第57回目(2/4) 森田 汐生 先生 アサーティブジャパン

正直に誠実に気持ちを伝えることで、お互いが近くなれる

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「価値観の違いをどうしていけば良いのでしょう?」

どちらかの価値観が「正しくて」どちらかが「間違っている」ということではありません。

しかしながら、私達がやってしまうのは、「大勢でも大丈夫よ、その方がいいに決まっているじゃない」と、相手の価値観を頭から否定してしまうか、「大勢の中でわいわいやっているあなたが苦手なのよ」と、相手のあり方までを拒絶してしまうことです。


お互いの価値観を否定していては、前向きな話し合いになっていきません。「相手の価値観も大事、でも自分の価値観も大事」というところに立って初めて、対等な話し合いができてきます。

相手の価値観も自分の価値観も、どちらも大事にしているというところがポイントです。その上で、どちらもが納得できる問題解決の在り方を一緒に考えていく、ということなのです。

それでは、実際にロールプレイをやってみましょう。Aさんは、とても元気で押しが強く、これまでもBさんを誘って一緒に時間を過ごしてきました。Bさんは、あまり気乗りがしていないのですが、「はい」と言って、これまで何度かおつき合いをしてきました。

【ロールプレイ1回目】

A「今度の水曜日にみんなで集まるの。またお茶しましょうよ。ええと5人くらいかな、みんな集まれるって! あなたも来るでしょう?」

B「今度の水曜日なのね・・・、ちょっとその日は用事があって・・・」

A「えっ、用事? どうしたの?」

B「ちょっと子どもの用事ができちゃって・・・」

A「いつも来てるのにどうして〜、なんとかならないの?」

B「う〜〜〜ん、そうねぇ」

A「みんな楽しみにしてるのよ。あなたが来ないとみんな寂しがっちゃうわよ」

B「だったら、何とかしてみるわ・・・」

(ロールプレイ終了)

いかがだったでしょうか。実際に伝えるとなると、なかなか難しいものですよね。相手の気持ちを考えると、率直に断れなくなってしまう。自分の理由ではなくて「子どもの用事が」と、子どもを理由にしたくなってしまう。誘う側は、相手が言葉つまるほど、更に誘いたくなってきたりします。

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「これをアサーティブにすると、どうなるのですか?」

この事例でBさんがアサーティブに断るためには、いくつかのポイントを押さえる必要がありそうです。

それは、1.気持ちを言葉にすること、2.ボディランゲージに気をつけること、3.理由を率直に述べること、4.断らなかった自分の責任を認めること、5.代替案を出すこと、の5つです。

1.気持ちを言葉にすること
これには、2つのアプローチがあります。一つは断るときの自分自身の気持ち、もう一つは相手の気持ちを受け止めることです。

自分の気持ちを言葉にする。
Bさんはなかなか断ることができなかったのですが、その時の気持ちはどんなものでしょうか。

B「用事はないのに嘘をついて断るのは悪いな」っていう感じです。

そうですよね。「悪いな」「申し訳ないな」という感情を言葉にしないで心にしまっておくと、おどおどしたり、目が合わせられなくなったり、ぎくしゃくしたりしてしまいます。「言いづらい」のであれば、最初に自己開示して言葉にします。

「ちょっと言いづらいんだけど」「申し訳ないのですが」という感じです。最初に自分の気持ちを開示すると、次の言葉が出てきやすくなります。

もう一つは、相手の気持ちをちゃんと受け止めることです。
誘ってくれるという相手の気持ちはどうですか?

B「嬉しいです」

そうですよね。自分のことを考えてくれてわざわざ誘ってくれる相手の善意は嬉しい。だから、「誘ってくださるのはとても嬉しいです」と、相手の善意をきちんと受け止めます。相手の気持ちは受け止める、でも「お誘い」や「いただきもの」などについてはきちんと断る、という感じです。

2.ボディランゲージに気をつけること
断ろうとするとどうしても申し訳なさが先に立ってしまい、目を伏せたり、顔を背けたり、逃げ腰になりそうになる。でも、「申し訳ないのですが」とか「誘ってくださるお気持ちはとても嬉しいです」ということを、相手の顔を見ながら伝えた方がずっと誠実に伝わります。

相手から逃げないで、向き合うこと。対等に、誠実に向き合うと、相手もちゃんと応えてくれます。

「逃げないで、誠実に向き合う事ですね」

3.理由を率直に述べること
自分が断りたい理由は、一対一だったら楽しくて何でも話せるけれど、3人以上になるとなかなか自分が出せなくなって、自分としてはしんどいんだ、ということが、正直な理由ですよね。

「複数になると、正直話をするのが苦手でしんどくなるから、それはご遠慮したい」という自分の理由を、なるべく率直に伝えます。あなたが嫌いとか、誘われることが嫌なんではなくて、「自分が」この状況が苦手であると、自分を主語にして理由を説明すると、相手も理解をしやすくなります。

4.断らなかった自分の責任を認めること
でも急に「実は、複数が苦手で」なんて言うと、相手は「じゃあ、なんで今まで来たの? なんで今さらそんなことを言うの」と不審に思います。「だって嫌って顔してなかったじゃないの。全然嫌だとは分からなかったわよ」と思われても仕方ないですよね。

