私はまだまだ未熟で、経営者と言えるほどではないと思うのですが、確かに孤独だなと思っていた時期もありました。
でも今はそうは思っていません。それには2つ理由があると思います。
まずひとつは、私は経営者とかトップというのは単なる役割だと思っているということです。
私より素晴らしい経営者がいればいつでも経営権を譲りたいと思っていますし、私より素晴らしいスーパーバイザーがいればその人にスーパーバイズしてもらった方がいいのではないかと思います。
ただ、今はたまたま私がそういう立場にいるのでやっているだけです。ですが、いい加減な気持ちかと言われれば違います。全力でやっています。
2つ目に私自身はこのアイ・ディアヒューマンサポートサービスということに対して、『腹を据えて』人生のすべてをかけてやっています。
この2つで経営者としての突っ張り方は随分違ってきて、孤独感はなくなります。
この団体を世の中が必要としていれば、私が自分の人生を終えるときにきっとだれか素晴らしい人が継いでくださるでしょう。
もし、それでなくなってしまうようであれば、もともと私のエゴだけでやっていた会社であって、世の中では必要ではなかったのだと思っています。
結果はどうなるのかわかりません。
しかし自分の人生のすべてをかけたステージのひとつとしてこのアイ・ディアヒューマンサポートサービスという「こころの専門家たちが一生懸命活動できるステージ」を創れたことはとても素晴らしいことだと思っています。
「先生がご自分で組織を創ることになったきっかけはなんだったのでしょう?」
私自身が組織を創るきっかけになったのは、自分の父の介護でした。
自分が自分でスキルを独占しながらカウンセラーとしての第一人者になっていくか。
それとも、私自身のスキルを多くの人に学んでもらい、提供した上でチームとしてカウンセラーとしてやっていくのか。
父が倒れて長い介護生活が始まったときに、選択を迫られた結果、チームでやっていくということに決めました。
最初は女性も多いし、上下の関係性を創ることが基本的には嫌いな人がカウンセラーという仕事をすることが多いので、しっかりした上下関係・責任分担・誰がリーダーで誰が何を担当するのか、といった役割決めが大変でした。
役割を決めるのは自分自身も苦手だったので、組織になることがなかなか難しかったです。
でも今ではしっかりとしたアイ・ディアヒューマンサポートサービスという組織でフルタイムのスタッフが30人近くいて、その上で所属カウンセラーが100人近くいます。私の夢の組織が実現していると思っています。
「カウンセリングをチームで引き受けるシステムは日本では珍しいと思います。その考え方はどのように出てきたのでしょうか?」
自分の父の介護をしながら、結婚、子育て、介護―女性である私にとって女性が一生働ける組織をつくるにはチームでやっていくしかありませんでした。
この業界は信用が全てですから、自分が引き受けた仕事は最後まで責任を持ってやらなければなりません。
でも、そのときに、もし子供がいたら、介護が大変な状態になっていたら、1人では到底抱えきれません。
ですからその中でお互いがしっかりとリファーできるシステムを作り、チームとしてカウンセリングをやっていく事が必要だったのです。
「ご苦労された点もあると思いますが、どんなところが大変だと感じられましたか?」
どうしてもカウンセラーというと、自分の内面に意識をもつ性質の人が多いので、最初は組織として活動するというよりも、各自が自分の理想ばかり前面に出るので苦労しました。
心理学やカウンセリングをチームでやっていく事は構成員の性質上そぐわないのかな?と思った事もありました。
でも、今ではそうは思いません。しっかりと皆が意識と理念をもってその理念のもとに集まれば、素晴らしいカウンセラーチームができることを確信しています。
「講師としての活動もなさっていますが、人の心をつかむ話し方とは?」
人間はどんな人でも心の中にちょっとは「変わりたい、もっとよくなりたい」と思っている部分があります。
