第6回目(2/4) 赤城 恵子 先生 あかぎけいこ・カウンセリングルーム
人間同士の共感とユーモアを伝えたい
「初めてカウンセリングを行った時の感想をお聞かせください。」
現在「不妊ホットライン」は電話だけなのですが、当時は面接相談もありまして、そこでのスタートとなりました。
主な相談は不妊の悩みです。5年間の自助グループでの経験が随分役に立って、とくに不安や緊張もなく向き合えました。
それにその方はまっすぐに悩みと向き合う力や洞察力のある方だったので、新米カウンセラーの私としてはその力にずいぶん助けられました。
ところが、まもなくパーソナリティ障害と診断された方たちのケースが立て続けにありました。
このときは本当に大変で、担当の精神科医と連携を取ったり、スーパービジョンを受けたりしてなんとか進めていましたが、肩はゴリゴリ、首も回らないほどになってしまいました。
ですから、いただいた報酬はそっくりそのままマッサージ代に消えていました。(笑)それでもこの仕事をやめたいとは思わなかったですね。
「クライアントさんは現在、どのような経緯でいらっしゃるのですか?」
不妊についてはいろいろです。
例えば、「不妊ホットライン」に継続的なカウンセリングを受けたいという要望が寄せられた時は、私のカウンセリングルームを紹介していただいていますし、講師を担当した不妊相談セミナーや講演会がきっかけになることもあります。
不妊カウンセリング学会や行政が行う不妊相談員の養成講座を担当することがあって、北海道や九州など遠方に行くこともあります。
するとそこで出会った保健師や助産師、医師といった方が紹介してくださることがあるのです。そうしたクライエントさんは遠方にお住まいですから、電話カウンセリングで対応しています。
それから、行政や医療機関が不妊のカップルを対象とした講演会やセミナーを開くこともあります。
そこで話をしますと、参加された方から直接ご予約を承ることもあります。雑誌やインターネットで知りました、という方もいらっしゃいます。
うつ病、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの不妊以外のケースでは、口コミがほとんどです。ご近所の方からの紹介、同業者からの紹介、カウンセリングを終了したクライエントさんからの紹介などです。
今は、不妊ホットラインで仕事を若い方たちにほとんどお任せしています。私は月に2回ほど担当しています。
「ご自宅でカウンセリングを始められたのはいつ頃からでしょうか?」
「不妊ホットライン」の仕事に就いた1年後くらいから少しずつ始めました。
今は不妊以外のケースも承っていますが、その実績のない当初は、自分ができそうだと感じられる不妊の心理相談に限定して開いていました。
「自宅開業のメリットとデメリットは何だと思われますか?」
最大のメリットは経費がかからないということです。事務所やマンションの一室を借りて開業するとなると、維持費にたくさんの費用がかかります。
そうするとカウンセリング料を値上げしないとやっていけないですよね。そうしたら、不妊で多額の医療費を払っている女性や経済的に余裕のない女性は利用できなくなってしまいます。当然申し込みも減ってしまうと思います。
自宅であれば、比較的利用しやすい料金を設定できるというメリットがまずあると思います。それと通勤時間がありませんから、その時間を有効に使えることもメリットです。
デメリットは公私のけじめがつけにくいことですね。外での仕事ならば、時間が来たら家に帰ってプライベートの時間が確保されますが、自宅ではなかなかそうは行きません。
できたら、将来は独立した専用の部屋を作って、出入り口も別にしたいと思っています。
「カウンセリングを始められてからご苦労なさったことはおありですか?」
やはりパーソナリティ障害と診断された方のケースが一番大変でした。予約なしに何度も電話をかけてこられたり、「これから死にます!」とか、「いま自殺セットを持っています。」などと聞かされることもあります。
そんな時は、「どうやって死のうと思っているの?」などとゆっくりと尋ねて、しばらく耳を傾けています。すると落ち着かれて無茶なことはなさらないのですが、やはり気が重くなります。
私が時間に追われている時はなおさらです。特に緊急事態でなければ、時間外ではお話できないことや次のご予約をお願いして、丁重にお断りしています
「赤城さんのHPはございますか?」
実は作っていません。いろいろな方から作った方がいいと勧められるのですが、なかなか実行に移せないでいます。
