第48回目(4/4) 中井 喜美子 先生 親業訓練協会

皆が、たった一回の人生の主役になっていく

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「小さい頃からのお稽古事や早期教育に熱心なお母さんもいますが、そのあたりはどのようにお感じになっていらっしゃいますか?」

これは子育てに親がどう関わるかの視点なんですけれど、今これだけ受験戦争になって幼児教育も盛んで、親たちは、どう子どもに良い教育や良い学習をさせて、優れた子に育てるかっていう事にすごいエネルギーを使うようになっているんですよね。

もちろんそれも大事だと思いますよ。ここで問題所有の原則として、お母さんが討って出る事なのか、子どもに任せていく事なのか、そこの区別がついていないのが問題ですね。

全部「自分が」になっていると、結局それでやっていくと、子ども達に自分で感じて考えて自分で決めていく力が育たない。そういう子どもが今、増えているのです。

それで会社に行ってもうまくいかなくて、言われた事はやるんだけれど、それ以上の事はできない。そういう風になってしまう危険性を持っているのですね。

「自主性の問題ですね?」

だからもし、子どもがお稽古を嫌がった時は、言い分を聞いてあげて、自分で決めて自分で行かれるようにしてあげる。子どもの想いを無視して「これがいいから」ってやり過ぎないことです。

お稽古したり頑張るのは子どもが自分でやっていく事ですよね。その事については、もしそれに抵抗があったり、何か言ってきた時はよく聞いてあげるという対応を加えていくといいと思うんです。

そして、お母さんが困ったりした時は、「本当は嫌なんだけど、しょうがないわね」って言うんじゃなくて、言いたい事はきちんと伝えていくという対応を、これもまた加えていく。

「親業」の私が大好きな所なのですが、命の危険な時と、言っても分からない時と、時間的余裕がない時と、その人にとって心理的な緊急事態の時は、無理やり言う事を聞かせちゃっても仕方がない。

その代わり、後から何でそうしたのかと説明して、その時は余裕があるから相手の思いを、聞いていってあげましょうと。

だからそのお母さん達の一生懸命さを否定するのではなくて、子どもが「いやだ」っていう時は言い分を聞く。そして困ったなと思ったら、「これでいいんだろうかとお母さんは心配だわ」とか、「これでは嫌なんだ」とか「残念なんだ」っていうその言葉を伝えていく。

この対応をもっとやりましょうよと言いたいのです。すると子どももその言葉で、友達に伝えていく力ができていきます。

いじめられる子はどういう子かというと、何にも言えない子や、むかつくような言い方で責めてくる子なのだそうです。「明るく率直に、いやって言えたらいじめられないよ」って中学生のアンケートにあるんですよね。それは模範を示さないと難しいので親がやってみせる。

「親が模範を見せるのですね?」

それで親と子の対立も、一緒に問題解決していく。もちろん価値観の対立はなかなか難しいんです。勉強の仕方等の対立はね。

でも小さな所で、ペットの世話とかお手伝いの問題とか、そういう対立が起きた時にちゃんと困る事を言って、子どもの言い分もちゃんと聞いた上で、どうしようかって発想を転換して両者が知恵を合わせてアイデアを出し合う。皆でブレインストーミングするのです。

そうやって問題解決をしていくと、学校でのトラブルにも、子ども達は自分達で対処できるようになる。話し合いは4歳からできるようになりますよ。本当にすごいです。お母さんが勉強していると、子どももちゃんと語って、聞いて、どうしようかっていうのをやるんです。

家庭の中でこの対応を足していかれればいいと思うんですね。右か左かじゃなくて、ゴードンメソッドは全ての人間関係の基本なんで、折に触れて加えていく、足し算していく。

そうやって、子どもを自分の人生の主人公に、そして親も自分の人生の主人公に。主人公っていうのは、自分の人生は誰も代わってくれませんからね。

「それぞれが主人公なのですね?」

たった一回の私の人生を皆主役になっていく。だから子どもが自分で決めて、価値観を大事にしていく。それを見守りながら、親の良いと思うものは模範を示したり、子どものコンサルタントになったりして影響を与えていく。そういう時に言い分を聞きながら、強制しないで子どもの選択に任せることが必要です。

だから時々、無料の説明会を開いているんです。たとえ講座を勉強されなくても少しでも話を聞かれたら、プラスになると思うのです。皆が知っていてちょっとずつ足し算して、「お宅どう?」「実はこういうことがあって、こう言ったらうまくいった」みたいなことがあったらいいですよね。

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「心の仕事をされる方に、メッセージをお願いできますか?」

そうですね。人間関係って、人間の一番の基本だと私は思っています。だから本当に、その方がコミュニケー-ションをうまく取れないという状態もまた、その方にとってはそうせざるを得ない状況というのがあるからなのでしょう。