「どうすればその人の心に届くのか?」をひたすら意識し続けます。
言い換えればマッサージ師のツボ押しのようなもので、どこにその人のツボがあるのかを一生懸命探します。
その人が「変わりたい」と思う部分に触れていくことができれば、どんなによそを向いている人や、難しそうな顔をしている人でも、態度や表情が変わる瞬間があります。
人の心をつかむ為には、日頃から新聞を読んだり、映画や本など、何でもいいから楽しみながらディスカッションをして、引き出しを増やしておくとよいと思います。
「『つぼ押し』にコツはありますか?」
私は言葉を『相手のこころに届ける』というふうに意識しています。
相手のこころに届けるというふうに意識をするのは自分が言いたいことを言うわけでもないし、相手の顔色だけを見ていてもできません。
自分で何を伝えたいかを明確にしてその上で、全力で相手のこころに届ける。そして相手はそれを感じて、どうだった?ということもきちんと聴く。
話をするスキルということや聴くことのスキルを考える人はいると思いますが、相手に言葉を届けるということを意識してみれば随分いろんなことが変わってくると思います。
「執筆活動についてお伺いします。初めて書かれた本はどのような本ですか?」
初めて本を書いたのは10年ほど前で、タイトルは『あなたも20代、30代で心理カウンセラーになれる』です。
本当は20代でも30代でも40代でも50代でもカウンセラーになれると言いたかったのですけど(笑)。
これは自分の半生記を書いたものですが、自分の事を文章にするという作業は私にとっては大変な作業でした。
その頃はまだカウンセラーという職業がようやく認知されはじめたばかりで、当時カウンセリング関係の本と言えば、難しそうな固い感じの本しかありませんでした。
当時、担当してくださった出版社の方から「カウンセリングに興味がある人、受けたいと思っている人が固そうな本を読みますかね?」と言われ、ピンクの帯をつけ、私の顔写真を表紙にどーんと出した本が出来上がりました。
心理学のコーナーに本が並ぶと、自分の本だけが浮いて、目立っている感じでした。そのお陰で4万部売れました。(笑)
私の本は名作とか大作とかではないけれど、図書館に置かれてあったり、古本屋でまた買って読んでくださる方がいらっしゃるというのは嬉しいです。
出版社の方には「10冊を超えるとその人のメッセージ性が出るよ」と言われ、今も1年に1冊位のペースで本を出し、なんとか10冊目に至っています。
「どうやって本を完成させるのですか?」
そんなに簡単には出来ません。のた打ち回ります(笑)。
私は自分で文章を書くというより、言葉にしたほうがやりやすいので、テープに入れてスタッフとか有志のメンバーにテープ起こしをしてもらいます。
でもそれはスラスラと言葉が出てくるようなものではありません。まずのた打ち回ります。
それは自分で深いワークショップ(集団カウンセリング)の5つや6つは受けたような感じです。
自分を穿り出して、言葉に代えて検証して・・と言う連続なので、大体ホテルに何日も缶詰になり、その中でできていきます。
「テーマを決めてのたうち回るのですか?」
そうです。ありがたいことに自分から出したいという事は余りなくて、依頼があるので出版社の人と大体の内容を詰めてから始める事が多いです。
まとまった時間がとれないので2・3日集中することを3回4回やると半分位できて・・・1ヵ月後にもう半分・・・位のペースでしょうか。
他の事は何もせずにそれだけに集中して作るというのが今なかなか出来ない状態なので。
「出来上がった後と言うのはどういう感じですか?」
出来た瞬間は全部破り捨てたくなる衝動ですね。「こんなの買う人いるのかな?」といつも思います。
だから出した後は「これしか出ません、もうごめんなさい!!」という気持ちですが、人から「よかったですよ」と言ってもらえると、「何か少しはお役に立たてたかな?」と思える位です。
カウンセリングの時の「何とかできたな」という安定感とは真逆です。
まだまだ本を書くと言う事は自分の中では大変な作業です。






