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メンタルビジネスへのご招待(インタビュー)

メンタルビジネスの最前線で活躍されている各分野の第一人者の生の声を皆様にお届けします。




第8回目(1/4)  矢野 惣一 先生   イメージワーク メンタルサポート

2006年 10月 21日

最初にうまくいかなかったから、むしろ良かった



←前回号「自分が経験した痛い思いがカウンセリングに役立っている」



今回は、問題解決セラピストの矢野 惣一(やの そういち)先生です。

先生は、ご自分の著書にも書いていらっしゃるように、平日は熱海で田舎生活や執筆活動、土日に都会に出てきて個人カウンセリングや養成講座を開いて仕事をするという、週休5日ともいえる生活をしています。

クライアントさんの問題解決のお手伝いだけではなく、ご自分の夢だった田舎暮らしという心豊かな生き方もしっかりと実現していらっしゃいます。
どうすればそのようなセラピストになる事ができるのでしょうか?
どのような道筋で現在に至ったのでしょうか?

今回はそのあたりもじっくり伺ってみたいと思います。



インタビュー写真


「セラピストになる前は何をなさっていたのですか?」

大学での専攻は生物学でした。
最初は、臨床検査会社で臨床検査薬の研究・開発、製造を1年くらいやっていました。

僕は田舎暮らしが夢で、「北の国から」にずっと憧れていて、特に北海道が好きでした。そこで、新しく立ち上がった北海道の会社の営業に応募したところ、未経験なのに採用されしまい、北海道へ行くことになりました。

ところが、北海道の暮らしをエンジョイしたくて行ったのに、仕事が忙しくて休みもほとんど取れず、結局1年くらいで辞めてしまったんです。

そして、東京に戻って、今度は遺伝子を研究している大学や製薬会社に対して、遺伝子の研究試薬を売る会社の営業マンになりました。営業をやっていたのですが、いろいろと苦労もありました。


「心理療法に興味を持ったきっかけは何ですか?」

営業マンをしていて、僕自身は相当の売上げをあげていたのですが、会社全体としての売り上げ目標が達成できませんでした。
当時、東日本の責任者だった僕は頑張っていたのに、これ以上やることがもう見当たらないわけですよ。自分自身では、これ以上やりようがなかったし、部下もみんな頑張ってくれていた。

12月の仕事納めの時、結局ノルマが達成できなくてトボトボと会社に帰る時、交差点で信号待ちをしていたら、交差点で車に轢かれて血みどろになっている自分の姿(ビジョン)が見えたのです。それで、「このままだと衝動的に自殺してしまうかもしれない」と思いました。

ちょうど明日から仕事が休みだったので、「なんかしなきゃ」と思って、たまたまインターネットで心理療法の中の催眠療法を見つけて、1月5日に受けたのです。

それまでそんな分野に全く興味がなかったし、なぜだか分からないのですが・・・

そしたら、子どもの頃からの自己評価の低さ、自己嫌悪感、理由のわからない生き辛さ、から解放されたのです。翌日、犬の散歩をしていたら、涙がグワーッと出てきて、「これがオレの生きる道だ! 昨日までの自分みたいに訳のわからない辛さを抱えて、頑張ってるのに上手くいかないで苦しんでいる人をサポートするのが、オレの人生の使命だ!」という思いが天から降ってきたのです。

そして、すぐ休み明けに辞表を出しました。責任のある立場だったので普通だと簡単には辞めさせてくれないのですが、理由を聞かれて正直に話したところ、おそらく上司は「コイツ、狂ったな」と思ったのではないでしょうか(笑)。

結局、2月末には辞める事ができました。盛大な送別会もやってもらい、それまでケチョンケチョンに僕のことを言っていた上司も、「お前が、こんなに苦しんでいたなんて知らなかった。すまん」と謝ってくれました。