だからそれはしっかりと理解しながら、でもやはり、思いを伝え合うという事が大切です。そういう意味で、自己表現とは何かという事をもう一回きちんと見直す必要があります。ひとの事をとやかく言うことを自己表現のつもりでいるっていうことではなくですね。

晩年のカール・ロジャースも言っていたように、受容・共感・本物(自己一致)の自己一致っていうのは、自分が正直になる。やっぱりそこの部分が大切だと思います。その代わり、自分自身の気持ちを、自分は一体何をどうしたいと思っているのかをしっかり捉えることが必要です。

それが、人を信頼して自分の責任で関わっていくことに繋がるのかなと思います。

受け入れる事も、何かができるようになるとか改善しようとするとか、先に思いを向けないで、そのままを受容していく事がすごく大事なんです。同時に、もっと本音で正直に関わるって面も大切にしていっていいのかな、というのも色々な実践から私自身が実感しているところですね。

自分を大事にしながら輝いていたら、その人の周りにいる相手の人も自分を大切にできる。だからまず自分が自分自身であることを大事にできるように。

それをただ、一人で頑張ろうじゃなくて、人との関わりの中で私自身も育ててもらえたとすごく感じていますので、そういう関わりを持ちながら育ち合う、それが一番の大事な事かなと思っていますね。

「親子関係や介護の問題で悩んでらっしゃる方へ、メッセージがありましたら?」

無理しない事ですね。誰も人を困らそうと思ってやっている訳じゃないですし、分かり合いたいと思っているし、誰かの役にも立ちたいと思っていますよね。そこを大事にしながら関わっていくことが大切なのかなという風に思うんですね。

私さえここを我慢すればとか、無理しちゃう事で結果的に長続きしなくなります。特に介護は大変です。

糖尿病で目も見えない、両腕も脚も切断されていて、癌でという方がいて、苛立つのでわがままになっていたのです。病院ぐるみで看護ふれあい学講座を学ばれた療養病院の師長さんが「無い脚のかかとが痛い」と訴えるので、患者さんの体のかかとにあたる左腿をなでてあげながら、「ここが痛いんですね」って受け止めたのですね。

そうしたら、「そうなんだ。そこなんだ」って。「ここが痛かったんですね」って一生懸命さすってあげたら、「ああ楽になった。ありがとう」って、その時に初めて感謝の言葉が聞けたそうです。

この学習をする事で、そうやってコミュニケーションを取るのが楽にできるようになって、相手からも感謝される。誰かが一歩踏み出せば、向うからも返ってくる。そういう事なんだなって思います。

今まで、困った事をなさるのも嫌だと思いながら許していたけれど、そうすると逆にこちらを困らせる事をもっとして「これでも愛しているか」という風になってしまう。だんだんケアする側もその人が好きでなくなる。これにならないようにするためには、困る事はちゃんと話して、どうしたらよいかを相談していく。

それまでとんでもないおじいちゃんだと家族もお見舞いに来なかった人でも、看護ふれあい学で学んだ対応を皆で心を込めて行っていったら、感謝もするし反省もするというおじいちゃんに変わられて、それで、少しお家に連れて帰るっていう、そんなことまでできるようになったりしています。その方の残りの人生を心豊かな状態に変えていけるのですね。

こちらが心をかけて、そして言いなりになるのではなく、きちんと伝えたり受け止めたりしてお互いを大事にし合う事が、お互いを生かすんだなと本当に実感しています。

「このお仕事をされていて、一番嬉しい事は?」

それはやはり、皆さんが素敵になっていかれる事ですね。明るく元気に、そしてお子さんがちゃんといいコミュニケーションを取られてね。

お子さんも活き活きなさり、勉強なされた皆さんも活き活きなさり、皆さん素敵なものを持ってらっしゃるから、講座が終わられると輝いてお顔にも出てこられる。本当にとても素敵になっていかれますね。だから、自分も相手も幸せに生きられるんですね。

今までに、日本医大看護専門学校や、リリー保育福祉専門学校で講義をし、そして今でも東洋英和女学院大学で「親業」を、茨城大学で、教職課程の学生に「教師学」を、慈恵看護専門学校で「看護ふれあい学」を講義していますが、授業で学んだ人たちが、親になり、看護師になり、教師になり、保育士になってから「現場で役に立つ」と、またちゃんと講座を受けにきてくれて、立派に仕事や子ども達への関わりに活かしている事が本当に嬉しいですね。とても頼もしく感じています。

「先生の今後の夢や展望などはおありですか?」

27年続けてきたこの活動を通して、人が好きになりました。高齢化社会を迎えて、誰もが看護の心を持ち、それを表現するスキルを身につけていることが重要になってくるでしょうし、自分が老いや病にどう向き合うか、ケアを受ける側になった時の患者学としても必要です。

