第60回目(4/4) 安部 朋子 先生 TA教育研究所

まず自分が心も余裕のある状態でないと、人を救えない

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「先生の講座に出ると、どんなものが得られますか?」

皆さん、楽しいとか、新たな自分の気づきを得たとか、あるいは自分が今まで勉強してきた事や体験してきた事が整理できましたとか、自分の方向性が定まりましたとか、楽になりましたって言ってくださいますね。TA心理学の情報が入るからでしょうね。

どんな所に行っても、目的ってあるじゃないですか。「こんなの手に入れられたらいいな」って、それぞれの期待感。それが自分が思っているコントラクトなんですね。それが得られたら嬉しいし、それ以上のものがあったらもっと嬉しい。それはいつも持って帰られるみたいですよ。

「どんな方にTAを学んでほしいというのはおありですか?」

日本語が判る方ならどなたでも。社員研修の人も、自分でお金と時間を作って参加される人も、よくおっしゃるのは「もうちょっと早くに知っていたかった」ということ。ですから、早く受けた方がいいと思いますね。

「それは自分の辛さが解消されるとか?」

そうですよね。人間関係で悶々とする時期もあるじゃないですか。そんな体験をお持ちの方は、「もっと早く知ってたら、もっと早く解決できたのに」って思われたり。辛さの解消だけでなく、うまくいっていることも理論で説明できるので、人に伝えることも可能になり子育てや、職場、プライベートで活かせるからでしょうね。

子育てが終わった年代の人は「もっと早く知ってたら、もっと良い子育てができたのに」と。「遅くはないから、今からでも構わない」ってお伝えしています。

自分の30歳の娘でも息子でも「あなたは大事な子なんだよ」って言ってあげたらいいと思うし、70、80歳のお母さんにも「産んでくれてありがとう」って言えるといいなって思います。遅い事は何もないと思うので、気がついた時にTAを実践してくださったらいいと思います。

「先生がこのお仕事をされる上で、大切にされている事はおありですか?」

自分が楽しんでいる状態でいる事でしょうか。嫌々仕事していないっていう所ですかね。無理をしている訳ではないですが、お陰さまで幸せを感じる時が多いです。

「今までこのお仕事をされていて嬉しかった事はおありですか?」

毎日ありますよ。さっきある人に「すごい笑顔素敵ですね」って言われて嬉しかったし、この仕事してて良かったと思いますね。

受講生さんの表情が一瞬にして変わる時も、ご一緒させてもらうじゃないですか。本人は気がついてないけれど、私や他の参加者が「変わったよね?」って。「今ので、こんな事思い出しました」とか、普通に話しをしていて表情が急に変わられるとか、日々ありますよ。

そういう意味では、仕事をしながら楽しいし、「あ、そういう取り方もされるんだ」ということを学ぶし。「またこれ使おう」みたいな事や、「今日は私の方が参加費を払った方がよかったんじゃないか」と思うくらいの時もありますね。

「人間関係に悩んでいる方にメッセージがあればお願いします」

どうにもならないことはないんです。なんとかなるんです。思うようにはならないかもしれないけど。これで終わり、ということはないんです。何か方法はあるんです。

「まず第一歩として、何をしたらいいのでしょうか?」

まず誰かに「助けて」って言う。悩んでいる時って、自分で問題を大きくしている割には「こんなこと」って、問題を過小評価している。そういうことは皆にあるので、いっぺん言ってみたら?ということです。

悩んでいる時は「こんなこと言っても」とか、「私だけだ」って思っていることが多い。「つまらない悩みなんだけど」とかね。でも、つまらなくないんです。

そしてもう一方、ものすごく大きく極端に不幸な事を考えていることがあるんです。もう死んでしまった方がいいとか。でも、口を開いて誰かに相談してみたら、そんなにたいしたことではないかもしれない。早急に何らかの手当てが必要かもしれません。

問題を過小評価していたり、過大評価していたり、両極端なんですよね。ですから、まず口に出す、ということですね。口に出すということはいいと思いますね。


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「心の仕事をする方へのメッセージをお願いできますか?」

TA的に言うと、救助者にならないように、ということです。救助者の立場から人と関わると、目の前にいるクライアントは自分より下の人、弱者、できない人と認識してしまいがちです。

だから、何とかしてあげないといけないと思いがちなんですけれど、そのポジションからの関わりはうまくいかないことが多い。だから、TA的に言ったら、自分とその人と同じポジションで話ができるかどうかです。

