第41回目(4/4) 尾上 明代 先生 ドラマセラピー教育・研究センター

人生ドラマのディレクターは自分。やりたい役を演じてください!

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「ドラマセラピストとして、演劇界に思うことは?」

普通の演劇監督は、演技をするという事が、どれだけ心理的に良くも悪くも影響あるかってことを知らずにやっている場合が多いように思えるので、私は、そういう人達に最低限、危険を回避する方法などを知らせたいですね。いい作品にするために、俳優に無理なことをさせたりしてるんじゃないかしら。

演技ってものすごく危険な心理的行為なんですよ。自分の中にない感情を無理に作るとか、辛い役をやったまま現実に戻れなくなってしまうとか…。だからその役から現実に戻すドラマセラピーのテクニックだけでも演劇の監督達が知っていたら、もう少し俳優さん達が助かるんじゃないかと思うことが多々あります。

あえて役にのめりこむ手法でいいんだと思って仕事している俳優さんもたくさんいますが、それこそ身体と心をはっているはずです。そこに口出しはしませんが、一方で、「ドラマセラピーをもっと早く知っていれば良かった!」と、苦しい体験を私に話してくれた俳優さん達もいるのです。

演劇・ドラマの監督は、専門分野でないセラピー的なことを知らないのはしょうがない、ではなくて、演技をするとか劇っていうものを少なくとも何らかの形で扱っている職業をしている人は、知っているべきだと思うんですよ。そういう人達にも知らせたいって気持はずーっとありますね。

「子どもに演技をさせることはどうなのですか?」

イギリスの著名なドラマ教育者で、「子どもには、観客のために演技させてはいけない」とまで言っている人がいます。

その子の喜びとしてやりたい役を、言いたいセリフを、そして表現したい感情を出してもらうのなら良いんですけど、こういうのが良い芝居の「出来」になるからとか、観客に上手に見えるからとかですと、かえって子どもの心にとって悪い結果になる場合も多々あるのです。

例えば、小学校でドラマセラピーをすると、普通の子どもでも、いっぱいストレスを持っていて、皆お母さんに対するストレスを吐き出したりするんです。

観客のためでなく、その子のその生の感情を出させてあげるので、心の健康に寄与できるのです。でも、やりたくない役やセリフや感情を与えるような劇は、絶対によくありません。

ところで、一般の小学生がストレスを吐き出してスッキリした、というレベルとは違う状況があります。当然ですが被虐待児などはそんな生易しいものじゃないものを抱えていて、例えばいじめられたからいじめてやりたい、というような感情を持っていたりします。

そういう子どもたちに、とにかく自然に自分が出したい感情を、私が相手役になって出させてあげるのです。

例えば、レバーを食べられない子がいたんです。お話の中で楽しくレバーを食べられるようにしてあげたいと思って、お猿さんと一緒にレバーを食べるようなそんな芝居を皆でやったんですよ。

この劇が引き金になったのは明らかなんだけれど、レバーの代わりに山盛りのウンチを持って来て…。要するに「ドラマの中だったら何をやってもいいよ」と言ってあるから、自由にマイナスの感情も表現してきます。私を娘に仕立てて、自分が母親になってその山盛りを「食え」って。

これは辛い思いをして食べるところを見せた方が、彼女にとっては気持がスッキリするだろうというのは分かるから、もうリアルに「う〜」とか言いながらまさにそれを食べているようなイメージで食べてあげるんですよ。

するとすごくうれしそうにしている。「ああ、やっと食べ終わった」と思ったら、「もう一杯!」と。結局、ここで起きていることはものすごく意味があって、またそこに一緒にいる仲間の存在が大きい。これを密室でやっていたら、すごいリアルになったままになってしまう。

このような場合、やはりここで仲間=観客(他の子ども達)と笑っているから、形式ではとてもおもしろい劇遊びをしているような感じの様相を呈しつつ、セラピーをやっているんですね。それが大事なのです。

そういうのも受け容れて、こっちが嫌な役をやっていくうちに、こういう風にドラマの中なら何でもできるんだって皆が分かってくるんですね。

「受け容れることが大切なのですね?」

そうです。年齢の小さい子どもは、自分に起きたことを言語化できないので、このような安心できるセラピストとのドラマの中で、自分の気持ちを投影し、吐き出すので、受け容れることがとても大切です。

私が殺される役になるドラマもよくあります。そういう風にずーっと受容し続けていると、いくらドラマでも私もやはり苦しいんですよ。だけど、その殺されるような役をずーっと受け容れてやっていたら、だんだんそういうのが消えていって、普通の子どもが作るような筋書きのドラマになっていくんです。

心の中が象徴的にドラマに現れるから、分かり易いじゃないですか。その子ども達のグループでは二年くらい行なったのですが、後半は楽しいドラマが多くなって良かったです。

枠組みがある中で、本当に自由に演じてもらうと、問題を抱えた子どもでも良くなります。トラウマをもっているような場合は、もちろん一回や二回のセッション数では無理ですけれど…。だから、受け容れて、やりたい役で感情を出してもらうってことは、重要です。