言わなかった側には、言わなかった責任があるんです。
アサーティブネスでは、「あなたがこうだから私は言えなかった」ではなくて、自分が言わなかった責任をちゃんと引き受けます。相手を責めないというスタンスに立ちます。

5.代替案を出すこと
自分は「一対一が好きである」ということを相手に理解してもらい、「今回は遠慮する」ということを伝えるだけではなくて、「自分は○○を提案したい」と、代替案を出します。

「今まで申し訳なくてなかなか言えなかったんです。ごめんね。これからは、こういうことだったらやりたい」って代替案を立てます。

例えば、「Aさんと2人でじっくりお話できるのであれば、是非一緒にお茶をしたい。いつも誘ってくださっているので、次回は私のほうから誘いますね」っていう風に、自分から言う。それによって2人の関係が対等になってくるのです。

以上5つのポイントを入れて、もう一回ロールプレイをやってみましょう。

【ロールプレイ2回目】

A「今度の水曜日にみんなで集まるの。またお茶しましょう。ええと5人くらいかな。あなたも来るでしょう?」

B「Aさん、いつも誘ってくれてありがとう。あのね、ちょっと言いづらいことなんだけど、実は私ね、3人以上の人が集まる会になると自分の気持ちが言えなくなっちゃって、苦手なの」

A「え〜〜〜、だっていつも来てるじゃないの」

B「そうなの、ごめんね。今までなかなか言いづらくて言えなかったの。本当は私2人だけでお話をする方が好きなの。だから、今度の水曜日は本当に申し訳ないんだけど、パスさせてもらえないかしら」

A「そうか、分かったわ。でも意外だなあ」

B「そうよね、これからはちゃんと伝えるね。次回は私からAさんと2人で会える時間を作るので、私から誘うわ。お友だちでいたいから、これからもよろしくね」

(ロールプレイ終了)

はい、という感じになりますね。お互いにやってみてどうですか。断られていかがでしたか?

A「戸惑いみたいなのはあるけれど、嫌な感じではなくて、『はあ、そうだったのか』っていう感じでした。

よかったです。二人の関係は続きそうですね。断る側を演じてみていかがでしたか。

B「変な理由ではなくて正直に伝えられたので、気持ちがラクでしたね」

正直に誠実に、自分の等身大の気持ちをそのまま伝えることで、お互いがむしろ近くなれる。アサーティブな関係っていうのは、こういうプロセスから生まれてくるのです。

とはいえ、人って頭だけではなかなか癖を変えられません。ロールプレイは実際には3回くらい繰り返し練習します。実際に伝える練習をすることで、自信を持って、アサーティブに、率直に断ることが出来るようになります。

頭で理解して、実際に体験して体を通して身につける。これがポイントですね。

(次回につづく・・)

森田 汐生(もりた しおむ)  特定非営利活動法人アサーティブジャパン代表理事

一橋大学社会学部卒業。大学在学中にデンマークに留学、その後、イギリス滞在中にアサーティブネスに出会う。大学卒業後、日本社会事業大学研究科で社会福祉士の資格を取得し、1991〜93年、イギリスの地域精神医療団体でソーシャルワーカーとして勤務。その間、ヨーロッパにおけるアサーティブネスの第一人者、アン・ディクソンのもとでトレーナー養成講座を受け、アサーティブネス・トレーナーの資格を取得。帰国後、1999年に国立市に事務所を設立。2004年にNPO法人化。現在、アサーティブネス・トレーナーとして、全国各地で講演・研修を行っている。
◆アサーティブジャパン主催の講座
 ・ 基礎講座
 ・ 応用講座
 ・ ステップアップ講座
 ・ アドバンス講座
 ・ トレーナー養成講座
 ・ ロールプレイ講座

<森田汐生先生のHP>
【アサーティブジャパン】
<森田汐生先生の著書>

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インタビュアー:鈴木明美(すずきあけみ)

鈴木明美

セラピールームChildren主催、NPO Oasis 代表
いろんな環境に自分を合わせて生きてきて、自分がなんだか分からない。
そんな、うつ病や心の悩みを抱えた方のお手伝いをしています。

心理カウンセラー、NLPセラピスト(ゲシュタルト、エリクソン催眠療法、
家族療法)、交流分析士1級、トランスパーソナル学会会員、レイキヒーラー
HP:江戸川区西葛西、セラピールームChildren
ブログ:セラピールームChildren


インタビュアー:広江俊介(ひろえしゅんすけ)

広江俊介

心のボイスレッスン 代表
都内で声と言葉をテーマにしたメンタルセラピー、
ゴスペル音楽による発音・発声のレッスン、自己表現力の磨き方を
指導しております。

現在、一般のビジネスマン、OL、カウンセラー、セラピスト、教師、
コンサルタント、俳優、声優の方まで多岐に渡り、教えております。
プロボイストレーナー、プロギタリスト講師
ブログ:『毎日1分!伝説の質問。』


インタビュアー:村上友望(むらかみともみ)

村上友望

今は普通のOLをしながら、セラピストとして活躍できるよう勉強中です。
出会った方々の幸せな笑顔をサポート出来たらと思っています。

ヨーガセラピスト ソース公認ベーシックトレーナー
パステル和アートインストラクター ジュニア野菜ソムリエ
アロマテラピーアドバイザー キャンドルアーティスト
ブログ:http://ameblo.jp/ohisamakokoro/


インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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