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メンタルビジネスへのご招待(インタビュー)

メンタルビジネスの最前線で活躍されている各分野の第一人者の生の声を皆様にお届けします。




第20回目(4/4)  諸富 祥彦 先生 トランスパーソナル学会

2008年 01月 5日

カウンセリングは、この道でしか生きていけない人の仕事



←前回号「シングルマザーが幸せになれない限り、いい国ではない」



インタビュー写真


「カウンセラーや心理の仕事をするのに、向いていないなと思う人はいますか?」

向いていない人がほとんどです。向いている人は滅多にいません(笑)。

大学院生を見ていると、向いていない人が多くなっています。つまり心理学がブームになって、資格も取れるという理由で、お勉強のできる人がたくさん入ってきたからですね。

昔はよほど物好きでなければ、カウンセラーにならなかったですよ。

食べてはいけなくても、この業界でなければ生きていけない、という人が残っていました。重たい仕事ですから、普通では付き合えないですよ。

人が「どうしたらいいのかわからない」ということをするのがカウンセラーなのに、システム化されて、頭の良い子が、「一番難しいのが心理だから、受けました」とか、「私、頭いいから大丈夫です」といって、臨床心理士を目指されても困るという所はあります。

自分の内面を見るのが苦手な方の割合が、増えてきたかもしれません。私の所(明治大学大学院)では、どんなに成績がよくても落ちますよ。面接で、「ああ、向いてないな」と思うとスパッと落とします。

カウンセリングは大変な仕事です。だから人にはお勧めしないですね。「やめなさい、やめなさい」と言っています(笑)。

それでも続ける人しか、入ってこない方がいいと思っています。


「大学院に入って心理の勉強をしたいという人もいると思うのですが?」

何のために入るのか、どこを受けるのかをはっきりさせることが大事です。大学院でも、臨床家のトレーニングをしていない大学院もあります。

そういうところは、純粋に勉強のためとか、知的な好奇心を満たすためには良いと思います。

その一方、臨床家の養成のための大学院というのは、職業訓練校です。その為の覚悟はやはり必要です。まず、年収が減るかもしれないことを覚悟してください。

たとえ年収が半分以下になったとしても、この道で生きていきたいのか、どれ位自分が本気でやりたいのか、ということをしっかりと見つめ直して欲しいですね。

こういう所は修行の場である、という事をわかってもらえる方がいいですね。私の所では、入学して3ヶ月経ったら、病院の精神科に入って、実際にカウンセリングをやらせますから。

ある程度は完成されていないと、大学院には入れないです。すぐに実践が伴いますから。相談者に迷惑がかかることなので、生半可な気持ちでは困ります。

だから私の所に入るのは「考えた方がいいですよ」と言っています(笑)。

それでもやりたいという人には是非来て欲しいけれど、やりたいという気持ちだけあっても駄目という世界です。



インタビュー写真





「カウンセラーにとって大切なものは何だと思われますか?」

やはり、まずは自分の心の声を聞くことだと思います。

カウンセリングというのは、人様の心の声を聞いて、その人なりの生き方を見つけていく為のお手伝いをする仕事ですからね。

しかし最近は、「私は自分のことは見つめません。けれど、あなたは何度も見つめれば」みたいな人が時々います。こんな方はもう1発でアウトです。

この人はどこまで本気生きてきたのか?どこで自分と対決して生きてきたのか?こういう事は、雰囲気で相手にバレますから。

そうなると、相談者は「この人にはここまでしか話さない」と判断し、適当に残りの時間を過ごして、「はい、さようなら」と、なります。

ロジャーズが「自己一致」という言葉で言っていたことです。面接の中で、カウンセラーが言う一言によって、この人はどのレベルの人なのか、どのレベルまで付き合って生きている人なのか、ということに関して、相談者は敏感に察知します。

相談者の方は、かなり真剣で深い人が多いですから、「これは俺よりも浅い」と思ったら、もう来ません。人間、自分よりも浅い人間に悩みを聞いてもらおうとは思わないでしょう。


「自分が悩んでいるから心理関係の仕事をしたいという方も多いと思いますが、それについてはどう思われますか?」

それを否定する人も多いのだけれど、僕はそうは思いません。僕もそうだったし(笑)。

人の内面性をみつめるということは同時に、自分の内面性を見つめることであり、それはどこかで自分がきつくなるということが当たり前に起こってきます。

たとえ自分の問題が100%解決していなかったとしても、それに振り回されないだけの距離がしっかり取れているかどうかという所が、鍵になるのではないでしょうか。
そうでないと相談に来た人を犠牲にしてしまいますから。


「先生自身が落ち込んだときの対処法、あるいはモチベーションの保ち方は?」

無理に元気を出さないことですね。僕はポジティブシンキングが嫌いなので。

自分を励ますと余計落ち込んでしまうから、自分の中の落ち込みとか、疲れとか、モチベーションの低下を認めてあげること。無理にモチベーションを上げようとしません。

辛い時は、一生懸命頑張りすぎないのが一番です。若い頃だったら、ガッツだとか思っていたけれど、それだと今は死んでしまいます(笑)。

無理せずに、自分の状態を認めることじゃないでしょうか。

「あー、落ち込んでいるなー」とか、「やる気ないなー」とか、「やめてしまいたいなー」とか、「この業界やめようかなー」とか、そうだよなあと、そのまま認めてあげることじゃないでしょうか。