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「将来的にはどんな風にしていきたいとお考えですか?」

もっともっと多くの方に知ってほしい。そしてセッションを体験しに来てくださった一般の方々が、家でも何かの形でそれを活かした生活をしてくれたら素晴らしいと思いますね。

視点を変えて、家族とこういう風にかかわってみようとか、「ちょっと私、あなたの気持ちが分からないんだけど、役割交換していい?」とか言って友達同士で、普通に手法が組み込まれた日常生活を送ってくれるような人が増えると良いですよね。

実際にそうし始めたという方の報告もチラホラあって、嬉しい限りです。もっともっとそういう人たちが増えたら、より楽しく生きやすい世の中になるんじゃないかな、という夢をもっています。

「先生が今の仕事をされている上で、一番大事にされていることは?」

そういう聞かれ方を今までしたことがなかったので、初めて考えてみたんですけど、来てくださった一人一人と、何かご縁を感じるんですよ。その「ご縁を感じる」「ご縁を大事にする」ことでしょうか。ドラマセラピーの内容とは直接関係ないかもしれないけれど、本当にこれを大事にしています。

私のセッションをどうしても受けたいと思ってくださったのにタイミングが合わなくて来られないとか、絶対だめな曜日だったはずなのにうまく来られましたとか、何かそれってご縁のような気がして。

不思議な一人一人との見えないご縁があって、今日ここに来てくださるって事に至った訳なので、その結果として、一人一人の方を大事にしたいですね。一人一人に良い対応をすること、それのような気がしますね。

今思いついたんですけど、全部そこに集約されるような気がしたので。

「先生はどうやってご自分を癒していらっしゃいますか?」

私が考えるのは、私がセラピストで、クライアントさんが来たとすると、言ってみれば癒す人と癒される人なんだけれど、それは一応の分け方であって、癒しっていうのは、人と人の間で起きるんですね。

「私は癒しました」「あなたは癒されました」という分け方ではないのですよね。だから、「クライエントさんは良い気分になりました」「仕事したセラピストは疲れました」っていうのは本当の癒しではない気がするんです。

良くなってくれたり、良い気分になってくれたりするのを見るのが、私の癒しになっています。そういう意味では、もちろん仕事としてやらなきゃいけないことがいっぱいあるから大変ですけれど、ストレスが発生するということはあまりない。セッションの中で、私も癒されているんです。

「先生が、影響を受けた方や本などはおありですか?」

そうですね。影響を受けているのは、自分の辛かった経験です。変な言い方ですけれど。くじけそうになると、それを乗り越えてきたっていう思いが、支えですね。

それと、例えば被虐待児と対峙していると、以前はうしろめたい気持になったの。私はたまたま幸せなことに子どもの時に虐待を受けたという体験はないので、その年齢で体験してきた人に、引け目を感じるような気がしていたんです。

でも、私だって違うことで苦労はしてきている。だからそういう意味では内容は違うけれど、苦しさという部分では根っこに共有できる部分があるというか、自分が辛い思いをしてきたことで、痛みを何とか分かってあげられるのではないかと思うことですね。

だからどこかで習ってきた事とか、あの先生に教わった事とかではないのです。

「先生は色々なものを引き寄せている感じがしますが、何が良かったのでしょう?」

ドラマセラピーは良い!って思う、その気持が強かったんだと思うんですけど、「即行動」ですね。

黙っていたら通じないので、とりあえずどんどん言う。例えばドラマセラピーでない内容の依頼が来たとして、「こういうことでお手伝いいただけませんか」と言われたら、「それよりドラマセラピーでお手伝いします」とか。

即メールをするとか、返事をするとか。置いておかないで、即行動ですね。

「好きな言葉を教えてください」

そういう聞き方をされたことなかったから考えなかったですね。良いですね、こうやって聞いてくださると。やっぱり、「人事を尽くして天命を待つ」ですね。ずっとそれで来たように思いますね。

「心の仕事をしていこうという方へのメッセージがありましたら?」


多くの対人援助職の方々も、きっと同意してくださると思うんですが、人生の中における辛い事、それは自分が苦しむためにあったのではなく、別の人の役に立つために起きた事だと思っていただいきたいですね。

世の中に、対人援助職でない仕事に就いている方ももちろんいっぱいいらっしゃいますよね。その中で、心の仕事、他の人の辛さを軽減してあげたいと思って、セラピスト等の仕事を選ぶ人は、自分の辛かった事を、他の人のために使う糧にすることができると思うんですよ。

でも、起きた事を糧にするんじゃなくて、実は苦しんでいる人に役立つために、あの辛い出来事が自分に起きたんだと思うんですよ。だからそれを完全に乗り越えて、次はどなたかの役に立ってくださいっていう、そんなメッセージです。