「広告や宣伝などはなさっていらっしゃいますか?」
ほとんどしていないのですが、ネット上でいくつかのサイトが紹介してくださっています。妊娠、出産をテーマとするベビーコムでは不妊の特集も組まれていて、私の連絡先も載せていただいています。
あとはプラスハートというWebサイトがあります。こちらは不妊カウンセラーの認定を受けた方が集まって運営されているものですが、そちらにも私のインタビュー記事が掲載されています。
「お客様はなぜ赤城さんを選ばれるのだと思われますか?」
う〜ん、考えたこともなかったですね(笑)。不妊の場合は、その心理状態を熟知していることと、子どもができなくても不妊の悩みを解消していく手立てや道筋を明確に示せるということでしょうか。
肝心なのは、選ばれることよりも続けられることですよね。カウンセリングが始まれば、私が不妊の悩みを理解しているだけでは済まされません。
なかにはうつ病や神経症が重なっていたり、幼い頃の性虐待などから複雑性PTSDになっている方もいます。それにも対応することは一般の心理士と同じですが、まずは当初の切実な主訴である不妊の悩みを理解してこそ信頼関係ができて、そこまで深めたり、続けていかれるのではないかと思っています。
それから、不妊に限らず私の場合は、傾聴を基本にできるだけたくさんの療法やワークを用意して、その人の心の状態や変化に見合った無理のない方法で対応していることも関係があるかもしれません。
例えば、かなり深刻なトラウマには最も苦痛の少ない療法で緩和・解消したり、子ども時代の苦しい体験が現在の行動を困難にしている時は、「内なる子ども」とのやりとりを通して、穏やかな過去の物語にできるようなワークをすることもあります。
また、その人に力がついてきたら認知療法に切り替えたりしています。それぞれの心のステージにふさわしい方法で進めていきますので、「悩みと向き合うのは苦しいけれど、カウンセリングは楽しい」という声が聞かれるのではないかと思います。
また、「カウンセラーは訊かれない限り自分のことは話さない」が原則ですが、私はときどき自分の愚かな面や恥ずかしい経験も話します。
人は誰でも、どんなに理性を働かしても感情が許さないとか、どんなに努力しても自分を変えられない時だってありますよね。私がそんな自分について話すのは、「あなただけではなくて、私もそうですよ」と伝えたいからなのです。
そうすると、にっちもさっちもいかない自分の限界やいたらなさが互いに見えてきて、悲しいような、愛しいような、おかしいような気分になって、思わず一緒に笑ってしまいます。
泣き笑いに近いものですが、そんなやさしい空気が私は好きです。これは「クライエントも人間、カウンセラーも人間」という、お互いに限界をもつ人間同士の共感とユーモアですよね。
カウンセラー「先生」ではなくて、「愚かな人間」カウンセラーとしてやっている部分もあるので、相手の方も楽にご自分を表現できるのかもしれませんね。
「赤城さんが尊敬されている方はいらっしゃいますか?」
神田橋條治先生です。精神科医でありカウンセリングの達人ですね。この方のお話はとても素晴らしいです。
カウンセラーとしての腕を磨いていきたい人は、落語を聞くといいですよ、ともおっしゃっています。落語にはさきほど私がお話した、泣き笑いにも似たユーモアがありますよね。
九州にいらっしゃるのでなかなかお話を伺うことができなくて残念なのですが、機会があればぜひお会いしたいと思っています。
(次回につづく・・)
あかぎけいこ・カウンセリングルーム (千葉県松戸市)
女性カウンセラーによる女性のための心理相談室です。
どのような悩みでも安心して語っていただき、心身の緊張を解き放して
その人本来の力が伸びやかに発揮されていくことをめざしています。
- 出産・育児を応援する専門家のWEBコミュニティー
ベビーコム - http://www.babycom.gr.jp/pre/funinn/4_2.html
- プラスハート「不妊カウンセラー訪問」
- http://plusheart.main.jp/
傾聴、フォーカシング、FAP、認知療法、交流分析、リラクセーション、
イメージ療法、アサーション・トレーニング、ロールプレーなど
〒270-2267 千葉県松戸市牧の原2-167
TEL&FAX 047-384-2465
インタビュアー:川鍋友紀
1児の母。
現在はカウンセラー・セラピストとして独立すべく勉強中。
インタビュアーとして活動中です。












