第60回目(2/4) 安部 朋子 先生 TA教育研究所
TA心理学で、よくないパターンから抜け出すことができる
「アメリカでの出産を考えられたのは、どうしてですか?」
それは割と簡単な理由なんです。アメリカの国籍が子どもにあったらいいだろうなと。サンフランシスコにずっと住んでいたので知り合いも沢山いるし、それもいいかと思って、アメリカに行って産みました。
アメリカに行っている間にTA(Transactional Analysis)の先生を探したんです。TAはアメリカ生まれの心理学なので、本場であるアメリカの先生に教えてもらいたいと思ったのです。
そうしたら、ある先生に出会って。その先生はヨーロッパを拠点に仕事をされている方で、アメリカではTAを教えていなかったけれど、ファミリーカウンセリングをやっていらした。
初めて子どもを産むし、まずはファミリーカウンセリングから、と彼女のところに妊娠中・出産後とカウンセリングに通っていて、日本に帰国する前に「日本に来てTAを教えてくれませんか?」とお願いしたら「いいわよ!」って言ってくださったのです。
子どもが生後6〜7ヶ月の頃でしたけれど帰国、そこから「TA勉強する人!」って、一気に集客したんです。
「それはどうやって? クチコミですか?」
はい。当時、自己啓発セミナーをやっていた人達は、基本的にそういう心理学に興味がありましたし、「先生を呼んでくるから一緒に勉強しようよ!」って言って、1994年の3月に、その先生を初めて日本に呼んで「TA101」という初級コースを開催しました。
「最初に交流分析に出会われた時は、どんな印象をもたれましたか?」
面白いっていう感じですね。自分や人というものを簡単に説明できるツールという感じがしました。妙に納得できて「心理学ってとても面白いな」と思ったんですね。
それで、交流分析に魅かれて、学ぶならば本家の方がいいと思ったんです。やっぱり元々のアメリカのものがいいよなあ〜と思って、TAを選びました。
後になって知識として得たんですが、日本にTAが来た時に、産業界に特化して訳され活用されたパートと、医療関係で訳され活用されたパートとがあり、その流れで2つの大きな「交流分析協会」と「交流分析学会」に分かれているんです。私は、当初からそのどっちでもないなって思っていました。
やはり、エリック・バーン(Eric Berne)のTransactional Analysisがいいなと思って。今もそのポジションです。自分の中では、日本の交流分析とTAは、違うものとして理解しています。
「本家TAの先生をアメリカからお呼びして、最初のセミナーはどんな感じでしたか?」
その日はちょうど、うちの子の1歳の誕生日でした。
「それはすごいシンクロですね?」
そうですね。TAと我が子は、もう切っても切れないんですよ。ヴァル・ガーフィールド(Val Garfield)先生という、私のTAにはなくてはならない存在の方ですが、その先生が来日されている間、友達のご夫婦のお家に寝泊りして、昼間は子どもはその友人に預けていました。
そのご夫婦がうちの子に初めての靴を買ってくれて、そのセミナー会場に連れて来てくれたのが、TA101初回の時でした。ふと見たら我が子が赤いスニーカーを履いて、よたよた歩いてた記憶がありますね。
その時、受講者は24〜25人が集まってくださったのかな。
「先生ご自身も受講生として学ばれたのですか?」
受講生と同時に通訳もしていました。「国際TA協会の資格を一緒に取ろうよ!」って皆さんをお誘いしていたので、何人かの人達はそれから5年間のコースを始めたんですよ。
その時から資格を取るまで、毎年4回くらいその先生に日本に来てもらって、理論のトレーニングやスーパービジョンを受け、資格取得に向かって集中していました。
「その後、アメリカで資格を取られたのですね?」
はい。口答試験はボストンでしたね。その時に私と一緒に資格を取った人があと2人いらして、3人でボストンに行きました。それ以降、ずっとTAのセミナーを一緒にやり続けていますね。
「安部先生がお持ちの資格は?」
国際TA協会教育部門の准教授という資格です。教育部門で有資格者は、日本で現在10人です。
「TAの良さは何でしょうか?」
生活の中の人間関係で、うまくいっていることは沢山ありますよね。うまくいっていることにTAの理論を当てはめてみると、何故うまくいったのかを文章化できる。あるいは、TAの特徴である図式化をして理解できるんですね。
ということは、反復性・再現性があるし、誰かにお伝えする時にも伝え易くなるんです。
時々お料理をメタファーにして説明するんですけれど、お料理に慣れてくると「お醤油を“鍋に一周”」とか「適量入れる」とかって言いますね。でも初めての人には「鍋に一周」「適量」の加減が分からない。「大さじ1杯」と言ってあげると、理解しやすく安定した味になりますね。