「迷いや悩みを持ってらっしゃる方へのメッセージがありましたらお願いします」

自分の中にだけ入っていると、自分の中に起きていることが分からなくなるので、自分の外に出て自分を見る。それから一週間後とか、五年後とか、乗り越えた後である自分っていうのを悩みの真っ最中にイメージして、そこから今の自分を見るっていう風にしてみる。

または、だれかに自分の役をやってもらって、迷っている自分を客観的に見てみる。

そういう時間的、または物理的に、視点を変えたり、大きくしたりして自分を見てほしい。すると、ああよく乗り越えてここまで来たんだって思えるかもしれないし。自分自身に声をかけてあげて。試してください。

「読者の方に、メッセージをお願いできますか?」

そうですね。人生はドラマです。シェイクスピアをはじめとして多くの人が人生をドラマに例えているでしょう。「○□△子」という自分の役をやっているにすぎないんです。

だから「そういう役を今やってるんだ」って思うことで良い時も悪い時も、止まってしまうことが防げる。特に悪い時ですよね。

1つの役なんだから、役割、役回りなんだから、その役を降りることも、変えることも、新しい役をやることも、できるんですよ! 誰から「役」を振られたんですか? 自分の人生ドラマのディレクターは自分だと分かれば、自分に良い役をキャスティングできるんです。

自分のやりたい役を、楽しく「演じて」生きて行ってください!

<編集後記>

毎週、お仕事で東京と京都を往復なさっているという「超多忙」な
尾上明代先生。

「身体が1つでは足りない」と笑顔で話される先生は、
とても華奢なお身体ながら、明るいエネルギーに満ちあふれた方でした。

ドラマセラピーの楽しさ・素晴らしさを、目を輝かせて語ってくださるお姿に、
強い信念と深い優しさを感じさせていただきました。

楽しく笑い合いながら感情を解放し、癒されていく「ドラマセラピー」。
まずはワークショップから、体験してみてはいかがでしょうか?

尾上 明代  ドラマセラピー教育・研究センター 代表
        立命館大学大学院教授
        米国ドラマセラピー学会公認ドラマセラピスト
        (Registered Drama Therapist, RDT) 日本国内第一号

★ ドラマセラピーとは ★

ドラマを演じることが「癒し」につながるのは、声や感情を出したり、
心の中を表現することで心身の浄化的作用が起こるからであると考えられます。

現実の自分を直接、表出・表現できない場合でも「役」というものの後ろに隠れると
(あるいは役を手段として使うと)、それが可能になる。
パラドックスのようですが、これがドラマセラピーの基本的で重要なセオリーであり、
魅力です。

またドラマには、その体験を通して現実を味わうことができ、
また希望を叶えた満足感などが、現実の体験と変わらない効果を持たせる力があります。

このような、「ドラマ(劇)」というものが本来持つ、いわば「癒しの力」を意図的に
用いて、心を癒したり、あるいは内面的な成長を促したりしようというのが、
ドラマセラピーです。


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ドラマセラピーを深く学びたい人のために。
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ドラマセラピーの考え方や、数多くある技法の一部を応用して、
対人援助に関わる仕事をよりよくするためというコンセプトで行ないます。
 詳しくは: ドラマセラピー教育・研究センター

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「ドラマセラピー」という言葉は耳慣れないかもしれませんね。
簡単に言うと「自分ではない役を演じる」ことによって、創造力を活性化し、
自己表現力やコミュニケーション力を高め、人間関係の向上を図るというものです。
何より、楽しみながら、自分自身が癒されていき、思いがけない気付きが
たくさん得られるのが魅力です。
心と身体のわくわく感を味わう体験を、一緒にしてみませんか?
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心ひらくドラマセラピー 自分を表現すればコミュニケーションはもっとうまくいく!

<尾上明代先生の訳書>
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ドラマセラピーのプロセス・技法・上演 演じることから現実へ

インタビュアー:下平沙千代

下平沙千代

ワクワクセラピーで、好きなことを話しているうちに、希望が湧き上がり、
レイキでもっと元気になって、ショッピングや旅行にも行きたくなっちゃうような、
日本一やさしいワクワク介護タクシー開業準備中です。賛助会員募集中!

ワクワクセラピー ソーストレーナー、レイキヒーラー、導引養生功指導員、
ホームヘルパー2級、普通二種&大型一種免許取得
斉藤一人さんの全日本バンザイ連盟正会員
ブログ:『幸せを運ぶワクワクセラピー ソース』

インタビュアー:笹木美子

笹木美子

「元気サプリ日本語コーチ」

外国人ビジネスパーソンに日本語を教えています。
敬語・丁寧語 面接指導、試験対策、ビジネス会話がメイン。
他に、企業向けマナー研修等セミナー講師。

コーチングやカラーセラピーで人をハッピーにしていきたいです。よろしく。
ブログ:愛☆光☆情熱 Marilynn♪

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小野裕美子

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あなたを、そして、あなたの大切な方を Happy! に します。

ブログ: ただいま、準備中!

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脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
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