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メンタルビジネスへのご招待(インタビュー)

メンタルビジネスの最前線で活躍されている各分野の第一人者の生の声を皆様にお届けします。




第6回目(3/4)  赤城 恵子 先生   あかぎけいこ・カウンセリングルーム

2006年 09月 9日

ごまかしのない自分をキャッチする必要があります



←前回号「人間同士の共感とユーモアを伝えたい」




インタビュー写真



「お客様の男女比はどのくらいでしょうか?」

私が所属している外部のカウンセリング機関では男性のケースが多いのですが、ここでは女性だけです。トータルで見ても女性が圧倒的に多いですね。


「男性は受けられていないのでしょうか?」

こちらは「女性のためのカウンセリングルーム」として開いていますので、男性が単独で申し込まれた時は所属の外部カウンセリング機関をご紹介して、そちらでお話を伺うことにしています。

女性のクライエントさんから「夫のカウンセリングもしてほしい」と依頼された場合や「夫婦一緒に」という場合はお引き受けしています。


「カウンセリングに来られる男性はご自身に不妊原因がある方がいらっしゃるのですか?」

その例はとても少なく、お1人だけでした。
自分に原因があると診断されてショックを受け、無力感や自責の念に悩んでいるのですが、その思いを率直に語る方は本当にごくわずかです。

やりきれない気持ちを表出できれば、ストレスが軽減されて夫婦関係もずいぶん楽になると思うのですが、男性としての抵抗があって心を開くのはとても難しいのだと思います。

原因は夫にあって自分にはない妻の立場も複雑です。泣きたいほど辛い時でも「夫が責められていると感じてしまうから家では泣けない」という方もいます。「つい、あなたのせいだと夫を責めてしまう」と罪悪感に苦しんでいる女性もいます。

原因がなくても苦痛な医療を受けるのはほとんどが女性ですし、「子どもを産んで育てるべきだ」という圧力を受けるのも女性の方が圧倒的に多いのです。ですから、女性も苦しいし黙して語らない男性もまた苦しいのです。

その人の尊厳を失わせない安全なカウンセリングの場を活用して、少しでも心の重荷を軽くされるとよいのですが。


「原因を持っていない男性がカウンセリングに訪れる理由は何でしょうか?」

体外受精を何度受けても妊娠しない、流産を繰り返しているといった場合、女性が悲嘆にくれるのは無理のないことです。そんな時、「妻のサポートをどうすればいいのか分からない」という理由で来られることがほとんどです。

こんな時は男性のやりきれない思いも十分に受けとめて、パートナーの女性の気持ちや必要なサポートについてお話しています。

ここで気づいたのは「泣いたらストレスになる」と考えている男性が少なくないことでした。

ある人は流産後の妻に「そんなに泣いていたら、ストレスになって妊娠できなくなるって叱るんですけどね」とおっしゃるので、「気の済むまで泣くことは、逆にストレスを軽くしていきます。『これで楽になっていくんだな』とプラスに受けとめて、励まさないでそっとそばにいてあげてください」とお願いしています。

アメリカの医師も同じようなことを家族に伝えているそうです。日本の病院でもそんな配慮があるといいですね。


「やはり男性と女性の考え方の違いなのでしょうか?」

そうでしょうね。男性は小さい時から、泣けば「男の子のくせに」とか「男らしくない」と言われ、泣くのを禁じられて育つことが多いですから、感情の表出を否定的にとらえる傾向が強いのでしょう。それはそれで辛いことですね。

女性はそれを比較的許されていますから、自助グループなどの横のつながりも作りやすいのではないかと思います。


「ご自身の悩み事やストレスはどのように解消していらっしゃいますか?」

今は特にストレスフルなことはないのですが、気分転換に花の手入れをしたり、水彩画を描いたり、よく私を笑わせる友だちとお茶を飲んだりしています。

何かに悩んだ時は、まずはセルフカウンセリングをします。それでたいていは解消しますが、聞き上手な親友に話をするともっとスッキリして気持ちがのびのびとしてきます。

でもこの先、それだけでは立ち直れないほど危機的な出来事に遭遇するかもしれませんね。そんな時、私は迷わずプロのカウンセリングや自助グループを活用すると思います。



インタビュー写真



「今のお仕事に対してご主人はアドバイスやサポートはなさいますか?」

夫は本当に多忙で、仕事以外に何かできるような余裕はずっとなかったですね。

サポートと言えば、外から電話をかけてきて「晩御飯ある? ない? わかった!」と言って、不機嫌にもならずにお弁当を買って帰ることくらいでしょうか(笑)。 


「不妊カウンセラーになることに対して抵抗感は示されませんでしたか?」

不妊の夫婦としてテレビにも一緒に出たくらいですから、不妊カウンセラーになることにも抵抗感はまったくなかったと思います。

不妊を恥や不名誉なこととは思っていませんし、不妊をそうしたスティグマ(烙印)にしてしまう社会に批判的です。不妊カウンセリングは、そんな社会の中で当事者の方たちが自信を回復していくお手伝いをしていく仕事でもありますから、かえって支持してくれています。


