第35回目(1/4) 小野 京子 先生 表現アートセラピー研究所

表現することで、自分の深い心の中に入っていける

今回のインタビューは、臨床心理士で、「表現アートセラピー研究所」代表の
小野 京子(おの きょうこ)先生です。

統合的な芸術療法「表現アートセラピー」の個人セッションとともに、
講座やワークショップで大活躍の先生は、NPO法人アートワークジャパン理事長も
務められ、『アートの力を教育に』をモットーに、教育分野で幅広い実践活動を
展開されています。

さらに、産業・医療分野にも「アートの力」を活かしていきたいとおっしゃる
先生から、「表現すること」と「心理療法の力」について、深いお話を伺いました。

インタビュー写真

「この仕事の分野にお入りになるまでの経緯は?」

高校生の時に倫理社会の先生の講義が上手で、哲学・心理学、プラトンなど「人がいかに生きるべきか」などの話にすごく惹かれました。「50分の授業があと5分で終わっちゃう!」と、それぐらい週1回の授業が大好きになって、心理学を勉強したいなと思ったのです。

それで、大学の教育・心理学・宗教学などが学べる学科に入りました。カール・ロジャーズから直接学んだ柘植明子先生と出会って、カウンセリングを学び始め、エンカウンターグループにもたくさん参加しました。

今みたいに色々な講座や療法もなかったのですが、その頃、家庭のことなどで悩みも多かったので、何を話しても受け止めてもらえるロジャーズ派との良い出会いで、とても癒されました。

その後、大学院に進みたいと思ったのですが、仕事に就いて結婚して欲しいと思っていた母親の猛反対に遭いました。それを何とか説得して大学院に入学して、自閉症の子どものセラピーや教育相談所、愛育研究所で仕事をしながら、子どもの発達心理の臨床をしていました。

「その後の留学のきっかけは?」

大学院の頃から自分自身が色々なセラピーを受けてみたいと思うようになり、大学院卒業後、一年間アルバイトをしてお金を貯め、25歳の時にアメリカ・サンフランシスコの北にあるカリフォルニア州立ソノマ大学に留学しました。

色々な流派のセラピーに出会え、個人セラピーも受けられて面白かったです。アダルトチルドレン研究で有名な西尾和美先生に個人セラピーを2年くらい受けました。

最初に大学のカウンセリングセンターへ行ったら、「日本語で話したいでしょう?」と言われて西尾先生を紹介されたのですが、英語の方がストレートに感情を表現できる気がしたので、英語でセラピーを受けました。

それは支えにはなったのですが、どうも言葉に縛られていると自分の問題にばかり焦点が当たって「自分というのはこういうものだ」という規定概念の枠から出られない感じがしたのです。それ以外に持っている自分の力やエネルギーに触れることが出来ず、癒される実感が持てませんでした。

それで他にも色々なセラピーを試したのですが、かなりハードなものもあって調子を崩して疲れてしまい、心理学がちょっと嫌になり、まずは自分で生活の糧を稼ぎたいと思うようになりました。

「心理学から離れて、就職なさったのですね?」

帰国して小さな法律コンサルタント会社に就職しました。その後にもう一社勤めてから、神田外語学院の非常勤講師として英語を教えていました。

留学していたソノマ大学で単位は取っていたのですが、まだ論文を書いていなくて修士号を取っていなかったので、論文を書いて修士号を取っておこうと、その頃思ったのです。

指導教官から、しばらく間が空いたので、ナタリー・ロジャーズさんの10日間のコースを取り、その上で論文を書いたらどうかと言われて、ナタリーさんの表現アートセラピーのコースに参加しました。ナタリーさんが60歳位の頃ですね。

「受講されていかがでしたか?」

そのナタリーさんの「パーソンセンタード表現アートセラピー」のトレーニングコースが、とても良かったのです。

言葉で言う「私はこういう人間だ」という自分じゃない「自分」に出会えました。例えば、踊るのが好きだったり、太鼓を叩くとすごく自分の生命力と響き合うなとか…。

寂しさとか苦しさも絵にしましたが、言葉だけだと抽象的で、いつも使っているから嫌なイメージがある訳です。でも絵にすると、同じ絵は絶対描けないのです。違うトーンやニュアンスを感じられます。

本に書いたのですが「狼になって走る」という体験をした時に、清々しい寂しさや、一人でいても全然嫌じゃない寂しさがあるのを身体で実感したり、味わいのある手垢がついてないそういう寂しさがありました。