TAの哲学で言う「あなたはOKです」というのと、「考える能力があなたにはあります」「あなたの運命は自分で変えることができます」というところにまず自分が立てるかどうか。

ついつい、カウンセラーでなくても、介護のお仕事とか、家族を介護するという立場、子育てや教育の立場にいると、「私が何とかやってあげなくては」というところに行きがちです。最初はうまくいく場面もありますが、それが続くとうまくいかないところが出てくるんです。

同じ立場っていうのは、「私ができることは私がやる。でもあなたができることはあなたがやる」で、「私のできないこと、あなたもできないことは誰かに頼む」。そうでないとつぶれます。役割を決めるとか、時間を決めるとかはお薦めです。24時間ずっとというのはうまくいかない。

それは子育てでもそうかもしれない。たとえ1時間でもウィンドウショッピングに行けたらお母さんはエネルギーが戻ってくるけれど、1人で24時間365日になったら、どんなに優しい人でもブチ!って切れても不思議じゃないじゃないですか。

「限界を認めるということですね?」

はい、時間もエネルギーも限界はあります。時間や、役割等、何かで区切りをつけるというのも大切だと思います。皆それぞれに弱いところも強いところもあるから、それを隠してもしょうがないので。できるところしかできない。できないところは誰かに頼んでもいいじゃないですか。

私達もカウンセリングをしていて、何度かやってうまく進んでいないとなったら、同僚にリファーするんですよ。そうすると、カウンセラーが変わることで、クライアントの人も話し易くなるかもしれないし。好き嫌いや相性も絶対にありますから。

一回引き受けたら絶対に、となると、かえってクライアントにも迷惑です。たとえクライアントがへばりついてきてもダメだと思ったら、代わった方がお互いのためになることも多いです。

要するに、自分がハッピーでないと人なんてハッピーにできないじゃないですか。

「まず自分がハッピーでいること?」

よくセミナーでも言うんですけれど、飛行機で離陸直前に、フライトアテンダントが救命胴衣の着け方の説明をしますよね。その後に、機内の酸素の濃度が薄くなったら酸素マスクをしますって。まずご自身にマスクを着けてくださいっておっしゃるんです。

自分自身に着けた後に、幼い子ども、体が不自由な人に酸素マスクを着けてくださいって。それを聞いた時、「え? 自分が先?」って一瞬思ったんです。でも、そうだ、自分が酸素不足になったら、自分もアウトだし、この子もアウトだし、あの人もアウトなんだ。自分が元気でないと人を救えない。

まず自分が、体はもちろんですけれど、心も余裕のある状態じゃないと人のことなんて構ってられない。少しの時間ならできるけれど、それが常には無理。そういうことだといつも思っています。まずは自分が幸せにならないと。そうすると、許せなかったことも許せてくる。

自分がいい買い物したなって思って家に帰った時に、家の中がちょっとくらいひっくりかえってても「アラアラ」で済むけど、嫌なことがあったら許せなくなるじゃないですか。そんなことなんです。日々自分が一つでも「うふっ」と幸せに思うことがあったら、何とかなるんじゃないですか。

「先生の現在のご活動は?」

TAの基礎講座から始まってプロを養成するというコースと、社員研修とか講演会とか、執筆とかですね。11月頃にまた2つ本が出るのでよろしくお願いします。これはまた面白い本だと思います。

「今後の先生の夢や展望は?」

今、TAの勉強を一緒にしている人達がいて、その人達も本を書くなどいろいろしてらっしゃるんですね。セッションをしている時、その横に本を並べて「これは皆TAで、私達は一緒に勉強しているのでどれを読んでも役に立つよ」と言いたいのが一つ。

それと、いろいろなジャンルの人がいらっしゃるんですね。例えば、社員研修をしっかりできる人とか、医療関係、福祉関係、幼児教育とか。いろいろいらっしゃるので。何かオファーがあったら「○○さんだったら大丈夫」と言って紹介していきたい。

「専門家チーム、のような感じですね?」

そうそう。TAが基本で皆ベースにあるので、心配ないじゃないですか。どこから入っていっても一つの幹のところに来てるから。

でも私は組織作りに長けている人じゃないので、今は組織作りができる人を募集中。そういうことをやりたい、事務局をやりたい、という人がいたら嬉しいですね。

「先生ご自身の夢は?」

80歳くらいまでは、形は変わってもセミナーや講演会でお話ししていると思います。「安部先生、来て」って言ってねって、今からマーケティングしているんですよ。素敵に歳を取っていきたいなと思います。

