第63回目(4/4) 岡野 守也 先生 サングラハ教育・心理研究所

自己肯定はやるべきこと、やらねばならないことなんです!

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「コスモス・セラピーの特徴は何でしょうか?」

体験的に言うと、入り易くて、非常に感動効果があって、その感動効果が持続する人には癒し効果も高いですね。

困るのは、ロマンチックな話だって思って、「ワークショップで感激しました。日常生活に戻ったら元に戻りました。もうワークショップには来ません」という方。これでは、効果は多分持続していないと思います。

日常生活に埋没すると、どうしてもそういうことが頭の中から無くなってしまうので、繰り返し思い出さなきゃいけない。それをワークショップに出なくても、自分で出来るっていうところまでというのが望ましいんですが、なかなか簡単にそうはいかない。

昔は、強制に思われるので言わなかったんですけれど、最近は参加者には、「なるべく毎回来ないとダメだよ。身に付かないから! 一回来て感動しただけじゃダメなんだよ」と言っています。最近は「続けてください。繰り返してください」って、やや強く言います。

自然にそういう風に感じちゃう、思っちゃうみたいに身に付けてもらうには、「心理学的なテクニックだから、技なんだよね。技は身に付ける時には、ワークという形で、ちょっとワザとらしく、ワザワザやるんだよね」と言っています。ずっとやっていると、自然になってくる。

「では、コスモス・セラピーで得られるものは何でしょう?」

若い子であるほど、自己肯定感が非常に弱いんですよ。そういう人達に、「誰が認めるとかいうのは気にするな。こうやって学ぶと分かるとおり、宇宙は君の生命を肯定してくれている。宇宙が肯定してくれているものを自分が肯定しないのは、宇宙に失礼でしょう」と話します。

「宇宙が肯定してくれているんだから、自分で自分を肯定しようよ。それは自惚れでもなんでもないんだよ」って。自己肯定を「自信過剰でいけないのか」みたいに思って、それで自信を持ちにくい子っていうのも結構いるんです。

人と比べて、「俺の方が偉いだろう」っていう、そういう優越感の自己肯定はさもしいから止めなさいって言っています。そうじゃなくて、私も誰も、皆、宇宙から全面的に肯定されている。これは、競争でも比較でもなんでもない。

「宇宙から全面的に肯定されているんだから、自分を肯定しよう。これはやるべきことなんだよ」と伝えています。やっちゃいけないことではなく、やった方がいいことでもなく、やらねばならないことなんです。

「やらねばならないことなのですね?」

人間は自信を持たなきゃいけない。自信ないなぁなんて落ち込んでいるのは、命をくれた宇宙に失礼なんです。

共感関係が出来ていない時に言うと、「俺の辛いのも知らないで、綺麗事のお説教しやがって」みたいになっちゃうけど、共感関係をちゃんと作った後に若い世代に伝えてあげると、すごい勇気づけだと思って聞いてくれますよね。

「コスモス・セラピーをなさる上で、心がけていることはおありですか?」

初期は、これだけ反論の余地がないことだから、ダイレクトにぶつければ分かるだろうと思っていたのですが、単純な臨床心理学の基礎を忘れていました。

やっぱりラポールをかけて、共感関係が出来てからでないと知的な情報は伝わらない。だから、共感関係を作るプロセスをこういうことを話したりしながらやっています。こちらが、クライアントや学生のことを愛していれば、向こうも感じてくれますから。

「信じなくてもいいけど、君達が可愛いから来ているんだよ。信じなくてもいいけど、僕はそう思っているからね。それにはちゃんと理由がある」って説明していくんです。

すべての生命は1つの単細胞から分岐しながら多様化していって、学名がついている生物種は地球上に2500万種くらいです。そしてその5倍はいるって言われているんです。すごい数ですよね。でも、もとを正すと、たった1つの単細胞生物。

だから、みんな親戚なんです、という話をしてから、「ましてや君達は人類だろう。そしてアジア人だろう。このぐらい近かったら、生命レベルで言うと、皆かなり近い親戚だよ」って話します。

「どういう方に、特にコスモス・セラピーを受けてもらいたいというのはおありですか?」

ある程度心を病んで癒すのは、セラピー。

まだそういう状態にないけれど、そうならないようにあらかじめ伝えるのが教育。その場合はコスモロジーを教育すると言っています。コスモロジー教育というレベルでは、日本全国民に受けて欲しいです。そうすると、日本人はものすごく変わるはずです。

大袈裟なことを言うようですが、日本人がこれをちゃんと分かったら、今の日本の心の問題や社会の問題の大半は解決すると思う。

心を病んでいる方で、一番顕著に効果が上がるのは、診断名で言えば軽鬱でしょうね。

ある程度きつくなったら薬と併用です。仲間的な知り合いの精神科医が何人もいますから、ある程度の人は、「あの先生のところに行って薬をもらいながら、僕のところでワークショップにおいで」と言っています。