同じ寂しさでも、メロディーで歌ってみると自分自身と一体になれるようなところがありました。自分の中のいろいろな場所へ降りていって、そこで触れ合える寂しさや苦しみとの出会いは、嫌な感じではないのです。頭や言葉のレベルと全然違う体験なのです。

受講前は、アートセラピーと言うと、私は絵が下手だし、それほど好きではないし、芸術というと高尚な才能のある方達がやることと思っていたので、一週間以上のコースなんて大丈夫だろうかと最初は心配でした。

けれども行ってみたら全然違っていて、幼稚園に戻ったみたいに無邪気になれて、色々な気づきや違う自分を発見することができました。最初にロジャーズ派から始めたので、なじみや信頼感があって安心できました。

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「帰国後はどうされたのですか?」

その後、ヴォイス・ダイアログの手法を勉強したり、リッキー・リヴィングストンさんの東京ゲシュタルト研究所を何人かで引き継ぐというご縁があって、そこでゲシュタルトセラピーのトレーニングを受けながら、スタッフとして表現アートセラピーの講座を提供していました。

そんな折、ナタリーさんの本『表現アートセラピー』を翻訳して、またアメリカに行って表現アートセラピーコースを受けてリフレッシュしたり、自分と表現アートセラピーとのかかわりが深くなって来ました。

そして、表現アートセラピー研究所の前身である研究会を立ち上げ、いろいろな方に表現アートセラピーで関わるうちに反響があったり、皆さんに喜んでいただけたのが嬉しくて、「この道だ!」と思うようになりました。

「日本での表現アートセラピーのパイオニアとしてのご苦労は?」

今まで苦労はあったと思うのですが、わりと忘れてしまう方なのです。多分、本を訳したのが大きいと思います。本を媒体にして、研究会を訪ねてくれる方があり、ゲシュタルト研究所でやっていたので、その繋がりで来てくださったり…。

斉藤学先生のお仕事をさせていただいたので、そこの摂食障害の方達の集まりで呼んで下さるとか、精神科のクリニックでの仕事もいただいたりと、そういう繋がりがありました。運も良かったと思います。

これまでホームページでご案内をしてきたのですが、今はやはり不況のせいか、たくさんの方に集まっていただくのが難しくなっていて、それには苦労しています。もっと大勢の方に知っていただけたらと思っています。

「表現アートセラピーは、どんな方に受けてもらいたいですか?」

どんな方でも知っていただけたら、楽しんでもらえると思います。上手下手は関係ありません。特に私自身がそうだったのですが、言葉が苦手、言葉で語れないとか、何かモヤモヤしている方に良いのではと思います。

言葉にならないことを表現していくうちに、その絵を元に誰かと組んで話をするとか、詩を書いたりしているうちに本当に自分の言葉が、とても安心感をもって獲得できる感じがあるのです。

クリニックでやると言葉が不得意でも、その絵を元に話すだけで自分のことを語れるようになったとおっしゃる方も多いです。

「表現アートセラピーを簡単に説明すると?」

絵を描いたり粘土をこねたりするだけでなく、身体を動かしたり楽器を鳴らしたり、自分の声を出したり、ドラマの中で少しだけ他の人になってみる演劇的なことや様々な表現を自分でしてみることで、自分自身について新しく発見したり、心と身体が解放されるような療法です。

振り付けがないと身体を動かしたり出来ないと思われるかも知れませんが、表現についての上手下手は全く関係なく、表現することで素の自分に出会えて豊かになる。

人間は元々豊かなものを持っているのに、いつも頭の世界で留まっていると豊かさを感じられないので、自分や他の人の豊かさを感じさせてくれる、耕していけるセラピーです。

分析や解釈もしないので、今、自分が気付く必要のあるところを少しずつ自分自身で気付いていけるセラピーですね。ロジャーズ派なので無理がありません。ありのままの今の自分のままでOKだという環境は、とても大切です。

「表現アートセラピーの強みは?」

表現アートセラピーでも色々な立場があるのですが、「パーソンセンタード表現アートセラピー」は、安心できる環境を大切にしているので、その安心感という強みと、子どもさんはもちろん、高齢の方など、色々な年代の方にアプローチができることが強みです。

色々な表現を使うので、違う自分が見えてきたり、ご自分で苦手とか得意じゃないと思っていたものが、案外その方にとって力になったり、良い入り口だったりして、そこから何か新しいことができたりします。