TAを学ぶと、そんな風に「大さじ1杯」みたいな感じで見えてくるという訳ですね。
人間関係がうまくいかないときや行き詰まっている時も、TAの理論を通してみると、どこでどう行き詰っているかが整理されて見えてくるので、何度か同じような嫌なことが起きた時に「また同じことをやってる!」と気づくことも多くなりますし「もうすぐ同じこと(嫌な気持ち)になるぞ」っていうのも分かるようになる。
もし、パターンにはまってうまくいかなくなったら、どこをどんな風に変えたらいいのかということも、言葉にもできているし、図式化もできているので、分かり易く、修正や強化も可能です。
「では、そのよくないパターンから抜け出す方法もあるということですか?」
抜け出す方法もあります。そして、いちいち誰かのところに行って相談しなくても、自分で体得すれば「ここ!」っていうポイントが見えてくるのもTA心理学の良さですね。とても役に立ちます。
TAの教育部門では「TAは、うまくいかないことを防止したり、修正したり、そしてうまくいくところを強化するためのツール(道具)である」とお伝えしています。そのツールにあたるTAの理論というのは沢山あるんですが、大事なところをいくつか覚えていれば、簡単なケースなら修正できると思います。まずは、お得意の使い勝手のいいツール(TA理論)からスタートです。
「では、その大事なところを教えていただけますか?」
まず国際TA協会のロゴになってる3つの丸があって、丸の中に「P」「A」「C」と上から大文字で書かれているんですけど、これは人の構造を表しています。「P」「A」「C」はそれぞれ「Parent」「Adult」「Child」の頭文字です。
「P」のParentというのは、日常の生活の中で、これは親のやり方とよく似てるとか、考え方が一緒だとか、気付くことがあるじゃないですか。子育て中でもよく体験しますね。
お母さんが自分にしてくれたことや、幼い頃に見聞きしていたことが、動画のように私達の中に入っているんですよ。「こんな風に言う」とか「する」とか声の高低とか、全てセットで入っているんですね。そして、現実の場面で同じような状況になった時に、自動的反射的無意識にその中身が再生される感じです。
お父さんから入ってきたのもあるし、お母さんからも、おじいちゃん、おばあちゃんや学校の先生からもあるし、私で言えばTAを勉強したときのヴァル・ガーフィールド先生の仕草も入っていたりする訳なんです。
そんな構造になっているんです。そして、どの時にどのセットを選ぶかは、それぞれのパターンがあるんです。
「それを自分が選んで、行動するということですか?」
自分が選んで行動しているのですが、その選び方がものすごく画一化されていて、ほとんど自動的反射的無意識に反応していますね。
例えば子どもがやんちゃした時に、毎回、同じ声を出している。そういう場面ではそれがセットになって出てくるという感じです。うまくいっていればそれでいいんですけれど、うまくいっていない時でも私達は懲りずに同じことを繰り返す。
自分にどんなパターンが入っているか、TAの理論によって図式化されて理解できれば、同じパターンに手を伸ばしそうになる自分に気付いて、違う選択肢を選ぶこともできるようになります。そうやって行動を変えていくことができますね。
「Aは何をするのでしょうか?」
「A」のAdultは「今ここでの情報をインプットして、何をしたらいいかをアウトプットする」という、とても大切な機能を発揮する箇所です。
例えば、子どもが横断歩道の辺りで蝶々を追いかけている情報をインプットして、その状況に対してどう反応するかをつかさどるのが「A」です。「P」を作動させ「危ないかもしれないから守れるようにしよう」と行動に移すか、「C」に移行して一緒に蝶々を追いかけるか。それらの判断がAdultの機能です。大事な働きです。
地図を読んだり、レシピを理解したりする能力もAdult(A)ですね。これがうまくいかないと道に迷ってしまいます。地図が読めないというのは情報を仕入れるAdultの機能がうまく働いてないってことなんですね。
「それでは、Cは?」
「C」は「Child」。小さい時に体験したことが一杯詰まっています。
例えば、車を運転していて、自転車が近づいて来たとします。近づいて来るのを意識できるのはAdultの働きですね。そのスピードや位置関係で、自分が右に避けるか左に避けるか、減速するかを判断するのもAdultです。
そして、例えば、自転車が予想より早く自分に近づいて来て「ひゃっ」って思う。その瞬間にハンドルを切る。ブレーキを踏む。スピードを落とす。「よかった。何もなかった。ホッとした」。ここまではAdultが反応しているんですね。
その次に「もう! あんな自転車の乗り方して!」って言う人は瞬間的に「P」になっているんですよ。その言い方、反応の仕方をどこかで習ってるんですよね。