「いろんな療法がある中でなぜ催眠療法を選ばれたのですか?」

分からないんですよ。最初にネットで探したときも、どういうキーワードで検索したかも覚えてないし。

いくつか問い合わせをしたのですが、お正月休み中の所が多いなか、たまたまやっていた都内の個人で開業していた方の所に行きました。

そんなに簡単に治るものなのか、そこが不思議なのですけれど、変わるタイミングってあると思うんですよね。

そのセラピストのセッションは、自分がプロのセラピストになった今の立場から言わせていただくと、正直、誉められたものではありませんでした。

だけど、僕はこのセッションで画期的に変わった。それは自分が変わるタイミングだったからだと思います。乱暴な言い方をすれば、どんな人でもそのタイミングで何かすれば、変われるということかもしれません。変化にはタイミングが重要なのだと実感しました。


「セラピストとして最初にどのような勉強をなさいましたか?」

会社を辞めた時からセラピストとしてやっていこうと思っていました。それから、インターネットで催眠療法を教えてくれる所を探しました。

もともと科学者だったので、理論的じゃないと信用できない所がありました。精神世界にありがちな精神面とかきれいごとばかりを書いている所は、役にたたないと思っていましたね。

色々調べて、ファドシンクの伊東信介先生の所で2ヶ月半、実際の講座は7日間、催眠療法を学びました。講座の中でも自分自身が変わっていくのを体験しました。

僕は誰からも教わったわけではないのですが、自分で自分自身に催眠をかけることができました。教わった手順を自分なりにマニュアル化して書き写して、「こういう風にやるのだな」と頭の中に記憶し、マニュアルを見ないで自分自身にやっていきます。

わかりやすく説明すると、セラピストとしての人格が別にあって、その人格が自分にセラピーをやってくれる感じです。だから練習相手は必要なかったわけです。

自己催眠ができるセラピストさんは実はあまりいません。自分自身でできるということは、自分の中の変化がよくわかりますね。

人に施術をする際、この部分でこういう誘導をしてもらうと深く催眠に入れるとか、この時にこう言ってもらいたいなどの気持ちが分かるので、アレンジしやすくなります。

他人にやった場合、聞けば答えてはくれますが、やはり自分で感じる方がよく分かります。



インタビュー写真



「その後は何か勉強されましたか?」

それから、10人くらいセラピストの所にセラピーを受けにいきました。
その時はクライアントとしての自分と、冷静にそのセッションのやり方を観察しているセラピストとしての自分の2つの立場でセッションを受けました。

そこで一番学んだのは、「こういう人でもプロとしてやっていけるんだ」ということ(笑)。
「この人はスゴイ!」と思える人は数人だけでした。

プロとしてやっていこうと思われる方は、自分に自信をつけるためにも、いろんな方のセラピーを受ける事をおすすめします(笑)。

当時いろいろ調べたのですが、理論的に催眠療法について書いてあるHPはほとんどありませんでした。だから、自分が理論的に書けば、そこに活路があるというか独自性が生まれるんじゃないかと思いました。当時はまだ、マーケティングという意識はしていませんでしたけれど。


「その時は一番役に立ったのはどんなことですか?」

一番役に立ったのはマニュアル化するということの大切さでした。昔の仕事がとても役立ちました。

サラリーマン時代は、研究だけではなくて、それを製造工程に乗せるためのマニュアルを作っていました。僕は今、複数の心理療法のエッセンスを融合した独自のセラピーを創り出して、講座で教えてもいるのですが、サラリーマン時代のマニュアル作りの経験なくしては、できなかったと思います。


「セラピストとしてやっていくと決めた時のお気持ちはどうでしたか?」

理性では「39歳で脱サラして未経験の仕事で上手くいくはずがない」と退職を引き止めていたんです。だけど、それよりももっと大きな自分以外の何か大きな力に背中を押される感じで、あれよあれよという間に会社を辞めてしまいました。

催眠に対して「怪しいもの」と考える人が多いじゃないですか。結婚はできないだろうなと思ったし、年収もせいぜい300万くらいだと思っていました。

その気持ちを克服したのは、本を出したあたりからですかね。
でも開業当時は、人がどう思おうが関係ないとは思っていました。「これが僕の使命なんだ」と思っていましたから。


「会社を辞められて2・3ヶ月で開業されましたが、最初はどのような感じでしたか?」

無謀でしたね(笑)。

集客はHPを立ち上げて、当時あったYahoo!の有料登録に登録するだけでした。でもラッキーなことに、まだその頃は登録している人が少なかったので、それだけでお客様が来てくださったのです。