絵を描いた後でムーブメントをしてみたり、いくつかの切り口を組み合わせて表現を続けていくことで、自分の深い心の中に入っていけるのです。

あとはアートセラピー全般がそうですが、身体という視点です。ダンスはもちろん身体を動かしますが、絵を描くにも身体を動かします。

感覚、手、クレヨンの感触、色など感覚的なものを用いますので、身体・五感・認知・魂というかスピリチュアリティも関わってきますので、アプローチとしてホリスティック(包括的)なのです。

芸術の素晴らしさに感動するというのは、心なのだろうけれども、魂に触れてくるような要素があるのです。だから芸術の持っている力は凄いと思います。

その方が語っている悩みが言葉だと、聞いていてもあまり実感がなく共感しづらい場合があります。ゲシュタルトセラピーでは座布団を殴ったりしますけれど、あまりに強い生の感情だとこちらが辛くなってきてしまいます。

でも、例えば怒りを絵や詩に書くと、それが味わえる世界、魂に触れてくるレベルになるのです。みんなにとって受け取りやすいものだし、セラピストにとっても楽というか、共感しやすいものとなります。

芸術というのは枠があるので、例えば詩という形式の器に盛られることで浄化されるので、味わうことができるのです。そのように表現することで、作る方自身も、そこから意味がくみ取ることができます。

嫌な思い出、例えば失恋した辛さを詩にしたら、そのことにも意味があったとか、振り返っても辛くない美しいものに見えてくる。美というものが見えてくる。それが芸術の力なのです。

あくまで技術的な上手下手は問いません。美しいものを作らなくてはいけないとなると、心に触れるものがなくなってしまうのです。

自分の本当の体験や真実に触れながら技術のある芸術家は、人に感動を与えられて素晴らしいと思います。でもセラピーでは技術は必要ありません。私は芸術療法の、魂に触れ感動を与えてくれるところが好きですね。

                 

(次回につづく・・)

小野 京子(おの きょうこ)  表現アートセラピー研究所 代表

  臨床心理士、国際学会認定表現アートセラピスト
  東京学芸大学非常勤講師、神奈川大学大学院非常勤講師
  NPO法人アートワークジャパン理事長

●表現アートセラピーとは

表現アートセラピーは、欧米で発展した芸術療法です。

いろいろなジャンルの表現を使い、心、からだ、感情、スピリチュアリティすべてにアプローチするホリスティックな療法です。

作品の上手下手を問わず、分析解釈せず、お互いを尊重しケアする姿勢をとります。

表現アートはいろいろなアート表現を組み合わせて用いるために、より深い心の層にアクセスし、心身の癒しが促進されます。


■コース・メニュー

    ●講座/ワークショップ
    ●トレーニングコース
    ●個人カウンセリング
    ●個人セッション

<小野京子先生のHP>
【表現アートセラピー研究所】
<小野京子先生の著書・訳書>
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表現アートセラピー入門―絵画・粘土・音楽・ドラマ・ダンスなどを通して



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表現アートセラピー―創造性に開かれるプロセス

インタビュアー:下平沙千代

下平沙千代

ワクワクセラピー☆ソースで、一緒にワクワクしましょう!
日本一やさしい介護タクシー開業準備中です。賛助会員募集中!

ワクワクセラピー ソーストレーナー、NLPセラピスト
レイキヒーラー、導引養生功指導員、成年後見人講座受講中
トラベルヘルパー、ホームヘルパー2級、女性タクシードライバー
ブログ:『幸せを運ぶワクワクセラピー ソース』

インタビュアー:竹沢央保

竹沢央保

「思込解放カウンセラー」 または 「成幸の伝道師」
メールとスカイプを使ったカウンセリングをしています。
優しさと強さを兼ね備え、自分自身が幸せに生きることで、その波動で周りの
人も幸せにしていくという「上善は水の如し」的な生き方を目指しています。

趣味:音楽・映画鑑賞、ギター、読書、車、旅行
やってみたいこと:世界一周旅行
最近の興味:仏語、伊語、シャンソン・カンツォーネを歌うこと。
HP:メンタルサポートNow and then

インタビュアー:小野裕美子

小野裕美子

  『 Happy コンシェルジュ 』

あなたを、そして、あなたの大切な方を Happy! に します。

ブログ: ただいま、準備中!

インタビュアー:脇坂奈央子(わきさかなおこ 日本メンタルサービス研究所 所長)

脇坂奈央子

『道開きの心理士』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。
ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・催眠療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士、認定THP心理相談員、統合心理セラピスト、心理カウンセラー、
米国NGH認定ヒプノセラピスト、認定キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:ワイス博士直伝の前世療法・催眠療法・心理療法★ラポール
発行メルマガ:こころの栄養@さぱりメント
 

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