第59回目(2/4) 平松 園枝 先生 サイコシンセシス研究会

サブパーソナリティに、名前をつけると楽になる

インタビュー写真

「サイコシンセシスでは、人間をどのように捉えているのでしょうか?」

サイコシンセシスの人間観を、視覚的に表し、自分の内界に気づく上で役立つ「地図」といわれるものがいくつかあるんです。

卵形図形というのが基本で、これは、意識と無意識、個人の世界と周りの世界との関係を表しています。(『サイコシンセシスとは何か』P.45参照) その境界やつながりが、点線で表されていますが、これは固定的でなく、互いの交流があるということです。

「トランスパーソナルセルフ」とか「ハイヤーセルフ」とか、魂とか、存在の本質とかいろいろに言われる「真の自己」は、この卵形図形の頂点にあります。

半分が中で、半分が外に位置していて、真の自己の本質は、「ひとつの宇宙の真理が独自な個としての私たちに現れたもの」であり、見える世界ではバラバラに見えても、真の自己は世界や他者とつながっていることを視覚的に示しています。真の自己自体が、普遍性と独自性、自分と他者という対極の統合の原理があるということです。

卵形図形の中の無意識は上中下に分かれています。

トランスパーソナル領域とも呼ぶ「上位無意識」には、愛や美や創造性、など真の自己の特性、生まれてきた意味や使命に関係する意志や、いのちの神秘その他の可能性が内在します。

そして、「精神の地下室」とフロイトが呼んだ「下位無意識」があります。動物的な欲求や、精神分析や心理療法で扱うような影の部分、真の自己とのつながりをブロックし、素晴らしい生き方を妨げるものなどがあると捉えています。

中位無意識というのは、意識に近い無意識です。真ん中に「意識」の部分があって、それは「自分」の中のほんの小さな部分であることを示しています。

その意識の領域の中心に、「パーソナルセルフ」、というのがあり、これは、意識の中心、気づく主体、気づきの上で意志を発揮する主体として、誰でも体験的に理解でき、実感できるサイコシンセシス独自の概念でとても重要です。

「パーソナルセルフですか?」

真の自己と点線でつながっており、そのパーソナリティレベルでの投影、代行です。セルフは2つあるわけではなく、ただ、二次元に体験されることを示していると言えます。

この卵形図形の周りに集合無意識があり、ユングと違い、これも上中下に分かれており、個人の無意識とそれぞれのレベルで交流しているわけです。

このほか、意識の中で絶えず変化している、感覚、衝動/欲求、理性、直観、イメージ、感情などの6つの心理の機能とパーソナルセルフ、意志の互いの関係を表すスターダイアグラムという地図もあります。

また、自分で自分と意識しているパーソナリティと、真の自己の関係を立体的に捉える「パーソナリティという乗り物」という地図もあります。

パーソナリティはあくまで、見えない本質として、高次元にある真の自己が現実を体験し、自らを表現するための乗り物と捉えます。インド哲学などにも通じる捉え方です。この図でも、パーソナリティの中心にパーソナルセルフがあり、真の自己と点線でつながっています。

これらは、図に表すことで、自分を理解しやすくするものですし、あくまで便宜的な区別です。ご自分の体験や気づきの地図として理解、活用していただきたいと思います。

その他、自分の中には、色々な自分がいるという、サブパーソナリティという視点もあります。一般人も、医療や心理、教育などを仕事にする方も、立場を問わず、多くの方がサイコシンセシスに興味を持つきっかけになるような、有用な地図です。

いろいろなサブパーソナリティを演奏者、パーソナルセルフを指揮者とするオーケストラという比喩もあります。

「サブパーソナリティについて、もう少し教えていただけますか?」

サブパーソナリティというのは、直訳すれば準人格ですけれど、「いろいろな自分」と私は言っています。(『好きな自分、嫌いな自分、本当の自分ー自分の中に答えがみつかる方法』参照)

ワークショップで「好きな自分」と「その逆の自分」という演習をすると、誰の中にも必ず逆があるんですよね。頑張る自分が好きという人にも、時により怠ける自分もあるのが普通です。