逆にその先生が、「薬で少し軽減してきたから、岡野さんのところに行ってみれば」と回してきたり、という感じです。そうすると、かなり短期間で根本的に元気になってくれる人が多いですね。


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「共同体感覚については、どのように考えていらっしゃいますか? 仏教だと縁起、キリスト教だと何になるのでしょうか?」

愛ですよ。

明治以降、特に戦後日本は、社会全体での共同体が崩壊するのを放置してきたんですよ。それで、ものすごくたくさんの問題が起こっているんです。心理的な問題と思われているものの7〜8割は社会的問題だと思っています。

共同体の崩壊がもたらすその結果が、心理に現れているので、個人心理で解決しようと思っても解決がつかなくて、共同体感覚、さらに共同体を復権しないと解決がつかないものが多いと思っています。そういう意味では、まさに共同体感覚、共同体の再構築は社会にとっても急務ですよね。

多分、原発事故の収束と同程度以上くらい急務です。共同体感覚がないと、日本が全体で協力して、全体で問題を解決する、もっといい国にする、という情熱が湧いてこないんですよ。

他人事だと思っていると、「自分さえよければ、自分さえ安全なら、自分さえ逃げられれば」って発想になっちゃうんで、日本人全体が何ともならない。

そういうことへの気づきから、今言葉として言われているのが「絆」ですよね。だけど、思想的な裏付けがしっかりしていないので、かなりムードに流されている感じがします。

「震災で、絆の必要性に気づかれた方もいらっしゃるかと思うのですが?」

それもありますよ。人間って絆がないと生きていけない生き物なんで。でも、最近までは、それが希薄でもやっていける。その方が勝手気ままに生きられる、気楽に生きられる。それを自由とはき違えていたっていうことが、すごくありましたね。

今回、そうじゃないんだっていうのが見えてきたので、「絆」とかって言われています。でも、実際見ていると、家族とちゃんと食事するとか、友達となるべく頻繁に会うとか、って程度ですね。

残念ながら、日本という国全体で社会共同体を再構築しましょうという意識までは来てないですね。でも、そこまで来ないとね。

「社会システムから創っていかないと、ということですね?」

今、人間関係で病んでいる人が多いでしょう? 皆が勇気づけ合うのが常識ですっていう社会になったらいいんだよね。そうなると、セラピストはかなり失業しちゃうけど、本当は、セラピストがほとんどいらない社会が望ましいんですよね。

そのためには、世界観を共有して、共同体を実際の社会システムとして再構築するっていうのが必須の課題でしょうね。

そうは言っても、そこまですぐには出来ないので、多くの人が病んでいるから、当面応急処置として、僕はコスモス・セラピーです。これだとかなり応急処置が効くかなと思ってやっています。

「今、悩んでいる方へ、先生からのメッセージをお願いします」

さまざまな理由で、さまざまな状況で、さまざまな悩みを悩んでいるわけでしょう。だから、一般論のメッセージは言いにくいんですけれど、あえて言うとすれば、悩んでいても、何があっても全部それは宇宙の中の出来事で、いつでも宇宙が守ってくれている、包んでくれている。

だから主観的には悩んでいても、根本的には全部OKなんです。根本的には全部OKなんだってことに気づいたら、余分な悩みはなくなると思うけどね。

「心の仕事をしている方に、先生からのメッセージはありますでしょうか?」

現代人が心を病む、一番深い理由のところまで迫るようなセラピーをどうぞ探究してください、ということですね。

本音は、皆さん、早くコスモス・セラピーを学んでください。皆さんのそれぞれのセラピー・テクニックのベースとしてコスモス・セラピーを学んで、そのベースの上で、現場では○○派でやる、ということでやっていただくと、多分効果が非常に高まると思うんです。

自分が習得してきたものを否定する必要は全くないんです。そのベースとしての世界観・コスモロジーをコスモス・セラピーで習得してもらって、クライアントに対して、「どんな状況にあってもあなたはOKなんですよ」と根拠を持って語れるようになって欲しいですね。

「今後のご活動の展望はいかがでしょうか?」

仏教の唯識学をセラピー的に応用したものを唯識心理学と呼んでいますけれど、それとコスモス・セラピーを続けていきたいですね。これは、実は同じものなんだけれど、言葉の使い方とか、導入のための理論とか、それが若干違っているように見えます。

仏教だと来る人と、セラピーだと来る人といるんですよ。雰囲気的にセラピーは行きたくないっていう中高年の方も「仏教の勉強」って言うと来る、みたいな人がいたりするんです。そこで、そういう二種類の講座とセラピーをこれからも続けていくということが一つ。

