大事なのは、諦めないことだと思います。昔からよく言っていたんですけれど、いつかカウンセラーとして自分が独立してやりたいと思っていたら、諦めないこと。諦めなきゃいつかは叶う。諦めたら叶わない。

だから、諦めないことだけをしっかり守ってくださいと伝えたいですね。諦めないことが大事だと思います。

「先生が、このお仕事をされている上で大事にされていることは何でしょうか?」

私は、カウンセリングっていう仕事をどういうものだと考えるかが大事だと思います。「死にたい」と訴えていたクライアントさんが、カウンセリングで自らが受けた虐待のことを語ると、虐待のことを思い出さなくてはいけなくて辛いだろうなと思って、ある日、「辛くない?」って聴いたんです。

しばらく間を置いてから、「でも、私は普通の生活がしたいんです。私は友達もいないし、外を出歩くこともできないし、食べ物も上手に喉を通らないし、薬ばっかりだし。私は普通になりたいんです。だから自分の問題を解決したいんです」ってその子が言ったんですね。

私はその言葉を聴いて、実はすごくびっくりしたんです。虐待を受けて決断したことなのに、「自分の問題」ってこの子は言うんだって。

私とかは、ちょっとイライラした時も「僕の言った通りにしてくれんから」って、自分のイライラすら人のせいにするのに、この子は虐待を受けて決断したことを「自分の問題」って言うんだと思った時に、その子に対して、私は自分のことがすごく恥ずかしくなったんです。

その子と何回か会っているうちに、「あなたはちゃんと自分を見つめていますか?」「自分の問題に、自分のことにちゃんと向き合っていますか?」って言われているような気がしてくるんですよ。

それが続いていくうちに、「もしかしたら、この人ってクライアントとして私の前に現れているけど、実はそういう役割を担って、私の前に、何かを教えるためにクライアント役で来てくれた人かもしれない」って、そういう感覚すら持ち始めるんですね。

「クライアントさんが教えに来てくださっている?」

私は、カウンセリングってそうなんだと思うんですね。クライアントをカウンセリングするっていうのは、実は、カウンセラーはクライアントから何かを学ばせてもらっているような気がするんですね。

だから、それを私は自分に問いかけていきたいなって思うし、このクライアントさんから私は何を学んでいるんだろうって、これは時々見つめ返していきたいと思うんですよ。

カウンセリングって、自分の成長の場でもあるんですよ。クライアントっていうのは、たぶん先生なんですね。そういう気持ちっていうのは、私はとても大事にしたいし、そういう気持ちを持ち続けると、間違ったことはしないんじゃないかと自分では思っています。

人間って弱いので「カウンセリングを受けてとても楽になった」とか感謝されると、ついつい鼻が高くなってしまったり、おごったりってあるんですよね。まるで自分が素晴らしいことをしているかのように錯覚する。

でも、相手が先生だという気持ちを持ち続けると、そこに陥らずに済むんじゃないかと思っていて、それをとても大事にしたいなって思っています。

「今、悩みを抱えていらっしゃる方へ、先生からのメッセージをお願いします」

悩みは必ず解決します。絶対に解決します。だから、自分の力を信じて欲しいです。

「こんな方に再決断療法を学んでほしいというのは、おありですか?」

特にこういう人っていうのはなくて、誰でも学びたい人は仲間。

「今後の展望や夢を教えていただけますか?」

心のことに対する理解がどんどんと広がっていく世の中になって欲しいですよね。

私ができる夢とかいう話じゃないかもしれませんけれど、どんどんどんどん広がっていって、そして仲間としてやってくださっている方々が、自分のやりたいことができる、カウンセラーをやりたいんだったら、カウンセラーができるっていう風になっていって欲しいと思いますね。

そういう人の活躍の場がどんどんと広がっていってくれたらいいなと思います。そういうことに、自分の残りの人生って言ったらまだ早いのかもしれませんけれど、残りはそういうことに使いたいと私は思っているんです。

「後進を育てる、活躍の環境を作るということですか?」

後進を育てるっていうよりも、心の問題がもっと認知されて、活躍の環境ができる。そういうことかな。そういうことに力を入れたいなと思っています。


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「これまで、大変だったことはなかったでしょうか?」

カウンセリングをやり始めて、大変だったことはあまりないですよ。カウンセリングのことだけじゃなくて、苦労したことって、そんなに多くはない気がするんですね。

カウンセリングに限らず、人生の中で、ちょっと辛いことは当然あったと思うんですけれど、そんなに大変な思いもせずに何とかやってこれています。

「開業してすぐというのは、苦労する方が多いと思うのですが、苦労する方と先生との違いは何かおありだと思われますか?」

何を苦労するんですか?