医者であったり母親であったり妻であったり娘であったり日本の市民であったり、というように、立場・役割からも色々な自分があります。

特定の状況では、意識しないでも、姿勢や声、言葉遣い、「こうしなければ」という信条や思考パターン、感情などもセットになって出てきて、それがあたかも1つの人格に思えるので、それをサブパーソナリティと呼ぶわけです。

また、「私は先生です」とか「私はカウンセラーです」と言うたびに同一化して、「私=先生」「私=カウンセラー」と、無意識に自分のアイデンティティになってしまうというわけです。

勿論、役割を果たしている状況では必要ですが、役を離れても、そのまま「私=先生」という方もいると思います。昔は24時間会社人間、企業戦士と同一化して頑張って生きて燃え尽きたり、病気になる人もたくさんいました。

また、目立つサブパーソナリティをイコールその人と捉え、「あの人はこういう人だ」と決めつけたり、自分のサブパーソナリティで反応するために人間関係がうまくいかなかったりすることも、自分の中のいろいろな自分が葛藤して苦しくなることもあります。

アイデンティティの捉え方を、サブパーソナリティレベル、パーソナルセルフ、真の自己(トランスパーソナルセルフ)と三つのレベルで捉えてみると、分かってくることも多いのではないかと思います。

私はそれにより、自分自身のことも、人と関わる時も、社会の問題を捉える時もずいぶん、助かりました。

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「アイデンティティを3つのレベルで捉えているのですね?」

普段は気づかなくても、忘れても、自分の本質トランスパーソナルセルフは、根源の分身であり、他者とも一つのものでつながる存在です。そう感じられると、自分や他者、世界の見え方も、姿勢、態度も、それぞれのレベルでは違ってきます。

アサジオリは、「ほとんどの人は、自分、他者、世界に対する態度がサブパーソナリティレベルのもの」「自分をサブパーソナリティと同一化している」これが社会の問題だと言っています。

人間とは、自分とは何か、などの問いを持たず、ホリスティックな人間観、無意識への気づきがない為に、アイデンティティをサブパーソナリティのレベルで錯覚して、あるいは、無意識にサブパーソナリティに同一化する、などの問題があると思います。

例えば、政治家が偉い、大学教授が偉いとか、本人をよく知らないのに、役割や地位で人を決めつけやすいことが、今の私たちの社会の問題をもたらしている面もあると思うんです。日本の政治の問題もそう思います。人の差別の問題とも関係します。

これは社会や教育を考える上でとても問題だと思います。

「どういう問題が起きるのでしょうか?」

サイコシンセシスで重要な「意志」も、「サブパーソナリティの意志」を自分の意志と誤解するために混乱が起きていると思います。自分の意志、自分が好きなこと、やりたいことといっても、本当は特定のサブパーソナリティの意志や好きなこと、ということも多いと思うんです。

個人の意志の尊重という言葉に逆らえず、サブパーソナリティレベルの問題行動を野放しにする問題があると思います。

サブパーソナリティという視点から捉えると、いろいろな問題とその解決方向も見えてくると思います。よく使われるようになった「自己実現」という概念も、「自己」「自分」をどう捉えるかが、人によって違う。

「自己実現か思いやりか」などと、自己実現を思いやりの対極として見ている人もいるんですね。「自己実現」と言っても、サブパーソナリティレベルでの意志を発揮して、物質的なもの、地位、お金や名誉など、この世的な価値で成功していこうとする事も多いと思います。

多くの人が、サブパーソナリティレベルでアイデンティティを捉えているために混乱していると思います。

サイコシンセシスでは、「自己実現」とは、真の自己の自己実現であり、パーソナルセルフが、自分の外界にも、内界に広く、深く気づき、他者とも世界、根源とつながる真の自己に同一化した上で、いろいろな自分を統合していく方向での自己実現を目指しているのです。

一方、実際の葛藤や、低い自己イメージ、自分を受容できない、自信がない、などの問題や人間関係の問題は、実際にサブパーソナリティの視点やワークで変わることが多いと思います。

誰の中にもいろいろな自分がいることを知ることだけで、更に、そのどれも悪いわけではなく、どのサブパーソナリティにも存在意味があると分かるだけでも楽になります。そして、自分の大切にしている価値を見つける上でも役立つと思っています。