「読者の方にメッセージはありますか?」

さっきも言いましたけれど、何とかなるんですよね。思うようにならないかもしれないけど、何とかなる。私達は思うようにしたいんですよ。子どもでも周りの人でも、思うように動いてほしい。思うように私に気を遣ってほしい。でも、思うどおりにはなりません。何とかはなります。

この理想に対して現実が違うというギャップで、落ち込んだり腹が立ったり心が乱れたりするんです。ここでがんじがらめになっているところから、思うようにはならないかもしれないけど、何とかなるって力を緩めるというか、視点を変えることで、「何だったの?」となる。

何か違うものが見えてくる。それにはAdultの情報が必要なんです。だから、誰かに話してみる。話すことで自分の中で整理ができる時もあるし、友達から「そんなこと私にもあるよ」と言われるだけで「あら」ってなるし。教育は情報です。TAの理論も役立つ情報です。

うつむいて閉じこもってしまうと、何も入ってこなくなるから、ちょっと顔を上げてみる。違うものが見えるし聞こえるから、何か困った時は「上を向いて歩こう」じゃないですけれど、ちょっと顔を上げてみたら違うかもしれないですよ。


<編集後記>

大阪を拠点に、全国各地でTAの各種講座を展開されている
安部朋子先生。

安部先生は、終始、柔らかな笑顔で「TA心理学」の
魅力とパワーについて、実に楽しそうに語ってくださいました。

「あなたはOKです」
「あなたには考える能力があります」
「あなたの運命は自分で変えることができます」

安部先生の笑顔と共に語られる「TAの哲学」に、大いに勇気づけられ、
その深い優しさに、エネルギーを頂戴した1日でした。

安部 朋子(あべ ともこ)  TA教育研究所理事長 国際TA協会本部公認准教授

米国での商社勤務を経験後、人間ひとり一人が持つ素晴らしい能力と無限に広がる可能性に感動。
TA(Transactional Analysis:交流分析)を学ぶ。
一般社会人向けのコミュニケーション講座やTAカウンセリング入門講座、保護者や教育にたずさわる人たちを対象に子育て学習会や講演会、TAを使ったリーダーシップ研修、社員教育の実施、専門学校での心理学の指導を行っている。
T.G.I.F.代表、大阪府キンダーカウンセラー

<安部朋子先生のHP>
【TA教育研究所】

<安部朋子先生の著書>
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ギスギスした人間関係をまーるくする心理学―エリック・バーンのTA


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ぎゅ〜っと抱きしめ子育て法

インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主催、NPO Oasis 代表
いろんな環境に自分を合わせて生きてきて、自分がなんだか分からない。
そんな、うつ病や心の悩みを抱えた方のお手伝いをしています。

心理カウンセラー、NLPセラピスト(ゲシュタルト、エリクソン催眠療法、
家族療法)、交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:村上友望(むらかみともみ)

村上友望

今は普通のOLをしながら、セラピストとして活躍できるよう勉強中です。
出会った方々の幸せな笑顔をサポート出来たらと思っています。

ヨーガセラピスト ソース公認ベーシックトレーナー
パステル和アートインストラクター ジュニア野菜ソムリエ
アロマテラピーアドバイザー キャンドルアーティスト
ブログ:http://ameblo.jp/ohisamakokoro/


インタビュアー:高橋梨恵(たかはしりえ)

高橋梨恵

「本当の自分を知り、自分らしさを発揮して生きること」
社会におけるこのテーマの実現を心理的側面からサポートするため
現在カウンセリングの勉強中です。
趣味は旅・自然にふれること。

社団法人 産業カウンセラー協会 会員
レイキヒーラー


インタビュアー:川崎綾子(かわさきあやこ)

川崎綾子

ゲシュタルト・再決断@府中「座★すわろう会」で活動中。グループの中で
お互いにサポートを得ながら、自分らしく癒されるセラピーをしています。
ペンギン好き。趣味はバレエです。

GNJゲシュタルト療法トレーニングコース修了、日本ゲシュタルト療法学会会員
NPO再決断カウンセリングジャパン会員
矢野惣一問題解決セラピスト養成講座(上級)修了
レイキティーチャー


インタビュアー:力武一世(りきたけかずよ)

OLの傍ら、物書き業をしています。
自身の価値観の変化から人生が激変し始めたことをきっかけに、
「人の心のありよう」に興味を持ち始めました。
心が変われば、現実が変わる。たくさんのセラピストの方々に
お会いするたび、それを実感しています。

ブログ:『たびとたびびと』
読んだ人の心が軽くやわらかくなるような文章で、
周囲の人たちを幸せにしていきたいと思います。


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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