「知られていないので、クライアントが来ないとか、セミナーに人が集まらない」

何だ、来ないだけじゃないですか。来ないだけで、苦労でも何でもないし、クライアントがいないだけですよね。それだけのことなんじゃないですか。アルバイトすれば食べていけます。

「アルバイトをしながら、諦めずに続ける?」

別にどんな形でもいいと思うんですけれど、あまり苦労と思わない方がいいんじゃないんですかね。そりゃあ最初はクライアントはいないですよ。でも、いないのは当たり前ですもんね。

「先生のお弟子さん達は、それぞれ独立開業されていますよね?」

開業している人は結構いますね。お弟子さんではないんです。仲間の方々です。

「システムとして、何か協力し合っているのですか?」

それはお互いに仲好くさせてもらっていますので、彼らがやる講座は監修して、標準化したのを使いたかったら提供はしています。そういう面のバックアップはしています。

うちのメンバーさん達が標準の講座をやった場合には、参加した人が心理カウンセラー資格が取れるようになっていたり、そういう仕組みは作っています。そういう講座を開きたいと思えば開けるような、バックアップはしていくつもりなんです。そういう方々も広げていく仲間なんです。

「それは再決断療法に限らず、カウンセリングが広がっていくと良いという感じですか?」

最終的には、再決断療法が広がっていくと嬉しいんですが、今はまだそういう段階じゃない。心のことやカウンセリングですね。時期があると思うので。不器用なので、あまりいろんなことを追えないので、今はそれをやっています。

個人でできる範囲でやっているんですね。一度手痛い目に遭っていますので、家族との約束で、会社は広げないと決めています。会社になっているんですが、ほとんど個人会社です。会社経営ができる人って、もっとシャキッとした人じゃないとダメなんですね。

「まだ、再決断療法という名前の本は書かれないのですか?」

まだ書かないですね。何を書こうかなって時々考えますね。どんなのを書いたらカウンセリングが広がるかなって考えています。

「カウンセリングが広がるために本を書いていらっしゃるということなのですね?」

そうですね。

カウンセラーって、何で高収入の人がほとんどいないんだろうってよく思うんです。これはいかんなって私は思っているんです。これじゃあ若い人が夢が見られない。どんな業界でも、夢が見られない業界っていうのは、若い優秀な人が目指さなくなるから次第に廃れていくんですね。

例えば、介護とかすごく価値があることをやっているのに、給料が安いばかりに、高校生や中学生が介護士になりたいって夢を語る人が少ないじゃないですか。あんなに尊い仕事なのに若い人が目指さない。職業に貴賤はないと思いますけれど、介護ってすごく尊い仕事だと思うんですね。

カウンセラーも高収入の人が沢山出て来ないと、広がっていかない。それを何とかしたいですね。

「まずは、先生がカリスマ・カウンセラーになるというのはいかがでしょうか?」

私の仲間がそうなってくれたらいいですね。


<編集後記>

再決断療法の第一人者として、全国各地で講座を展開されている
倉成央(くらなりひろし)先生。

ソフトでスマートな雰囲気で静かに語る倉成先生に、
「多動な子ども」「ベンチャー企業の若手経営者」「会社倒産」の
時代があったというのは驚きでした。

「人は必ず解決できる力を持っている」
「大事なのは諦めないこと」
「カウンセラーはクライアントから学ばせてもらっている」
「心の問題が認知され、カウンセリングが広がるように!」

倉成先生の、謙虚でありながらも力強い言葉の数々に、
大きなパワーと使命感を感じ、
「カウンセラーにできること」「カウンセラーのあり方」について
深く考えさせられたひと時でした。

倉成 央(くらなり ひろし)  メンタルサポート研究所代表
                  臨床心理士 メンタルヘルスコンサルタント

「再決断療法」の第一人者。
1963年、福岡生まれ。大学で経営学を学び、大手経営コンサルティング会社で経営コンサルタントとしての実務経験を積む。その後、大学院で臨床心理学を学び、臨床家としての実務経験を重ねる。現在は、経営コンサルタントと心理カウンセラーの両方の経験を活かし、精神科でのカウンセリングの傍ら、企業でメンタルヘルスの導入・定着に向けたコンサルティングや研修を行う。
日本心理学会、日本心理臨床学会、交流分析学会などに所属。

<倉成央先生のHP>
【倉成央 公式ウェブサイト】

<メンタルサポート研究所のHP>
【メンタルサポート研究所】

<倉成央先生の著書>
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震災の心の傷みを癒す方法


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うつにならない言葉の使い方


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いい人すぎて“結果が出せない人”のための問題解決術


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凹まない生き方

インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主催、NPO Oasis 代表
いろんな環境に自分を合わせて生きてきて、自分がなんだか分からない。
そんな、うつ病や心の悩みを抱えた方のお手伝いをしています。

心理カウンセラー、NLPセラピスト(ゲシュタルト、エリクソン催眠療法、
家族療法)、交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:川崎綾子(かわさきあやこ)

川崎綾子

ゲシュタルト・再決断@府中「座★すわろう会」で活動中。グループの中で
お互いにサポートを得ながら、自分らしく癒されるセラピーをしています。
ペンギン好き。趣味はバレエです。

GNJゲシュタルト療法トレーニングコース修了、日本ゲシュタルト療法学会会員
NPO再決断カウンセリングジャパン会員
矢野惣一問題解決セラピスト養成講座(上級)修了
レイキティーチャー


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
発行メルマガ:こころの栄養@さぱりメント

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