「全てのサブパーソナリティに意味があるのですね?」

例えば、怠け者サブパーソナリティは、怠けることによって、例えば、休息しないと倒れるとか、必ず自分が気づいていない役立つメッセージを必ず持っているんです。

それどころか、「お節介」を例にすると、その行動パターンは反省する部分があったとしても、根底には「人のことに気配りがある、気づきやすい」とか、「何かをしてあげたい」という善意も行動力もあるなどのトランスパーソナルの特性もあるかもしれません。

サブパーソナリティワークをすると、多くの人が、「癒された」、「自分にも人にも優しくなる」、などと言われます。自己受容、自己理解ができるようになるんですね。そして、扱いにくかったサブパーソナリティも急に扱いやすくなることもあります。

「ご本の中で、サブパーソナリティに名前をつける、ということが出てきますが、それはどのような意味があるのですか?」

日本人は、自己イメージが低いことと関連すると思いますが、批判屋サブパーソナリティが多いと思います。

特に、団塊の世代の日本人には、完全主義で頑張り屋サブパーソナリティなどが多かったと思います。でも、ミスをしたり、さぼったりするサブパーソナリティもいる。すると必ず批判屋のサブパーソナリティが出てきます。

それに気づかないでいると、この自分になり、次の自分になりと、どんどん連鎖して、そのうち「こんな自分はダメだ」と、最後はうつになるというように振り回されてしまうんです。

それで、気づきやすくするために、名前をつけるんです。できれば、ユーモアのある名前を。

例えば、「なま助さんが出てきたわ」と思うと、その段階で、怠け者から脱同一化でき、批判屋さんが出てきたら、今度は「ひーちゃんが出てきた」と思うと、また脱同一化できて、気づき、脱同一化し続けていると、気づく主体としてのパーソナルセルフになりやすいんです。

温かい目で自分全体として、「全体をどう指揮してどんな演奏をするか」という前向き意志への問いが出てくる。パーソナルセルフがいろいろに気づいた上で、意志を発揮して方向付けられるようになるわけです。

ユーモアはサイコシンセシスで言えば、トランスパーソナルの特性なんですね。ユーモアにより、脱同一化の余裕を与えるということだと思います。サイコシンセシスには「脱同一化」というとても大事なプロセスがあります。

「脱同一化とは?」

脱同一化とは、「同一化していた状態から離れる」という意味です。

サイコシンセシスのプロセスは、気づく段階、気づいた対象から脱同一化する段階、その後、気づきのパーソナルセルフに気づき、パーソナルセルフに同一化するという段階へと進みます。

アサジオリは「私達はいろいろな面があるけれど、どれも悪いわけではない。ただ、それに同一化して振り回されることがよくない。そこから脱同一化すれば自由になる」と言っています。「脱同一化」は執着から離れる第一歩にもなります。仏教で言う「無執着」。

そして、「脱同一化する自由をもつことは、意志で選んで、対象に同一化する自由もできる」と言うのです。

頑張り屋さんに同一化し続けていたら、身体を壊すかもしれないけれど、大きな視野から捉えて、パーソナルセルフが意志を発揮して、選んで、一定期間なりきることで、深い喜びが得られるかもしれません。

大きく言えば、例えば、「人生は永遠ではない。無情である」と、脱同一化して捉えることができれば、人生の今この時、何かを選んで、同一化して、十分に体験する、ということもできるということにつながります。

脱同一化の演習にはいろいろあります。日常でもできます。例えば、「自分は先生です」ではなくて、「自分は、先生という役割を持っています」と心の中で言う。

「私は怒っている」と言えば「私=怒り」になりやすいですが、「私の中に怒りの波がやってきた」という風に心で言うと、存在の事実を事実として認めながら、そこから脱同一化して、距離をおいて、大きな全体の中の一部と捉える、ということになります。

サブパーソナリティにユーモアを持って名前を付けるというのも、脱同一化をしやすくする工夫の一つです。

(次回につづく・・)

平松 園枝(ひらまつ そのえ)  サイコシンセシス研究会代表
                    ウィルプロジェクトジャパン代表、WYSEジャパン代表

内科専門医 国際基督散大学、米国留学を経て京都大学医学部卒業。
京都大学付属病院、虎ノ門病院内科、東京大学附属病院心療内科で研修。
サイコシンセシス・インターナショナルで教育をうける。
日本ホリスティック医学協会元理事、自己治癒力を考える会発起人。