同じ時を共有した私達一人ひとりが尊重され、活かされ、互いに助け合う事を喜びながら、心豊かな人間としての自立を目指すゴードン・メソッドのコミュニケーションを、博士の言われたピース・メイキング(世界平和の実現)につながると信じつつ、家庭に、保育・教育現場に、職場に、医療・看護・福祉の現場に、地域に伝える歩みをたゆまず、心を込めて続けていきたいと思っています。

<編集後記>

講演・講座で、毎日全国を飛び回っていらっしゃるという
中井喜美子先生。

暖かさと輝きに満ちた笑顔で、白を基調とした陽光あふれる
素敵なセミナールームに迎え入れてくださいました。

 「自分も相手も大切にする」
 「自己表現をして、相手の自主性を信頼する」
 「奉仕と犠牲ではない、本当の優しさを伝えたい」
中井先生の言葉の1つ1つに、深い人間愛を感じさせていただきました。

グループで 楽しく語り合いながら、自分も相手も生かす「親業」講座。
まずは、先生の無料説明会から、体験してみてはいかがでしょうか?

中井 喜美子(なかい きみこ) 親業訓練シニアインストラクター
                    教師学上級インストラクター
                    看護ふれあい学研究会会長

「親業訓練」は、米国の臨床心理学者トマス・ゴードン博士が
開発したコミュニケーションプログラムです。
カウンセリング、学習・発達心理学、教育学など、
いわゆる行動科学の研究成果を基礎にしています。

ゴードン博士は、親としての役割、つまり<親業>を果たすことは、
「一人の人間を生み、養い、社会的に一人前になるまで育てる」仕事に
たずさわることであると述べています。

多くの親は「親の役割」をはたすために、自分の親から伝えられた経験と、
さまざまな情報・知識に揺れながら試行錯誤を繰り返しているのではないでしょうか。
この暗闇に手さぐりしている親達に、ひとつの方向が示されるようになりました。
−それがコミュニケーション訓練−親業訓練講座です。

1979年に日本ではじめて親業訓練講座が開かれてから、
親業訓練の理念は親子間だけではなく、すべての人間関係に共通する
ということに基づき、現在では「自己実現のための人間関係講座」
「教師学講座」「看護ふれあい学講座」「ユース・コミュニケーション講座」が開かれています。

★ 親業訓練講座 ★
子どもの心を理解し、話の通じ合うあたたかい親子関係を
きずくことを、目的とした訓練です。
★ 自己実現のための人間関係講座 ★
まわりの人と、率直で、あたたかい、人間関係をつくりながら
生き生きと自分らしく生きるための体験学習をします。
★ 教師学講座 ★
教師と生徒の心の絆をつくる教育『教師学マインド』の確立を目指した
講座です。教師の意見を押しつけず、生徒の考えに流されることなく、
お互いを尊重し合える関係をつくります。
★ 看護ふれあい学講座 ★
看護・介護の現場で、あたたかい意志の通い合った人間関係に必要な
コミュニケーションは『ふれあいマインド』です。
★ ユース・コミュニケーション講座 ★
学校での対立解消のためのワークショップ
★ インストラクター養成講座 ★
親業訓練インストラクター養成講座
★ 中井喜美子先生の無料説明会 ★
お問合せは 090−8088−7922 まで
<親業訓練協会のHP>
「親業訓練協会」
<中井 喜美子先生の著書>
cover
看護ふれあい学講座―具体例で学ぶコミュニケーション訓練
<中井 喜美子先生の訳書>
cover
ゴードン博士の親に何ができるか「親業」

インタビュアー:下平沙千代

下平沙千代

ワクワクセラピー☆ソースで、一緒にワクワクしましょう!
日本一やさしい介護タクシー開業準備中です。賛助会員募集中!

ワクワクセラピー ソーストレーナー、NLPセラピスト
レイキヒーラー、導引養生功指導員、成年後見人講座受講中
トラベルヘルパー、ホームヘルパー2級、女性タクシードライバー
ブログ:『幸せを運ぶワクワクセラピー ソース』

インタビュアー:Rico Bonafede(リコ ボナフェデ)

リコ ボナフェデ

セラピスト
『五感が喜ぶカラフルマインドな毎日』をテーマに活動中。

以心伝心の文化を離れて暮らしたことから、
コミュニケーションのあり方と、
言葉そのものが持つ不思議なエネルギーに魅せられ、
そこに潜在意識と色を絡めたセッションを行なっています。
おしゃべりブログ:「やっと逢えたね♪」

インタビュアー:志田祐子

志田祐子

志田祐子です。
臨床心理士の方との出会いをきっかけに、心理学を学び始め、
色々なご縁があって今は心理カウンセラーを目指しています。

心に悩みをもった人の少しでもお役にたてるよう、
五感を使って癒せる心理カウンセラーになれるよう、
日々試行錯誤です・・・。

インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
発行メルマガ:こころの栄養@さぱりメント
 

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