私がこの仕事を始めた頃、私ができること、目指すことは誰でもできると思っていました。
何でも自分を基準に考えていまして、周囲の人になにかというと、「この程度できるでしょう?できて当然でしょう?何故できないの?」と『何故できないの攻撃』をしていたのです。
例えば、「話し方の指導なんて簡単、すぐにできること」と、経験の浅い人に講座の指導者をやらせたり、「誰でも字が書けるでしょう。その上、あなた、文系の大学出たんでしょう、だったらこれくらい書けるでしょう」と執筆の仕事を押し付けたりしました。
経験がない人の不安感や戸惑いを、まったく理解していなかったんですね。
そんなことをしているうちに、何人かの周囲の人から「大嶋先生にはついて行けません」と言われまして。
それでやっと、自分には簡単なことでも、他の人にはそうではないんだ、人前で話したり、話し方を教えたり、本を書くのは大変なことなのだと気付きました。
「ご自分にも厳しいけれど、他人にも厳しいということでしょうか?」
他人に厳しくしているつもりは無いのですが・・・。
私は、自分自身のことを立派な経歴もない普通の人間だと思っています。有名大学を出たわけでも、立派な資格があるわけでもありません。ただ、誰でもできることをやって今日まで来た、と思っています。
ですから、「普通の人間ができるのだから、あなただって年齢も変わらないんだし、それなりに社会経験もあるし、できるでしょう?」とつい思い込んでしまっていたのですね。
「では、ご自分の成功ポイント、他人とは違う点はどこだと思いますか?」
いろいろありますが・・・、多少強引でしたが、自分で会社を作ったことだと思います。
当時、本当にお金がなかったので、いろいろな方から100万、200万と借金をして、助けていただいて会社を設立しました。
しかし、いざ会社を作りますと、お客様がいないので自分が営業に行かなくてはなりません。
手書きのチラシを持って飛び込み営業をして、少しでもつてがあれば会いに行き、当然、営業の競争もありました。そうした経験が、今日まで頑張れた大きな自信になっています。
「コンスタントに本を出版されていますが、そのきっかけはどのように掴まれたのでしょうか?」
講師として一本立ちするには、目立った学歴や資格が無いのなら著書が必要と考えました。
そこで、周囲の人に「本を出したいのだけれど」と、つてを求めて回りました。
そうしたらある人から「昔、ある出版社の方から、本を書きませんかと言われたことがあるよ。今でも著者を探しているかもしれないよ。5年前の話だけど、どうする?」と言われ、即座に「紹介してください」とお願いしました。
それで、紹介されるとすぐ、本一冊分の原稿を、面識もない編集者の方にメールで送ったのです。
失礼でしょう(笑)。
その後、編集の方がいらして「うちは持ち込み原稿を見ません。でもちょっと路線を変えた方向で、もう一度書き直してくれれば考えてあげる」と言われました。それで書き直した本が最初の本なのです。
「本を出したいと思っている方にアドバイスはありますか?」
フリーで講師の仕事をしていると、自分の著書が有るか無いかで、社会的な認知度が大きく変わってきます。
研修に行くと「何かご本をお書きになっていますか?」と必ず聞かれますし、経歴書に著書が有るのと無いのとではすごく違いますね。
ですから、研修講師業でお仲間になった人たちに「本を書くといろいろメリットがあるから、あなたも本を書きましょうよ」とずいぶんお勧めしました。
ときには「私と共著にしてあげるから、半分書きましょうよ」と言ってあげたこともあります。ところが、それをチャンスと捉えて、実現された方は残念なことにいらっしゃらないのです。
一般の人にとっては200ページ近くある本を書ききる、ということは大変なことなのですね。
しかし、仮にも人様から「先生」と呼ばれる職業についているのなら、本1冊分になるくらいの知識、経験は当然あるはずです。
それを文字にしてゆくことだって、難しくはないはずです。「本を書くのは偉い人がすること、私なんか」と思い込んだり、「忙しいから、文章が下手だから」などとしり込みせず、まず書くことですね。