◆サイコシンセシスイントロ講座◆色々な自分、本当の自分−サイコシンセシス入門−
    ウィルプロジェクトジャパン(元サイコシンセシス研究会/PSS)主催
    講師:ウィルプロジェクト代表 平松園枝
第一回:サイコシンセシス総論
   サイコシンセシスとは何か。ホリスティック人間観。三つのアイデンティティ
第二回:下位無意識
   自分の中の問題と直面、色々な自分とそのメッセージに気づく。
第三回:トランスパーソナル領域
   いのち・他者、宇宙とのつながり、創造性、智慧、美、愛、パワー、調和、感謝など、
   人間のすばらしさ、喜びのある部分に触れる。真の自己実現への色々な道
第四回:「意志」の本質
   アイデンティティ・自己の本質と意志の関係、気づきから意志へ、
   夢、志、使命、熱意、目標、がんばり、生きる意味と「意志」、
   真の意志の見つけ方、意志の側面、特性など

日時:2012年5/9,16,23,30(毎週水曜) 18:45〜20:30頃(21時まで延長有)18:30受付開始
場所:JICA地球広場 http://www.jica.go.jp/hiroba/about/map.html 402号室
テキスト:「サイコシンセシスとは何かー自己実現とつながりの心理学」Amazon販売
      「好きな自分、嫌いな自分、本当の自分」生きるアシスト.com販売
受講料(税込み):12000円(4回分一括、事前(5/8迄)申込、振込済の方)
           14000円(4回分一括、初回5/9当日受付時に一括お支払いの方)
お申込:お名前、メールアドレス、電話番号を明記のうえ、
     「インタビュー記事を見て」と、メールにてお申込ください。
申込先:willproject.jp@gmail.com
振込先:みずほ銀行 広尾支店 普通1711354 PSS(ピーエスエス)代表者ヒラマツソノエ

<WYSEのHP>
【WYSE international】

<平松園枝先生の著書・訳書・CD>
cover
サイコシンセシスとは何か−自己実現とつながりの心理学



愛することを選ぶ―自分を解放していくセルフ・ガイド


cover
好きな自分、嫌いな自分、本当の自分―自分の中に答えがみつかる方法

『好きな自分、嫌いな自分、本当の自分−自分の中に答えがみつかる方法』の購入方法
  以下の項目についてご記入の上、faxで佐藤晴美担当までお送りください。
  こちらからeメールアドレスに振込み口座をお知らせします。
  税、送料込み1500円/1冊
  振込が確認されましたら、いただきましたご住所にお送りいたします。
  fax03-5978-8120 大和出版 佐藤晴美宛
  記入していただきたい項目
  お名前、ご住所、郵便番号、お電話番号、メールアドレス(必ずご記入ください)

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インタビュアー:村上友望(むらかみともみ)

村上友望

今は普通のOLをしながら、セラピストとして活躍できるよう勉強中です。
出会った方々の幸せな笑顔をサポート出来たらと思っています。

ヨーガセラピスト ソース公認ベーシックトレーナー
パステル和アートインストラクター ジュニア野菜ソムリエ
アロマテラピーアドバイザー キャンドルアーティスト
ブログ:http://ameblo.jp/ohisamakokoro/

インタビュアー:高橋梨恵(たかはしりえ)

高橋梨恵

「本当の自分を知り、自分らしさを発揮して生きること」
社会におけるこのテーマの実現を心理的側面からサポートするため
現在カウンセリングの勉強中です。
趣味は旅・自然にふれること。

社団法人 産業カウンセラー協会 会員
レイキヒーラー


インタビュアー:川崎綾子(かわさきあやこ)

川崎綾子

ゲシュタルト・再決断@府中「座★すわろう会」で活動中。グループの中で
お互いにサポートを得ながら、自分らしく癒されるセラピーをしています。
ペンギン好き。趣味はバレエです。

GNJゲシュタルト療法トレーニングコース修了、日本ゲシュタルト療法学会会員
NPO再決断カウンセリングジャパン会員
矢野惣一問題解決セラピスト養成講座(上級)修了
レイキティーチャー


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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