それと、今、世界がシステムとして持続不可能になっていると考えていて、日本の現状も、持続可能性が現象として非常にはっきり見えてきているんだと思っています。

だから、物書きとして、思想家として、日本から始まって世界全体まで、とにかく持続可能な社会システムの再構築という方向に向けて社会的発言を続ける。

できたら、もっと具体的な社会運動とか政治運動になるところまでやりたいんですけれど、僕個人ではいろいろな意味でそこまでできるような状況がないので、せめて社会的発言だけでも続けていこうと思っています(『「日本再生」の指針』(太陽出版)参照)。

ともかく、個人の内面に関わることと、社会の外面に関わることと、この両方をやっていこうと思っています。それは、いままでもやってきたことなんですけれど、今後も力の及ぶ限り続けていきます。

「読者の方に一言ありましたらお願いします」

こういう話を聞いてみて、何か心に感じたら動いて欲しいという思いがありますね。「そういうのがあるんだ!」って感じたら、ワークショップに来て欲しいのが一番ですけれど、せめて本屋に行って本を読んでみるとか、とにかく聞いて終わりにしないで動いて欲しいですね。

今は動かない人が多いんですよ。僕はブログをずっとやっていますけれど、唯識とかコスモス・セラピーについて全公開です。そもそも「公開授業」ってタイトルですから、タダで全部読めるようにしてあるんですが、それをただ読んでおしまいにする方が多い。

ブログの世界で、読んでも反応しないのを「読み逃げ」っていうんだそうですが、読み逃げの方がほとんどなんです。かなりの数が読んでいるんだけど、コメントがあまりない。とても大切なメッセージを発信しているつもりなので、もうちょっと反応してね、動いてねって言いたいですね。

何か感じたのに動かないっていうのは、これは人間として不健全だと思う。「感じたら動きましょう!」って、それが一言、言いたいことですね。


<編集後記>

岡野守也先生は、キリスト教、仏教、心理学、心理療法を
広く深く研究し続けた方です。

その岡野先生が、あえて「科学をベースに語るセラピー手法」を
選択なさったのは、大変に勇気のいることだったのではないかと
推察されます。

岡野先生は、現代科学のエッセンスを実に分かりやすく、
面白く語ってくださり、とても楽しい時間でした。
そして気がつくと、暖かいもので心が包まれているのを感じました。

「現代人、特に若い人の自信喪失を何とかしたい」
「持続可能な社会を創出する人材を育てたい」と、
優しい笑顔でソフトにおっしゃる岡野先生に
深い「愛」と、強い「信念」「使命感」を感じさせられました。

岡野 守也(おかの もりや)  サングラハ教育・心理研究所主幹
                   日本仏教心理学会副会長

1947年、広島県生まれ、山口県育ち。関東学院大学大学院神学研究科修了。
卒業後、牧師と兼務で出版社に勤務、仏教、心理学、エコロジー、ホリスティック医学などの企画編集に携わる。並行して92年、サングラハ心理学研究所を創設、98年独立して研究所に専心。現在、名称をサングラハ教育・心理研究所に変更。「持続可能な社会」創出のための人材育成を目指し、執筆、翻訳、講演・講義、ワークショップなどの活動を続けている。機関誌『サングラハ』を主宰。法政大学、武蔵野大学、桜美林大学などで講師も務める。

「サングラハ」はサンスクリットで全体的・統合的に把握するという意味。からだ・こころ・たましいへの「インテグラル(統合的)」なアプローチをめざしていること、理論のベースのひとつとして『摂大乗論=マハーヤーナ・サングラハ』があることを示している。

<岡野守也先生のHP>
【サングラハ教育・心理研究所】

<岡野守也先生のブログ>
【伝えたい!いのちの意味−岡野守也の公開授業+α】

<岡野守也先生の著書>
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コスモロジーの心理学 コスモス・セラピーの思想と実践


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トランスパーソナル心理学


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唯識と論理療法


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仏教とアドラー心理学 自我から覚りへ

インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主催、NPO Oasis 代表
いろんな環境に自分を合わせて生きてきて、自分がなんだか分からない。
そんな、うつ病や心の悩みを抱えた方のお手伝いをしています。

心理カウンセラー、NLPセラピスト(ゲシュタルト、エリクソン催眠療法、
家族療法)、交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:川崎綾子(かわさきあやこ)

川崎綾子

ゲシュタルト・再決断@府中「座★すわろう会」で活動中。グループの中で
お互いにサポートを得ながら、自分らしく癒されるセラピーをしています。
ペンギン好き。趣味はバレエです。

GNJゲシュタルト療法トレーニングコース修了、日本ゲシュタルト療法学会会員
NPO再決断カウンセリングジャパン会員
矢野惣一問題解決セラピスト養成講座(上級)修了
レイキティーチャー


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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