強烈に覚えています! 女性の方なのですが年齢は20代後半の方としておきましょう。数か月前にお母さんを亡くされて、それによって人生に対する喪失感を持ってしまった方でした。
かなりお母さんを尊敬している方だったものですから、もう思い出すだけで涙がボロボロ出てきてしまって仕事も手につかない。生きていくのももう意味が感じられない。
お母さんがいなくなってしまったことで、お父さん弟さんとの家族関係もバラバラになってしまいどうしていいかわからない、ということでカウンセリングルームに来ていただいたというのが第1号の方でした。
カウンセリングルームを2005年の5月14日にオープンしたのですけども、実はその年の年末まではいっさいクライアントさんが来なかったのです。
ネットでボランティア的にメールカウンセリングはやっていたのですが、直接電話で予約を取っていただいてカウンセリングに来ていただいたという方は結局、年が明けて2006年の1月のその方が初めてなのです。
「その方はどういったきっかけで篠田先生を見つけられたのですか?」
インターネットで検索してきたとおっしゃっていました。
そこでブログを読んで、この人だったら良いだろう、と思われたらしいです。その時は10回(10週)ぐらい通っていただいたのですが、もちろんお母さんを生き返らせることはできませんし、僕が何か良い教えやありがたい言葉を与えていっきに解決するということはないです。
グリーフワークというのですが、身内の方を亡くされた時のカウンセリングは、やはり時間が解決するということと、まず共に涙を流す、流してもらう。
だから僕も時々感極まってしまいました。一緒に「大変だったね」という風に言ってくれるような存在の人が必要だったのでしょう。
最初は、やはり基本に忠実に相手に話させてあげる。1時間のカウンセリングであれば、もう50分くらいは話させて、僕は「そうですか」「それは大変でしたね」ということで、カウンセリングはうまくいっていたのです。
ですから、それをいつも思い出すようにします。知識や技術、経験がいろいろ豊富になってくると、あれもしゃべりたい、これもしゃべりたい、とついしゃべってしまうんですよね。基本的におしゃべりなものですから(笑)。
ですからあの時のカウンセリングというのは強烈に覚えていますし、僕の基本というか、あそこに気持ちが立ち戻らなければと思いますね。
「2006年の1月以降は、クライアントさんはどのくらいのペースでいらっしゃるようになられたのですか?」
月にゼロというのはそれ以来もう無い訳ですが、だいたい月に5,6人ぐらいですから、回数で言うとその倍くらいですね。1か月に毎週来る方もいれば1か月に1回の方もいれば、隔週で来る方もいらっしゃいますから。
「2006年からクライアントさんがいらっしゃるようになったのには、何か違いがあったのですか?」
来て下さるようになって、そのリピートをしていただける理由はわかるのです。
ただ今までまったくチンとも電話が鳴らない開店休業状態だったにもかかわらず、いきなり年が明けてから来始めたというのは、僕も未だに分析できていないのですが、情報としてインターネットにいろいろと載せていくようになったということで、初めての方が来て下さったということですね。
初めて来て下さった方がそのあと2回、3回と続けて来てくれるというのはなぜかということは、自分なりに分析できているつもりです。
カウンセラーらしくないからだろうなと思っています。髭とか生えていて、一見ちょっと怖いじゃないですか?ヤクザじゃないですか?みたいな(笑)。
おそらくカウンセラーの先生というのは、もっと優しくてありがたい言葉をくれて、というような感じのイメージでいらっしゃるのでしょうね。
それが、僕は結構ザックバランな感じで話すし、先ほども言いましたが、僕は答えを与えないですから。
クライアントさんは答えを与えてもらおうと思って、いらっしゃるらしいんですよ。何か良い言葉を一言もらって、チチンプイプイで治してもらって最後は帰ろう、と。
最初に僕は言うのですが「それはやらないですよ」と。
その代り徹底的に話を聞きましょう、一緒に考えましょうと。本当にその時は全神経を集中してその方とやっていくので、皆さん言うのですがそこが「カウンセラーらしくない」「先生だったら・・・」と。
僕も「また来ようと思っていただいたきっかけは何ですか」と必ず聞くようにしているのですが、多い答えが「カウンセラーらしくない」ということでした。
それだけカウンセラーというのがまだまだ認知されていないということですね。答えを与えてくれる、と思われているのかな、と。
基本的にカウンセラーは答えを与えてはいけないのです。カウンセラーが答えを与えることによって、そのクライアントさんは、また何か迷った時には「篠田先生のところに行けば解決してくれる」となって、自分で解決する能力をカウンセラーが奪うことになってしまう訳ですから。
それは絶対やってはいけないと思っている僕のスタンスが、2度、3度と来てくれる理由なのでしょう。
もっと優秀なカウンセラーの方はいらっしゃるでしょうし、僕と同じように考えている方もいらっしゃるでしょうが、たまたま僕のところに来てくれるクライアントさんは、そういった先生には今までお会いしたことがない、と言います。
ですから、「あぁ業界全体としてまだまだそうなのかなぁ」と感じます。
そこはちょっと残念でもあり、僕のところに来てくれるということは嬉しくもあり、ちょっと複雑な気持ちです。