あるいは「あぁ、怖かった!」と小さい時の怖かった体験を再現して思い出している時もあります。それが「C」の過去の記憶を再現します。
こんな風に、私達の仕組みを「P」「A」「C」で説明できます。これを自我状態構造モデルといいます。構造モデルはその仕組みを説明するものですが、機能的な見地から観る分析方法もあります。それを自我状態機能分析といいます。機能モデルを使います。
「機能モデルですか?」
その人の行動や反応を観察し、それがその人のどの自我状態かを診断します。構造モデルは中身なので外からは判断することは不可能ですが、機能モデルは観察可能で診断することができます。
つまり、運転しながらいろいろなところを見ている状態は「Adultにいるな」っていうのを推測できます。次に、腹立たしく「もう!」って言ってたら「Parentに移動したな」っていうのが見えるんですね。
あるいは半泣き状態になっているのは「Childに行ったんだ」と、視覚で観察できるモデルです。機能的にも捉えられるんですよ。
それが見えてくると、目の前の仕事仲間や家族についても、今その人がどこにいるかが見えてくるので、それなりに対応してあげることもできるし、相手の状態に応じて、適切な対応が取れるようになるんです。
これがTAの「自我状態の構造モデル」と「自我状態機能モデル」です。とても簡単に説明したので、詳しくは本を読むか、セミナーを受講してみてください。
(次回につづく・・)
安部 朋子(あべ ともこ) TA教育研究所理事長 国際TA協会本部公認准教授
米国での商社勤務を経験後、人間ひとり一人が持つ素晴らしい能力と無限に広がる可能性に感動。
TA(Transactional Analysis:交流分析)を学ぶ。
一般社会人向けのコミュニケーション講座やTAカウンセリング入門講座、保護者や教育にたずさわる人たちを対象に子育て学習会や講演会、TAを使ったリーダーシップ研修、社員教育の実施、専門学校での心理学の指導を行っている。
T.G.I.F.代表、大阪府キンダーカウンセラー
- <安部朋子先生のHP>
- 【TA教育研究所】
- <安部朋子先生の著書>
ギスギスした人間関係をまーるくする心理学―エリック・バーンのTA
ぎゅ〜っと抱きしめ子育て法
インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)
セラピールームChildren主催、NPO Oasis 代表
いろんな環境に自分を合わせて生きてきて、自分がなんだか分からない。
そんな、うつ病や心の悩みを抱えた方のお手伝いをしています。
心理カウンセラー、NLPセラピスト(ゲシュタルト、エリクソン催眠療法、
家族療法)、交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren
インタビュアー:村上友望(むらかみともみ)
今は普通のOLをしながら、セラピストとして活躍できるよう勉強中です。
出会った方々の幸せな笑顔をサポート出来たらと思っています。
ヨーガセラピスト ソース公認ベーシックトレーナー
パステル和アートインストラクター ジュニア野菜ソムリエ
アロマテラピーアドバイザー キャンドルアーティスト
ブログ:http://ameblo.jp/ohisamakokoro/
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ゲシュタルト・再決断@府中「座★すわろう会」で活動中。グループの中で
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ペンギン好き。趣味はバレエです。
GNJゲシュタルト療法トレーニングコース修了、日本ゲシュタルト療法学会会員
NPO再決断カウンセリングジャパン会員
矢野惣一問題解決セラピスト養成講座(上級)修了
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OLの傍ら、物書き業をしています。
自身の価値観の変化から人生が激変し始めたことをきっかけに、
「人の心のありよう」に興味を持ち始めました。
心が変われば、現実が変わる。たくさんのセラピストの方々に
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『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。
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代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
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