Yahoo!で"催眠療法"と検索すれば、僕のHPが最初の10件の中に出たわけですよ。幸いな事に開業した時から赤字にはなりませんでした。家賃は出ましたから。

1人1回15,000円で月に10人くらいはおみえになったでしょうか。運が良かったですね。

セラピーにせよ、最初からうまくいったわけではなく、うまくいくまでの間に、いろいろ試行錯誤したのですが、実は不安だらけでした。

「本当に食べていけるのだろうか?」とか。

でもやってみないとわからないですからね。それでも、会社を辞めて最初の半年くらいは親と同居して食べさせてもらっていました。


「最初のお客様は覚えていらっしゃいますか?」

覚えています。うまくいかなかったですね。

開業当初、僕も他のヒプノセラピスト同様、年齢退行催眠や前世療法を中心にセラピーを行なっていました。しかし、ちゃんと催眠にかかってトラウマの原因となっていた出来事に戻り、その時本当はしたかったとおりにやり直しているにもかかわらず、ほとんどのクライアントさんの問題を解決することはできませんでした。

なぜなのだろう? 僕は悩みました。トラウマの場面に戻ってやりたかったようにやり直すことでトラウマは解消される、と教わったし、催眠療法の本を読んでもそう書いてあるからです。

僕はテキストを読み直しました。そして「優勢の法則」を読んでいて、その理由がわかりました。「優勢の法則」とは、「強い感情を伴っている暗示は、それより弱い感情を伴った暗示に上書きされる」というものです。

年齢退行催眠が効果があるのは、この優勢の法則に則しているから、つまり"過去に戻ってやりたいようにやり直した時の満足感・安心感などが、過去に実際に感じていた悲しみや苦しみなどに勝るから上書きされるのだ"そう教わりました。

しかし、このことは裏を返せば"実際に感じていたネガティブな感情に勝るポジティブな感情を再体験できなければ、ネガティブな感情は消えない"ということです。

トラウマになるほどの深刻な出来事の場合、その時感じた恐怖や怒りや悲しみを上回るポジティブな感情を再体験することはほとんど不可能です。だから、退行催眠ではトラウマになるような問題は、ほとんど解決することができないのです。

僕はこの「優劣の法則」の裏の意味を知ってから、退行催眠を使わないで問題を解決する方法を模索し始めました。過去を変えるのではなく、今現在のクライアントさんの気持ちに変化を起こさせる、という方針でセラピーを行なうことにしたのです。

その成果は、本で紹介しているように画期的なものになっています。


「最初に良くなったとお客様に認められるようになったのは、いつ頃からですか?」

最初にうまくいかず、「優勢の法則」を読み直してから、それからすぐだったと思います。
5月に開業して、夏頃からでしょうか。

「優勢の法則があるからこそ、退行催眠じゃ良くならない」、それまでやってきた退行催眠で治らないのは当たり前だと思ったんです。そこで他の手法をいろいろ勉強し始めたのです。それからはうまくいくようになりました。

最初にうまくいかなかったから、むしろ良かったのじゃないでしょうか。最初は原因を探る催眠療法しかやっていなかったので、それでうまくやっていたら、未だに普通の催眠療法家の人と同じだったかもしれません。



                 (次回につづく・・)


次回号「まず自分が幸せにならなければ、人を幸せにすることもできない」→

←前回号「自分が経験した痛い思いがカウンセリングに役立っている」


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インタビュアー:奥原菜月

奥原菜月    フリーライター、占い&カウンセラー(奥原朱麗)として活動中。
夫と子供2人、犬1匹で横浜に生息中。

占い・カウンセリング・開運などをメインにしたブログ
『占いカウンセラー朱麗のまったり開運日記』

HP:アストロ・ハーティ「朱麗の占いカウンセリングルーム」
  
インタビュアー:中澤敬子
 
中澤敬子    カウンセリングを学び、嫌いだった自分の事が好きになれた。
同じような悩みを持つ方が元気になるお手伝いができればと
自宅にカウンセリングルームを作る。

小6と小3の2児の母。

今後は自分の夢に向かってチョイワルママをエンジョイする予定。




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セラピストの取材を定期的に行っています。

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