「赤城さんが心の大手術をされた時に、やはりご主人も同じように心の大手術をなさったのでしょうか?」

もう25年も前のことですが、夫が「子どもを遺せないことに寂寥感は感じるよ」と言ったことがあります。彼なりに悩んだ時期もあったと思います。でも、その後話を聞いてみると、「心の大手術」というほどのことではなかったようです。

一般的に男性は、家庭は大切ではあっても、自分の存在を「生涯の仕事」というところに求める傾向が強いですよね。

ですから夫も子どもができないからといって、男としての人生が崩れてしまったり、生活がひっくり返るほどの衝撃は受けなかったのではないかと思います。

当時も私に「どうしてそんなに悩むのかわからない。女と男の違いなのかなあ…」と不思議そうに言っていたくらいでしたから。

一方、女性は複雑です。仕事だけではなく、「子産み・子育て」をめぐる思いの深さは男性の比ではないと思います。

まだまだ女性だけに家事・育児を奨励する社会ですし、妊娠・出産・授乳という働きをその身に内包しているのは女性です。

不妊に直面したことのない女性は無意識的ですが、女性にはその身を十全に生かしたい、体現したいという願望もあって、仕事だけではなく、子育てすることにも確かな人生の手ごたえを求めていくのではないでしょうか。

ですから、不妊でそれが叶わないとなった時、人生の半分以上を欠落させてしまったような喪失感や不全感が身に迫ってくるのではないかと思います。もちろん個人差はありますし、不妊原因があると診断された男性は、原因のない男性と受けとめ方が違いますが。


「お客様の喪失体験を癒して、人生の新しい根っこを見つけるお手伝いをすることもカウンセラーの役割だと思いますが、カウンセラーに向いている人、向いていない人の違いは何だと思われますか?」

それについては、私が臨床心理を学び始めた頃、(故)佐治守夫教授の言葉にハッとさせられたことが思い出されますね。

教科書にカウンセラーには不向きな人の説明があって、「臨床の場はこのような自己確立や自我同一性の弱い人をひきつけやすい面をもっている」とありました。

その頃私は不妊で壊れた自己像を、新しく再生させるまでにはなっていなかったものですから、この言葉は身にしみました。当たり前のことですが、自分が癒されたくて人の話を聞いてはいけないと思いましたね。

以来、自分の心の動き、自分の価値観や考え方の癖、差別意識や偏見もチェックするようになりました。

それをわかっていないと、カウンセリングに影響するからです。また、自分のどんな感情や衝動を受け入れにくいのか、どんな人が苦手でどんな人となら安定していられるのかなどなど、そんなことにも敏感になったと思います。

私も十分ではありませんが、そんなふうに自分を対象化して把握できる人がカウンセラーに向いている人で、そうでない人は向いていない、といえると思います。もちろん完全な自己理解などできませんが、いつも注意を払っておく必要があります。


「自分の内面にきちんと向き合っていなければならないのですね。」

そうですね。不妊を経験したカウンセラーが不妊に悩んでいる人の話を聞いたら、抑うつ状態になってしまったという例や、親との確執が未解決なカウンセラーがクライエントの親御さんを思わず敵視してしまったという例もあります。

そんな時は自分には未解決の課題があるのではないかと捉えて、質の高いスーパービジョンを受けることも大切ですね。


「机上の理論だけではカウンセリングは行えないのですね。」

生身の自分が問われますからね。カウンセリングの基本として、受容・共感・自己一致が重要だと教えられますが、なかでも自分の心の動きを捉えること、つまり自己一致がとても大切なのだと思います。

数年前、ある青年が「ちっとも共感していないじゃないか!」と私に不満をぶつけたことがあったのです。その時の話が聞くに耐えないほど陰惨な内容だったので、私自身が傷つき、いつの間にかそれ以上感じないように守りに入っていたのです。

そこで私が「そうですね。その出来事に私自身も傷ついたようで、聴けなくなっていましたね。」と自己一致したことを伝えると、彼は私の未熟さを責めないで、「傷つくほど真剣に聞いてくれた」と受けとめたのです。不信感から解放されて、おだやかな表情に変わっていました。

そこでもし「そんなことありませんよ。苦しさはわかります。」などと応えたら、不信感を募らせるばかりだったと思います。信頼関係を築いていくためには、カウンセラーが「いま、ここ」でのごまかしのない自分をキャッチする必要があります。


                 (次回につづく・・)


次回号「自分の偏見や差別意識に気づいておくことが大切です」→

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あかぎけいこ・カウンセリングルーム  (千葉県松戸市)

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どのような悩みでも安心して語っていただき、心身の緊張を解き放して
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 イメージ療法、アサーション・トレーニング、ロールプレーなど


〒270-2267 千葉県松戸市牧の原2-167
TEL&FAX 047-384-2465





インタビュアー:川鍋友紀

川鍋友紀    1児の母。

現在はカウンセラー・セラピストとして独立すべく勉強中。

インタビュアーとして活動中です。




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セラピストの取材を定期的に行っています。

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   あなたのそばにいる「こころ達人の横顔」


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当プロジェクトの良いところは、「人とのご縁が広がるところ」です。

一流と呼ばれる方の価値観や考え方に触れたり、その方から、
別の一流の方を紹介していただいたり・・・・

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