僕は、ビールを飲むとか、踊りにいくとか、カラオケにいくのは、その時は楽しくても、家に帰るとむなしくなって、余計ストレスが溜まってしまいます。

何かをするとか、外面的なことは、僕にとってはあまり関係ないですね。


「何をしている時が、一番自分らしいと思われますか?」

仕事をしている時が一番自分らしいと思います。

カウンセリングをしている時も、講演をしている時も、本を書いている時も、自分らしいなあと思いますよ。
いい本が書けた時は、天命を生きているかもしれませんね。

前にも言いましたが、カウンセリングはこの道でしか生きていけない人でないとできない仕事なので、
逆に言えば、僕はこの道以外では生きていけないのです。

僕の友達にも、「この業界がなかったら、死んでいるかな」とか、「犯罪を起こしているかな」とかいう人ばかりですよ(笑)。僕も自分でそう思います。

「この仕事があったから、生かせてもらっています、神様」という感じです。

入試とか、会議とか、僕にとってつまらない仕事をやっている時は、とてもストレスが溜まりますが、「1日だけだ」と思うから、まだ我慢ができます。

多くの社会人の方は、毎日みんなで集団行動をして過ごしているわけでしょう。僕だったら死んでしまう(笑)。この仕事があって本当に良かったです。


「今後の先生の展望を教えていただけますか?」

これからは仕事のペースを少し減らして、マイペースで仕事ができるようになることかな。

5年間のうちには、今44歳だから50歳になる前には、「オレはこの本を書くために生まれてきたんだ〜!」と思えるような本を1冊書きたいですね。




<編集後記>

先生のお話を伺って、スピリチュアル、自己実現、孤独、幸福について改めて考えるきっかけになりました。

自分のマイナス感情を認めてあげること、それは弱いようでポキッといかない強さになる。

孤独を知れば知るほど、人とのつながりの大切さがわかる。

「どんな人生にも意味がある」。フランクルのこの言葉を、ギリギリの所にいる人達、傷ついた人達へ、熱い思いと共に様々な形で発信している先生の活動は、もはやカウンセラーという立場を凌駕しているように感じました。



次回号「「運・根・鈍」で、仕事も人間関係もうまくいく」→

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諸富 祥彦(もろとみ・よしひこ) 明治大学教授、日本トランスパーソナル学会会長

日本トランスパーソナル学会は、「トランスパーソナル」(個を超える)という考えに関心を抱く人 々が集い、 研究活動や情報の交換、一般社会への普及活動、海外をも含めた研究成果の発表や紹介などを行います。
この学会は、特定の学問領域に限定された学会ではなく、様々な学問の境界を越えた学際的な学会です。   
また、学者のための閉ざされた学会ではなく、「トランスパーソナル」という考えに共鳴し、オルタナティヴな個人の 生き方や社会の在り方に関心を抱く一般の方々が自由に参加し、お互いの実践や思いを交換し合える場作りも目指していきます。


諸富祥彦のホームページ

http://morotomi.net/


日本トランスパーソナル学会 公式サイト

http://www.ne.jp/asahi/jta/akss/


教師を支える会

http://sasaeru.my.land.to/


<諸富 祥彦先生の著書>

cover
カール・ロジャーズ入門−自分が"自分"になるということ


cover
ロジャーズが語る自己実現の道(ロジャース主要著作集)


cover
「孤独」のちから

cover
ケッコン構造改革のススメ!






インタビュアー:奥原菜月

奥原菜月    フリーライター、占い&カウンセラー(奥原朱麗)として活動中。
夫と子供2人、犬1匹で横浜に生息中。

占い・カウンセリング・開運などをメインにしたブログ
『占いカウンセラー朱麗のまったり開運日記』

HP:アストロ・ハーティ「朱麗の占いカウンセリングルーム」
  
インタビュアー:中澤敬子
 
中澤敬子    仕事に挫折し、離婚の危機、子育ての悩みからカウンセリングに興味を持つ。

様々な手法を学び、現在は千葉県市川市にてカウンセリングルーム
「イマージュ」を開設。
2児の母親。

HP:「イマージュ」


インタビュアー:脇坂奈央子

 
脇坂奈央子
『道開きの心理セラピスト』 ……本来のあなたの道を開く、お手伝いをします。

ブライアン・ワイス博士直伝の、プロフェッショナル・ヒプノセラピスト。
前世療法・年齢退行療法を中心に、ニーズに応じた各種心理セラピーを施療。

心理士(BA)、統合心理セラピスト、NGH認定ヒプノセラピスト、
心理カウンセラー、キャリアコンサルタント、
代替療法セラピスト(レイキティーチャー)
HP:セラピールーム ラポール 
  




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セラピストの取材を定期的に行っています。

   メンタルビジネスへのご招待

   あなたのそばにいる「こころ達人の横顔」


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当プロジェクトの良いところは、「人とのご縁が広がるところ」です。

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